映画『リズと青い鳥』が4/21に公開目前となる、武田綾乃 先生が贈る青春エンタメ小説。
在校生たちのありふれた日々や卒業生したOGの新たな日常を、短編12編と中編で綴ります。
(イラスト:アサダニッキ 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/779.html 】
「フィーネ」と「ダ・カーポ」の音楽記号に込められた情景にまず気付かされる読了感が
心に残ります。手紙で本音を伝えようとして悶える感じとかキュンとくるものがあります。
“晴香”と“葵”が偶然出会って、部活とは違う心境で音楽に触れていく挿話とかまさに。
短編の中に差し込まれる中編「アンサンブルコンテスト」では初めて出場を決めた小編成
でのコンサートに向けて北宇治の面々がどんな仲間と組むのか、楽しくも悩ましい瞬間が
描かれます。ここでも“久美子”の観察眼が目を見張る形になるところはまず見所かと。
次々と決まっていく組合せの中、楽器の特性上どうしてもあぶれてしまうメンバーが出る
事態にどう対応するのか。北宇治高校吹奏楽部の絆がいかに強いかが垣間見える顛末にも
ご期待ください。“麗奈”が見せた素直じゃないあの言動が今巻一番のハイライトでした。