2018年04月09日

『精霊幻想記 10.輪廻の勿忘草』

北山結莉 先生が贈る異世界転生譚。第10巻は“リオ”が示した決意を前に動揺を隠せない
周囲の人々、その中でも“美春”たちや“沙月”、そして“貴久”の反応に触れていきます。
(イラスト/Riv 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/776.html
https://ncode.syosetu.com/n1094bz/
https://hobbyjapan.co.jp/comic/series/seireigensouki/


怪しさを増す“貴久”の執着ぶりが遂に発露。“美春”が選ぶ道など明白なのに、心情を
心情を量りもしない彼が招く結果も自明というもの。乗組員たちと分かち合いたいほどに
スッキリした結末でした。“亜紀”も狂気を抱きそうな傾向を見せており、注視が必要か。

「春人ではない」と頑なに距離を置こうとする“リオ”に対し“沙月”がいろいろと手を
回してみたり、あるいは体当たりで語ってみたりと、先の“貴久”の件も含めて話の鍵を
握る振舞いで魅せてくれました。その辺を利用しようとする強かな人もいるようですけど。

もう一人、道を選んだ“雅人”も男を上げる態度を示しました。“貴久”が見習うべき点
とも言えるでしょう。ますます「人たらし」な面を見せる“リオ”が今巻でも意味深長な
発言を、今度は幸せそうな笑顔と共に示す場面は必見。次はどう話が動くか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年04月06日

『貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります2』

早々にコミカライズ化が決定! 鈴木大輔 先生が贈る狩る者と狩られる者の危険な恋物語。
第2巻は重要参考人で学生時代の後輩を匿うことになる“誠一郎”たちの顛末を描きます。
(イラスト:タイキ 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631234-9


“誠一郎”の用意した隠れ処に潜む“春香”。置かれた状況は絶望的、起死回生の一手も
“真”頼みの「毒を以て毒を制す」な綱渡り。それでも彼との信頼関係を踏まえ諦めない
不屈の姿勢を見せる彼女のしたたかさにまずご注目。それにしても彼の経歴は凄いの一言。

“真”が“誠一郎”の意図を汲み、あまつさえデートまで組み込むあたりは実にしたたか。
その上、鋭い洞察力で次々にひけらかしていく“春香”の秘密に緊張感の高まりを覚えます。
更にその裏で彼が直面する衝撃の事実、意外な人物。この引きは先が気になりすぎてつらい。

高々175ページ程度の紙幅にも関わらず、ここまで惹き込まれる物語を魅せてくるとは流石
大明神と言うしかありません。こんなに内容が盛りだくさんなのに、と驚かされるばかり。
先行公開された らげ 先生のネーム第1話も問題なさそうですし、先々が楽しみな作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年04月05日

『出会ってひと突きで絶頂除霊!2』

赤城大空 先生が贈るアツくて淫らな退魔活劇。第2巻は幼馴染が監視役として現れ、より
騒がしくなる“晴久”の周囲をロリコンスレイヤーなる者の連続襲撃事件が揺るがします。
(イラスト:魔太郎 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517255


不遇な“美咲”、欲望に忠実な“葵”、そして“南雲”の暴走と平常運転な様子に思わず
安堵する出だし。そして登場する“楓”にも強気にあたる少女“桜”。幼なじみキャラは
報われないジンクスはどこまでつきまとうのか。物語とは別に少し悲哀を感じるところで。

ロリコンスレイヤーを追う“晴久”が突然ロリコンになる。その裏に潜む、想像を超える
怪異の存在に協会も唖然、騒然の展開。その上“桜”も怪異の脅威に晒される瞬間、彼が
思いがけない方法で更なる力を得ることになります。中々しまらない格好ではありますが。

ムダに熱い戦いを制した“晴久”を待ち受ける女性陣の新たな対立構造を温かく見守ると
ともに、エピローグで見える外野での腹の探り合い、更には「正義の悪巧み」が話をどう
動かしていくか。“芽衣”も気苦労が絶えないな、と思いつつ次巻も楽しみに待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:41 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年04月04日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンX<下>』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。10話下巻は昇天した“トーリ”を呼び戻すため、
また羽柴との直接対決2回戦を前に“浅間”たちがアレやコレやに大忙しの局面を迎えます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893683-5/


1501回、その気概を“浅間”と“ネイト”が挿絵を含め見届けさせてもらいました。何やら
溢れたようで思わず苦笑い。実況されていた件も含めて。そこへ横槍を入れる存在に対して
“喜美”が本気を、本音をあらわにした場面は弟想いな気持ちが伝わって胸が熱くなります。

“正純”あるいは“東”が抱いた違和感。それがやがて運命に対応した大人たちの気持ちに
触れる展開にも驚かされます。「オリオトライ」の逸話に触れる所とか特に。それにしても
三征西班牙の見事な介入の仕方は、これまでに経緯を見ても「やり手」なのが見て取れます。

そして再び相対する親子たち。前回とは違う結果を示す武蔵勢の面々、中でも“マルガ”と
“ナイト”の戦いぶりが強く印象に残りました。改めて力を手にした武蔵が、高らかに宣言
するヴェストファーレンの地でどう運命を決するのか。大詰めに向けて続く物語に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年04月03日

『大洗おもてなし会議(ミーティング) 四十七位の港町にて』

矢御あやせ 先生が「マイナビ出版ファン文庫」から贈る新作は地域密着型のお仕事小説。
変わりゆく町を舞台に、変わりたい女性と東京から赴任してきた医師が夢を追い求めます。
(イラスト:toi8 先生)

https://book.mynavi.jp/ec/products/detail/id=88621


祖母が営む民宿を手伝う“涼子”。後を継ぎたいと考えるが高校生の頃から笑えなくなった
彼女はその話を切り出せずにいる。ある時、大洗に赴任してきた医師“加賀”がいつも笑う
様子を見てあらぬ怒りをぶつけてしまう。彼女の願いを受け止めた彼はある提案をする──。

魅力度ランキング最下位、茨城県。その港町、大洗がアニメ人気を伴い活気を取り戻そうと
変わりゆく描写と、町に、そして自分自身に閉塞感を抱く“涼子”の機微。最初は対比する
関係がやがて同調していくかのように成長を見せていく話運びには心温まるものを感じます。

“加賀”が大洗に関心を抱くのにも実は理由があって、細かな設定の妙でも魅せてきます。
“涼子”が二人で、更には町の人たちとで「おもてなし」の要件をどうこなしていくかが
楽しみですし、祖母が課した3つの課題を彼女が見事にクリアできるかも見ものなお話です。

posted by 秋野ソラ at 01:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル