2018年04月30日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦4』

okama 先生によるコミカライズと、書き下ろしシナリオでのオーディオドラマ化が決定した
細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第4巻は“イスカ”と“シスベル”の再会が軸です。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321707001015


突如もたらされた強制休暇を利用しオアシスで長く羽を伸ばすことになる“イスカ”たち。
ただ“ミスミス”が魔女だとバレないように策を図る時間は限られており焦りは募ります。
そんな事を知る由もない“アリス”が女王補佐の仕事に追われる姿は対照的で微笑ましい。

“イスカ”が呆れるほどの因果でもって再会を果たす“シスベル”。彼女だけが知る怪物
への対抗策として彼を味方に求める願望と、それを知ってもなお1年前と何ら変わらない
決意で彼女を突き放す“イスカ”の理想。“アリス”とはまた違う縁の結び方が絶妙です。

その2人に割って入る皇庁内の暗い野望の牙。“イスカ”もとことんツキがなくて苦笑い。
“ミスミス”も思わぬ形で目をつけられますし、“アリス”にもライバル登場で見所満載。
“シスベル”が、そして“イリーティア”がどう手持ちのカードを切るか実に楽しみです。

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2018年04月27日

『信長の妹が俺の嫁 5 戦国時代の裏に在るもの』

井の中の井守 先生が贈る歴史ファンタジー。第5巻は「魔物」と「座敷童」のことを理解
しようと苦心する“長政”が思いがけない人物との邂逅と異世界の真相に迫っていきます。
(イラスト:山田の性活が第一 先生)

http://nox-novels.jp/bibliography/20180226-2/


帯の煽りに迫る前に、今巻は“長政”を目の仇にする“久政”、更にその想いを利用する
朝倉家の野心に翻弄される“政之”の悲哀にご注目。不毛な戦いを経て味わう彼の孤独感、
その暗い淵から救い上げてくれた“唯姫”が流す涙に運命の物悲しさを強く感じる所です。

“政之”の行軍に同行する“長繁”がこれまた曲者で、彼の立ち位置からも魔物や座敷童
の立場の複雑さが見て取れます。その“長繁”がなぜか“帝釈月毛”に執心する様子には
唖然とするばかり。その“帝釈月毛”の秘密については口絵や帯に書いてある通りです。

異常な性欲に対して葛藤する“長政”をある場所へと導く“帝釈月毛”。その先に存在する
何かが示す世界の片鱗に“長政”が驚くのも同感というもので。“治姫”負傷の際に見せた
彼の残忍さが示す意味を踏まえ、どちらの“長政”として生きるか。彼の真意に注目です。

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2018年04月26日

『青春ブタ野郎はおでかけシスターの夢を見ない』

2018年10月からTVアニメの放送が決まった 鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。第8巻は
中学三年の三学期、進学の時期を迎える“花楓”の大切な選択と繊細な胸の内を描きます。
(イラスト/溝口ケージ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893585-2/


県立高校、しかも“咲太”たちが通う峰ヶ原高校へ進学したいと思いを告げる“花楓”に
カウンセラーの“美和子”が厳しい言葉を投げかけるのも無理はなく。彼女の想いを尊重
しつつもその先を見据えて人知れず動く兄の妹思いぶりには頭が下がる、と言う他になく。

外へ出るのも人一倍の勇気が必要な“花楓”が進学しようと決めたその思いに影を落とす
“かえで”の存在。どうしても今の自分と比較してしまう“花楓”に対して、“咲太”が
考えている気持ちをどう伝えるか。ここでも彼だからこそできる説得術が冴え渡ります。

それにしても「ア・テスト」とは懐かしい。神奈川県が舞台という「ならでは」な話題で。
今巻では思春期症候群が息をひそめる展開ではございましたが、“翔子”が指摘するある
事実と“咲太”が見たあの夢を契機に首をもたげてきます。どうなるか続きが楽しみです。

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2018年04月25日

『魔法科高校の劣等生(25) エスケープ編〈下〉』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズ。第25巻は身を挺して“達也”たちを守った“水波”を
気遣うあまり禁断の力に手を出す“光宣”に対して、彼が本気で対峙する決意を固めます。
(イラスト/石田可奈 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893792-4/


“光宣”の異常性に気付くのが遅れた、ただその一点だけで“達也”にとって思いがけない
強敵を生み出すことになるとは。“水波”に懸想するあたりの“光宣”を見た頃には想像も
しない展開を迎えたことにまず驚きです。対する“達也”の「強い否定」が印象に残ります。

“達也”の人並み外れた決意が如何に人とかけ離れているかを示すかのように差し込まれた
“十三束”とのやり取りも注目しておきたい場面。理解されないが故に頼れる味方が少ない
規格外たる魔法師の悲哀を滲ませます。“水波”の存在が大きくなるのも納得というもので。

「パラサイト」の存在が脅威となる今巻。冒頭にあるUSNAでの一幕が更に伏線として意外な
繋がりを見せてきます。あとがきにもある通り、いろいろな意味での「エスケープ」である
と知らしめた引きがどう作用するか。「インベージョン編」の刊行が待ち遠しい限りです。

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2018年04月24日

『ぼくたちの青春は覇権を取れない。 -昇陽高校アニメーション研究部・活動録-』

有象利路 先生の「第24回電撃大賞」最終選考作品。いまは3人だけど伝統のあるアニ研。
生徒会に目をつけられ廃部が危ぶまれる部を舞台に繰り広げられる様々な青春を描きます。
(イラスト/うまくち醤油 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893786-3/


「わたしが観たいアニメが何なのかを、わたしに、教えて欲しいの」校内で有名な美少女
“岩根”からお願いされるアニ研の“坂井”。教室内の誰とも滅多に喋らない彼女の話を
早速、部長の“阿仁田”に相談してみると話は思いがけない方向へ動いていくことに──。

まずは研究部の存続を目的として新入部員の獲得に臨む“坂井”が、アニメをきっかけに
女生徒を引き入れる展開で時に面白く、時にシリアスに魅せてきます。“岩根”の不器用
すぎるコミュニケーション能力に共感できる所はありますが、付き合う彼は大変そうです。

後半はアニメを目の仇にする生徒会長から問答無用で廃部を言い渡されるアニ研部員らが
起死回生の一手として探す「伝説の自主制作アニメ」が思いがけない人間模様を描きだす
意外性あふれる結末は必見。アニメを観ることに特化した学生らしい青春をぜひご覧あれ。

posted by 秋野ソラ at 00:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル