香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第四部・2巻は図書委員を目指す
“ローゼマイン”が本を読む環境を守るべく、貴族院内で様々な騒動に立ち向かいます。
(イラスト:椎名優 先生)
【 http://www.tobooks.jp/booklove/ 】
【 http://ncode.syosetu.com/n4830bu/ 】
【 http://seiga.nicovideo.jp/comic/booklove 】
“シュバルツ”“ヴァイス”を巡る争奪戦で自陣の練度が低いと悟った“ローゼマイン”。
彼女と彼女以外の落差への落胆ぶりには同情すら感じます。巻末短編も物語っているかと。
“ソランジュ”とのお茶会で社交の勉強不足を指摘した“リヒャルダ”もご苦労なことで。
その“リヒャルダ”が激昂した“トラウゴット”の側近解任騒動。その言動に情状酌量の
余地が感じられないのは至極当然で、そこから彼女が裁定した罰の与え方が独特。先々を
見据えた彼女なりのあしらい、かつ容赦の無さには感心と畏敬の念を抱かざるを得ません。
帰還命令を出し、説明を受けた“フェルディナンド”らの呆れ顔や叱咤する様子は思わず
懐かしさすら感じます。今後の商売を考えた場面で“ローゼマイン”隠しきれない不安を
抱くのを知った“ルッツ”が彼女を上手くフォローできるか、次巻の展開も見逃せません。
2018年03月23日
2018年03月22日
『裏方キャラの青木くんがラブコメを制すまで。』
『死にたがりビバップ -Take The Curry Train !-』でデビューした うさぎやすぽん 先生。
最新作は、演劇部のヒロインに恋愛指南する少年Web小説家の機微を描く青春ラブコメです。
(イラスト:前屋進 先生)
【 http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321712000636 】
あこがれの女優を目指す“綾瀬”は恋愛経験がないことに悩む演劇部のエース。そんな折、
文学部の雑誌に収録された作品に惹かれ、執筆した“青木”にラブコメの脚本を、そして
恋を教えてほしいと依頼する。物語を書くだけで同じく恋愛経験のない彼は戸惑うが──。
順当に文芸部のイケメン“高良”と“綾瀬”が結ばれる脚本を描く“青木”に対し、強く
ダメ出しするオタク仲間の“目黒”や演劇部の“古河”。彼女に思慕を抱いていると知る
二人の思惑に対し「分不相応」と裏方に徹する“青木”の姿が共感できるだけに切ない。
表舞台に上がることなどない、と達観する“青木”が如何にしてラブコメを書く立場から
その主人公としてアクセル全開で立ち回るか。不器用で精一杯な彼の熱さには思わず応援
したくなる何かが感じられます。挿絵の演出なども含め、ラブコメの意欲作と言えるかと。
最新作は、演劇部のヒロインに恋愛指南する少年Web小説家の機微を描く青春ラブコメです。
(イラスト:前屋進 先生)
【 http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321712000636 】
あこがれの女優を目指す“綾瀬”は恋愛経験がないことに悩む演劇部のエース。そんな折、
文学部の雑誌に収録された作品に惹かれ、執筆した“青木”にラブコメの脚本を、そして
恋を教えてほしいと依頼する。物語を書くだけで同じく恋愛経験のない彼は戸惑うが──。
順当に文芸部のイケメン“高良”と“綾瀬”が結ばれる脚本を描く“青木”に対し、強く
ダメ出しするオタク仲間の“目黒”や演劇部の“古河”。彼女に思慕を抱いていると知る
二人の思惑に対し「分不相応」と裏方に徹する“青木”の姿が共感できるだけに切ない。
表舞台に上がることなどない、と達観する“青木”が如何にしてラブコメを書く立場から
その主人公としてアクセル全開で立ち回るか。不器用で精一杯な彼の熱さには思わず応援
したくなる何かが感じられます。挿絵の演出なども含め、ラブコメの意欲作と言えるかと。
2018年03月21日
『誰も死なないミステリーを君に』
井上悠宇 先生が贈る新作はミステリー小説。人が寿命以外で死ぬ時期を視ることができる
女性とそれを回避するために手を貸す男性が、母校で起きたある墜落事故の謎に迫ります。
(イラスト/syo5 先生)
【 http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013813/shurui_3/page1/order/ 】
死を目前にする人と視線を合わせると顔に死線が視える“志緒”。死が近づくにつれ徐々に
増えていく線は彼女だけに見える死の予兆。それが回避できると知った“佐藤”は協力して
死ぬ人を救う活動を続ける。ある日、死線が母校の卒業生4人に視えると彼女は言及し──。
4人は同じ高校の文芸部に所属していた過去と、もう1人の部員“武東”が校舎の屋上から
飛び降りて亡くなった事故に直面した経験を持つ。その事故に隠された事実を“志緒”らが
暴いていくのか・・・と思いきや物語が思いがけない方向に進んでいく所で更に驚かされます。
死線を回避する過程で、いつしか“志緒”たちの物語が“武東”の物語へ遷移していく展開、
そこまで織込み済みだったのか、と驚かされる読了感に救われるものの仄かに切なくもあり。
誰も死なないミステリーは誰に捧げられたのか、込められた想いにぜひ触れてみてください。
女性とそれを回避するために手を貸す男性が、母校で起きたある墜落事故の謎に迫ります。
(イラスト/syo5 先生)
【 http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013813/shurui_3/page1/order/ 】
死を目前にする人と視線を合わせると顔に死線が視える“志緒”。死が近づくにつれ徐々に
増えていく線は彼女だけに見える死の予兆。それが回避できると知った“佐藤”は協力して
死ぬ人を救う活動を続ける。ある日、死線が母校の卒業生4人に視えると彼女は言及し──。
4人は同じ高校の文芸部に所属していた過去と、もう1人の部員“武東”が校舎の屋上から
飛び降りて亡くなった事故に直面した経験を持つ。その事故に隠された事実を“志緒”らが
暴いていくのか・・・と思いきや物語が思いがけない方向に進んでいく所で更に驚かされます。
死線を回避する過程で、いつしか“志緒”たちの物語が“武東”の物語へ遷移していく展開、
そこまで織込み済みだったのか、と驚かされる読了感に救われるものの仄かに切なくもあり。
誰も死なないミステリーは誰に捧げられたのか、込められた想いにぜひ触れてみてください。
2018年03月20日
『君に恋をしただけじゃ、何も変わらないはずだった』
筏田かつら 先生が贈る青春ラブストーリー『君に恋をするなんて、ありえないはずだった』
スピンオフ作品が登場。“恵麻”の友人“久美子”が進学してからの恋愛模様を描きます。
(イラスト:U35 先生)
【 http://tkj.jp/book/?cd=72816801 】
【 http://konomanga.jp/manga/kimikoi 】
場所は広島、安芸大学。合鍵を返しに、そして大事な本を返してもらうため元彼女の部屋を
訪れた“玲二”だが、すでに別の住人がいて引き下がるを得ず。帰りに職務質問を受けたり
踏んだり蹴ったりな彼は、その住人“久美子”と後輩の知人という形で偶然に再会する──。
甘え上手な美少年の後輩“奈央矢”とデキてるんじゃないか。彼が“久美子”の幼なじみで
好意を抱いたり、同郷の“冬吾”もそこに乗っかってきて、という様子をただ見ているだけ
じゃないか。不幸話が続く“玲二”を見て、恋心とは無縁な感じで話が進んでいくのが不憫。
エピローグで“恵麻”と“久美子”が互いの恋人談義をする様子、その内容が実に感慨深い。
合間に差し込まれる、ある人物が用意したト書きの台本が場面展開の隙間を埋めている演出
だと気付いてから話に惹き込まれました。今回も一筋縄ではいかない恋バナ、ぜひご覧あれ。
スピンオフ作品が登場。“恵麻”の友人“久美子”が進学してからの恋愛模様を描きます。
(イラスト:U35 先生)
【 http://tkj.jp/book/?cd=72816801 】
【 http://konomanga.jp/manga/kimikoi 】
場所は広島、安芸大学。合鍵を返しに、そして大事な本を返してもらうため元彼女の部屋を
訪れた“玲二”だが、すでに別の住人がいて引き下がるを得ず。帰りに職務質問を受けたり
踏んだり蹴ったりな彼は、その住人“久美子”と後輩の知人という形で偶然に再会する──。
甘え上手な美少年の後輩“奈央矢”とデキてるんじゃないか。彼が“久美子”の幼なじみで
好意を抱いたり、同郷の“冬吾”もそこに乗っかってきて、という様子をただ見ているだけ
じゃないか。不幸話が続く“玲二”を見て、恋心とは無縁な感じで話が進んでいくのが不憫。
エピローグで“恵麻”と“久美子”が互いの恋人談義をする様子、その内容が実に感慨深い。
合間に差し込まれる、ある人物が用意したト書きの台本が場面展開の隙間を埋めている演出
だと気付いてから話に惹き込まれました。今回も一筋縄ではいかない恋バナ、ぜひご覧あれ。
2018年03月19日
『吉原百菓ひとくちの夢』
江中みのり 先生の「第24回電撃小説大賞・メディアワークス文庫賞」受賞作。江戸・吉原
の中見世で菓子専門の料理番と幼馴染で見世一番の花魁が織り成す、心温まる人情物語です。
(イラスト/殿ヶ谷美由記 先生)
【 http://mwbunko.com/978-4-04-893624-8/ 】
【 http://dengekitaisho.jp/special/24/yoshiwarahyakka/ 】
「カステイラを作っておくんなんし」──花魁“朝露”からの難題に困った顔をしつつも
断らない料理番の“太佑”。すまし顔の彼女が昔、彼が作った菓子を食べて満面の笑みを
見せてくれたように座敷で口にすると信じて毎日毎日、菓子作りに精を出すのだが──。
評判の菓子を求める酒問屋の跡取り息子“徳之進”に面白い菓子を所望されたり、大関を
目前にする有名力士“龍ノ井”に自身の菓子を勧めたりと技術と縁を培っていく“太佑”。
しかし同僚の“仁兵衛”から彼女は菓子に全く手を付けていないと聞きモヤモヤします。
“朝露”が“太佑”の菓子を食べない理由を吐露する場面、覗かせる心情がまた切ない。
彼が言葉を失うのも無理はなく。けれど悶々としながらも諦めず「夢」をキーワードに
彼女からあの一言を引き出す話運び、顛末から窺える2人の独特な関係に惹かれました。
の中見世で菓子専門の料理番と幼馴染で見世一番の花魁が織り成す、心温まる人情物語です。
(イラスト/殿ヶ谷美由記 先生)
【 http://mwbunko.com/978-4-04-893624-8/ 】
【 http://dengekitaisho.jp/special/24/yoshiwarahyakka/ 】
「カステイラを作っておくんなんし」──花魁“朝露”からの難題に困った顔をしつつも
断らない料理番の“太佑”。すまし顔の彼女が昔、彼が作った菓子を食べて満面の笑みを
見せてくれたように座敷で口にすると信じて毎日毎日、菓子作りに精を出すのだが──。
評判の菓子を求める酒問屋の跡取り息子“徳之進”に面白い菓子を所望されたり、大関を
目前にする有名力士“龍ノ井”に自身の菓子を勧めたりと技術と縁を培っていく“太佑”。
しかし同僚の“仁兵衛”から彼女は菓子に全く手を付けていないと聞きモヤモヤします。
“朝露”が“太佑”の菓子を食べない理由を吐露する場面、覗かせる心情がまた切ない。
彼が言葉を失うのも無理はなく。けれど悶々としながらも諦めず「夢」をキーワードに
彼女からあの一言を引き出す話運び、顛末から窺える2人の独特な関係に惹かれました。