2018年03月30日

『恋してるひまがあるならガチャ回せ!』

杉井光 先生が贈る新作は、スマホゲームにバイト代を注ぎ込む留年寸前の男子大学生が
旧華族出身のお嬢様と出会い、思いがけずライバル関係を築いていく廃課金ラブコメです。
(イラスト/橘由宇 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893685-9/


大学で唯一の友人“樋沢”にも呆れられるほどスマホゲームに金と時間を費やす“啓太”。
ある日、校内でも噂の令嬢“紗雪”が講義で彼の隣席に座り、あろうことか同じゲームを
プレイし、更に自分より上位ランカーであることを知る。思わず対抗心を燃やすが──。

“啓太”が“樋沢”へ披露するうんちく話に助けられつつ、廃課金ユーザの心得を目にし
思わずドン引き。“紗雪”もそうなのか・・・と思っていると、実は彼女なりに信念があって
それが分かると彼女のプレイスタイルも微笑ましく映ります。やはり彼は常軌を逸してる。

2人なりの「フレンド」な関係を楽しむ間を“紗雪”の付き人である“オルガ”の報告が
揺るがす時、“啓太”もゲーム内で窮地に陥ります。この切り返しも廃課金ユーザらしさ
全開で魅せてくれます。杉井先生の課金額が経費として認められることを祈るばかりです。

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2018年03月29日

『学園交渉人 法条真誠の華麗なる逆転劇2』

柚本悠斗 先生が贈る学園逆転劇。第2巻は“緑”や“真誠”が示すそれぞれの正義に対し
自身のそれが揺らぐ“華織”が、2人の関係に深く切り込んでいく学園内裁判に臨みます。
(イラスト:米山舞 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797394313.html


生徒会長が例え悪でも従うとする“雀宮”副会長。治外法権としての役割を完遂しようと
する“真誠”。謎の先輩からも問いかけられる「正義」への悩みを“華織”が自分なりに
示そうと足掻く姿がとても実直で共感が持てます。それにしても貧乳いじりには苦笑い。

テニス部の事件を解決する際にも関与してきた“緑”の揺るぎない対応。“那須”からの
非難がフラッシュバックする中、その規範を生み出したある生徒の退学騒動への疑義から
あらゆる人物を巻き込んでの「学園内裁判」へと転じます。まさに山場を迎える感じで。

和解したはずの「いじめ」に隠された真実を知って“緑”の行動原理を理解した“華織”。
彼女がそれを踏まえてどう振舞うか。出した正義の意味は見届ける価値があると思います。
ということで完結お疲れ様でした。柚本 先生の新作に出会える日を楽しみにしています。

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2018年03月28日

『魔法科高校の劣等生(24) エスケープ編〈上〉』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズ。第24巻は“レイモンド”からの世界を揺るがす強烈な
メッセージを前にして“達也”へ協力する者や敵対する勢力等の様々な思惑が錯綜します。
(イラスト/石田可奈 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893686-6/


魔法師を宇宙へ追放するディオーネー計画に対し、居場所を作るための「ESCAPES計画」。
“トーラス・シルバー”として追及された様々な思惑も巧みにかわす“達也”の手腕には
相変わらず舌を巻くしかなく。けれど諦めないのが“レイモンド”らの質が悪いところで。

“レイモンド”からの悪意は一高にいる“深雪”たちにも及ぶワケですが、こちらも中々
とばっちりな様子が見ていて心苦しくもあり、負ける要素がないのがまた頼もしくもあり。
“十三束”にはお気の毒ですが第二、第三と誰かが続くようであればこれは面倒な話です。

あらすじにもある通り“光宣”が少々あぶなかっしい振舞いを見せているのが気になる所。
“深雪”の一段階すすんだアプローチもどう効いてくるやら。今巻では“水波”がかなり
頑張ってくれただけに、ここはぜひ報われてほしい。続く下巻の展開を注視しておきます。

posted by 秋野ソラ at 01:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年03月27日

『榮国物語 春華とりかえ抄 二』

一石月下 先生が贈る男女逆転中華譚。第2巻は“海宝”を陥れる陰謀を探る“春蘭”が
東奔西走する一方で、“莉珠”を巡る不穏な動きに“春雷”が巻き込まれてしまいます。
(イラスト:ノクシ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321710000482/


一巻から纏めて拝読し、今巻も安定した面白さに魅了されます。いわゆる「とりかえばや」
として楽しめる要素を活かした話運びと、“春蘭”“春雷”の周囲を含めた振舞いの妙。
特に“海宝”が“春雷”として見ている“春蘭”に懸想し慌てふためく様子ったらもうね。

そして今巻でもその傾向は顕著に。“春蘭”の体を改めようとするあたりそろそろヤバい
と苦笑いしつつ“秋明”の思惑通りな展開のようで興味深い。ただ“海宝”にも彼なりの
背景とか思慮などがあると分かると“春蘭”としても機微が変化している所がまた面白い。

“莉珠”については今回の顛末で気付きを得ている様で、こちらも先々が楽しみな雰囲気。
“春蘭”の機転が今回も国を揺るがす一大事を防ぐことになるのですが、敵方にも洞察の
余地を与えてしまうなど気になる点もちらほら。続刊でどう話が動くのか目が離せません。

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2018年03月26日

『錆喰いビスコ』

瘤久保慎司 先生の「第24回電撃小説大賞・銀賞」受賞作。全てを錆びつかせ、死の脅威を
もたらす風で荒廃した世界を駆け抜け、錆びを食いつくすキノコを求める男の冒険譚です。
(イラスト/赤岸K 先生 世界観イラスト/mocha 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893616-3/


様々なキノコを操り、キノコと共に生きる「キノコ守り」の一族。胞子が錆びを広げると
噂され賞金首として追われる“ビスコ”もその一人。錆びに侵食される師匠“ジャビ”を
救うため名医と噂のある町医者を訪れる。それが運命の出会いとなることも知らずに──。

序盤に差し込まれる日本地図や mocha 先生によって描かれる世界観、それを独特の描写で
綴る 瘤久保 先生の文章が相まってクセの強さを感じる所ですが、読み進める内に自然と
惹き込まれていく物語の動きに圧倒されます。バディものとしても熱い展開が目白押し。

“ビスコ”と“ミロ”。まるで正反対のような2人が名前に込められた強い想いを示せば
二人を追う“黒革”もしぶとく悪辣さを見せる。幻のキノコ「錆喰い」を巡る激しい攻防。
その先に流れる熱い涙をぜひ見届けてほしいお薦め作品。次巻も出るとのことで期待です。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル