2018年02月07日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ? 3』

sorani 先生によるコミック連載が始まる、三河ごーすと 先生の学園ゲーム系頭脳バトル。
第3巻は生徒会全員を相手にする“紅蓮”が「ゲーム」に対する本気を見せつけてきます。
(イラスト:ねこめたる 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1618


最愛の兄と接触できない“可憐”の倒錯ぶりがいつも以上で痛々しく。妹を救うべく動く
“紅蓮”らが臨む最初の壁「イイネ稼ぎゲーム」はどう見ても不利・・・かと思えば突飛な
策で容赦なくねじ伏せていく。信頼すべき所はちゃんと委ねる、その姿勢が空恐ろしい。

“楓”や“桃花”に加え、“透夜”と相対するため肩入れする“朝人”と“姫狐”と共に
VR脱出ゲームに参加する“紅蓮”。彼に固執する“水葉”の異常さは“可憐”に劣らず。
“朝人”らの真意も垣間見えたりして、ゲーム以外の局面でも興味深い展開を魅せます。

“紅蓮”はチーム戦でも勝てる、その方法を脱出の鍵を握る「アリスゲーム」で集大成
の如く示してきます。生徒会の面々から散々侮られた“楓”と“桃花”に花を持たせる
余裕ぶりがまた憎らしい。引きから窺える二大対決の行方、それを描く続きに注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月06日

『マギステル・マーチャント ヒモ野郎が口先だけで億万長者を目指すそうです』

シナリオライターとして有名な 砥石大樹 先生が「MF文庫J」でラノベ作家としてデビュー。
妹弟子が持つ魔法の才能を活かして一攫千金を狙う痛快ファンタジーを世に送り出します。
(イラスト:りいちゅ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1621


巻物で魔法を使う世界で魔法屋を営む“スーミン”を助けてやってほしい。天才魔術師を
同じく師と仰ぐ“アルヴィン”が彼女の元に向かうも「一文無しなクズの助けは不要」の
一点張り。師のお願いは絶対、ということで彼は下僕扱いされながら同居を始めるが──。

ある事情から借金を背負う“スーミン”が作る巻物は芸術性を優先するあまり中々売れず。
“アルヴィン”が機能性を持たせた巻物を作ろう、と促しても頑なに拒む様子にもやもや
させられます。あとがきで先生が作家と編集者の関係に例えたのも得心がいくというもの。

“スーミン”に仕掛けられた罠を見抜き、彼女の不遇を影ながら何とかしようと振る舞う
“アルヴィン”。彼の能力の高さから次々と明るみになっていく、魔法を巡る世界の暗部。
黙っていない彼女が彼と共に二人三脚で活躍する様子が微笑ましく、楽しめる作品です。

posted by 秋野ソラ at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月05日

『俺もおまえもちょろすぎないか』

シナリオライターとして活躍する 保住圭 先生が「MF文庫J」から贈るラノベデビュー作は
誰にも惚れやすい少年と生真面目で初心な少女が織り成す超濃厚ハイスピードラブコメです。
(イラスト:すいみゃ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1623


級友の“梅香”らに呆れられるほど、ちょっとしたことですぐ女の子を好きになる“功成”。
いきなり告白する姿勢を咎められた彼の行動を理解しようとし、かばった後輩の“つぶら”。
同じように「好きだ」と告げた彼の言葉に彼女が「はい」と頷いた所から物語は始まります。

異性とお付き合いする、ということに縁のなかった“つぶら”が、“功成”に教えてもらう
色々なことに嬉しさをあらわにする言動が実に初々しくて、こそばゆくて。思わずニヨニヨ。
面白がりながらも両者の心情に配慮して振舞う彼の妹“悠伊”の立ち居振る舞いにも好感触。

そもそもなぜ「そうなったのか」という“功成”と“つぶら”の生い立ちに触れていく終盤。
改めて両者が「人を好きになる」ことに向き合う描写と展開がラブコメに深みを与えてます。
すいみゃ 先生のイラストが彼女たちの可愛さに花を添える、読みやすくてお薦めの作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月02日

『作家軽飯』

カルロ・ゼンさん、蝉川夏哉さん、津田彷徨さんが隠れ処的な店を伏せて綴る合作同人誌。
「コミックマーケット93」において頒布開始から22分で完売した本作をようやく拝読です。

http://www.tasty-3.com
https://www.melonbooks.co.jp/detail/detail.php?product_id=333299


缶詰部屋から、編集者から、そして〆切から一時でも逃れて心に栄養を、明日への活力を
取り戻すための食事。追い込まれた三者三葉の心情を、各々だけが知るお気に入りの店に
向かう過程を含めて描く。思わず苦笑いしつつ、羨ましく見えてしまうのが何とも罪深い。

値段に合わせた逃亡コースを提示してくるカルロ・ゼンさん、安定の「富士そば」一択な
蝉川夏哉さん、そして「存在X」を除く数多の神々に感謝しながら神戸まで逃避行を続ける
津田彷徨さん。それぞれの文体と作風が同人誌となっても垣間見えるのが興味深いところ。

確かに編集者や出版社の人たちには何の益にもならない本作。それにしても「太田が悪い」
というキーワードが目を惹きます。あと「長月バー」。時間的、金銭的余裕があればぜひ
隠れ処的な店を探ってみるのも一興と思える内容で、「作家重飯」の頒布も楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:39 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2018年02月01日

『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 4』

藤孝剛志 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は痺れを切らした“シオン”が賢者候補の
生徒たちにバトルロイヤルを強制し“夜霧”たちもその異常事態に巻き込まれていきます。
(イラスト:成瀬ちさと 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/32sokushicheat4.php
http://ncode.syosetu.com/n5691dd/


“良介”ほか級友にも命を狙われる“夜霧”。様々な手法が取られる中で“春人”の罠が
着眼点として面白かった。そこで見せた“諒子”が焦る様子から窺える“夜霧”の凄さに
改めて驚かされます。まさに規格外。“キャロル”を含め彼女が達観するのも納得です。

“シオン”に仕掛けられた級友同士の戦いに“知千佳”も巻き込まれる訳ですが、まさか
“もこもこ”が敵に回るとは。調子に乗った彼女は猛省が必要ですが口絵に繋がるアレは
良い仕事でした。“夜霧”も満更でもないのが好感触。“蒼空”も善戦していましたね。

元の世界に帰る方法を聞き出すため遂に“シオン”と対峙した“夜霧”。結果は言わずも
がなですが末路がまた切ない。その印象は番外編「幽世」にも通じるものがありました。
世界中から危険視された彼が、手にしたガジェットを使い元の世界に帰れるか注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル