2018年02月21日

『底辺剣士は神獣<むすめ>と暮らす 4 家族で考える神獣たちの未来』

番棚葵 先生が贈るまったり迷宮攻略ライフ。第4巻は“フェニ”たちを正式に迎え入れた
“アード”が、彼女たちの行く末を、そして自身が冒険にこだわる理由を見つめ直します。
(イラスト:米白粕 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1620


いずれ“アード”の老後を世話するかもしれないことを加味して仕事を探す“フェニ”たち。
彼にならって冒険者・・・の一環である探偵業に臨むことに。もちろん最初から上手くいくこと
もありませんし、仕事の内容も理想とはかけ離れたものになります。微笑ましいものです。

とは言え色々な仕事をこなしていく内に、やがて街を騒がせる強盗団の尻尾を掴む娘たちに
気が気でない“アード”の親として成長していく様子も見どころの一つと言えるでしょう。
成長した娘たちを信頼し見守る、その姿に。“リウナ”のサポートも光るものがありました。

探偵団を結成して一番の謎解きに臨む“フェニ”たちと“アード”。思いがけない結末を
前にして彼女たちが決めたこと、そして彼が冒険者であり続ける理由を見届けて家族もの
としても存分に堪能しました。未来に向かって進む彼ら彼女らを応援せずにいられません。

posted by 秋野ソラ at 01:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月20日

『引きこもり勇者VS学級委員長まおう』

春日山せいじ 先生の「第19回えんため大賞・特別賞」受賞作。平和な世界で要らない子と
なった引きこもり勇者と学級委員長となった魔王が主体のファンタジック・コメディです。
(イラスト:武藤此史 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047349698/


地球に隕石が落ち、溢れた亜人たちによる魔王襲来の警告を元に立案された勇者育成計画。
来たるべき時に備え頑張ってきた“勇者”の努力は“魔王”からの和平提案により崩れる。
自堕落な彼の生活をドアと共に吹き飛ばす女の子こそ学級委員長となった“魔王”で──。

ゲーム漬けの日々を過ごす“勇者”の部屋に事あるごとに入り浸る“魔王”。一緒にゲーム
などして過ごすことで改めて彼と共に学校生活を送ることを望む彼女の想いをことごとく
拒んでいく彼の「学校に行きたくない」という執念がコミカルに描かれていて面白いです。

和平を結んだ人間側、魔王側共に一枚岩ではないことなどお構いなしに、果たせなかった
“魔王”と“勇者”のガチな戦いでもって彼の進路を決める大一番を迎えます。この顛末も
彼の予想を超える展開で楽しませてもらいました。“エイミー”の報われなさにも注目です。

posted by 秋野ソラ at 01:26 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月19日

『拝啓、最果ての勇者様へ 〜竜王の姫とめぐる旅〜』

三萩せんや 先生が贈る新作はトラベルファンタジー。平和を築こうとしたポストマンの青年、
平和を信じた竜人の王女、2人が出会い、共に旅する中で変化していくその機微を描きます。
(イラスト:三弥カズトモ 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321711000701


最後の勇者候補“アルノス”は人魔戦争終結後、ポストマンとして働くことを決め早4年。
平和な世界を見たいと国を飛び出したものの、人に裏切られた“エリヤ”を預かることに。
助手として彼女を連れる彼は思いを巡らせる。王から受けた魔王の後継者を殺す密命を──。

“アルノス”に“エリヤ”を任せることを決めた“ブローディア”や、彼の心情に気づき
釘を刺す“ライアン”。2人の元勇者の気遣い、同僚の“パロット”、手紙を届ける旅の
途中で出会う人々、何よりも彼の言動に触れて“エリヤ”が見せる優しさに心救われます。

そして、ある依頼のために冥府の王“ニグレド”に会うことを“エリヤ”が決めたことで
“アルノス”は2人の旅を続けるのか、終わらせるのか、重大な選択を迫られます。命を
賭けた“エリヤ”からの手紙の演出も素敵ですし、ぜひ顛末を見届けてほしいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:33 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月16日

『声なき魔女と星の塔』

『レトリカ・クロニクル』でデビューした 森日向 先生が贈る新作は冒険ファンタジー。
声を奪われた魔導師の少女を救った少年が彼女を巡る大きな陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト:岩崎美奈子 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893452-7/


王国の主席導師に無実の罪を着せられた宮廷導師の“ステラ”は声を封じられ谷底へ落下。
彼女の一縷の望みを拾い上げたのが古代遺跡を発掘する隊商にいる“ファル”。その素性を
知った彼は他の導師らと同様、少数民族との混血の身を忌み嫌ってくるのかと思ったが──。

真面目で頑張り屋な“ステラ”に救われ、惹かれていく“ファル”。追手が掛かる彼女には
出自の秘密が、彼女を助けたいと思う彼には世界の秘密が、思いがけずのしかかってきます。
それが2人の絆を時に深め、躓かせる展開に惹かれます。声が出ないことの絡め方も上手い。

さらに“ステラ”を巡って様々な理想を追い求める人物が、思いがけない形で物語を動かし
彼女たちですら予想だにしない想いを託され、そして終章に繋がっていく結びが心地よい。
帯にある通り、夢と冒険を忘れかけた体に染みわたる物語。存分に楽しませてもらいました。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年02月15日

『若者の黒魔法離れが深刻ですが、就職してみたら待遇いいし、社長も使い魔もかわいくて最高です!3』

森田季節 先生が贈る快適お仕事ファンタジー。第3巻はミニ留学の受け入れを担当したり
様々な労働問題に向き合ったり、といろいろ多忙な“フランツ”の社会人生活を描きます。
(イラスト:47AgDragon 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631225-7
http://seiga.nicovideo.jp/comic/31560


夢と現実の残酷な違いを見せつけられる“アリエノール”に先輩として、そして彼らしく
手を差し伸べる“フランツ”。ブラック企業の代表として対峙する“ヴァニタザール”に
対しても「信じる」という信念を貫く彼の姿勢は、ある意味まぶしく映るものがあります。

ライバルが増えてやや卑屈になる“メアリ”にもしっかりフォローしたりと周囲の配慮も
抜かりないのがすごい。“セルリア”以外に心寄せられるのも自然というものでしょうか。
それにしても彼はサキュバス的なことをし過ぎじゃないですかね。羨まけしからんですね。

先生が見聞きした体験を活かし、楽しめる物語として落とし込む卓越さは脱帽の一言です。
出水高軌 先生による漫画も拝読して、可愛くてキャッチーな絵は本作に合っていて秀逸。
黒ベタは製本されても流石に取れないですかね、とか思いながら活躍を祈念する次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル