内田弘樹 先生が贈る新作は異世界軍事ファンタジー。異世界に召喚された軍事知識旺盛な
兄妹が、竜人種の脅威に晒される人類が治める唯一の王国を劣勢から救う戦いを描きます。
(イラスト:野崎つばた 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797394306.html 】
ミリタリーオタクとしての見識を活かし、ラノベ作家として躍進する“宗也”と“みぐ”。
「北」の都合に振り回され自作のアニメ化を潰される失意の中、勇者召喚の儀式によって
相対する異世界の姫“エクレア”を前に、彼女は「兄敵必殺!」と銃を手に押し倒す──。
武器調達の不安を払拭する設定を活かし、戦術に長けた“宗也”と戦歴豊富な“みぐ”が
平和法により剣も魔法も抑止された王国を空から襲う竜人種に対してどう無双していくか。
これが先生らしい見事な話運びで、ミリオタでなくとも楽しめる構成に仕上がっています。
戦争という過ちを繰り返さないために自分たちの正しさを貫こうとする兄の想い、彼を想う
妹の真摯な気持ち。どちらも見どころの多い言動で魅せてくれます。兄敵必殺を掲げる契機
となったエピソードとか見てみたいものです。“ワルプ”の活躍も。シリーズ化希望です。
2018年02月28日
2018年02月27日
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか13』
大森藤ノ 先生が贈る、一端の冒険者である少年と矮小なる女神が織り成す眷族の物語。
第13巻は殺人容疑をかけられた“リュー”を追う“ベル”たちを更なる絶望が襲います。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797393569.html 】
ダンジョン18階層で見つかった“ジャン”の惨殺死体。現場の目撃証言から“リュー”が
犯人扱いされることを疑問視する“ベル”は密かに、誰よりも早く、彼女と接触を試みる。
彼女の殺意あふれる様子を目にしても疑い続ける彼を応援したくなるのがもっともな展開。
思いがけない悪意と強敵に向き合う形となった“ベル”と“リュー”。二つ名を持つ彼女
すら驚かされる彼のその強さ、成長ぶりが見開きイラストも含めて熱く惹かれていきます。
ここで“カサンドラ”が冒頭で見た予知夢が想像を超えた絶望に繋がるとは思いも寄らず。
“ベル”のように分かりやすい形での戦いとは別に、一人で運命という埒外の相手に挑み
続ける“カサンドラ”の機微にも注目してもらいたい今巻。ダンジョンの秘密も見え隠れ
させながらそれぞれの絶望を前にしたところで続く物語。次巻の刊行が待ちきれません。
第13巻は殺人容疑をかけられた“リュー”を追う“ベル”たちを更なる絶望が襲います。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797393569.html 】
ダンジョン18階層で見つかった“ジャン”の惨殺死体。現場の目撃証言から“リュー”が
犯人扱いされることを疑問視する“ベル”は密かに、誰よりも早く、彼女と接触を試みる。
彼女の殺意あふれる様子を目にしても疑い続ける彼を応援したくなるのがもっともな展開。
思いがけない悪意と強敵に向き合う形となった“ベル”と“リュー”。二つ名を持つ彼女
すら驚かされる彼のその強さ、成長ぶりが見開きイラストも含めて熱く惹かれていきます。
ここで“カサンドラ”が冒頭で見た予知夢が想像を超えた絶望に繋がるとは思いも寄らず。
“ベル”のように分かりやすい形での戦いとは別に、一人で運命という埒外の相手に挑み
続ける“カサンドラ”の機微にも注目してもらいたい今巻。ダンジョンの秘密も見え隠れ
させながらそれぞれの絶望を前にしたところで続く物語。次巻の刊行が待ちきれません。
2018年02月26日
『ソードアート・オンライン プログレッシブ5』
アインクラッドを第一層から攻略する過程を描く、川原礫 先生によるもう一つの「SAO」。
第5巻はパズルだらけの第六層で始まる“キリト”と“アスナ”の共同生活に触れます。
(イラスト/abec 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893613-2/ 】
口絵から、挿絵の数々から、織り交ぜられた様々な場面から、“キリト”と“アスナ”の
絆の深まり具合というか何ともこそばゆい感が伝わってきます。ハラスメント防止コード
についてあれこれ考えを巡らせるシーンとかもう、思わず左右に転がりたくなる勢いです。
“アスナ”が乗り越えなければならない壁、対人戦闘について描かれているのもポイント。
とは言え“キリト”も言及しております通り、彼女の男前ぶりというか潔さに思わず感嘆。
手に汗握る“モルテ”との再戦では剣の強化の布石も活かされており、納得の展開でした。
ギルドフラッグの問題や「ALS」と「DKB」の確執、そしてPK勢の暗躍も続く中で再会した
“キズメル”とのやりとりもいろいろな救い、更には先々への手がかりへと繋がっていき
続きが気になる所での引き具合。次巻はいつ出るのやら、気長に待つことといたします。
第5巻はパズルだらけの第六層で始まる“キリト”と“アスナ”の共同生活に触れます。
(イラスト/abec 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893613-2/ 】
口絵から、挿絵の数々から、織り交ぜられた様々な場面から、“キリト”と“アスナ”の
絆の深まり具合というか何ともこそばゆい感が伝わってきます。ハラスメント防止コード
についてあれこれ考えを巡らせるシーンとかもう、思わず左右に転がりたくなる勢いです。
“アスナ”が乗り越えなければならない壁、対人戦闘について描かれているのもポイント。
とは言え“キリト”も言及しております通り、彼女の男前ぶりというか潔さに思わず感嘆。
手に汗握る“モルテ”との再戦では剣の強化の布石も活かされており、納得の展開でした。
ギルドフラッグの問題や「ALS」と「DKB」の確執、そしてPK勢の暗躍も続く中で再会した
“キズメル”とのやりとりもいろいろな救い、更には先々への手がかりへと繋がっていき
続きが気になる所での引き具合。次巻はいつ出るのやら、気長に待つことといたします。
2018年02月23日
『父さんな、デスゲーム運営で食っているんだ』
みかみてれん 先生のカクヨム「漫画原作小説コンテスト・大賞」受賞作。参加者がみんな
殺し合うデスゲームを運営する会社に勤める敏腕部長の世知辛い日常を描くコメディです。
(イラスト:いなほ咲貴 先生)
【 http://novel-zero.com/issued/2018/02/01.html 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881423791 】
【 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS01000065010000_68/ 】
失敗すれば即死亡。革新的で刺激的なエンターテインメントとなるデスゲームを次々と世に
送り出す制作運営会社「FATHER」。その要となる運営部門統括部を担う“黒崎”は上司の
無茶ぶりや部下の期待に応える多忙な日々を送る。最愛の妻と大事な娘を養うために──。
クセの強い“スティーブン”、直属の部下“紫乃”を引き連れシステムエンジニアに似た
トラブル対応に追われる“黒崎”にある種の共感を覚えます。死の雰囲気を感じさせない
コミカルな描写が先生らしい持ち味を魅せます。マンガと挿絵担当が同じなのも良いです。
“黒崎”が“紫乃”の豊満な胸に惑わされることなく妻“美咲”との愛を育む様子、娘の
娘の“花蓮”やその同級生“梨々香”に好かれる関係には癒されると共に羨ましさもあり。
仕事に誇りを持つ彼の姿勢も褒めておきたい点です。マンガと共に躍進を期待する所です。
殺し合うデスゲームを運営する会社に勤める敏腕部長の世知辛い日常を描くコメディです。
(イラスト:いなほ咲貴 先生)
【 http://novel-zero.com/issued/2018/02/01.html 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054881423791 】
【 https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS01000065010000_68/ 】
失敗すれば即死亡。革新的で刺激的なエンターテインメントとなるデスゲームを次々と世に
送り出す制作運営会社「FATHER」。その要となる運営部門統括部を担う“黒崎”は上司の
無茶ぶりや部下の期待に応える多忙な日々を送る。最愛の妻と大事な娘を養うために──。
クセの強い“スティーブン”、直属の部下“紫乃”を引き連れシステムエンジニアに似た
トラブル対応に追われる“黒崎”にある種の共感を覚えます。死の雰囲気を感じさせない
コミカルな描写が先生らしい持ち味を魅せます。マンガと挿絵担当が同じなのも良いです。
“黒崎”が“紫乃”の豊満な胸に惑わされることなく妻“美咲”との愛を育む様子、娘の
娘の“花蓮”やその同級生“梨々香”に好かれる関係には癒されると共に羨ましさもあり。
仕事に誇りを持つ彼の姿勢も褒めておきたい点です。マンガと共に躍進を期待する所です。
2018年02月22日
『田中〜年齢イコール彼女いない歴の魔法使い〜 6』
ぶんころり先生が贈る王道異世界ファンタジー。第6巻はペニー帝国の代表として魔法の
最先端をゆく「学園都市」を訪れた“田中”が、ある研究を巡る騒動に巻き込まれます。
(イラスト:MだSたろう 先生)
【 http://micromagazine.net/gcn/lineup/tanaka06/ 】
【 http://micromagazine.net/gcn/tanaka/ 】
娘を思うあまり無理を通そうとした“リチャード”の行動が引き起こした“エステル”の
記憶喪失。関係をリセットする良い機会と捉える“田中”の心情と、彼女の想いを知るが
故に気が気でない“ソフィア”や“エディタ”の機微の違いが問題の難しさを物語ります。
“田中”の気持ちを唯一知る“ロコロコ”とのやりとりも前巻に続き興味深い。その彼が
“エディタ”と共に訪れた学園都市で、ある出自故にいじめを受けていた“アーシュ”を
助けることになる彼が思いがけず“エステル”と対決することになる展開がまた面白い。
そして今巻では“田中”にまさかのキスシーン。もちろん挿絵付きで。我が世の春か、と
言わんばかりの内に秘めた喜びを、ぶんころり先生が否応なしに地の底へ叩きつけていく
かのような展開には思わず苦笑い。報われない“エディタ”を応援しつつ次巻を待ちます。
最先端をゆく「学園都市」を訪れた“田中”が、ある研究を巡る騒動に巻き込まれます。
(イラスト:MだSたろう 先生)
【 http://micromagazine.net/gcn/lineup/tanaka06/ 】
【 http://micromagazine.net/gcn/tanaka/ 】
娘を思うあまり無理を通そうとした“リチャード”の行動が引き起こした“エステル”の
記憶喪失。関係をリセットする良い機会と捉える“田中”の心情と、彼女の想いを知るが
故に気が気でない“ソフィア”や“エディタ”の機微の違いが問題の難しさを物語ります。
“田中”の気持ちを唯一知る“ロコロコ”とのやりとりも前巻に続き興味深い。その彼が
“エディタ”と共に訪れた学園都市で、ある出自故にいじめを受けていた“アーシュ”を
助けることになる彼が思いがけず“エステル”と対決することになる展開がまた面白い。
そして今巻では“田中”にまさかのキスシーン。もちろん挿絵付きで。我が世の春か、と
言わんばかりの内に秘めた喜びを、ぶんころり先生が否応なしに地の底へ叩きつけていく
かのような展開には思わず苦笑い。報われない“エディタ”を応援しつつ次巻を待ちます。