2018年01月04日

『貴方がわたしを好きになる自信はありませんが、わたしが貴方を好きになる自信はあります』

『文句の付けようがないラブコメ』の 鈴木大輔 先生が贈る新作は、28歳の吸血鬼ハンター
が生まれながらの吸血鬼である14歳の美少女と出会い、危険な謎に巻き込まれる恋物語です。
(イラスト:タイキ 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631219-6


30年ほど前から突如現れた吸血鬼の災禍に悩まされる世界で、池袋の片隅にてバーを営む
“誠一郎”は吸血を狩る者としての顔も持つ。ある日、昔馴染みな女性の娘だと言う少女
“真”が彼を頼ってきて、しかも「自分は吸血鬼」だと言う。彼女を見て彼は迷わず──。

舞台が池袋という点に懐かしさを感じつつ、慎重な“誠一郎”と強かな“真”の駆け引き
をそれぞれの視点で魅せる絶妙さ、小気味良く進んでいく読みやすさは流石と言う他なく。
何かを都度予感させる挿絵の差し込み方も好演出。“真”の可愛らしさも映えるもので。

“真”の母“泉”の謎多き人物像に輪をかけて秘密があふれる彼女。その手札を切り方が
これまた上手くて、一つ明らかになった先でさらに謎が広がっていく話運びには、自然と
惹き込まれていきます。先生のチャレンジ精神が込められた本作、お薦めかつ要注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月03日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 三』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事嫁物語。第3巻は“芹”のお披露目を迫る叔父の登場、
さらに怪異をもたらす白無垢の持ち込み、と北御門家の面々が翻弄される逸話が描かれます。
(イラスト/しのとうこ 先生)

https://www.kadokawa.co.jp/product/321610000574/


“芹”や式神の“祈里”たちにいいようにされる“皇臥”を見て、北御門の家に属する者と
しての不甲斐なさを嘆く叔父“武人”。彼と相性の悪い“史緒佳”との口喧嘩、更に“芹”
も共闘する様子が見ている分にはとても楽しい。男性陣からすると針の筵かも知れませんが。

“翔”の家である古物商に持ち込まれた白無垢の花嫁衣裳。それが短い間に何度も売れては
返品を繰り返す、という異常事態に頼られた“皇臥”。しかし、彼ではなく“芹”に霊障が
及ぶのを目にして、しかもそれを止められない、という場面で彼女が頑張る姿がいじらしい。

白無垢の花嫁衣裳に秘められた謎に迫る、今回の話の鍵を握るのが“皇臥”の弟子となった
“真咲”・・・かと思えば実は、という仕掛けが興味深い。それにしても“祈里”の“芹”を
好きすぎる様子が抜けない所が私的にお気に入り。彼女のあの一言が示す意味にも注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月02日

『編集長殺し』

川岸殴魚 先生が贈る新作は、ライトノベル文庫レーベル「ギギギ文庫」所属の新人編集者
である女性の視点から業界のあれやこれやを綴る女子だらけのお仕事がんばりラノベです。
(イラスト:クロ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517149


ドSな幼女の“編集長”にカバーデザインについてダメ出しをくらう新人編集者“桃花”
の他、彼女の先輩たちである“岩佐”“井端”“浜山”“星井”も皆、女性たちばかりの
「ギギギ文庫」。各々が上司の横暴に耐えながら、新作を刊行すべく日夜努力するが──。

新人作家“権藤”の自信を奮い立たせるべく向き合ったり、〆切破りのイラストレーター
“h(i)↓0氏(ひろし)”にあれこれ手を尽くしたり、と編集者という職業の大変さを垣間
見せる本作。夢と希望と絶望にまみれる皆さん思わずご苦労さまですと言いたくなります。

あとがきに関して振り回される作家の“原西”も“編集長”の横暴さに振り回される側の
人間。いかに編集長という存在が絶対か、ということも分かる業界モノの新境地と言える
作品です。合間に挟まれる「用語解説」など、玄人向けですけど豆知識も摂取できます。

posted by 秋野ソラ at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2018年01月01日

『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦3』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。第3巻は運悪く皇庁に連行された“イスカ”を収監
する監獄都市を巡り帝国勢力の、“ミスミス”の、そして“アリス”の思惑が錯綜します。
(イラスト:猫鍋蒼 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321707001014


打倒帝国から打倒“イスカ”へと気持ちが移ろいつつある“アリス”を心配する“燐”の
案じた一計が、巡り巡って“イスカ”との絆を「好敵手」として深めていく。魅せる展開
には惚れ惚れします。敵同士なのに一番の理解者、という関係が紡ぐ物語は本当に秀逸で。

他方、“イスカ”救出のため“璃洒”の秘策を携えて“ミスミス”たちが監獄都市へ潜入
する中で垣間見える隊長の繊細な機微が印象深い。その裏で、長年投獄されている超越者
“サリンジャー”の解放に向けて密かに動く“璃洒”の所作も、要所要所で見逃せません。

超越者と称される所以を目の当たりにする“燐”の絶望的な状況を止めることは出来るか。
緊迫の瞬間を経て、当人たちの知らない間に話が動いていく思わしげな雰囲気もさること
ながらちょっとした油断から「彼女」の心を揺らす引きも注目で引き続き目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 02:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル