虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第11巻は“ゼロ”と“傭兵”が“神父”たちも
巻き込んでの村づくりに四苦八苦する顛末を描く、書き下ろしを含めた短編集となります。
(イラスト/しずまよしのり 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893521-0/ 】
命を懸けるような旅から距離を置いて村での生活を始めた“ゼロ”と“傭兵”の、つかず
離れずの絶妙な距離感を描くエピソードが満載の短編集とも言えます。教会と廃教会の話
とか“ゼロ”に押されっぱなしになる“傭兵”のタジタジな感じとか典型的ではないかと。
トゲが抜けてきた“神父”や健気に頑張る“リーリ”、相変わらず少々残念な所を見せる
“アルバス”の様子など、“ゼロ”や“傭兵”以外の面々も穏やかな日常を過ごしている
ことが分かる描写の数々も安心して読める要素かと思います。ボーナスステージのように。
「画伯と開かずの間」から「あの二人」が透けて見えるのも雑誌掲載の小編だからこそと
言えましょう。読了後の印象として読み手の反応を窺う雰囲気が感じられました。村での
生活を基盤として二人の今後をどう描いていくのか、虎走 先生の手腕が試される所かと。