2017年12月11日

『絶対彼女作らせるガール!』

まほろ勇太 先生の「第13回MF文庫Jライトノベル新人賞・優秀賞」受賞作。必勝の女神と
呼ばれる少女に、片思い成就の応援をされまくる少年のドタバタを描く青春ラブコメです。
(イラスト:あやみ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1601


生徒会の一員で冴えない少年“大地”が通う高校には願いを叶える必勝の女神こと“絵馬”
がいる。想い人である生徒会長“玲花”に好きな人がいると知り、失意のどん底に陥った
彼のことに“絵馬”が気づいてしまったところから、彼の恋愛模様は大きく動き出す──。

“絵馬”の「女神スイッチ」を入れさせないために尽力してきた“みりあ”と“エレナ”
の努力を無にする“大地”に、何だかんだと与える二人の助言が婚活にも活かせる内容で
ためになる所がありました。そのあたりのやり取りも面白くてしっかりラブコメしてます。

とは言いながら、報われないとしか思えない状況にある“大地”が自身の恋心にどう決着
をつけるのか、彼の恋愛を応援する“絵馬”はそれをどう受け止めるのか。“玲花”の
複雑な心境とその変化も含めてそれぞれの青春ぶりをぜひご堪能あれ。お薦めの新作です。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年12月08日

『Just Because!』

鴨志田一 先生が脚本・シリーズ構成を務める青春アニメ。その原作小説を先生自ら上梓。
鎌倉を舞台に繰り広げられる、高校三年生となったある少年少女の青春群像劇を描きます。
(キャラクター原案:比村奇石 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893384-1/
http://justbecause.jp/


元生徒会長の“美緒”、野球を続けている“陽斗”。二人の通う高校に最後の三学期だけ
通うために転校してきた“瑛太”。中学時代に同じ時間を、別々の想いを抱えて過ごした
三人が再び出会う時、新たな気持ちや葛藤が生まれ三者三葉の物語を動かしていく──。

写真部廃部を回避すべく行動する“恵那”に、かつて抱いた“美緒”へ想いも含めて目を
つけられた“瑛太”と、彼と突如再会した“美緒”の複雑な胸中の描写に心がやきもきと
させられる話運び。読み進めるごとに惹かれ、惹き込まれていくその絶妙さがたまらない。

急速に繋がりを深め直した三人の中でも“瑛太”が素直じゃないのに一途で。やがてある
選択肢を選ぶことになるワケですが、これがまた現実的でありながらしっかりと青春さを
アピールする結果に誘導されていて大満足。鴨志田 先生のすごさを見せつけられました。

posted by 秋野ソラ at 01:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年12月07日

『ぼくたちのリメイク 3 共通ルート終了のお知らせ』

木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第3巻は“貫之”の学費調達を目的として
同人ノベルゲームの制作を計画する“恭也”が自身のノウハウを活かせるかが試されます。
(イラスト:えれっと 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1603


“亜貴”と一緒に寝落ちしたところを“奈々子”に見られる、というベタな導入から始まる
二人のにらみ合いがラブコメぶりを発揮して、「共通ルート終了」を予感させてくれます。
戸惑う“恭也”の悩むポイントが彼らしくズレている部分も本作らしくて興味深いもので。

当時のノベルゲームにあるエッチなシーンを組み込むことに戸惑うチームきたやまの面々を
どう引っ張っていくか、やる気と納期で優先させるべきは、といった長年勤めてきた調整役
としての采配を見せる“恭也”。好転する事態とは裏腹に、話の流れに暗雲が立ち込めます。

やがて迎えるマスターアップ。売れ行きもそこそこで安堵する“恭也”に対して問いかける
言葉の一つ一つが恐ろしい意味を持ち始めた、と気づいた彼と読み手が抱いた不安感たるや。
この結末は想定外だっただけに次巻をどうするか、木緒 先生の手腕が試される気がします。

posted by 秋野ソラ at 01:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年12月06日

『14歳とイラストレーター 4』

Kamelie 先生によるコミック連載が決まった、むらさきゆきや 先生のお仕事コメディー。
第4巻は“まりぃ”の新作を担当する人気イラストレーターの苦悩と葛藤を描きます。
(イラスト・企画:溝口ケージ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1597


“悠斗”は悩まされていた。“まりぃ”から新作の挿絵も担当してほしいとごねられて。
彼の代わりを務めることになる、新進気鋭のイラストレーター“白砂”のことを知って
同じ境遇に置かれるであろうことも察して。案の定、彼女はリテイクに悩まされていた。

ということで、いわゆる成功者たる“悠斗”のところへ突然、相談に向かった“白砂”を
諭す場面を通じて「ライトノベルの挿絵を務めるために求められるもの」を示すところに
本作の醍醐味があると思います。椅子や机の話もためになりますし、豆知識が貯まります。

さらに、ネットで活躍しているという背景から生じる人間関係にも言及があり、これも
特有な事例として参考にはなります。正解は常に一つ、ということでもありませんので。
“乃ノ香”の通い妻っぷりが板について心配になる所で巻末のアレが何をもたらすやら。

posted by 秋野ソラ at 00:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年12月05日

『俺の立ち位置はココじゃない!』

「ルルル文庫」などで活動してきた 宇津田晴 先生が「ガガガ文庫」にて上梓する新作は
格好良さを求める姫系男子と可愛くなりたい王子系女子による残念学園ラブコメディです。
(イラスト:おしおしお 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517088


中学校時代にミスコン三連覇を果たし、周囲から「姫」と呼ばれる小柄な少年“公平”は
高校デビューと共に校内で有名な人気者集団の一員となり王子と呼ばれる計画に着手する。
そこで、王子のイメージを払拭したい少女“光瑠”と出会い、共闘することになるが──。

並大抵のことでは「六花」のメンバーにはなれない、と告げられた“公平”と“光瑠”の
頑張りが空回りする様子が何ともコミカル。彼は何をさせても女子力高いし彼女はその逆。
なりたい自分を目指す夢を諦めた方が早いのでは、とも思える悲哀さが話運びとして絶妙。

「六花」の手伝いという無茶振り、そして課せられた試練。“公平”と“光瑠”が究極の
選択を迫られる局面でどう立ち居、振る舞うか。この葛藤、そこから導かれた結末はぜひ
読んで確かめていただきたい。爽快でした。二人の行く末を見守りたいと思える作品です。

posted by 秋野ソラ at 01:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル