2017年12月29日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンX〈中〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。10話中巻は「羽柴十本槍」の面々に宣告された
驚くべき事実に対し、武蔵勢がどう受け止め、未来を突き進もうとするかが描かれます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893520-3/


そりゃあ、ああも言われて「ハイそうですか」と頷けるワケもなく個人戦になだれ込んで
いくのは必定というもので。しかし衝撃の事実を次々に突き付けられては都度騒ぎ立てる
武蔵勢の肝の太さがすごい。“糟屋”の落胆ぶりには同情を禁じ得ない、というところで。

個人戦が一進一退の成績を刻んでいく熱い展開を経て武蔵と相対する安土との艦隊戦へと
なだれ込んでいく中にもドラマが。“大久保”の“正純”に対する提案から透けて見える
複雑な胸の内にいじらしさを感じます。そして艦隊戦の結末もアレですから驚きの連続で。

創世計画の行方が急速な動きを見せていく間、進むべき道を模索する武蔵勢の心情も色々。
とりわけ“トーリ”の迷いが浮き彫りになる場面であの見開きの使い方は圧巻の他はなく。
そこから畳みかけるように襲いかかる異常事態と対する秘策がどう実を結ぶのか注目です。

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2017年12月28日

『うちの聖女さまは腹黒すぎだろ。』

上野遊 先生が贈る新作は、落ちこぼれの騎士志望な少年が、拾われた辺境の国で見た目は
天使、中身は悪魔のような聖女に振り回されていくブラック労働(!?)ファンタジーです。
(イラスト/りいちゅ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893515-9/


騎士になりたいが才能は欠けている“カイ”。何度も不採用通知を受ける中、採用を前向き
に検討したいと連絡してきたブラウファルト聖王国は、かつて魔神族と戦った勇者の仲間
「聖女」の末裔がいるという。意気揚々と向かう先で聖女の意外な姿を目にするが──。

王女“フローラ”からの「小遣い稼ぎに務めろ」という一方的な宣告は、思い描いていた
騎士像からは遠く離れた姿。弱みを握られた、ということもあって色々と手は打つものの
そう上手くいくはずもなく。更に旧友“モモ”から王政廃止の意思を告げられ困惑します。

やがて“フローラ”が言う小遣い稼ぎの真意、“モモ”が目指す王政廃止の理由が見えて
来ると物語の流れはぐるりと向きを変えてきます。そこが人情味あふれていて心が温まる
結びへと繋がります。“リーリエ”の姫様ラブな言動も面白い。続きが見てみたい所です。

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2017年12月27日

『ゼロから始める魔法の書XI ―獣と魔女の村づくり―』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第11巻は“ゼロ”と“傭兵”が“神父”たちも
巻き込んでの村づくりに四苦八苦する顛末を描く、書き下ろしを含めた短編集となります。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893521-0/


命を懸けるような旅から距離を置いて村での生活を始めた“ゼロ”と“傭兵”の、つかず
離れずの絶妙な距離感を描くエピソードが満載の短編集とも言えます。教会と廃教会の話
とか“ゼロ”に押されっぱなしになる“傭兵”のタジタジな感じとか典型的ではないかと。

トゲが抜けてきた“神父”や健気に頑張る“リーリ”、相変わらず少々残念な所を見せる
“アルバス”の様子など、“ゼロ”や“傭兵”以外の面々も穏やかな日常を過ごしている
ことが分かる描写の数々も安心して読める要素かと思います。ボーナスステージのように。

「画伯と開かずの間」から「あの二人」が透けて見えるのも雑誌掲載の小編だからこそと
言えましょう。読了後の印象として読み手の反応を窺う雰囲気が感じられました。村での
生活を基盤として二人の今後をどう描いていくのか、虎走 先生の手腕が試される所かと。

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2017年12月26日

『キラプリおじさんと幼女先輩(3)』

岩沢藍 先生が贈る、女児向けアイドルアーケードゲームに情熱を注ぐ少年少女のラブコメ。
第3巻は九州最強の幼女先輩に敗れた“翔吾”と“千鶴”がタッグを組んで再戦に臨みます。
(イラスト/Mika Pikazo 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893522-7/


全国キラプリ大会、その予選会場である博多で着物コーデの〈りんご〉で圧勝した“林檎”
から「友達なんかといるから負けたの」と告げられる“千鶴”たち。個人戦を逃した二人に
残された道はペア枠での出場のみ。曲との完璧なシンクロが必要な難題に頭を悩ませます。

そこで“夕美”から提案される同居生活。さらに“林檎”が練習の場とするゲーセンでの
修練の日々。そして見えてくる“林檎”のソロプレイへのこだわりに結び付く因縁の過去。
極めつけには四の五の言えなくなる、“翔吾”と“千鶴”のキラプリ活動を揺るがす事態。

少し前の“千鶴”を見るかのような“林檎”に協力プレイの楽しさ、素晴らしさを勝負で
見せつける場面が実に熱い。共同生活のこそばゆいやりとりも見どころの一つでしょう。
そして締め括りでも魅せてくれる本作も一区切りつけたようですが続きが見たいものです。

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2017年12月25日

『魔術監獄のマリアンヌ』

松山剛 先生が贈る新作は、魔術師を排斥した王国で未だ逃亡を続けるかつての反乱首謀者
を探す任に就いた刑法官と同行する魔術犯罪者の追跡行を綴るダーク・ファンタジーです。
(イラスト/パセリ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893523-4/


制圧と共に死んだ反乱軍の首謀者“ルイーゼ”。その弟“レメディオス”は遺志を受け継ぎ
今も逃亡を続ける身。若き女性刑法官“マリアンヌ”が彼を追う勅命に就く条件は大監獄に
囚われている当時の大幹部“ギルロア”と魔術契約をする必要がある。その条件とは──。

訳知り顔でからかう“ギルロア”に、若輩ながらも上からの立場で対応する“マリアンヌ”。
脱獄犯との接触から今の反乱軍幹部との対峙と手がかりを繋いていく“マリアンヌ”に身の
危険が及ぶ度に“ギルロア”が助けるあたりは小憎い。その代償は中々恥ずかしい様ですが。

やがて辿り着く“レメディオス”との邂逅で知らされる、“マリアンヌ”たち王国民には
開示されていなかった真実。更に“ギルロア”の真意に気付いた彼女がそれらを受け止め
どう行動するのか。歴史の狭間に翻弄される彼女の生き抜いた証をぜひ見届けてください。

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2017年12月22日

『裏世界ピクニック 2』

月刊少年ガンガンにてコミカライズが決定した、宮澤伊織 先生が贈る女子ふたり怪異探検
サバイバル・ストーリー。第2巻は“鳥子”が探し求める“冴月”の謎に迫っていきます。
(イラスト:shirakaba 先生)

http://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013686/


“小桜”のお怒りも何のその、ということで「きさらぎ駅」に取り残された米軍兵たちの
救出作戦を敢行する“空魚”と“鳥子”の精神力はタフを超えていて驚嘆するしかなく。
辿り着いた沖縄でリゾート気分を満喫するのも。易々と味わえないのがまた2人らしい。

“空魚”の噂を聞きつけて、“猫の忍者”に狙われる“茜理”が相談を持ち掛ける所で
物語は一つの転換点を迎えます。彼女を異世界に巻き込んだのが“冴月”だと判明して。
“空魚”が“鳥子”を、あるいはその逆として、どう思っているかが話の鍵を握ります。

「DS研」──“小桜”が繋がりを持つ、そして“冴月”が所属しているという怪しさ満天
の研究所に足を運ぶことで垣間見える“冴月”の謎の深さ、そして悪意とも言える扱い。
共犯者として“冴子”と向き合うことを決めた“空魚”が真実に辿り着けるのか注目です。

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2017年12月21日

『中古でも恋がしたい!11』

田尾典丈 先生が贈る「小説家になろう」発の学園ラブコメ。第11巻は“清一”に敵愾心を
むき出しにする“聖美”に焦点を当てて「あの瞬間」から連綿と続く確執の謎に迫ります。
(イラスト:ReDrop)

http://www.sbcr.jp/products/4797394191.html


食べて気を失うチョコとは何ぞや、という“聖美”からの「チョコ」テロの被害に毎年の
ように遭ってきた“清一”。今年は周囲の面々もその害を被るという謎というか異常事態に
彼女を説得・・・以前に不仲を何とかしないと会話すらままならない、厄介な状況を迎えます。

“古都子”や“優佳”そして“イブ”が探りを入れてみるものの、“清一”を嫌う理由は
“聖美”が教えてくれるワケもなく。とは言え、何となく察した“古都子”が、似た境遇
ということもあり察する点に話の難しさを再認させます。あと“イブ”のアレは驚いた。

“聖美”が“清一”を嫌う理由に薄々気付くまで本当にギリギリまでページも割きました。
「あの瞬間」が彼だけでなく、彼女の命運をも分けていたのかと思うと改めて「彼女」の
やらかした事の大きさが浮き彫りに。とは言え、妹ルート解放の足掛かりにはなったかと。

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2017年12月20日

『皇女の騎士 壊れた世界と姫君の楽園』

やのゆい 先生が贈る新作は、叩き上げで王国の竜騎士まで身を立てた男が突如飛来した
皇国の巨大船団に国を追われ、復讐を誓う中で数奇の運命に巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:mmu 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047349032/


今や賞金首の身な“アルス”は皇国軍の魔法使いらしき少女が盗賊に襲われる所を助ける。
名は“サファイア”と言い、文官でおっちょこちょい。盗賊が拐かした少女“リョウ”を
ひとまず預かるため彼女のガイド役として雇われるがなぜか旅館経営を手伝うことに──。

ひもじい日々から、一転して旅館の忙しさにてんてこ舞いな日常に身を置く“アルス”。
あの惨劇が嘘のような微笑ましい生活を送るものの、復讐の心は忘れることなく。そして
その気持ちが“サファイア”を追ってやってきた“セラノ”の登場で大きく揺るがされます。

最初に「魔法」と言及されているのでファンタジーかと思えば少し捻った方向に話が進み
“サファイア”の置かれている辛い境遇を“アルス”がどう汲み取るかで魅せてくる本作。
出会った際に彼女が追っていた蝶が示すという幸先の良さが続くことを願いたくなります。

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2017年12月19日

『魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>18』

川口士 先生が贈る美少女ファンタジー戦記。片桐雛太 先生の画集と同時刊行の第18巻は
“ヴァレンティナ”との決戦に臨む“ティグル”の決意と決定的な瞬間を描く最終巻です。
(イラスト:片桐雛太 先生、キャラクター原案:よし☆ヲ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1599
http://bc.mediafactory.jp/bunkoj/madan/


道を急ぐにあたり多勢の蛮族とやり合わなければならなかったりと“ティグル”や竜具の
使えない戦姫たちが不利な状況が続く中で魅せる気概が気高い。“ヴァレンティナ”側は
優位に余裕を感じさせつつ場内に不穏な動きも垣間見えて油断ならない緊張感が漂います。

王都に迫るにつれ、戦姫たちとの関係も色々としっかりさせないといけない“ティグル”
が決死の思いで“ユージェン”救出に動き、そして託されたものを考え抜いて受け止めた
最後の葛藤が印象に残ります。その傍らに伴侶としての“エレン”がいたことも含めて。

“ヴァレンティナ”と対峙することを公にした“ティグル”たちの結束力に彼女が思わぬ
形で屈することになる結末は読み手としても意外な所ですが、ついに魔弾の王が誕生かと
思うとその雄姿には感慨深いものが。彼と戦記たちの未来に幸あれ。完結に心から御礼を。

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『魔弾の王と戦姫<ヴァナディース>17』

川口士 先生が贈る美少女ファンタジー戦記。第17巻は“ティル=ナ=ファ”の地上降臨、
“ヴァレンティナ”の王宮掌握を目前に“ティグル”と“エレン”各々の激闘を描きます。
(イラスト:片桐雛太 先生 キャラクター原案:よし☆ヲ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1554


“ソフィー”の口から遂に言及された、魔弾の王に関する伝承と“ティグル”との関係性。
クライマックスが近いことを如実に示す導入なだけに、終わる終わる詐欺的な話の膨らみ
も致し方ないかと。今巻での激闘とその決着は熱い局面への差し掛かりを示してくれます。

“フィグネリア”に圧倒される“エレン”。ギリギリの場面で“ヴィッサリオン”の夢を
叶えるため立ち上がる踏ん張りどころがまず熱い。“ヴィッサリオン”の潔さが印象的で、
只々圧倒されるばかりの闘いぶりでした。今回も“エレン”が頑張りすぎていて大変です。

“ガヌロン”の圧倒的な強さ、周到な根回し。こちらも“ティグル”大苦戦ですが冒頭の
逸話や、戦姫たちの協力、そして新たな戦姫の参戦で大いに映える熱い闘いを繰り広げて
くれます。代償はとても大きく“ヴァレンティナ”が止められるか、最終巻に大注目です。

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2017年12月18日

『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第四部「貴族院の自称図書委員1」』

香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。「ふぁんぶっく2」と同時刊行となる
第四部・1巻は空白の2年間に困惑する“ローゼマイン”が血気盛んに図書館を目指します。
(イラスト:椎名優 先生)

http://www.tobooks.jp/booklove/
http://ncode.syosetu.com/n4830bu/
http://seiga.nicovideo.jp/comic/booklove


貴族院を卒業して貴族になる。空白期間を盾にその気がない“ローゼマイン”をその気に
させる“フェルディナンド”の手腕は流石。その真意を彼女に同行する人々は掴みきれず
次々と聖女伝説を生み出すことに。これが面白く、特に“ハルトムート”の熱意に苦笑い。

蔵書豊かな貴族院の図書館利用のためエーレンフェスト全体の成績底上げを図る委員会を
立ち上げたり、貴族の意識改革を図る目的と自身の野望を同時に果たす秘策を展開したり
大忙しな“ローゼマイン”。早々に目をつける“ヒルシュール”の言動がまた興味深い。

“アナスタージウス”王子の思惑が見えないのも気になる所ですが、専らの懸念点はあの
“ヴィルフリート”が“ディートリンデ”に対して余計なことをやらかすのではという点。
“ローゼマイン”の本気が導いた結果を台無しにすることがないよう祈るしかありません。

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2017年12月15日

『先生とそのお布団』

石川博品 先生の「カクヨム」投稿作にして同人誌に収録された短編を加筆修正した執筆譚。
“石川布団”なる作家と言葉を喋る“先生”と呼ばれる猫が織り成す、心温まる物語です。
(イラスト:エナミカツミ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517101


デビューしてこの方、売れたことのないラノベ作家“布団”に15歳年下だが1年先輩である
“美良”から成猫“ロック”が譲り受けられる。後に“先生”と称されるこの猫は彼女同様
大物ラノベ作家“尾崎”に師事した経験を活かし、“布団”を叱咤激励する日々を送る──。

過去に 石川 先生の作品を読んできた方々であれば色々と透けて見えるものがある気がする
“布団”の半生が生々しく、赤裸々に描かれています。いつか大成するかもしれないけれど
鳴かず飛ばずが続く作家人生に不安と嫌気が拭えない機微の描写は心を抉るものがあります。

そんな“布団”を厳しくも支えた“先生”の言葉に、その存在にどれだけ救われたかという
心境が伝わる2016年、そして2017年のエピソードがじんわりと心に響きます。“美良”との
対比も現実味が溢れていて、これまた切ない。ラノベ作家ものとしても異彩を放つ秀作です。

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2017年12月14日

『ニートの少女(17)に時給650円でレベル上げさせているオンライン』

瀬尾つかさ 先生が贈る新作は、同居する金髪美少女でひきこもりな女子高生にレベル上げ
のバイトをさせるほどMMORPG大好きな社畜ゲーマーの、一風変わった同棲生活を描きます。
(イラスト:kakao 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321708000279


“石破真一”27歳。設計仕事に携わり4年半。最近「帰りたい家族でもできた?」と上司に
からかわれる彼が早々に帰宅する理由はMMORPGに十分な時間を費やすこと。ニートな同居人
“水那”にバイトとして手伝わせているが、違法行為に手を出したりと困ったヤツで──。

“真一”を男とも思わぬ“水那”の開けっ広げな様子から思慕の念を窺うのは難しいですが
大家の娘“まつり”、ゲームを通じて知り合う“絵里子”から知らずのうちに好意を集める
彼の振舞いが 瀬尾 先生の作品らしくて安心します。相変わらず、うらやまけしからんです。

めんどくさがりでグータラぶりな生活を徹底する“水那”が、作中で時折見せるスペックの
高さと共に気になるプロローグとエピローグ、そして本編の間にあったはずの8年の空白。
これはぜひ見せてほしい。“まつり”との「今」の関係も意味深長ですし。お願いします。

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2017年12月13日

『いつかのクリスマスの日、きみは時の果てに消えて』

瀬尾つかさ 先生が贈る新作は、謎の猛火に襲われた街で死にかけた少年が不思議な生物に
助けられ、過去を改変する機会を得たことで究極の選択を迫られる顛末と結果を描きます。
(イラスト:椎名優 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047348899/


ホーキンス大災厄で不思議生物ニムエと共生する日々を過ごす“悠太”。同じ境遇にいる
“恵”と出会い、彼女の亡き親友が「ニムエが2体いれば何かが起こる」と言及していた
ことを知る。その力で過去に飛んだ彼が出会った少女こそ件の親友“玖瑠美”だった──。

何か悟っていた“玖瑠美”。次第に心惹かれていく“恵”。過去に飛ぶための条件も掴み
大災厄と呼ばれる過去の猛火を無かったことにすべく、僅かに会える“玖瑠美”に全てを
託した“悠太”が過去改変に成功したかと思えば、今度は“恵”が死んだ世界線が訪れる。

好き同士となった“悠太”と“恵”が居る世界は“玖瑠美”の犠牲がなければ得られない
のだろうか。選ばなければならない道に葛藤し、最終的に彼がどんな結末を迎えるのかを
見届けてほしい物語。ちょっと不思議で、切なくて、心温まるステキな単巻作品でした。

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2017年12月12日

『死を見る僕と、明日死ぬ君の事件録』

古宮九時 先生が贈る新作は、これから死ぬ人間の亡霊が見えるのに救えなかったことへ
虚無感を抱く大学生の青年がある女性と出会い、共に運命に抗う生き方を描く物語です。
(イラスト/浅見なつ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893525-8/


ある事件に巻き込まれたことを境に大学には一か月で行かなくなった18歳の“神長智樹”。
場所に残る人の記憶を「彼ら」と称し何度も死を見届けた彼の心の拠り所は“鈴”という
いつか死ぬ女性の亡霊。ある日、同じ姿をした人とすれ違い思わず手を取ってしまい──。

あ〜、これは読み返し必須ですね。とんでもない切り返しにまず「やられた」感がすごい。
“鈴”というか“鈴子”ですが、彼女と“智樹”のやり取りが漫才のようで面白いことと
二人の活動が軌道に乗り始める高揚感に油断していると「彼女の知見」を見逃すというね。

事件によって記憶が抜け落ちている“智樹”がおぼろげに覚えている「ある人物」とその
「助言」が少しずつ形となり、“鈴子”の運命が迫ってきてからの緊迫感と物語の真実は
ぜひ読んで確かめていただきたいところ。読了後の余韻も心地よい一冊でございました。

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2017年12月11日

『絶対彼女作らせるガール!』

まほろ勇太 先生の「第13回MF文庫Jライトノベル新人賞・優秀賞」受賞作。必勝の女神と
呼ばれる少女に、片思い成就の応援をされまくる少年のドタバタを描く青春ラブコメです。
(イラスト:あやみ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1601


生徒会の一員で冴えない少年“大地”が通う高校には願いを叶える必勝の女神こと“絵馬”
がいる。想い人である生徒会長“玲花”に好きな人がいると知り、失意のどん底に陥った
彼のことに“絵馬”が気づいてしまったところから、彼の恋愛模様は大きく動き出す──。

“絵馬”の「女神スイッチ」を入れさせないために尽力してきた“みりあ”と“エレナ”
の努力を無にする“大地”に、何だかんだと与える二人の助言が婚活にも活かせる内容で
ためになる所がありました。そのあたりのやり取りも面白くてしっかりラブコメしてます。

とは言いながら、報われないとしか思えない状況にある“大地”が自身の恋心にどう決着
をつけるのか、彼の恋愛を応援する“絵馬”はそれをどう受け止めるのか。“玲花”の
複雑な心境とその変化も含めてそれぞれの青春ぶりをぜひご堪能あれ。お薦めの新作です。

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2017年12月08日

『Just Because!』

鴨志田一 先生が脚本・シリーズ構成を務める青春アニメ。その原作小説を先生自ら上梓。
鎌倉を舞台に繰り広げられる、高校三年生となったある少年少女の青春群像劇を描きます。
(キャラクター原案:比村奇石 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-893384-1/
http://justbecause.jp/


元生徒会長の“美緒”、野球を続けている“陽斗”。二人の通う高校に最後の三学期だけ
通うために転校してきた“瑛太”。中学時代に同じ時間を、別々の想いを抱えて過ごした
三人が再び出会う時、新たな気持ちや葛藤が生まれ三者三葉の物語を動かしていく──。

写真部廃部を回避すべく行動する“恵那”に、かつて抱いた“美緒”へ想いも含めて目を
つけられた“瑛太”と、彼と突如再会した“美緒”の複雑な胸中の描写に心がやきもきと
させられる話運び。読み進めるごとに惹かれ、惹き込まれていくその絶妙さがたまらない。

急速に繋がりを深め直した三人の中でも“瑛太”が素直じゃないのに一途で。やがてある
選択肢を選ぶことになるワケですが、これがまた現実的でありながらしっかりと青春さを
アピールする結果に誘導されていて大満足。鴨志田 先生のすごさを見せつけられました。

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2017年12月07日

『ぼくたちのリメイク 3 共通ルート終了のお知らせ』

木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第3巻は“貫之”の学費調達を目的として
同人ノベルゲームの制作を計画する“恭也”が自身のノウハウを活かせるかが試されます。
(イラスト:えれっと 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1603


“亜貴”と一緒に寝落ちしたところを“奈々子”に見られる、というベタな導入から始まる
二人のにらみ合いがラブコメぶりを発揮して、「共通ルート終了」を予感させてくれます。
戸惑う“恭也”の悩むポイントが彼らしくズレている部分も本作らしくて興味深いもので。

当時のノベルゲームにあるエッチなシーンを組み込むことに戸惑うチームきたやまの面々を
どう引っ張っていくか、やる気と納期で優先させるべきは、といった長年勤めてきた調整役
としての采配を見せる“恭也”。好転する事態とは裏腹に、話の流れに暗雲が立ち込めます。

やがて迎えるマスターアップ。売れ行きもそこそこで安堵する“恭也”に対して問いかける
言葉の一つ一つが恐ろしい意味を持ち始めた、と気づいた彼と読み手が抱いた不安感たるや。
この結末は想定外だっただけに次巻をどうするか、木緒 先生の手腕が試される気がします。

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2017年12月06日

『14歳とイラストレーター 4』

Kamelie 先生によるコミック連載が決まった、むらさきゆきや 先生のお仕事コメディー。
第4巻は“まりぃ”の新作を担当する人気イラストレーターの苦悩と葛藤を描きます。
(イラスト・企画:溝口ケージ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1597


“悠斗”は悩まされていた。“まりぃ”から新作の挿絵も担当してほしいとごねられて。
彼の代わりを務めることになる、新進気鋭のイラストレーター“白砂”のことを知って
同じ境遇に置かれるであろうことも察して。案の定、彼女はリテイクに悩まされていた。

ということで、いわゆる成功者たる“悠斗”のところへ突然、相談に向かった“白砂”を
諭す場面を通じて「ライトノベルの挿絵を務めるために求められるもの」を示すところに
本作の醍醐味があると思います。椅子や机の話もためになりますし、豆知識が貯まります。

さらに、ネットで活躍しているという背景から生じる人間関係にも言及があり、これも
特有な事例として参考にはなります。正解は常に一つ、ということでもありませんので。
“乃ノ香”の通い妻っぷりが板について心配になる所で巻末のアレが何をもたらすやら。

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2017年12月05日

『俺の立ち位置はココじゃない!』

「ルルル文庫」などで活動してきた 宇津田晴 先生が「ガガガ文庫」にて上梓する新作は
格好良さを求める姫系男子と可愛くなりたい王子系女子による残念学園ラブコメディです。
(イラスト:おしおしお 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517088


中学校時代にミスコン三連覇を果たし、周囲から「姫」と呼ばれる小柄な少年“公平”は
高校デビューと共に校内で有名な人気者集団の一員となり王子と呼ばれる計画に着手する。
そこで、王子のイメージを払拭したい少女“光瑠”と出会い、共闘することになるが──。

並大抵のことでは「六花」のメンバーにはなれない、と告げられた“公平”と“光瑠”の
頑張りが空回りする様子が何ともコミカル。彼は何をさせても女子力高いし彼女はその逆。
なりたい自分を目指す夢を諦めた方が早いのでは、とも思える悲哀さが話運びとして絶妙。

「六花」の手伝いという無茶振り、そして課せられた試練。“公平”と“光瑠”が究極の
選択を迫られる局面でどう立ち居、振る舞うか。この葛藤、そこから導かれた結末はぜひ
読んで確かめていただきたい。爽快でした。二人の行く末を見守りたいと思える作品です。

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