2017年10月10日

『ワキヤくんの主役理論』

涼暮皐 先生の「カクヨム」投稿作が書籍化。青春を謳歌するため「主役理論」を実践する
少年が真逆の「脇役哲学」を掲げる少女と出会い意見と想いをぶつける学園ラブコメです。
(イラスト:すし* 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1576
https://kakuyomu.jp/works/1177354054882526026


「世界をひとつの物語だとするのなら俺はその主役として生きたい」と語る“未那”に対し
「世界をひとつの物語だとするのならわたしはその脇役として生きたいんだよ」と主張する
ワケありな同級生“叶”。相反する思想を持つ二人が出会う所から物語は動き始める──。

何かと縁のある“叶”を見てお友達からゆくゆくは彼女に、などと考えていた“未那”の
思いはことごとく覆される。でも互いの理論、哲学以外は相性がすこぶる良い。彼氏彼女
とならないのがおかしいくらいの奇妙な関係とやりとりの数々が読んでいてとても面白い。

それぞれが思い描く青春を実現するために一人暮らしを始めた“未那”と“叶”。どちらが
折れるのか否か、という点に加えて「そもそもなぜそんな理論、哲学を抱くようになったか」
という理由への言及も物語の鍵となるので注目して読んでほしい。お薦めのラブコメです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年10月09日

『妻を殺してもバレない確率』

「第五回ネット大賞グランプリ」を受賞した、桜川ヒロ 先生の「小説家になろう」投稿作
が書籍化。未来の様々な確率を知ることで紡がれる縁の数々をオムニバス形式で綴ります。
(イラスト:uki 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72775001
http://ncode.syosetu.com/n4094di/


社長令嬢の“由梨”の目に留まり、政略結婚することとなった“昌弘”。真面目一辺倒の
彼は「愛せなくてもいいなら」と承諾する。そんな彼の朝の日課は「未来予測システム」
を使って「妻を殺してもバレない確率」を確認するところから始まる。その真意とは──。

表題の短編から始まり、計7つの小編を収録する本作。「確率」を通して出会いや別れを
描くだけでなく、期待や不安など登場する人々が見せる機微の変化を表していたり、奇跡や
偶然の演出に使われていたり、と一つ一つの小編でその絶妙さを魅せてくれた感じがします。

「出会い」の部分も単純に恋愛要素だけではなく、思いがけない人物との遭遇、親心子心
といった変化をつけてきているのもオムニバスとして飽きさせない工夫が凝らしてあると
思いました。最初のフリを最終的にしっかり回収してきた所も素晴らしい。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年10月06日

『妹さえいればいい。8』

2017年10月よりTVアニメが放送開始となる 平坂読 先生の大人気青春ラブコメ。第8巻は
あの「お漏らし」騒動に言及しつつ、“千尋”の心境を揺るがしていく事態が発生します。
(イラスト:カントク 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516975


自作に訪れた編集部の失態すら話のネタにする 平坂 先生の強かさには敬服するばかりで。
話に織り込むことを了承した編集部サイドも潔い、というか。再発防止には努めて下さい。
その象徴たる変化を示した“土岐”が“千尋”に対して遂にある疑念を持つ契機を得ます。

過去よりも今、ということで自作のアニメ化に尽力する“伊月”。“那由多”との関係も
順調で幸せいっぱい・・・という最中で彼女との力量の差を見せつけられる場面はまだまだ
彼をぬるい気分にはさせません。元ヤリチン王子の“春斗”に春が来るのも同様ですかね。

“土岐”にケツをガン見されたり、うっかり失言しそうになったり、思いがけない称号を
得ることになったり、アレなアイテムを間違って入手したりとしっかりうっかりな“千尋”
が例の件を曖昧にしたことがいつ爆弾として爆発するのか、気になって仕方がありません。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年10月05日

『ゲーマーズ! DLC』

葵せきな 先生が贈るこじらせゲーマーたちのすれ違い青春ラブコメ短編集。ゲーム実況者
の大学生が相方となる人物を求めて“景太”と出会うことで更なるすれ違いが始まります。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321703000999


“霧谷歩”は何となく始めたゲーム実況動画の投稿を1年半続けてきた大学生。伸び悩む
人気へのテコ入れとして「ゲームは下手だけど反応は面白い」という理想の相方を求めて
いた矢先に該当する人物を近所で偶然見かける。その人物は“雨宮景太”と名乗った──。

“景太”が周囲の人間関係に不思議な感覚を抱く日常から始まる本作。“歩”と出会って
知らずにゲーム実況動画の相方として一緒にゲームをプレイすることになることで“花憐”
たちとはまた違った関係のズレを築く展開に苦笑。挿絵まで使ってトリックを仕込むとは。

“碧”からの助言を軽視した“歩”が、“亜玖璃”にあっさりと隠していたことがバレる
あたりから、そして「カウントダウン」が少しずつ進むところから湧き上がるワクワク感
といったらもうね。葵せきな 先生、素晴らしすぎます。こちらの続きも実に楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年10月04日

『やがて恋するヴィヴィ・レイン 4』

犬村小六 先生が贈る、恋と会戦の物語。第4巻は反体制勢力の下で本格的な活動を始めた
“ルカ”と、“ジェミニ”から求婚された“ファニア”の対称的な運命の行方を描きます。
(イラスト:岩崎美奈子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094517019


“ルカ”に対する嫌がらせのためだけに“ジェミニ”と結婚することになる、その運命を
回避する術を持たない“ファニア”の悲痛な面持ちと心情。“ルカ”との約束を諦めよう
とする現実と、その約束にすがりたくなる僅かな理想に挟まれた彼女の様子が痛々しい。

一方、荒ぶる民衆を抑えながら反抗時期を見計る“ルカ”。私情を挟まない“ファニア”
からの嘘も見抜けずいじける彼を支える“アステル”の言葉。自身も持て余すやるせない
彼女の想いが一体どこに向かうのかも気になるところで。期限も迫っていることですし。

革命の歌に後押しされ、窮地を迎えつつも何とか“ファニア”の元に迫る“ルカ”たち。
“ヴィヴィ・レイン”に関する情報も入手し、幸せなひと時を味わえたかと思った矢先に
あの仕打ち。これはしんどい。運命の残酷さに打ちひしがれながら次巻の刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 23:58 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル