2017年10月24日

『陰キャになりたい陽乃森さん Step1』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、スクールカーストの上位に位置する陽キャ(陽気な性格の人々)
と下位に位置する陰キャ(陰気な性格の人々)の異文化交流と衝突を描く青春ラブコメです。
(イラスト/Bison倉鼠 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893402-2/


批評系ブログを運営する“鹿家野”。イラストを描くのが好きで同人誌も頒布する“因幡”。
刺繍が好きな“透子”。3人が所属する地域文化研究部は「陰キャ部」と呼ばれる安住の地
のはずなのに、陽キャの象徴たる“陽乃森”が突然「陰キャになりたい」と迫ってきて──。

容姿端麗でモデルも務める“陽乃森”に「陰キャ」とは何か、を教えなくてはならなくなった
“鹿家野”たちの事情は読んでご確認いただくとして。少しもブレない彼女の生まれながらな
「陽キャ」ぶりに陽キャ部の面々が逆にあてられてしまうエピソードの数々に思わず苦笑い。

しかし、ある日を境に突如その目的を果たしてしまう“陽乃森”。以前と正反対の姿を見て
陰キャ部の面々が「これで良かったのか」と自問自答する中で“鹿家野”が見出す落とし所に、
恥ずかしい独白に、そして心臓が止まるかのような顛末にご注目。続きが気になる作品です。

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2017年10月23日

『幼馴染の山吹さん』

「第22回電撃大賞」から拾い上げでデビューする 道草よもぎ 先生が贈るのは青春ラブコメ。
疎遠となった幼馴染の美少女に掛けられた謎の「青春の呪い」に挑む少年の想いを描きます。
(イラスト/かにビーム 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893396-4/


幾度の告白を断り続ける“灯里”は美少女で、恋愛感情に疎いことも自覚する“喜一郎”の
幼馴染。男子たちの逆恨みな感情を呪いとして受け止めさせられた彼女が解放される唯一の
方法が「青春ミッション」なる試練をこなすこと。それも、今まで疎遠だった彼と共に──。

“灯里”も辛抱たまらんと豪語する呪いの精霊“小春”を始めとして、かにビーム 先生が
描く女性陣の可愛いことこの上ない。理不尽な呪いを受けた“灯里”が“喜一郎”とともに
こそばゆい青春の1ページを、そして淡い気持ちを胸に綴っていく様子が何とも微笑ましい。

青春を謳歌し始めた“灯里”の呪いを解消する代償がまたえげつない。ここで“喜一郎”が
彼なりの男らしさを見せるところから、解消に至るまでの過程をフラッシュバックしていく
ラストへの怒涛の展開は圧巻。二人の青春の行方をぜひ見届けてほしい、お薦めの作品です。

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2017年10月20日

『異世界釣り暮らし』

三上康明 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。魚を釣ることが大好きな青年が突如
魚が釣れる人が重宝される異世界に転移することで始まる無双劇を描くファンタジーです。
(イラスト:七原冬雪 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-704011-1
http://ncode.syosetu.com/n5698du/


フゥム村という聞きなれない村の名前を気にするよりも、そこで行われていた釣り大会へ
真っ先に乱入する“隼人”。他の参加者よりも大物のマアジを釣り上げる彼を見て村人は
大慌て。それは同じ体積の金塊と交換できるほどの価値を持つ「魔アジ」だと言われ──。

圧倒的な価値観の違いから次々に注目を集めていく“隼人”。忙しかった社会人生活から
解き放たれて好き放題に釣りを堪能する彼の生き様がすごく楽しそうで、実に羨ましい。
釣りをやったこともなく、また細かいことは知らなくてもその楽しさが伝わってきます。

釣った後に振る舞う漁師めしを題材にしたグルメものとしての要素も取り入れ、“カルア”
や“リィン”など女性陣の心もつかんでいく“隼人”のどこまでも自然体な言動にも注目。
異世界での生き方を確立した彼の今後が見てみたい。読みやすい文章も含めてお薦めです。

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2017年10月19日

『語り部は悪魔と本を編む』

シナリオライターとしても活動する 川添枯美 先生が贈る新作はラノベ作家の卵と担当編集
が思いがけず恋愛関係を結び、作家としてデビューするために戦い、葛藤する様を描きます。
(イラスト:himesuz 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047348516/


真昼の喫茶店で素敵な彼女ができる妄想を繰り広げる“雄一”。編集長に認められる作品を
書くため執筆を続ける彼は妄想を具現化したような“絵美瑠”と出会い、同衾、そして彼女
として付き合う一大転機を迎える。あとは作家デビューが出来れば順風満帆なのだが──。

編集長の“神田”に書いた作品を送り続け、コメントも得られないまま3年半。もはや意地
しかない“雄一”を何度も何度も厳しい現実が襲います。それは“絵美瑠”を彼女にしても、
いや彼女にしたからこそ、信じていた編集長に声を荒げるほど彼は追い詰められていきます。

実は“絵美瑠”にも“神田”に頭が上がらない苦い過去と経験があり悔しい涙を流す局面を
迎えます。でもそれを乗り越えて“雄一”と本当のパートナーとして一歩も二歩も歩み寄る
話運びは熱量を感じます。二人に幸あれ! とは言え「爆発しろ」案件でしかありません。

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2017年10月18日

『新宿コネクティブ 2』

内堀優一 先生が贈る、人脈無双な新宿系エンタメミステリ。第2巻はランドセルを背負う
外国人の少女と出会った“慶介”が、新たに暗躍する悪意と陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト/ギンカ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/750.html


すっかりアイドルらしくない言動を“慶介”たちに見せる“アリア”。彼女から週刊誌の
熱愛記事を書いた記者が持つデータを消去するよう依頼された“慶介”は早速コネを活用
して彼女の真意すら汲んで解決に導いていく、まずは小手調べのような話から始まります。

物語が動き出すのは地下鉄の引き込み線に現れるという幽霊騒動を耳にしてから。そこで
ランドセルを背負う“シャーリィ”という少女と夜中に出会い、しかも“慶介”と再会を
仄めかして、となると怪しさ炸裂。けど、中々に尻尾は見せないもどかしさが小憎らしい。

今巻は“慶介”がいることで新宿という街が安定を保っているか、が強調されています。
もう、どれだけ凄いのかと。広がった話の鍵を握る“シャーリィ”の過去を救い、未来も
守る彼の主人公ぶりには驚くしかなく。だからこそ、あの人物のその後が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル