2017年09月08日

『造られしイノチとキレイなセカイ 4』

緋月薙 先生が贈るスローライフ・ストーリー。第4巻は“カリウス”と“フィアナ”の
交際がスタートすると共にカップルが次々と誕生する騒動を呼び込む最終巻となります。
(イラスト/ふーみ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/742.html
http://yomeru-hj.net/novel/kireinasekai/


“レミリア”たちの反応が予想通りで実に良い。酒の力を思わぬ形で借りることとなった
“カリアス”に思わずニヨニヨ。精霊たちの分かってる反応が微笑ましい。“リーゼ”の
むっつり具合と“イリス”の誤解を呼ぶ発言の数々も安定の面白さ。何にせよ喜ばしい話。

見守る“ハールート”にも思わぬ出会いがあったり、“エリル”も思春期真っ只中な場面
目白押しで幸せオーラがそこかしこに。そんな甘さいっぱいの雰囲気を、精霊殿の巫女長
“ランカ”の登場と、伝えられる「大地母神教・過激派」の襲撃予告が引き締めてきます。

“エリル”の才能も発揮される最後の大立ち回りが終章へと、造られしイノチがキレイな
セカイに触れる瞬間へと繋がるまとめ方が綺麗です。今作でも納得の大団円ぶりを存分に
堪能させてもらいました。無事の完結を心より祝うと共に、次回作もお待ちしております。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年09月07日

『異世界薬局 5』

高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第5巻は筆頭宮廷薬師、そして帝国医薬大学校の
教授となった“ファルマ”が後進の育成と共に難度の高い遺伝子治療の分野に着手します。
(イラスト:keepout 先生)

http://mfbooks.jp/5175/
http://ncode.syosetu.com/n8541cr/
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000031010000_68/


陛下から結婚、そして世継ぎをせっつかれた“ファルマ”が賢者モードを迎えてでも確認に
及んだ挿話など微笑ましさを感じさせながら、今巻の主題でもある「遺伝子」を想起させる
布石がちらほら出てきます。結婚に関しては脈がないワケではない話も散見されますけど。

見た目などで侮る生徒の“エメリッヒ”を“ファルマ”がただひたすら圧倒する大人げない
くだりから遺伝子治療の最先端に迫る話に至るとは思いも寄らず。足りないところは薬神の
能力を使ってでもやり遂げる、医学に携わる者としての矜持を見せつけられた思いがします。

壊れゆく世界を繋ぎとめる「鎹(かすがい)の歯車」を維持するために“ファルマ”の神力
を渇望する大神殿の思惑にそろそろ陛下の堪忍袋の緒が切れそうなのは食い止められるのか。
新大陸発見など見逃せないポイントが残っているだけに、話がどう転ぶか気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年09月06日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?2』

三河ごーすと 先生が贈る学園ゲーム系頭脳バトル。第2巻は生徒会長が「生徒会選賭」の
実施を宣言することで“可憐”そして“紅蓮”も学園全体に及ぶゲームに巻き込まれます。
(イラスト:ねこめたる 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1573


“可憐”だけでなく、“桃花”や“楓”を交えたFランクとしての生活を謳歌する“紅蓮”。
しかし「ディストピアゲーム」──毎朝各生徒に設定される禁則事項を守る生活を余儀なく
される“透夜”からの意地の悪い計らいは無視できず、駆け引きの場に立たされるのは宿命。

生徒会の面々と顔合わせすることにもなる“紅蓮”の不遜な態度に目くじらを立てるのが
会計の“静火”。双子の姉“水葉”を隷徒として扱う異常性もさることながら、突如彼の
もとに現れて共同生活を送ることになる“水葉”の特異さも目を引く展開がポイントの一つ。

最後の大勝負で“可憐”が味わう僅かな喜びと圧倒的な絶望感。彼女自身が認める立ち位置
を再確認させてくれると共に、妹を完膚なきまでに叩き潰した意外な相手が“紅蓮”を遂に
戦場へと駆り出すことに成功しました。彼が生徒会の面々をどう圧倒するのか、注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年09月05日

『友人キャラは大変ですか?3』

伊達康 先生が贈る名助演ラブコメ。第3巻は“蒼ヶ崎”に持ち掛けられた縁談が剣道道場
の乗っ取りに関わると知り妨害に走る“一郎”を、予想外のサイドストーリーが襲います。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516968


影から支える友人スタイルを貫き通そうとしては“龍牙”に巻き込まれ、“トウテツ”に
フラグを立てまくられ、と今巻も思い通りにはいかない“一郎”。“龍牙”の本性も次々
バレてまた更なるややこしい関係が築かれたりして、そんな様子が微笑ましくて、面白い。

“蒼ヶ崎”と同じ道場だった“田中”がモブかと思えば今回の彼女に纏わるエピソードに
しっかり食い込んでくるあたり、仕掛けも上々。“魅怨”とのライバル関係も活かしつつ
“蒼ヶ崎”と“朝雄”の進退を賭けた団体戦を、意外な展開を挟みながら進めるのも絶妙。

道場争いの陰に新たな魔神を予感させる結末ですとか、さりげなく“魅怨”が言及してきた
使途が増やせる可能性あたりが気になりつつ、エピローグでまた意味ありげな引きを示す
「彼女」の真意は何なのか。“一郎”を囲う女性陣の動向も含め、次巻も実に楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年09月04日

『蓮見律子の推理交響楽 比翼のバルカローレ』

杉井光 先生が贈る新作は、天才音楽家から作詞を依頼されることになった何の由来もない
大学留年生が名門音楽一家に纏わる事件に遭遇しその調査にも巻き込まれる顛末を描きます。
(イラスト:ろこる 先生)

http://taiga.kodansha.co.jp/author/h-sugii.html#link9784062940832


詩情が理解できない、と豪語する音楽家“律子”が映画の主題歌を作るにあたり目を付けた
アフィリエイトブロガーの“理久央”。大学の講座で出会った“美沙”、その弟で“律子”
に作曲の依頼をする“湊人”などとの関わりから何とか作詞の契機を得ようとするが──。

冒頭から先生らしい文章に安堵しつつ、やりたい放題な“律子”、ピアニストとしての夢を
諦めざるを得なかった“美沙”、姉との確執が深い“湊人”。翻弄される“理久央”の言動
を堪能しつつ、彼は作詞できるのか? などと言っていられない事件の発生から話は急展開。

状況証拠から犯人を断定する警察の動きに納得がいかない“律子”が辿り着いた99%の理由。
残り1%を埋める“理久央”の閃きに至るまでに散りばめられた、音楽の歴史と布石の数々。
ピアノに隠された真意に触れた瞬間は深く静かに心動かすものがありました。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル