シナリオライターとして活動されている 樫田レオ 先生が「ファミ通文庫」から作品を上梓。
形となった言葉を視る少年が、亡き幼馴染の最後の言葉を求めて足掻く青春ストーリーです。
(イラスト:サイトー 先生)
【 http://ebten.jp/eb-store/p/9784047347427/ 】
意思疎通ができない謎の「影」が視えるようになった“啓人”。知り合った“詩葉”から、
それが想いの残滓「迷い言」であり、彼のことをその想いを伝える「伝え人」だと告げる。
彼は船の事故で死んだ“閑香”が残したかった言葉を知る可能性に一縷の望みを託す──。
“詩葉”と出会うきっかけとなった「迷い言」が級友に思いを伝える場面を目の当たりに
したことから、ますますその望みに期待が高まる“啓人”。頼みの綱となる当時の友人たち
とは彼女の死を境にわだかまりを残して疎遠な状態となっており手詰まりと焦りを感じます。
何とか見つけた“詩葉”の「迷い言」。残された時間。思い出の地。そして打ち明けた想い。
彼女が残した言葉が“啓人”たちの止まっていた時間を再び動かしていき、友情を、思慕を、
夢を取り戻していく奇跡の締めくくりが、切なくも爽やかな読了感を味わわせてくれます。
2017年09月29日
2017年09月28日
『おことばですが、魔法医さま。(2) 〜異世界の魔法は強力すぎて、現代医療に取り入れざるを得ませんでした〜』
時田唯 先生が贈る、現代科学と異世界魔法が交錯する異世界医療革命譚。第2巻は隣国の
国王が患う病を救うべく向かった“コーディ”たちが思わぬ陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト/オガデンモン 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893329-2/ 】
隣国に船で向かう途中で遭遇する、魔法具「時の箱」を巡る騒動。“伊坂”が関与できる
余地はあるか、という場面でもしっかり知識を活かしてきます。アレな目には遭いますが。
そのせいで誤解した“コーディ”が見せるヤキモチっぷりが可愛くてもうたまりませんね。
いざ隣国に着いてみれば「治療の依頼は出していない」と突っぱねられる謎の事態に直面。
更にはその国の騎士“ケイミー”が呪われていると知り“伊坂”と“コーディ”の知識と
能力を総動員して対応にあたる展開が見どころの一つ。そこに至る国の背景にも注目です。
今巻の一番の見せ場は“伊坂”に同行してきた“リア”が、今まで理解できなかった彼が
人助けをする理由に気付き始める、その心境の変化ではないかと。治療依頼の認識齟齬も
原因が分かって一安心。最後の一文が実に印象的で、次巻も出てほしいと願う今日この頃。
国王が患う病を救うべく向かった“コーディ”たちが思わぬ陰謀に巻き込まれていきます。
(イラスト/オガデンモン 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893329-2/ 】
隣国に船で向かう途中で遭遇する、魔法具「時の箱」を巡る騒動。“伊坂”が関与できる
余地はあるか、という場面でもしっかり知識を活かしてきます。アレな目には遭いますが。
そのせいで誤解した“コーディ”が見せるヤキモチっぷりが可愛くてもうたまりませんね。
いざ隣国に着いてみれば「治療の依頼は出していない」と突っぱねられる謎の事態に直面。
更にはその国の騎士“ケイミー”が呪われていると知り“伊坂”と“コーディ”の知識と
能力を総動員して対応にあたる展開が見どころの一つ。そこに至る国の背景にも注目です。
今巻の一番の見せ場は“伊坂”に同行してきた“リア”が、今まで理解できなかった彼が
人助けをする理由に気付き始める、その心境の変化ではないかと。治療依頼の認識齟齬も
原因が分かって一安心。最後の一文が実に印象的で、次巻も出てほしいと願う今日この頃。
2017年09月27日
『29とJK3 〜社畜のいやしはJK〜』
加藤かきと 先生が作画、渡辺樹 先生が構成を担当する漫画連載もスタート。裕時悠示 先生
が贈る禁断の年の差ラブコメ、第3巻は“花恋”の存在が“鋭二”の関係者に知られます。
(イラスト:Yan-Yam 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797391510.html 】
手を恋人繋ぎするほど想いが盛り上がる“花恋”と一緒にいる所を“渡良瀬”に見られる
という失態。さらに社の草野球大会で彼女を妹だと誤魔化したことで同伴せざるを得ない
状況に追い込まれる“鋭二”の悩ましさとここぞとばかりに楽しむ彼女との対比が面白い。
その草野球大会で“百目鬼”をライバル視していた人事部の“湯上谷”と真剣勝負に臨む
ことになった“鋭二”。その対決を経て「社畜だって、英雄になれる」と独白するに至る
気持ちの探り合いに味わい深いものを感じました。“花恋”もスポ根モノが書けて一安心。
事情を知った“沙樹”が“花恋”と意見をぶつける険悪な雰囲気に後ろ髪を引かれる中で
彼女と同窓会に向かう“鋭二”。親友だった“剣野”と中々会えない理由と彼が八王子の
センター長となった事情が重なるとき、衝撃の結末を迎えます。これは次が気になります。
が贈る禁断の年の差ラブコメ、第3巻は“花恋”の存在が“鋭二”の関係者に知られます。
(イラスト:Yan-Yam 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797391510.html 】
手を恋人繋ぎするほど想いが盛り上がる“花恋”と一緒にいる所を“渡良瀬”に見られる
という失態。さらに社の草野球大会で彼女を妹だと誤魔化したことで同伴せざるを得ない
状況に追い込まれる“鋭二”の悩ましさとここぞとばかりに楽しむ彼女との対比が面白い。
その草野球大会で“百目鬼”をライバル視していた人事部の“湯上谷”と真剣勝負に臨む
ことになった“鋭二”。その対決を経て「社畜だって、英雄になれる」と独白するに至る
気持ちの探り合いに味わい深いものを感じました。“花恋”もスポ根モノが書けて一安心。
事情を知った“沙樹”が“花恋”と意見をぶつける険悪な雰囲気に後ろ髪を引かれる中で
彼女と同窓会に向かう“鋭二”。親友だった“剣野”と中々会えない理由と彼が八王子の
センター長となった事情が重なるとき、衝撃の結末を迎えます。これは次が気になります。
2017年09月26日
『真夜中の本屋戦争2』
藤春都 先生が贈る、本同士の平台争奪戦が行われる書店の非日常を描く物語。第2巻は
美人な妖怪店長の就任で“渉”と“紫野”の関係、そして歩んでいく道に変化が訪れます。
(イラスト:フカヒレ 先生)
【 http://blog.hakkoushuppan.co.jp/article/180594017.html 】
どれだけ居心地が良いのか、ということで「エキナカ書店」の店長に収まる“玉緒”の
自由奔放ぶりがまず面白い。そこへ人間に対して興味津々な彼女が“渉”にちょっかいを
かける形になって“紫野”が思わずモヤモヤしてしまう様子が挿絵も含めて実に可愛い。
“渉”と“紫野”のデートも付喪神たちに支援してもらったり、と微笑ましい中に書店員
のあるある話、というか世知辛い話なども窺えて思わず苦笑いしてしまうこともしばしば。
妖怪としての力も駆使しますが、“玉緒”が時折見せる自身の有能ぶりも見所の一つかと。
ぼんやり描いていた「ものづくり」に対する“渉”の思いと自身の将来像。歩き出そうと
する彼を付喪神たちが応援する形になるビブリオバトルの顛末がまさに本作らしさ満載で
最後の挿絵がまた良いんですよ。新たな本と付喪神との出会いがあると期待したい所です。
美人な妖怪店長の就任で“渉”と“紫野”の関係、そして歩んでいく道に変化が訪れます。
(イラスト:フカヒレ 先生)
【 http://blog.hakkoushuppan.co.jp/article/180594017.html 】
どれだけ居心地が良いのか、ということで「エキナカ書店」の店長に収まる“玉緒”の
自由奔放ぶりがまず面白い。そこへ人間に対して興味津々な彼女が“渉”にちょっかいを
かける形になって“紫野”が思わずモヤモヤしてしまう様子が挿絵も含めて実に可愛い。
“渉”と“紫野”のデートも付喪神たちに支援してもらったり、と微笑ましい中に書店員
のあるある話、というか世知辛い話なども窺えて思わず苦笑いしてしまうこともしばしば。
妖怪としての力も駆使しますが、“玉緒”が時折見せる自身の有能ぶりも見所の一つかと。
ぼんやり描いていた「ものづくり」に対する“渉”の思いと自身の将来像。歩き出そうと
する彼を付喪神たちが応援する形になるビブリオバトルの顛末がまさに本作らしさ満載で
最後の挿絵がまた良いんですよ。新たな本と付喪神との出会いがあると期待したい所です。
2017年09月25日
『本好きの下剋上〜司書になるためには手段を選んでいられません〜第三部「領主の養女V」』
香月美夜 先生が贈る大人気ビブリア・ファンタジー。第三部・5巻は健康な体を得るため、
そして本作りに邁進する“ローゼマイン”が、貴族の派閥闘争を機に人生の岐路を迎えます。
(イラスト/椎名優 先生)
【 http://www.tobooks.jp/booklove/ 】
【 http://ncode.syosetu.com/n4830bu/ 】
【 http://seiga.nicovideo.jp/comic/booklove 】
“ヴィルフリート”の素直さ故の迂闊ぶりが腹立たしく、廃嫡にならなかったのが奇跡と
言わざるを得ません。反面教師として自分も気をつけたい、とその思いを噛みしめる次第。
“ローゼマイン”の魔力圧縮に関する技術が共有される事態は今後の備えとなるか否か。
“シャルロッテ”という可愛い妹が出来て舞い上がる“ローゼマイン”。血気盛んに道を
歩むかと思いきや陰謀に巻き込まれてユレーヴェを使う破目になるとは。彼女を救うため
“フェルディナンド”が見せた怒り具合に彼の本気とまだ見ぬ本心を垣間見た気がします。
残り三分の一以上を使って“ローゼマイン”空白の二年間を描く今巻。彼女の有能ぶりを
見せつけると共に、彼女がいなくても運営が回る盤石な体制に羨ましさを感じてみたり。
巻末の“ボニファティウス”が色々な意味でアリだなとついニヤニヤ。次巻も楽しみです。
そして本作りに邁進する“ローゼマイン”が、貴族の派閥闘争を機に人生の岐路を迎えます。
(イラスト/椎名優 先生)
【 http://www.tobooks.jp/booklove/ 】
【 http://ncode.syosetu.com/n4830bu/ 】
【 http://seiga.nicovideo.jp/comic/booklove 】
“ヴィルフリート”の素直さ故の迂闊ぶりが腹立たしく、廃嫡にならなかったのが奇跡と
言わざるを得ません。反面教師として自分も気をつけたい、とその思いを噛みしめる次第。
“ローゼマイン”の魔力圧縮に関する技術が共有される事態は今後の備えとなるか否か。
“シャルロッテ”という可愛い妹が出来て舞い上がる“ローゼマイン”。血気盛んに道を
歩むかと思いきや陰謀に巻き込まれてユレーヴェを使う破目になるとは。彼女を救うため
“フェルディナンド”が見せた怒り具合に彼の本気とまだ見ぬ本心を垣間見た気がします。
残り三分の一以上を使って“ローゼマイン”空白の二年間を描く今巻。彼女の有能ぶりを
見せつけると共に、彼女がいなくても運営が回る盤石な体制に羨ましさを感じてみたり。
巻末の“ボニファティウス”が色々な意味でアリだなとついニヤニヤ。次巻も楽しみです。