風来山 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。高難易度のレトロゲームの世界に転移
したクラスで、それをやりこんだ少年が知識を総動員してダンジョンアタックに挑みます。
(イラスト:kero介 先生)
【 http://www.sbcr.jp/products/4797392371.html 】
【 http://ncode.syosetu.com/n0065cq/ 】
長い地震の終わりが転移世界でのサバイバル生活の始まり。次々と級友が犠牲となる中で
リアリティを追究した、いわゆる死にゲーと同じ世界だと気づいた“ワタル”はある決意
をする。最後まで勝ち続け、絶対に生き残る。この世界を骨の髄まで堪能するために──。
決定的瞬間を目撃されたことで“ワタル”に色々とアプローチしてくる“久美子”や何か
ありそうな“瀬木”とのやりとりなどから非日常における緊張感を和らげてもらいつつ、
ダンジョンアタックに単独で挑む段階となってからは手に汗握る展開を魅せてくれます。
そして表紙をも飾っている、ウサ耳少女の“ウッサー”との出会いが“ワタル”の思惑を
大きく崩していくことに。NPCらしくない彼女の存在が新たな波風を立てる原因になりそう
なところや、“七海”たち級友の人間関係が崩壊する兆しなど、続きが気になる物語です。
2017年08月03日
2017年08月02日
『桜色のレプリカ 1』『桜色のレプリカ 2』
翅田大介 先生が贈る新作はヒロイン捜索型学園ラブコメ。しかも1巻と2巻を同時刊行。
「学校」で文学を教える教師が理事長から人探しの依頼を解決するまでの顛末を描きます。
(イラスト/町村こもり 先生)
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/739.html 】
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/738.html 】
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/series/186/ 】
「学校」に赴任して二か月。人間論を教える“六方”が“二階堂”理事長からの依頼を
もとに該当人物の候補として目をつけた“百合原”“五十嵐”“四十田”“三十刈”の
女子生徒とのふれあいや“七堂”先生との付き合いぶりは一見、学園ラブコメだが──。
冒頭で“三十刈”の描写に度肝を抜かされつつ、「学校」周辺の環境が特異だと少しずつ
明らかとなっていくことで理事長の依頼がいかに難題か、“六方”も読み手としても考え
させられることになります。古典文学を通じて例え、探ろうとするあたりが興味深い点。
生徒の中に狡猾に紛れ込んだ人物が突き止められないことに時に苛立ち、時に怯えの表情
を見せる“六方”。ついつい生徒たちにもあたってしまう“六方”の前に突如求めていた
「彼女」が驚くべき事実を引っ提げて現れます。イラストと共に続く「引き」が強烈です。
2巻では、口止めされた「彼女」と“六方”とのやり取りを通じて「自分らしさ」とは
何かを自分たちなりに突き詰めていくことに。教師としての役割に絶望感を抱いた彼が
生徒たちや“七堂”先生との距離感にすら疑念を持つのも無理はない、と共感できます。
「学校」を巡る環境が急激に変化して生徒・先生のくびきから解放された中、変わりゆく
ヒロインたちの様子が焦点の一つ。中でも“三十刈”が示した「恋とは、愛とは何か」の
解釈を披露した場面は“六方”の、そして物語を動かす重要な鍵として印象に残ります。
「彼女」のデレっぷり、キレっぷりに圧倒されつつ“六方”が貫き通した想いとその結末。
「学校」に一本、寂しく佇む桜の木が咲かせた奇蹟の花に乗せられた希望と共に、未来に
幸あらんことを願うばかりです。記憶に残る作品でした。心からオススメしておきます。
≫ 続きを読む ≪
「学校」で文学を教える教師が理事長から人探しの依頼を解決するまでの顛末を描きます。
(イラスト/町村こもり 先生)
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/739.html 】
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/738.html 】
【 https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/series/186/ 】
「学校」に赴任して二か月。人間論を教える“六方”が“二階堂”理事長からの依頼を
もとに該当人物の候補として目をつけた“百合原”“五十嵐”“四十田”“三十刈”の
女子生徒とのふれあいや“七堂”先生との付き合いぶりは一見、学園ラブコメだが──。
冒頭で“三十刈”の描写に度肝を抜かされつつ、「学校」周辺の環境が特異だと少しずつ
明らかとなっていくことで理事長の依頼がいかに難題か、“六方”も読み手としても考え
させられることになります。古典文学を通じて例え、探ろうとするあたりが興味深い点。
生徒の中に狡猾に紛れ込んだ人物が突き止められないことに時に苛立ち、時に怯えの表情
を見せる“六方”。ついつい生徒たちにもあたってしまう“六方”の前に突如求めていた
「彼女」が驚くべき事実を引っ提げて現れます。イラストと共に続く「引き」が強烈です。
2巻では、口止めされた「彼女」と“六方”とのやり取りを通じて「自分らしさ」とは
何かを自分たちなりに突き詰めていくことに。教師としての役割に絶望感を抱いた彼が
生徒たちや“七堂”先生との距離感にすら疑念を持つのも無理はない、と共感できます。
「学校」を巡る環境が急激に変化して生徒・先生のくびきから解放された中、変わりゆく
ヒロインたちの様子が焦点の一つ。中でも“三十刈”が示した「恋とは、愛とは何か」の
解釈を披露した場面は“六方”の、そして物語を動かす重要な鍵として印象に残ります。
「彼女」のデレっぷり、キレっぷりに圧倒されつつ“六方”が貫き通した想いとその結末。
「学校」に一本、寂しく佇む桜の木が咲かせた奇蹟の花に乗せられた希望と共に、未来に
幸あらんことを願うばかりです。記憶に残る作品でした。心からオススメしておきます。
≫ 続きを読む ≪
2017年08月01日
『なぜ僕の世界を誰も覚えていないのか? 運命の剣』
細音啓 先生が贈る新作は王道ファンタジーの超大作。改変された世界にただ一人、変わる
前の記憶を残す少年が真の世界を取り戻すために人間以外の種族と、運命と戦う物語です。
(イラスト:neco 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1564 】
悪魔族、蛮神族、聖霊族、幻獣族。それぞれの英雄を倒した“シド”により五種族大戦に
勝利した人族。他種族を封印した墓所を管理する“カイ”はある日、世界が上書きされる
瞬間を目の当たりにし、荒廃した世界に一人立ち尽くす。人間が大戦で敗れた世界に──。
悪魔族の墓所に転落した過去を持つ“カイ”が油断することなくひたすら訓練に明け暮れた
経験が思わぬ形で実を結ぶことになる彼の前向きな姿勢に救われます。改変された世界で
出会った“リンネ”が彼にとって、そして彼女にとっても唯一の理解者となる点も同様に。
元の世界で仲間であった人たちが悪魔族に虐げられている現状を打破しようと決起する
“カイ”が英雄“ヴァネッサ”との激闘の末に知る「世界を改ざんしようとする存在」、
そして英雄“シド”の謎。英雄の軌跡を“カイ”はなぞるのか、注目のシリーズ登場です。
前の記憶を残す少年が真の世界を取り戻すために人間以外の種族と、運命と戦う物語です。
(イラスト:neco 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1564 】
悪魔族、蛮神族、聖霊族、幻獣族。それぞれの英雄を倒した“シド”により五種族大戦に
勝利した人族。他種族を封印した墓所を管理する“カイ”はある日、世界が上書きされる
瞬間を目の当たりにし、荒廃した世界に一人立ち尽くす。人間が大戦で敗れた世界に──。
悪魔族の墓所に転落した過去を持つ“カイ”が油断することなくひたすら訓練に明け暮れた
経験が思わぬ形で実を結ぶことになる彼の前向きな姿勢に救われます。改変された世界で
出会った“リンネ”が彼にとって、そして彼女にとっても唯一の理解者となる点も同様に。
元の世界で仲間であった人たちが悪魔族に虐げられている現状を打破しようと決起する
“カイ”が英雄“ヴァネッサ”との激闘の末に知る「世界を改ざんしようとする存在」、
そして英雄“シド”の謎。英雄の軌跡を“カイ”はなぞるのか、注目のシリーズ登場です。