むらさきゆきや先生がイラストレーターのガチな日常を綴るお仕事コメディー。第3巻は
姉の“彩華”に横取りされた仕事に対してくすぶる“悠斗”の選ぶ道に迫っていきます。
(イラスト・企画:溝口ケージ 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1555 】
突然の来訪で衝撃の通告をもたらす“彩華”。“悠斗”に対して悪びれたところのない
その言動に何か裏があるのではないかと、イラストレーターの格について語った“錦”
などからは推測されましたが、まさか理由がアレとは。どんだけ好きなんだと苦笑い。
“彩華”とのやりとりで精神的ダメージが重なる“悠斗”を、手を変え品を変え姿を変え
後押しする“乃ノ花”が今巻もいじらしい。何で進展しないんだと疑いたくなるばかり。
彼が立つ大きな岐路、そこから一歩を踏み出す力をくれた彼女だからこそ、なおのこと。
ライトノベルに限らないイラストレーターあるあるを披露してくれる“悠斗”たちの交流
を楽しみつつ、彼の頑張り具合と今後を思わず応援したくなる展開で魅せてくれました。
そして巻末で油断した「彼女」からのアンドゥがきかない発言がもたらす行方に注目です。
2017年08月10日
2017年08月09日
『ひきこもり姫を歌わせたいっ!』
水坂不適合 先生の「第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ賞」受賞作。ひきこもりの
級友の歌声に惚れ込んだ少年がロックバンドで有名になる夢を不器用に目指す物語です。
(イラスト:有坂あこ 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516883 】
世界的ソングライターを目指す“礼人”はバンドを組んで高校生バンド最大の大会で活躍
を目指すもライブハウスを出禁にされるほど歌が下手。高校三年という将来に敏感な時に
ボーカル探しをする彼へ先生が不登校女子に会いに行けと依頼する所から話は始まる──。
最初は下心丸出しで「ひきこもり姫」こと“遙奈”と友達になるところからスタートした
“礼人”。次第にそっちのけで彼女に合いに行く彼の心境の変化と、彼によって再び学校
に行けるまで成長した彼女の言動の変化が前半部分の印象に残る場面として展開されます。
後半では“遙奈”をボーカルとして迎え、紆余曲折を経てバンドが脚光を浴びるサクセス
ぶりがメインかと思えば、“礼人”の報われない生き様に胸が押しつぶされるほど切なく
なります。ひきこもり姫の歌がもたらす青春満載の結末は、堪能するほどに熱く青いです。
級友の歌声に惚れ込んだ少年がロックバンドで有名になる夢を不器用に目指す物語です。
(イラスト:有坂あこ 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516883 】
世界的ソングライターを目指す“礼人”はバンドを組んで高校生バンド最大の大会で活躍
を目指すもライブハウスを出禁にされるほど歌が下手。高校三年という将来に敏感な時に
ボーカル探しをする彼へ先生が不登校女子に会いに行けと依頼する所から話は始まる──。
最初は下心丸出しで「ひきこもり姫」こと“遙奈”と友達になるところからスタートした
“礼人”。次第にそっちのけで彼女に合いに行く彼の心境の変化と、彼によって再び学校
に行けるまで成長した彼女の言動の変化が前半部分の印象に残る場面として展開されます。
後半では“遙奈”をボーカルとして迎え、紆余曲折を経てバンドが脚光を浴びるサクセス
ぶりがメインかと思えば、“礼人”の報われない生き様に胸が押しつぶされるほど切なく
なります。ひきこもり姫の歌がもたらす青春満載の結末は、堪能するほどに熱く青いです。
2017年08月08日
『ぼくたちのリメイク2 十年前に戻って本気になれるものを見つけよう!』
木緒なち 先生が贈る青春リメイクストーリー。第2巻はチームとして頑張った上映会の結果
でショックを受けた“ナナコ”を立ち直らせるために“恭也”があの手この手を尽くします。
(イラスト:えれっと 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1559 】
映像学科の先生としての至極、現実的な評価。“ナナコ”の内面を問う場面が胸に響きます。
同人ゲームを作る“ケーコ”からの誘いを契機に“ナナコ”を救う一手を見い出すあたり、
“恭也”のジェネラリストぶりが改めて見て取れます。大事なんです、こういう立ち位置。
学祭の尻拭いをするあたりにも“恭也”らしさが窺えるワケですが、その合間にも躓きそう
になる“ナナコ”を後押しする彼を彼女が少なからず想わないワケがない。“シノアキ”も
彼にはすっかり懐いている描写が度々入ってくるので読み手としてはハラハラさせられます。
“ナナコ”の頑張る姿、結果を出す様子を見る“河瀬川”の「ちゃんと目に掛けている」感
に魅力を覚えつつ、いよいよ決定的瞬間が。そんなことは露知らず、“貫之”の悩み解決に
乗り出す“恭也”。彼の秘策は“貫之”にも通じるか。チームの行方と共に気になります。
でショックを受けた“ナナコ”を立ち直らせるために“恭也”があの手この手を尽くします。
(イラスト:えれっと 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1559 】
映像学科の先生としての至極、現実的な評価。“ナナコ”の内面を問う場面が胸に響きます。
同人ゲームを作る“ケーコ”からの誘いを契機に“ナナコ”を救う一手を見い出すあたり、
“恭也”のジェネラリストぶりが改めて見て取れます。大事なんです、こういう立ち位置。
学祭の尻拭いをするあたりにも“恭也”らしさが窺えるワケですが、その合間にも躓きそう
になる“ナナコ”を後押しする彼を彼女が少なからず想わないワケがない。“シノアキ”も
彼にはすっかり懐いている描写が度々入ってくるので読み手としてはハラハラさせられます。
“ナナコ”の頑張る姿、結果を出す様子を見る“河瀬川”の「ちゃんと目に掛けている」感
に魅力を覚えつつ、いよいよ決定的瞬間が。そんなことは露知らず、“貫之”の悩み解決に
乗り出す“恭也”。彼の秘策は“貫之”にも通じるか。チームの行方と共に気になります。
2017年08月07日
『平浦ファミリズム』
遍柳一 先生の「第11回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞」受賞作。個性的な家族以外
との関わりを煩わしく思う少年が、ある事件を境に忌避できなくなるその苦悩を描きます。
(イラスト:さかもと侑 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516890 】
「大丈夫だよ、一慶」早くに他界した母親の思いを汲んで高校卒業は目標とするもの留年
すら危ぶまれるほど社交性のない“一慶”。ある日、小学生女子を気まぐれにいじめから
助けることで思わぬ誤解を生み、退学処分を言い渡された彼はあっさり受け入れるが──。
父も姉も妹も、人との関わり方に悩みながら生きている。すでに自立できるほど優秀な
“一慶”も、ある過去を経て他人との関わりを捨てた身。“天野”先生のお節介や級友
“千条”のやっかみなどを鬱陶しいと思う彼の描写が自然で言動にも説得力があります。
“一慶”と関わる様々な人物の視点も交えながら、家族以外の他人との関わりについて
考え抜いて、それでも捨てきれないものと見極める彼の心情の変化。その過程もあるが
ゆえに強く印象に残る作品。自分はどういう立場で人と接しているか考えさせられます。
との関わりを煩わしく思う少年が、ある事件を境に忌避できなくなるその苦悩を描きます。
(イラスト:さかもと侑 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516890 】
「大丈夫だよ、一慶」早くに他界した母親の思いを汲んで高校卒業は目標とするもの留年
すら危ぶまれるほど社交性のない“一慶”。ある日、小学生女子を気まぐれにいじめから
助けることで思わぬ誤解を生み、退学処分を言い渡された彼はあっさり受け入れるが──。
父も姉も妹も、人との関わり方に悩みながら生きている。すでに自立できるほど優秀な
“一慶”も、ある過去を経て他人との関わりを捨てた身。“天野”先生のお節介や級友
“千条”のやっかみなどを鬱陶しいと思う彼の描写が自然で言動にも説得力があります。
“一慶”と関わる様々な人物の視点も交えながら、家族以外の他人との関わりについて
考え抜いて、それでも捨てきれないものと見極める彼の心情の変化。その過程もあるが
ゆえに強く印象に残る作品。自分はどういう立場で人と接しているか考えさせられます。
2017年08月04日
『第七異世界のラダッシュ村 2』
蝉川夏哉 先生が贈る異世界開拓記。第2巻は村の開拓が進む中、近くにある遺跡へ国姓姫
“メイファ”が調査隊を連れてきたことにより“海野”たちの進む道が変化していきます。
(イラスト/はみ 先生)
【 http://seikaisha.co.jp/information/2017/06/30-post-radash2.html 】
ジャワ君Tシャツが異世界に流出していたことを頼りに他の日本人探しを提案する“海野”。
今は村の開拓に努めるべき、とする“春日”の現地人との距離感の取り方までは考慮できず
“ミクリ”に対してやらかしてしまう彼のラバカッティニぶりがどう影響するか楽しみです。
ラダッシュ村の面々にも興味津々な“メイファ”に振り回される“ロラン”に同情しつつ、
旧都の調査で驚きの発見をしてしまう“海野”たち。カラー挿絵も鮮烈にその情景を印象
付けます。「第七異世界」そのものが特異性があることを示すようで気になるところです。
ラダッシュ村を襲う肉食の害獣に立ち向かう中で、より団結力を培った“海野”たちですが
思わぬ流れで南楼王国の政治事情に巻き込まれることに。選択を迫られる彼らが選んだ道の
行く末と共に、それを選ばせた人物の真意も注目で目が離せません。早く続きを、よしなに。
“メイファ”が調査隊を連れてきたことにより“海野”たちの進む道が変化していきます。
(イラスト/はみ 先生)
【 http://seikaisha.co.jp/information/2017/06/30-post-radash2.html 】
ジャワ君Tシャツが異世界に流出していたことを頼りに他の日本人探しを提案する“海野”。
今は村の開拓に努めるべき、とする“春日”の現地人との距離感の取り方までは考慮できず
“ミクリ”に対してやらかしてしまう彼のラバカッティニぶりがどう影響するか楽しみです。
ラダッシュ村の面々にも興味津々な“メイファ”に振り回される“ロラン”に同情しつつ、
旧都の調査で驚きの発見をしてしまう“海野”たち。カラー挿絵も鮮烈にその情景を印象
付けます。「第七異世界」そのものが特異性があることを示すようで気になるところです。
ラダッシュ村を襲う肉食の害獣に立ち向かう中で、より団結力を培った“海野”たちですが
思わぬ流れで南楼王国の政治事情に巻き込まれることに。選択を迫られる彼らが選んだ道の
行く末と共に、それを選ばせた人物の真意も注目で目が離せません。早く続きを、よしなに。