2017年08月24日

『異端の神言遣い2 俺たちはパワーワードで異世界を革命する』

佐藤了 先生が贈る異世界召喚ファンタジー。第2巻は獣人たちが治める街に腰を据えた
“駿介”たちが街のある住人の、そして街全体が抱える問題に毅然と対処していきます。
(イラスト:武藤此史 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047347205/


黒髪に生まれた猫の獣人は強い魔力を持ち、かつて魔王軍に数多く参加した経緯から広く
忌避され、差別対象とされる。それは獣人の街「ボルスモル」でも同じ。興行で金を稼ぐ
“駿介”たちが、黒猫“ミア”が暴力に晒される場面を目撃することでどう動くかが焦点。

一方、獣人の街には隣国にして大国「サンズガルド」から侮蔑の目で見られ、かの国から
やってきた“ダイン”の横暴で横着な扱いを受けていると知った“駿介”たち。更には
街を調査する“バロン”から街の子供たちが攫われる事件の説明を受け、静かに動き出す。

女性陣からにじみ出る好意。それは受けられないと頑なな姿勢を貫く“駿介”。その彼を
兄替わりに慕う“ミア”。様々な好きと嫌いの想いが交錯して事件を解決するまでの流れ
はとても素直で読みやすく、面白いです。ちゃんと続き出ますよね? 楽しみにしてます。

posted by 秋野ソラ at 00:36 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月23日

『レーゼンシア帝国繁栄紀2 〜人形姫に微笑みを〜』

七条剛 先生が贈る、気高き偽皇帝の国家繁栄ファンタジー。第2巻はイーシア王国にある
不穏な動向から“ファム”が置かれている状況を知り、“シュウ”が対応に乗り出します。
(イラスト:ゆきさん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392913.html


ツンツンされながらも仲を育んでいる“リレア”と“シュウ”を横に「好き」という感情に
悩む“ファム”。彼の女性関係にヤキモキする“シルフィ”。婚約者候補たちとのハーレム
を望む“ユーリス”。想いを受け止めるべきではないとする彼の葛藤が羨ましくも妬ましい。

そんな中、イーシア王国から“ファム”を呼び戻す要請があったり、いかにも思惑ありげな
人物との出会いがあったり、そして挿絵のアレが思わしげだったり、と彼女の置かれている
状況が見えてくると「好き」という感情に悩むのもよく分かります。この描写が絶妙ですね。

コミカルなオチかと思いきや、しっかりとシリアスな場面にも繋ぐことで展開にメリハリが
ついてますし、伏線の張り方と回収の仕方も丁寧で、話の構成が綺麗にまとまっています。
最後に魅せた“ファム”の笑顔に満たされつつ、あの引き。“シュウ”の受難は続きます。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月22日

『デーモンロード・ニュービー 〜VRMMO世界の生産職魔王〜』

山和平 先生の「第9回GA文庫大賞・優秀賞」受賞作。VRMMOでも趣味の園芸を満喫しよう
とする少年がなぜか魔王、しかも絶世の美女になったことで騒動に巻き込まれていきます。
(イラスト:伊藤宗一 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797392821.html


何千、何万というプレイヤーの中から10人の魔王が選出され、イベントを通じて戦うことに
なる「ダブルワールド・オーバークロス(WWOX)」。性別詐称もできないはずのこのゲーム
において魔王“アキカ”として選ばれた兄は妹“リオ”に何と説明すれば良いのやら──。

冒頭から持ち前の強運を見せつけた“アキカ”が、公式チートと呼ばれるメリットを享受
しつつ仲間にも恵まれてVRMMO内での成長を、農場も含めて楽しんでいる様子が微笑ましい。
時折、垣間見える岩手ネタやサブカルネタは 山和 先生の持ち味、といった所でしょうか。

冒頭で仲良く戦う“アキカ”と“リオ”の場面にどう辿り着くのか。プレイヤーとして成長
していくと共に魔王として共闘を進める“アキカ”の周囲を彩る登場人物たちとのやりとり
ですとか過去の経歴などが折り重なって実に読みやすい作品です。続きが楽しみであります。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月21日

『ゼロから始める魔法の書X ーゼロの傭兵〈下〉−』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第10巻は“ゼロ”から有無を言わさず別れを
告げられた“傭兵”がその理由を知るため、彼女の後を追うべくあらゆる手を尽くします。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-893274-5/


自分の弱さを痛感してもなお無謀な道を行こうとする“傭兵”を友として止める“神父”
の折れ具合にまず目を見張ります。かつて「好き」の理由を問うた“ゼロ”と“傭兵”の
やりとり、それが“泥闇の魔女”と対峙するまで何度も活きてくる展開が印象に残ります。

“ゼロ”が「ゼロの書」を書く。その結果に至るまでの過去、仕組まれた迂遠な計画など
色々と明らかになりました。だからこそ今の“ゼロ”が、そして“傭兵”がいると思うと
感慨深い。無茶する2人を心配する“リーリ”や“アルバス”の気持ちも分かるものです。

“オルルクス”も順当な末路を辿り、「名も無き英雄」を受け入れると決めた教会の未来
もあずかり知らぬまま“ゼロ”と“傭兵”も見事に落ち着いての第一部完、お疲れ様です。
第二部はぜひ作品名を少し改めて、新たな再出発を果たしてほしい。楽しみにしています。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年08月18日

『伊達エルフ政宗4』

森田季節 先生が贈る異世界転生×戦国ファンタジー。第4巻は“織田サタン信長”打倒を
目指し東西から攻める“政宗”たちの戦略は成功するか。物語もクライマックスを迎えます。
(イラスト:光姫満太郎 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797390186.html


諸大名を味方につけたとは言え、織田家家臣たちもそれに劣ることなく。緊迫の度合いが
増す中で“景綱”が遂に“勇十”へ想いを告げてしまいます。それを見た“政宗”の暴走
する様子が彼女自身の不安定な心境を象徴するかのようで何とも不安要素がいっぱいです。

史実と同様、鍵となる“光秀”の説得にあたる“義昭”の情けなさはご愛敬として、なお
力を圧倒する“信長”を前に絶望感が漂う局面を迎える“勇十”はイヅナ法を使いこなし
窮地を引っくり返せるか。“政宗”の想いと共に大活躍する彼の奮闘ぶりがまさに見所。

“景綱”らが“勇十”に決めてほしいこともしっかりと決着をつけて大団円と言えます。
巻末の「戦国武将列伝」にある通り最新の学術研究も交えて設定を組み合わせた絶妙な
バランスは、ここまでこじつけられたら何も言えない。脱帽です。完結お疲れ様でした。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル