2017年07月18日

『冴えない彼女の育てかた Girls Side3』

丸戸史明 先生のメインヒロイン育成コメディ。本編12巻、“倫也”がサークル不在の間に
示した“恵”の決意、それに対する女性陣の反応や機微を描いた挿話を収録した一冊です。
(イラスト:深崎暮人 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321702000732


フラットで感情表現が適当、そういう自分だと思い込まなければその胸に根付いた想いは
止められない。「巡璃」という設定を通じて仲間にも親友にも譲らないと宣言する彼女は、
「転」なんていらないと涙する彼女は間違いなくヒロイン。これ本編ですよね、ある意味。

“詩羽”が間接的に“恵”の様子を探ることで悟ってしまった己の立ち位置、“英梨々”
という存在の価値。幼なじみはどこまで報われないのか、涙する彼女に切なさが溢れます。
“恵”の天敵たる“伊織”からしてみれば何もかもお見通しだったのかもしれませんが。

「icy tail」メンバーによる曲作りと称して関係図を整理していただいたのも助かります。
“出海”はキャリアアップに繋がりましたし、“美智留”は今のスタンスを良くも悪くも
貫くものと思われます。最高のガールズサイドでした。本編完結を楽しみにする次第です。

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2017年07月17日

『回復術士のやり直し 〜即死魔法とスキルコピーの超越ヒール〜』

月夜涙 先生が贈る新作はリベンジ・ファンタジー。勇者たちに人としての尊厳を奪われる
ほど虐待された回復術士が、「回復」の技術を極めて復讐を果たしていく過程を描きます。
(イラスト:しおこんぶ 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321702000344
http://ncode.syosetu.com/n3512ds/
https://kakuyomu.jp/works/1177354054883006619
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS11000027010000_68/


「回復」しか使えない【癒】の勇者“ケヤル”。【術】【剣】【砲】の各勇者を支えて
魔王討伐を果たす、まさにその瞬間に彼は裏切る。薬漬け、性的な虐待、暴力をその身に
加え続けてきた勇者たちに復讐するため。回復術士の力を駆使し、雪辱を果たす──。

「回復(ヒール)」という言葉に様々な意味と能力を持たせることで“ケヤル”の復讐に
可能性を持たせたこと。その手始めとして時の流れを戻し、綿密に計画を立て、いつその
瞬間を迎え入れるのかギリギリまで引っ張る緊迫感、彼の執念に目が離せなくなります。

いざ決行となり堰を切るかのように行動する“ケヤル”が“フレア”の運命を狂わせる
描写など中々に過激なところを見せてきます。まさに本作の売りとなる「復讐」が時を
経て意味合いをどう変えてくるのか気になりますし、続きが実に興味深いシリーズです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年07月14日

『君に恋をするなんて、ありえないはずだった そして、卒業』

筏田かつら 先生が贈るすれ違いラブストーリー。“恵麻”の不用意な発言を耳にし、再び
距離を置く“靖貴”に恋心は芽生えるのか。不器用すぎる二人のその後の顛末を描きます。
(イラスト:U35 先生)

http://store.tkj.jp/shop/shopdetail.html?brandcode=000000005136
http://ncode.syosetu.com/n8486bk/


“心菜”それ遅いわ・・・と言いたくなるくらいのタイミングで“靖貴”が豹変した理由を
察した“恵麻”。追い打ちのように、彼のことが好きだと告白する“中条”の登場で涙を
流す彼女の後悔と自責の念がひしひしと伝わってきて切ない。それもまた誤解なのですが。

“靖貴”の盗撮冤罪を颯爽と晴らす“木村”の思惑を感じ取りつつも素直になれない彼。
大学受験という人生の岐路で物理的にも分かつ道を選ぶ心情も理解できるが故にこのまま
終わる覚悟もしていたので、あの見開きに繋がる流れは印象的でしたし、救われました。

二人のその後を描く「春休み編」では遠回りした分、たくさん増えた寂しさや愛情を共に
抱えて再会する“靖貴”と“恵麻”の若気の至りが微笑ましく、また羨ましい。なんか、
という言葉に込められた意味の変遷が掴み取れて幸せな気持ちになれる素敵な結末でした。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年07月13日

『異世界お好み焼きチェーン 〜大阪のオバチャン、美少女剣士に転生して、お好み焼き布教!〜』

森田季節 先生が贈る新作は異世界転生ファンタジー。大阪出身在住、生粋のオバチャンが
お好み焼きの布教を託された異世界にて、美少女店長として快進撃を続ける顛末を描きます。
(イラスト:シソ 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/42okonomiyaki.php


炭水化物も野菜も肉も入っているお好み焼きで、食糧事情のよくない世界を救ってほしい。
不慮の事故で亡くなった大阪のオバチャン“ハルナ”は世界最強の美少女剣士として女神に
新世界ではなく異世界へと転生させられる。闊達な言動そのままに、まず街へ向かうが──。

イベント参加のため大阪周辺へ何度が足を運んだだけですが例えに挙がる関西ネタの数々に
思わず笑みが。“カレン”と衝突するやりとりとか定番すぎて思わず納得。ステータスにも
ある通り野球ネタも数々織り込んできて、何でもアリな設定とお祭り感が面白く、楽しい。

お好み焼きだけでなく手広く商売する“ハルナ”に振り回される“ナタリア”を筆頭に先生
らしい百合成分も補えるので、そういう面でもお薦め。シソ 先生の挿絵も独特の世界観を
伝える大役を見事に果たしております。あとがきで先生が示す観光案内もためになります。

posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年07月12日

『僕らが明日に踏み出す方法』

岬鷺宮 先生が贈る新作は青春ラブストーリー。「最善の一日」と思える一日を過ごすまで
同じ一日を繰り返すことになった少年と少女が悩み、もがき、前へと進む顛末を描きます。
(イラスト/しやまとうや 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892961-5/


「あの人」のためにコンクール一位入賞を目指す“中瀬”は、実力が追いつかず絶望して。
中学から4年、友達として接してきた少年から告白された“山田”は答えも出せず悩んで。
一日を何度でも納得いくまでやり直したい、そう思った所から二人のループが始まる──。

“中瀬”は練習に明け暮れながら、“山田”は繰り返す日々を堪能しながらループする要因
について検証する二人。偶然の出会いから分かってくるループのこと、互いの悩み、そして
解決に向けて協力していく二人が、時間を稼いだが故に知ってしまう想いが実に悩ましい。

ベストテイク──最善の一日を迎えれば超えられるループのはずが超えられないのはなぜか。
ループを終えた先に“山田”と“中瀬”に残るものは何か。非日常の日々を共に過ごした
からこそ迎えられた二人なりの結末に心温まるものが。実に素敵なラブストーリーでした。

posted by 秋野ソラ at 00:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル