2017年05月11日

『異世界監獄・楽園化計画 ―絶対無罪で指名手配犯の俺と<属性:人食い>のハンニバルガール―』

縹けいか 先生が贈る新作は、数多の世界と繋がる異世界監獄で目覚めた記憶喪失の少年が
史上最悪の指名手配犯として監獄世界と関わっていく囚人たちの異世界ファンタジーです。
(イラスト:Mika Pikazo 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631180-9


異世界監獄サクラメリス。そこに送られる者は皆、重犯罪者。更に囚人同士が闘技場で戦う
様子が好事家に受けて興行収入を生み出す場でもある。そこで目覚めた“トウ”は看守から
「史上最悪の指名手配犯」だと告げられる。記憶のない彼はただ困惑するばかりだが──。

監獄を人が統治するための異能力の源となるアニマウェア。序盤からヒロイン“ナギサ”が
持つそれに喰われる、という衝撃的な導入から彼女を始めとする囚人たちが背負う罪の根源
と向き合いつつ“トウ”がどんな罪を犯したのか、という謎の探索に惹き込まれていきます。

なぜ“ナギサ”との面識がある記憶がおぼろげに残っているのか。“奏”が看守でいられる
理由と動機は何か。そのあたりが結びついてきた頃、一気に動き始める話運びが実に上手い
と納得させられました。Mika Pikazo 先生の挿絵も魅力的で、オススメするに足る一冊かと。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年05月10日

『新宿コネクティブ1』

内堀優一 先生が贈る新作は、「依頼遂行率100%の何でも屋」の家主先に下宿する平凡な
少年が個性豊かな人たちを頼りに事件解決に奔走する、新宿系エンタメ・ミステリーです。
(イラスト/ギンカ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/723.html


新宿で「掃除屋」を営む“平三郎”は依頼人に対しても威圧的で内容によっては拒否する
こともある気分屋。彼をなだめながら“慶介”が依頼内容を確認すると、ある理由ゆえに
闇医者を探しているとのこと。雲をつかむような話で捜すきっかけに頭を悩ませるが──。

ありとあらゆるツテを活かし、新宿という場がもたらす独特の事件を解決していくことに
なる「掃除屋」の活躍がまず見どころ。そのツテとなる名門一族を担う中学生“胤正”や
ストーカー女子高生“清子”、地元の刑事など個性的なキャラクターたちも魅力の一つ。

「冤罪」の件は“主水”の個性が印象深かったですし「窃盗団」の件も新宿ならあり得る
内容でした。テーマ選びにも気を遣っているかと。「僕だって彼にかなうとは思わない」
口絵にて“胤正”が嘯く真意も最後まで読めば分かるはず。楽しみなシリーズの登場です。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年05月09日

『ノウ無し転生王の双界制覇』

藤原健市 先生が贈る新作は、魔法後進国の日本で他国の姫を救い魔力を失ったノウ無しの
元神童が、独学で学んできた魔法を駆使して苦境を覆していく逆転魔法ファンタジーです。
(イラスト:猫猫猫 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631182-3


“ルナリア”王女暗殺事件を未遂に終わらせた“錬”は代償としてほぼ魔法が使えない身
となるものの、国立魔法技術学院に編入する機会を得る。編入早々やっかみを受ける彼を
救ったかつての王女から突如こう告げられる。「御身に、娶られに参りました」と──。

秘密があると公言する“錬”の同居人“紫音”。面識があると言うが彼には覚えのない
“アリス”。妹を見守る第一王女の“ソニア”と口には出さないが思う所ある第一王子
“カミル”。「敵」が自尊心あふれる“道長”に罠を仕掛けてくる辺りからが熱いです。

魔法を教えてきた“グロリアス”と共に“錬”が敵と立ち向かう、その最後の切り札を
“ルナリア”の秘密が担う展開も見事な演出。魅力的な魔方陣が描ける方を求めていた
ということで 猫猫猫 先生を選ばれたのも納得です。続きがあるなら読んでみたいです。

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2017年05月08日

『覇剣の皇姫アルティーナXII』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第12巻は“アルティーナ”と一触即発
の状況を迎えても余裕の“ラトレイユ”が新皇帝に即位し、新たな時代の流れを呼びます。
(イラスト:himesuz 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047345423/


口絵の“レジス”があんな姿ではありますが、まずは嬉しい一面でした。第四軍は彼不在
だとここまで上手く回らないのか、と冒頭の挿話で改めて認識しました。悔しがるも次を
見据える“アルティーナ”に大役を預ける“ラトレイユ”が度量の大きさを見せつけます。

南部戦線へ向かうことになる“レジス”たちが帝国の情勢を整理する場面が今後の運命を
左右するかのようで興味深い内容で続きが気になります。そして、彼が生きていたことを
静かに、けれど心より喜んだ“クラリス”の機微が印象に残りました。彼女らしい挿絵も。

巻末収録の外伝は“ジェローム”が主役。圧倒的な劣勢下にある東部戦線の城塞都市で
死なないための「本気」を魅せてくれる彼の横暴ぶりが楽しめます。最後に“レジス”の
手玉に取られてしまうのも実に彼らしい、というか同情の念が。応援したくなりました。

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2017年05月05日

『友人キャラは大変ですか?2』

伊達康 先生が贈る名助演ラブコメ。第2巻は“一郎”に宿る彼そっくりの魔神“トウテツ”
や新しい奈落の使徒が出てきたり、で友人キャラの立ち位置が崩れる彼の苦難が続きます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516753


ということでラスボスになってしまった“一郎”の苦労も知らず“龍牙”萌えを熱弁する
“トウテツ”のおよそ魔神らしくない言動から大いに調子を狂わされる場面から始まり、
“魅怨”ほか“呪理”“忌綺”も居候として加わり見ている分には面白いことこの上ない。

更に“龍牙”たちの“一郎”に対する好感度も上がり続けて、エロい方向に物語を倒さず
何とか乗り切っていく彼の努力に思わず同情・・・しかけますが、うらやまけしからんのは
相変わらず。しかし、“杏花”からの相談が思わぬ真実と緊迫の局面を突きつけてきます。

ラスボスとして“龍牙”と戦わなければ引っ込みがつかなくなってしまった“一郎”が、
物語の第二部として、どう落としどころをつけようと決めたのか。その点を読んでご確認
いただきたい。“トウテツ”がオイシイ部分を持って行ったその先が気になるところです。

posted by 秋野ソラ at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル