2017年05月31日

『ぼんくら陰陽師の鬼嫁 二』

秋田みやび 先生が贈る、退魔お仕事仮嫁語。第2巻は“皇臥”のもとに“芹”の友人から
悪霊憑きの依頼が舞い込み、今回もまた尻込みする彼を、彼女が嫁として奮い立たせます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321610000573/


“本間”が主催する「廃墟研究会」の活動に同行したことを契機に黒く長い髪にまとわり
つかれる症例が増えた“沙菜”。彼女を助けるべく動いてくれる“皇臥”が何やかんやと
言いながら優しい。格好良いかと言われると今回も首をかしげたくなるため実に悩ましい。

今回は新しい式神として朱雀の“錦”、普段はシナモン文鳥を形どっているためその差異
が激しい彼が参加することで“祈里”の抱える問題点が浮き彫りとなります。“皇臥”が
彼女にとやかく言うのもおこがましい気がして、“芹”の語る想いに共感しておりました。

“沙菜”たちを障る根本を断つために元凶となる村を訪れた“皇臥”が切り札として用意
したアレがいかにも彼らしくて苦笑い。願わくば“祈里”の頑固な認識を“芹”が解して
くれることを願ってやみません。そして契約結婚が真の関係に至ることを期待したいです。

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2017年05月30日

『はたらく魔王さま!17』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第17巻は正社員になる機会を
逃した“真奥”が山積する魔界の問題を前に残るのか戻るのか、大事な選択を迫られます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892892-2/


「魔王が正社員になる」というコメディ要素がここまで物語を大きく左右するシリアスな
キーワードになるとは。“芦屋”や“漆原”だけでなく、“恵美”や“千穂”たちも彼を
気遣う場面がそこかしこに見られて“真奥”も幸せ者だな、と改めて感じさせてくれます。

一方、“木崎”が異動になる、ということで彼女にもそれなりに悩むところがあることが
分かり、より人間的な魅力が増したように感じます。彼女から“真奥”たちに告げられた
言葉をどう噛みしめるか、も今回の話の中で重要な軸を担うことになるので要チェック。

本当に気苦労の絶えない“真奥”が下した決断と誠意を前に“恵美”が思わず相好を崩す
様子が可愛らしくて微笑ましくて。そんな和やかな雰囲気をぶち壊す、やるせない引きに
不安がいっぱいで気を揉みます。次巻はそう間をあけずに刊行されることを願うばかり。

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2017年05月29日

『暴血覚醒《ブライト・ブラッド》』

中村ヒロ 先生の「第8回GA文庫大賞・奨励賞」受賞作。血を使う魔法を学ぶ学園で奴隷の
ような扱いを受ける弱き男子学生たちが反抗戦を仕掛けていく青春学園異能バトルです。
(イラスト:加藤いつわ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391787.html


元女子高である私立赤百合学園に入学し、あふれる期待と下心を胸に門をくぐる“弥彦”。
そこへ女子代表の美少女“藤堂”らが交流の一環として持ち掛けてきた「血戦」の賭けに
のって、負けた彼らが目にしたのは、奴隷として彼らを蔑む冷血少女の一面だった──。

ものの見事にハメられた“弥彦”たちの知れば知るほど力量の差があることに愕然とする
展開を転入生の少女“灯花”が崩してくれるか・・・と思えば彼女もある問題を抱えていて
頭を悩ませます。ここで血魔法がもつ特性と“弥彦”も知らない彼の秘密が鍵を握る訳で。

徹頭徹尾、悪役たる“藤堂”たちに反抗しきれるのか、手に汗握る熱い展開がまさに見所。
幼なじみの“睦紀”が報われてほしいな、とも思いますが話の流れとして致し方ないかと。
よく纏まっている上に余韻でも魅せてくれますし、お薦めできる新人賞作品だと思います。

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2017年05月26日

『信長の妹が俺の嫁 3 戦国時代に芽吹く命と散る命』

井の中の井守 先生が贈る歴史ファンタジー。第3巻は織田信長の手で九死に一生を得る
“長政”が、その裏に込められた“半兵衛”の願いを知って、様々な考えを巡らせます。
(イラスト:山田の性活が第一 先生)

http://nox-novels.jp/bibliography/20170323-2/


窮地の連続で、選択を一つでも間違えれば死あるのみ。そんな極限下で生き延びた“長政”
がクズっぷりを見せつける“龍興”に「これでもか」と怒りをあらわにする場面が印象に
残りました。スカッとしましたし。それ故に“半兵衛”が想いをぶつけるのも頷けます。

死の淵を見た直後だからこそ、浅井と織田の両家に関わる吉祥も生まれる、というもので。
ご無沙汰だった“長政”と“市姫”が求めあう姿は、これまで以上に愛欲あふれるものが。
滾るものをどうしたらいいか悩む彼の姿勢に彼女を一途に愛する様が窺えて胸中複雑です。

処世術、といった打算ではなく“信長”に信と義を貫く“長政”の更なる躍進を期待する
流れの中、この世界が既知の戦国時代と異なることを見せつける新たな危機は物語をどう
動かすか気になります。あと巻末の書き下ろしが、もう初々しくて思わずニヨニヨします。

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2017年05月25日

『カロリーは引いてください! 〜学食ガールと満腹男子〜』

日向夏 先生が贈る新作は、大学の人気者だが体重108kgの巨漢と、彼の食事を世話すること
となった幼馴染で学食勤めの女性が学内のお悩み解決に関わる満腹グルメストーリーです。
(イラスト:時々 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321701000517/


太っていることをポジティブに捉える“雪人”の食事に気を配って、あわよくば体重減量を
図るよう彼の母“響子”に依頼された“楓”は日々の献立に頭を悩ませる。そんな彼は大学
で悩み相談や揉め事をあっさりと解決したりする、謎多きハイスペックな巨漢なのだ──。

表紙絵ではチラッとSDキャラで登場していますが、作中では挿絵で描かれることはないので
「ハイスペックな巨漢」が変なイメージで固着されないのは大きな利点だとまず感じました。
隙あらば食べようとする“雪人”と、阻止しようとする“楓”とのやりとりが微笑ましい。

「お悩み」の内容も、人間関係や生活環境など、大学生活を続けていれば起こり得る内容な
だけに親近感が沸きます。ちょっと厄介な話でも解決に結びつけていく“雪人”の有能ぶり
と彼に振り回される“楓”の機微の描写をご堪能あれ。ぜひ続きが読みたい作品であります。

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2017年05月24日

『悪逆騎士団II そのエルフ、凶暴につき』

水瀬葉月 先生が贈るダークファンタジー。第2巻は結晶総合業者・ジェヴォーダン一家が
蛮都にはびこるようになって変わっていく様子を前に“アリシア”たちが立ち向かいます。
(イラスト/ももこ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892881-6/


蛮都で行われる会合に臆することなく乗り込み堂々と営業活動をしてのける“アレックス”。
結晶法使いの彼がもたらす結晶の商品によって街の住人があからさまに怪しい恩恵を多数
享受することになります。もちろん、後々で悪意に晒されますのでご期待いただきたい所。

そんな中、巨大な歯形で喰われる冒険者が続出する森の魔獣退治に臨む“アリシア”たち
が新たな出会いと暗躍する一家の側面を垣間見たことから、再び悪逆騎士団として敵認定
していくことになる訳ですが、相手も根回し十分で一筋縄ではいかない展開が楽しめます。

今回は出番が少ないな、と思っていた“ベルガラン”が意外な形で話の軸を担う話運びは
興味深く、“アリシア”が今回直面する最大の危機をどう回避したのか、そもそも彼女の
野心はどうなるのか、といった気になる要素も残しているため、続きに期待が高まります。

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2017年05月23日

『ネット小説家になろうクロニクル 3』

津田彷徨 先生が贈る、ネット小説投稿サイトが舞台の青春サクセスストーリー。第3巻は
デビュー作に突き付けられた過酷な現実を経て“昴”が作家として更なる成長を遂げます。
(イラスト/フライ 先生)

http://seikaisha.co.jp/information/2017/04/21-post-netcro3.html


“昴”の刊行作が打ち切りとなった理由の分析に始まり、再びハングリー精神を取り戻す
過程で同業者と会話する様が 蝉川夏哉 先生のファンミーティングに参加した際の雰囲気
を彷彿とさせて思わずニヤリ。しかしそこから彼が義憤を見せる業界の闇を垣間見る形に。

その義憤は小説を公開できる「ベコノベ」への愛を裏打ちすると共に現実でも同じ想いを
抱いているであろう 津田 先生の情熱が伝わってくるかのようで。彼が打ち出す一手一手
に胸を熱くしながら“昴”が作家として成長し駆け上がっていく様子を見守り続けました。

作家としてだけではなく、書店側や読者の目線でも「ネット小説」の現状や問題点などを
提示し、指南書としてだけでなくサクセスストーリーとしても十分に纏まっていることに
感服しました。充足度の高い読了感をぜひ皆さんも味わってみてください。お薦めです。

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2017年05月22日

『終わる世界の片隅で、また君に恋をする』

五十嵐雄策 先生が贈る新作は、世界から存在自体が忘れ去られる病気に罹患した患者が
望む、最後の願いを叶える部活を営む二人の男女高校生にまつわる恋愛ストーリーです。
(イラスト/ぶーた 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892903-5/


保健室登校を続ける“桜良”先輩との「ある約束」を起点に“アキ”が部長として始まる
「忘却病相談部」の活動は、学校内で「忘却病」患者向けの便利屋として知られていく。
満更でもない先輩の喜ぶ顔に隠された部活動の真意を、彼はまだ知る由もなかった──。

いつ起こり、どう蔓延したかも分からない「忘却病」の空恐ろしさを冒頭で見せつけつつ
デートをしてと願う“枝織”、家族として生活してほしい“千紗”、忘れられた親友を
思い出させてくれと頼む“莉奈”の依頼を経て、その悲しみを目の当たりにさせられます。

そして数々の依頼をこなしてきた“桜良”からの不意打ちとも言える宣告。「忘却病」に
ついて気付きを得た彼女からの「依頼」に“アキ”はどう応えるのか。冒頭のシーンと
タイトルがフラッシュバックする結末が胸に余韻を残す秀作でした。オススメの一冊です。

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2017年05月19日

『いづれ神話の放課後戦争〈ラグナロク〉6 ─魔眼の王と女神覚醒─』

なめこ印 先生が贈る学園ヒロイックバトルサーガ。第6巻は最終決戦を前に女性陣からの
想いを受け止める“雷火”が思いも寄らぬ真実を告げられ人生最大の岐路に立たされます。
(イラスト:よう太 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321612000732


“ブリュンヒルデ”からの告白の理由を聞いてしまうあたり、いかにも“雷火”らしいと
言うか何というか。“シャロ”との交互デートがもうこそばゆくてたまらない。他にも
“マリア”など大小あれど好意と行為を寄せられていて、“雷火”爆発しろ案件でした。

神話代理戦争の終わりが見えてきた、その時に“國崎”ではなく“天華”が“雷火”たち
の前に現れた理由。戦いが終わった後、どうするのか。直前になって自問自答する破目に
陥った彼に更なる厳しい事実が突き付けられる、という何とも不遇としか言いようがない。

最終局面にして仲間にあっさりと「毒」を飲ませてくるあたりは“雷火”にも考えあって
のこととは思っておりましたが、ここまで吹っ切れてくれるとは。“ブリュンヒルデ”の
物語でもあったかな、と思いつつココから次へどう繋いでいくのかが気になるところです。

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2017年05月18日

『自称Fランクのお兄さまがゲームで評価される学園の頂点に君臨するそうですよ?』

三河ごーすと 先生が贈る新作は学園ゲーム系頭脳バトル・ストーリー。裏世界のゲームで
最強を誇る少年が突如引退を決め、普通の学園生活を送るべくふるまおうとする物語です。
(イラスト:ねこめたる 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1532


小学校卒業までの学歴しかない“紅蓮”は裏世界の「遊戯」で知り合った“創芽”が運営
する「私立師子王学園」への入学にこぎつける。だがそこは勝負事で全てが決まる異様な
高校。過去を捨てた彼には不愉快な話だったが、構わず青春を謳歌しようと振舞う──。

兄のことが好きすぎる“可憐”の異常さで軽くジャブを打ってきたかと思えば、いきなり
クラス内でイカサマな賭けで身を落とそうとする級友の姿を見せつけてくる衝撃的な導入。
我関せず、非情に努めようとする“紅蓮”がそこに肩入れする所に彼の本質を垣間見ます。

裏世界に身を置いていた“紅蓮”からすれば児戯に等しい学園内の賭け事と、その敗北で
背負う代償が見合わないと判断した彼が見せる本気が圧倒的で空恐ろしさを感じさせます。
彼を勝負事に引き戻そうとする数多の思惑に打ち勝てるのか、先行きが気になる所です。

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2017年05月17日

『アイドル稼業、はじめました!』

岩関昂道 先生が贈る新作は、好きになった若手女優と再会すべく芸能界入りを決めた少年が
女子アイドルグループとして業界の荒波に揉まれるガール・ミーツ・ガールストーリーです。
(イラスト/こうましろ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892823-6/


高校生となり、朝の公園で偶然知り合った名も知らぬ少女に想いを寄せる“利生”。ある日
彼女が女優の“あおい”だと知り、早速オーディションに臨む彼はその芸能事務所の社長に
仕向けられたある物が原因で女の子になってしまう。彼は社長の元へ直談判に向かうが──。

何の因果か“リセ”として“みつき”や“兎”と共に女の子としてアイドル活動を始める
“利生”が、“あおい”と急接近する境遇を得たかと思えばイケメン俳優から不倫相手と
ウソの会見で嵌められたを知り、撤回させるべく業界の闇と戦っていく話運びが予想外。

明らかに怪しい俳優“亜蘭”を追究しようと伝手を得たかと思えば手のひらを返され次第に
悪役のような立ち位置に追い込まれる“リセ”に救いの道はあるのか。“利生”の想いは
“あおい”に届くのか。緊張感あふれるアイドル稼業の顛末をぜひご確認あれ。お薦めです。

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2017年05月16日

『おいしいベランダ。 2人の相性とトマトシチュー』

竹岡葉月 先生が贈る大好評・園芸ライフラブストーリー。第2巻はお隣さんの園芸男子
“葉二”から突然の交際宣言を受けた“まもり”の振り回されまくる新生活を描きます。
(イラスト:おかざきおか 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/sp/201607veranda/


「じゃあもうこのさいだ栗坂」「なんです?」「つきあうか」・・・キュンキュンするわコレ。
いつの間にか“葉二”の庭の菜園で採れたものを使った料理で食卓を共にする仲になった
二人が一足飛びに恋人同士の関係となって読み手としても驚かされるばかりの出だしです。

そこへ“葉二”の出張中に合鍵を持たされた“まもり”が甥御である“北斗”とばったり
遭遇することで、“葉二”の家族関係や新しく見えてきた価値観などを垣間見ることにも
繋がり興味深いものがあります。普段は窺い知れない“まもり”に対する真剣さ、とかも。

対する“まもり”は相変わらず意地悪なところは変わらない“葉二”の様子に一喜一憂する
上にちょっとしたすれ違いを引き起こしますが、その要因を彼から説明されると「確かに」
と言わざるを得ない訳で。まだ余裕な彼の姿勢を彼女は崩すことが出来るか、楽しみです。

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2017年05月15日

『夜桜荘交幽帳 さよならのための七日間』

井上悠宇 先生が贈る新作は、死後の裁判で地獄行きと決まった姉の幽霊と再会させてくれた
鬼から無実を証明するために閻魔帳作りを持ちかけられる少年の数奇な運命を描く物語です。
(イラスト:こずみっく 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/product/321611000621/


明朗快活で人気者な姉とは対称的に内向的で地味な“春馬”。交通事故で死んだ姉の手紙に
導かれて訪れた夜桜荘にて、鬼の“薄録”から姉の地獄行きが決定したと教えられる。姉の
吐いた嘘が鍵となるため調べる必要があるが、姉からはなぜか協力できないと言われ──。

閻魔帳の提出期限は七日間。なのにもう一冊「別の閻魔帳を作ってみろ」と促す“薄録”。
無実を信じて足掻く「人の苦しむ様が見たい」と嘯く“薄録”の真意が掴めぬまま夜桜荘の
幽霊たちと“春馬”が交流し、彼ら彼女らが断じられた罪を追究し、次々に救っていきます。

それぞれが抱える「罪」の意味に驚かされたり、共感したりを経て、やがて迎える七日目。
姉の嘘に込められた想いは何か。姉の想いを“春馬”はどう受け止めるのか。そもそも姉の
無罪は成立するのか。思わずグッとくる結末はまさに見どころ。オススメできる一冊です。

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2017年05月13日

「書店拝見! 〜BOOKプラザ文華堂〜」

湘南台駅近くにある「BOOKプラザ文華堂」にお邪魔してきました。ブックマネージャーの
藍原さんにお忙しい中にも関わらずスタッフルームでお話もさせていただいて貴重な体験
をしてきました。ちょっと思う所がありましたので、記事にまとめておきたいと思います。

http://book-bunkado.com/


ラノベの棚で歯抜けが少ないな、と初見で感じました。シリーズが揃っているほうが手に
取りたいと思いますので好感触です。その分、棚に置ける作品も限られてくる訳ですが、
この辺りは取捨選択というか、究極の選択に至る部類の悩みなのでむずかしいところです。

ラノベの棚の横に四六判やB6判の、いわゆる「新文芸」の作品も幅広く押さえているので
ありがたい。「ホワイトブックス」まで確保しているのは郊外店として見ても珍しい部類
ではないでしょうか。藤沢まで行かなくてもある程度のものは手に入ると言えるでしょう。

非ラノベにあたる「メディアワークス文庫」などは一般文芸の棚に紛れ込んでしまう形に
なるため、こちらは「探すぞ」という事前の備えが必要になると思います。確保するなら
面陳されているうちに。アマラ先生の文庫落ちした「猫と竜」とか目立つほどありました。


その後、藤沢にある「ジュンク堂」と「有隣堂」にも足を運んだのですが、ライトノベル
と新文芸は別の階にあったり、フロアが全然違う所へ分かれてしまっていたり、と大型店
だからといって理解されているものではないのだな、という一面を垣間見てしまいました。

藍原さんも頭を悩ませていましたが、新興レーベルの本をライトノベルの棚の近くに置く
べきか否か。例えば「富士見L文庫」などはラノベの棚の近くに置いた方が読者の親和性が
強いのではないかと私は考えています。両方に書いている作家さんも確かにいる訳ですし。

もちろん異論、別論はあると思います。書店の面積が、とか棚数の誓約が、とか。そこは
むしろ書店員さんが普段来られる利用者のニーズを捉えて仕掛けていくべき点もあるはず
ですので。まさに腕の見せ所。愛のある棚が見られるとユーザとしても嬉しく思えます。


「BOOKプラザ文華堂」さんは本を並べるだけではなくて、拡販素材も所々使っていますし
作家さんからのサイン色紙のような素材も並べてアピールもされているので十分に力は
入れてくださっていると感じました。忙しくて手製POPが作れないのが悩みのようですが。

これは会話の中でも事例として挙げましたが、「Twitter」で推しの本とそのコメントを
募ってPOPにするというやり方もありますよ、と。今や月に100冊単位で刊行される作品を
すべて網羅するのは土台無理な話なので、協力できる場面があるならしていきたいもの。

小売りの最前線に立つ書店員さんも、ユーザとしての読み手も、そして本を提供し続ける
出版社側も、何か協力し合って共に利へつながるといいですね。そんな話もさせてもらい
ました。一介のラノベ読みが何を語っているんだ、という話ですけど。まぁそんな感じで。


あらためて時間を割いていただいた藍原さんに御礼を。将来の夢として語っていただいた
「いつか、BOOKプラザ文華堂でサイン会を開催してみたい」という願望が叶うことを祈念
しつつ、地域一番店となるべく頑張る藍原さんを遠方から応援して本文を締め括ります。

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2017年05月12日

『魔王の始め方 5』

オンラインゲーム事前登録キャンペーン中! 笑うヤカン 先生が贈るダークファンタジー
第5巻は親子喧嘩をしたり、新しい国へ侵攻したり、と“オウル”の活躍ぶりを描きます。
(イラスト:新堂アラタ 先生)

http://ktcom.jp/bn/bn032
http://novel18.syosetu.com/n6426w/
http://www.comic-valkyrie.com/modules/web_valkyrie/maouno/
http://www.dmm.co.jp/netgame_s/maou/


ダンジョンを駆使した壮大なる親子喧嘩ぶりにダンジョン馬鹿っぷりがあふれております。
今回、新しい住人を迎え入れることで本国との繋ぎをつけられたのが大きい。それに加えて
“マリー”が事あるごとに見せる能力の片鱗に今後の命運が左右されそうで興味津々です。

前触れなく訪れた“ザナ”の登場でヒムロの国とサハラの国の諍いに介入する“オウル”。
彼女の落差が中々強烈で面白かった。今後苦労しそうな予感がして同情の念を禁じ得ない。
今回も“ローガン”がイイ所を魅せてくれています。問題山積な物語の続きも楽しみです。

同時刊行となる 小宮利公 先生のコミックス3巻も拝読。“ユニス”から好意を寄せられる
“オウル”が彼女の資質への不信を募らせる中、彼女が物語の鍵を担うまでが描かれます。
既刊コミックスの度重なる重版ぶりがスゴくて、裸体率も高めでオススメできる内容です。

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2017年05月11日

『異世界監獄・楽園化計画 ―絶対無罪で指名手配犯の俺と<属性:人食い>のハンニバルガール―』

縹けいか 先生が贈る新作は、数多の世界と繋がる異世界監獄で目覚めた記憶喪失の少年が
史上最悪の指名手配犯として監獄世界と関わっていく囚人たちの異世界ファンタジーです。
(イラスト:Mika Pikazo 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631180-9


異世界監獄サクラメリス。そこに送られる者は皆、重犯罪者。更に囚人同士が闘技場で戦う
様子が好事家に受けて興行収入を生み出す場でもある。そこで目覚めた“トウ”は看守から
「史上最悪の指名手配犯」だと告げられる。記憶のない彼はただ困惑するばかりだが──。

監獄を人が統治するための異能力の源となるアニマウェア。序盤からヒロイン“ナギサ”が
持つそれに喰われる、という衝撃的な導入から彼女を始めとする囚人たちが背負う罪の根源
と向き合いつつ“トウ”がどんな罪を犯したのか、という謎の探索に惹き込まれていきます。

なぜ“ナギサ”との面識がある記憶がおぼろげに残っているのか。“奏”が看守でいられる
理由と動機は何か。そのあたりが結びついてきた頃、一気に動き始める話運びが実に上手い
と納得させられました。Mika Pikazo 先生の挿絵も魅力的で、オススメするに足る一冊かと。

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2017年05月10日

『新宿コネクティブ1』

内堀優一 先生が贈る新作は、「依頼遂行率100%の何でも屋」の家主先に下宿する平凡な
少年が個性豊かな人たちを頼りに事件解決に奔走する、新宿系エンタメ・ミステリーです。
(イラスト/ギンカ 先生)

https://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/723.html


新宿で「掃除屋」を営む“平三郎”は依頼人に対しても威圧的で内容によっては拒否する
こともある気分屋。彼をなだめながら“慶介”が依頼内容を確認すると、ある理由ゆえに
闇医者を探しているとのこと。雲をつかむような話で捜すきっかけに頭を悩ませるが──。

ありとあらゆるツテを活かし、新宿という場がもたらす独特の事件を解決していくことに
なる「掃除屋」の活躍がまず見どころ。そのツテとなる名門一族を担う中学生“胤正”や
ストーカー女子高生“清子”、地元の刑事など個性的なキャラクターたちも魅力の一つ。

「冤罪」の件は“主水”の個性が印象深かったですし「窃盗団」の件も新宿ならあり得る
内容でした。テーマ選びにも気を遣っているかと。「僕だって彼にかなうとは思わない」
口絵にて“胤正”が嘯く真意も最後まで読めば分かるはず。楽しみなシリーズの登場です。

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2017年05月09日

『ノウ無し転生王の双界制覇』

藤原健市 先生が贈る新作は、魔法後進国の日本で他国の姫を救い魔力を失ったノウ無しの
元神童が、独学で学んできた魔法を駆使して苦境を覆していく逆転魔法ファンタジーです。
(イラスト:猫猫猫 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631182-3


“ルナリア”王女暗殺事件を未遂に終わらせた“錬”は代償としてほぼ魔法が使えない身
となるものの、国立魔法技術学院に編入する機会を得る。編入早々やっかみを受ける彼を
救ったかつての王女から突如こう告げられる。「御身に、娶られに参りました」と──。

秘密があると公言する“錬”の同居人“紫音”。面識があると言うが彼には覚えのない
“アリス”。妹を見守る第一王女の“ソニア”と口には出さないが思う所ある第一王子
“カミル”。「敵」が自尊心あふれる“道長”に罠を仕掛けてくる辺りからが熱いです。

魔法を教えてきた“グロリアス”と共に“錬”が敵と立ち向かう、その最後の切り札を
“ルナリア”の秘密が担う展開も見事な演出。魅力的な魔方陣が描ける方を求めていた
ということで 猫猫猫 先生を選ばれたのも納得です。続きがあるなら読んでみたいです。

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2017年05月08日

『覇剣の皇姫アルティーナXII』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第12巻は“アルティーナ”と一触即発
の状況を迎えても余裕の“ラトレイユ”が新皇帝に即位し、新たな時代の流れを呼びます。
(イラスト:himesuz 先生)

http://ebten.jp/eb-store/p/9784047345423/


口絵の“レジス”があんな姿ではありますが、まずは嬉しい一面でした。第四軍は彼不在
だとここまで上手く回らないのか、と冒頭の挿話で改めて認識しました。悔しがるも次を
見据える“アルティーナ”に大役を預ける“ラトレイユ”が度量の大きさを見せつけます。

南部戦線へ向かうことになる“レジス”たちが帝国の情勢を整理する場面が今後の運命を
左右するかのようで興味深い内容で続きが気になります。そして、彼が生きていたことを
静かに、けれど心より喜んだ“クラリス”の機微が印象に残りました。彼女らしい挿絵も。

巻末収録の外伝は“ジェローム”が主役。圧倒的な劣勢下にある東部戦線の城塞都市で
死なないための「本気」を魅せてくれる彼の横暴ぶりが楽しめます。最後に“レジス”の
手玉に取られてしまうのも実に彼らしい、というか同情の念が。応援したくなりました。

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2017年05月05日

『友人キャラは大変ですか?2』

伊達康 先生が贈る名助演ラブコメ。第2巻は“一郎”に宿る彼そっくりの魔神“トウテツ”
や新しい奈落の使徒が出てきたり、で友人キャラの立ち位置が崩れる彼の苦難が続きます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516753


ということでラスボスになってしまった“一郎”の苦労も知らず“龍牙”萌えを熱弁する
“トウテツ”のおよそ魔神らしくない言動から大いに調子を狂わされる場面から始まり、
“魅怨”ほか“呪理”“忌綺”も居候として加わり見ている分には面白いことこの上ない。

更に“龍牙”たちの“一郎”に対する好感度も上がり続けて、エロい方向に物語を倒さず
何とか乗り切っていく彼の努力に思わず同情・・・しかけますが、うらやまけしからんのは
相変わらず。しかし、“杏花”からの相談が思わぬ真実と緊迫の局面を突きつけてきます。

ラスボスとして“龍牙”と戦わなければ引っ込みがつかなくなってしまった“一郎”が、
物語の第二部として、どう落としどころをつけようと決めたのか。その点を読んでご確認
いただきたい。“トウテツ”がオイシイ部分を持って行ったその先が気になるところです。

posted by 秋野ソラ at 00:31 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル