高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第4巻は神官長“サロモン”行方不明の知らせを
機に見えてくる「神聖国」の思惑を前に、“ファルマ”や女帝が真正面からぶつかります。
(イラスト:keepout 先生)
【 http://mfbooks.jp/4709/ 】
【 http://ncode.syosetu.com/n8541cr/ 】
【 http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_MF00000031010000_68/ 】
“パッレ”との健診対応や「彼女」との自然なハグで天然のプレイボーイぶりを如何なく
発揮する“ファルマ”に微笑ましさを感じつつ、“サロモン”の件を聞いて周囲から釘を
刺されたにも関わらず颯爽と対処してしまうあたり彼の信仰が一層高まるのも無理はなく。
その経緯を知った女帝が「神聖国」に強気の姿勢を見せるあたりは実に爽快。その彼らが
秘蔵していた“ファルマ”が元の世界で所有していた職員証が彼の本質を再認識させる
くだりも印象的。死んでも直らない、とはよく言ったもので。今後の繋がりにも注目です。
衛生面の問題を危惧して“ファルマ”の手ずから生まれたあれやこれやの数々。それでも
対処療法でしか回復が望めない病があったりするなど普段では目にすることのない医学的
見地が窺えるのも本作を楽しめる要素の一つ。いつまで薬神でいられるのか気になります。
2017年04月07日
2017年04月06日
『竹中半兵衛の生存戦略 戦国の世を操る「茶室」の中の英雄たち』
青山有 先生の「小説家になろう」投稿作が書籍化。突如、戦国武将となった元現代人たち。
同じ境遇を迎えた彼らが「茶室」なるチャットルームを通じて協力し、生き残りを図ります。
(イラスト:四季童子 先生)
【 http://www.redrisingbooks.net/takenakahanbee 】
【 http://ncode.syosetu.com/n0681de/ 】
重篤の身から起き上がってみれば、まるで時代劇のような風景。サラリーマンの身の上の
はずが“竹中半兵衛重治”の身に憑依した彼が、養生中の夢に出てきたノートPCに触ると
最上、北条といった名を連ねた発言のやりとりを目にし他にも仲間がいることを知る──。
“竹中”と同じ境遇にいる戦国武将は有名ではないかも知れませんが、どんな人物なのか、
置かれている状況は、といった背景は「茶室」で伝えてくれますし“竹中”のモノローグ
や家臣などとのやりとりでも窺えるので、歴史に詳しくなくてもサクサク読める安心設計。
“織田信長”を筆頭に実力のある武将を前にどう立ち回るか。「茶室」での相談を活かし
史実とは違う流れを次々に起こしていく“竹中”たちに動かされる歴史の先行き不透明さも
物語を楽しむ要素の一つになっています。まずは“信長”に太刀打ちできるか注目です。
同じ境遇を迎えた彼らが「茶室」なるチャットルームを通じて協力し、生き残りを図ります。
(イラスト:四季童子 先生)
【 http://www.redrisingbooks.net/takenakahanbee 】
【 http://ncode.syosetu.com/n0681de/ 】
重篤の身から起き上がってみれば、まるで時代劇のような風景。サラリーマンの身の上の
はずが“竹中半兵衛重治”の身に憑依した彼が、養生中の夢に出てきたノートPCに触ると
最上、北条といった名を連ねた発言のやりとりを目にし他にも仲間がいることを知る──。
“竹中”と同じ境遇にいる戦国武将は有名ではないかも知れませんが、どんな人物なのか、
置かれている状況は、といった背景は「茶室」で伝えてくれますし“竹中”のモノローグ
や家臣などとのやりとりでも窺えるので、歴史に詳しくなくてもサクサク読める安心設計。
“織田信長”を筆頭に実力のある武将を前にどう立ち回るか。「茶室」での相談を活かし
史実とは違う流れを次々に起こしていく“竹中”たちに動かされる歴史の先行き不透明さも
物語を楽しむ要素の一つになっています。まずは“信長”に太刀打ちできるか注目です。
2017年04月05日
『異世界取材記 〜ライトノベルができるまで〜』
田口仙年堂 先生の「カクヨム」投稿作品が書籍化。ライトノベルを書くための取材として
異世界と現実世界を行き来する作家や作家志望たちが織り成すサクセスファンタジーです。
(イラスト:東西 先生)
【 http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321611000759 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880280060 】
『ネット小説が流行っているから「カクヨム」でハーレムや無双を押さえたのを何か書け』
と見た目ヤクザな編集者に指示を受け、編集部の予算持ちで異世界へ取材に出かける作家。
モンスターとも戦える、とすぐさま答える彼は言う。何故ならラノベ作家だから、と──。
ラノベ作家である“センセー”や異世界で出会ったラノベ作家志望の“JK”も、異世界モノ
を書きたいから現地の文化や魔法などを勉強して物語を書いている、という発想が面白い。
そのためには異世界を滅ぼすことさえ厭わない、そんな決意の表れが随所に見受けられます。
やがてハーレムの取材先として訪れた魔王、その思いがけない人物像にラノベ作家としての
業の深さを垣間見た“センセー”がどう動くのか。異世界をガイドする“アミュー”が良い
立ち位置にいるので、その点も含めて見届けてほしい所。色モノと侮ることなかれ、です。
異世界と現実世界を行き来する作家や作家志望たちが織り成すサクセスファンタジーです。
(イラスト:東西 先生)
【 http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321611000759 】
【 https://kakuyomu.jp/works/1177354054880280060 】
『ネット小説が流行っているから「カクヨム」でハーレムや無双を押さえたのを何か書け』
と見た目ヤクザな編集者に指示を受け、編集部の予算持ちで異世界へ取材に出かける作家。
モンスターとも戦える、とすぐさま答える彼は言う。何故ならラノベ作家だから、と──。
ラノベ作家である“センセー”や異世界で出会ったラノベ作家志望の“JK”も、異世界モノ
を書きたいから現地の文化や魔法などを勉強して物語を書いている、という発想が面白い。
そのためには異世界を滅ぼすことさえ厭わない、そんな決意の表れが随所に見受けられます。
やがてハーレムの取材先として訪れた魔王、その思いがけない人物像にラノベ作家としての
業の深さを垣間見た“センセー”がどう動くのか。異世界をガイドする“アミュー”が良い
立ち位置にいるので、その点も含めて見届けてほしい所。色モノと侮ることなかれ、です。
2017年04月04日
『ぼくたちのリメイク 十年前に戻ってクリエイターになろう!』
木緒なち 先生が贈る新作は青春リメイクストーリー。ダメ社長に振り回され嫌気がさした
ゲームディレクターが蹴ったはずの芸大に通う学生となって、仲間と共同生活を始めます。
(イラスト:えれっと 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1520 】
有名クリエイターを輩出した「プラチナ世代」。彼らの活躍と今の自分との格差に落胆し
実家へ帰る“恭也”。行かなかった「大芸大」の合格通知を掘り出し、悔し涙を流す彼。
あの頃に戻りたい、と願う彼が気づけば2006年、かの大学へ通う学生となっていて──。
突如はじまった学生生活。知り合った仲間は「あの人」たちを匂わせる。未来を裏打ち
する仲間たちの個性を前に“恭也”がどう振舞うか、あるいは振舞うべきかが問われる
展開に色々と考えさせられるものがあります。楽しさも厳しさも併せ持つ、それが人生。
いわゆる総合職と専門職、モノづくりの上でも共に欠けてはならない両者の違いが実に
よく分かる内容でもあるかと思います。そういえば10年前はあの作品が流行ってたなぁ
とか懐古しながら楽しませてもらいました。過去は変わるのか否か、続きにも期待です。
ゲームディレクターが蹴ったはずの芸大に通う学生となって、仲間と共同生活を始めます。
(イラスト:えれっと 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1520 】
有名クリエイターを輩出した「プラチナ世代」。彼らの活躍と今の自分との格差に落胆し
実家へ帰る“恭也”。行かなかった「大芸大」の合格通知を掘り出し、悔し涙を流す彼。
あの頃に戻りたい、と願う彼が気づけば2006年、かの大学へ通う学生となっていて──。
突如はじまった学生生活。知り合った仲間は「あの人」たちを匂わせる。未来を裏打ち
する仲間たちの個性を前に“恭也”がどう振舞うか、あるいは振舞うべきかが問われる
展開に色々と考えさせられるものがあります。楽しさも厳しさも併せ持つ、それが人生。
いわゆる総合職と専門職、モノづくりの上でも共に欠けてはならない両者の違いが実に
よく分かる内容でもあるかと思います。そういえば10年前はあの作品が流行ってたなぁ
とか懐古しながら楽しませてもらいました。過去は変わるのか否か、続きにも期待です。
2017年04月03日
『七星のスバル5』
田尾典丈 先生が贈る革新的青春オンライン・ストーリー。第5巻は“貴法”が“希”の
気持ちに真っ直ぐ向き合いながら、「スバル」「グノーシス」との直接対決に臨みます。
(イラスト:ぶーた 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516630 】
負の感情につけこまれた“希”の悪堕ちぶりがたまらない。その原因を作った“貴法”が
言われるまで全く気がついてない、というダメっぷりがもうね。“咲月”がいなかったら
このチームは人間関係で回らなくなるわ、と改めて思い知らされました。頑張れ、女性陣。
“希”をけしかけてくる「グノーシス」の罠が物語の合間に挟まれる「間章」という形で
じわじわと効いてくる構成にご注目。“旭姫”の未来視に従わない“陽翔”。彼の真意に
気付いたとき、彼女を思いやる想いが一層強く感じられます。愛されてるな、という感じ。
能力的にも、気持ちの上でも強さを得た「スバル」の面々。名実ともに復活か、と思った
その瞬間、無情にも最悪の強さを持つ敵から告げられる口絵の一言が重くのしかかります。
音を立てて崩れていく大事な約束は本当に果たせないのか、次巻の展開も目が離せません。
気持ちに真っ直ぐ向き合いながら、「スバル」「グノーシス」との直接対決に臨みます。
(イラスト:ぶーた 先生)
【 http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516630 】
負の感情につけこまれた“希”の悪堕ちぶりがたまらない。その原因を作った“貴法”が
言われるまで全く気がついてない、というダメっぷりがもうね。“咲月”がいなかったら
このチームは人間関係で回らなくなるわ、と改めて思い知らされました。頑張れ、女性陣。
“希”をけしかけてくる「グノーシス」の罠が物語の合間に挟まれる「間章」という形で
じわじわと効いてくる構成にご注目。“旭姫”の未来視に従わない“陽翔”。彼の真意に
気付いたとき、彼女を思いやる想いが一層強く感じられます。愛されてるな、という感じ。
能力的にも、気持ちの上でも強さを得た「スバル」の面々。名実ともに復活か、と思った
その瞬間、無情にも最悪の強さを持つ敵から告げられる口絵の一言が重くのしかかります。
音を立てて崩れていく大事な約束は本当に果たせないのか、次巻の展開も目が離せません。