2017年04月28日

『おとぎの森の幼女姫』

「白好出版」の募集企画に応募した 時野つばき 先生の作品が登場。王位簒奪を狙う卿に
国を追われた姫を騎士とドラゴンが守り、取り戻す手助けをする「大人のおとぎ話」です。
(イラスト:今野隼史 先生)

http://blog.hakkoushuppan.co.jp/article/175392158.html


「ララ・リリア姫を我が妻に!」そう公言し王位継承だけを狙う野望卿“ジークフリート”。
最後の騎士となった“ギデオン”と共に黒い森へ逃げ込んだ姫は博識なドラゴン“スパイク”
と出会う。境遇を理解した彼と休戦し卿に立ち向かうことを誓う。そう「姫のために」──。

野望卿が姫と同じ7歳の少女を無差別に攫う外道ぶりを見せたから話は一気に動き出します。
卿に手助けする魔女“イーニス”が意外な人物と繋がりがあったり、卿の娘“ミーガン”は
感情を奪われながらも含みはあるようで、立ち向かう姫たちをあの手この手で阻んできます。

物語の基礎部分がJGCに起因するらしくTRPGっぽい雰囲気は確かにあるかと。“ギデオン”が
かつての仲間と対峙する場面と構成は特に印象に残っています。ド派手な空中戦もこの組合せ
だからこそ。最後まで「姫のために」尽くす彼らに読み終えた後も好感が持てる内容でした。

posted by 秋野ソラ at 00:42 | Comment(1) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月27日

『スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました2』

2巻にして早々にコミカライズを決めた、森田季節 先生が贈る異世界転生スローライフ。
前巻の功績から褒章を授与される“アズサ”が魔王の城に招かれるまでの顛末を描きます。
(イラスト:紅緒 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797391763.html
http://ncode.syosetu.com/n4483dj/


村の祭に出て崇められるのも困るので、前日祭に「魔女の家」を出店する“アズサ”たち。
“ライカ”のウェイトレス姿、紅緒 先生グッジョブです。あまりにも忙しくて手伝いに
呼んだ「彼女」の有能さに驚き。そこで持ってこられたのが魔族褒章の話で、二度驚き。

“ハルカラ”の工場設立に伴って発生したトラブルの解決に臨んでみれば一人、魔王の城を
訪れてみれば想定外のバトルの果てにまた二人、と“アズサ”を慕う女の子が増えていく。
「人たらし」ぶりに拍車が掛かる中、彼女が原因で闘争が起こるのではないかと心配です。

そんな“アズサ”のスローライフを堪能するだけでなく、“ハルカラ”のやらかしぶりを
そこかしこで見ることができるのも今巻のポイント。巻末のおまけ話ではちょっといい話
も担当してくれますのでご注目。次巻もどんな盛りだくさんな内容になるか楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(1) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月26日

『オオカミさんとハッピーエンドのあとのおはなし』

2011年1月10日に完結巻が刊行された 沖田雅 先生の「オオカミさん」シリーズ。決着した
物語のその後を描く後日譚として新刊が登場。御伽学園の面々の幸せな話をご堪能あれ。
(イラスト/zpolice 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-869268-7/


6年も前の物語を今さら思い出せるのか、という不安は読み始めたらすぐ払拭しました。
“おおかみ”さんや“亮士”くんなど独特のキャラ、地の文の使い方・・・と色々懐かしく
それだけ好きな作品であったことを再認識。イラストも似た方をよく用意したものです。

ツンデレを極めた“おおかみ”さんのデレっデレぶりがまず凄い。「誰ですか」レベル。
これがめちゃめちゃ可愛い。その変貌ぶりに対する“りんご”の出歯亀ぶりにもご注目。
後日譚の軸の一つを担ってます。もちろんその他の面々が幸せを掴む挿話の数々も絶妙。

昨今、リバイバルブームの流れが様々な業界で見受けられる気がするので、ここらで一つ
続きの出ていないあれやこれや・・・な作品も出てほしいと思ったりする今日この頃。それは
余談として、幸せいっぱいの後日譚、堪能いたしました。先生、ありがとうございました。

posted by 秋野ソラ at 00:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月25日

『ゼロから始める魔法の書IX ―ゼロの傭兵〈上〉―』

2017年4月10日よりアニメの放送が開始する、虎走かける 先生の大人気ファンタジー作品。
第9巻は大聖堂に辿り着いた“ゼロ”たちを待ち受ける衝撃の真実から話が動き始めます。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892824-3/


“ゼロ”たちに対する敵対心も和らいできた教会騎士団。彼らに伝えられた教会の真実が
これまた「どうしようもない」感を煽ってくる中、“主教”を絶対視する近衛騎士隊長
“オルルクス”が出張ってくることで教会に対する不審と不信がどんどん積もります。

でも当の“ゼロ”は考え事が頭から離れないようで、どこか上の空。“館長”の外界に
対する興味深々ぶりや、この前から続く“ジェマ”と“バルセル”の微妙な関係など、
いろいろな「距離感」が描かれる局面が多い、と感じました。もちろん“ゼロ”も含め。

意味深長な口絵の場面にどう繋がるのかな・・・なんて気軽に構えていたら、とんでもない
爆弾を落とされた気分を読了後に味わう破目に。先生自体がショックを受けている、と
言われてしまえばどうしようもありませんが、ここは信じて続きを待つしかありません。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2017年04月24日

『読者(ぼく)と主人公(かのじょ)と二人のこれから』

岬鷺宮 先生が贈る新作は、擦り切れるほど読み返した大好きな本さえあればいい、という
少年が、その本に出てくる主人公そのものの女の子に出会うところから始まる恋物語です。
(イラスト/Hiten 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892603-4/


“柊ところ”なる作家が書いた『十四歳』。手に取ったその本に描かれている“トキコ”
の真情に共感した“晃”は入学したクラスのある自己紹介を聞いて驚愕する。彼女の名は
“柊時子”。その姿、佇まいはまさしく想像した通りの「トキコだ、トキコがいる」──。

“時子”の所作に“トキコ”がちらつく“晃”は、やがて秘密を共有し彼女からある依頼
を受けることに。理想の女の子との距離が近づいていく“晃”が恋に落ちないワケがない
のですが『十四歳』という作品が好きすぎることで意外な落とし穴に嵌まってしまいます。

一方的にすれ違っていく“晃”を止める術はないのか。面映ゆい二人の様子との落差が
激しい終盤で与えられる最後のきっかけを彼がどう受け止めるかをぜひ見届けてほしい。
先生の好きが詰まった青春恋愛小説、実に良かった。挿絵も素敵でオススメの一冊です。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル