2016年12月30日

『GOSICK GREEN』

桜庭一樹 先生の名作『GOSICK』の続編。第4巻は探偵業を始めた“ヴィクトリカ”の前に
依頼人が次々登場。解決していく事件と“一弥”の記者としての仕事が交錯していきます。
(装画:カズモトトモミ 先生)

http://gosick.jp/green/


旅する紙幣に物語の一端を語ってもらう、という面白い導入から始まる“ヴィクトリカ”と
“一弥”の新生活。今は亡き偏屈な建築家の謎をあっさり解き明かす話で和やかな雰囲気を
醸し出しつつ、かつて暗躍した銀行強盗団の一員“KID”の脱獄が不穏さを呼び込みます。

建築家の仕掛けだけでなく、金融王の施策や“KID”の義賊ぶりなど一見関係の無さそうな
様々な要素を次々と繋げていき、最終的に「連邦準備銀行を再襲撃する」という“KID”の
悲願と対峙する“ヴィクトリカ”の「知恵の泉」が真実を導き出す展開はやはり楽しい。

珍しく気が合わない新米カメラマン“ニコ”と組んで記事を用意するべく奔走する“一弥”。
こちらも興味深いコンビになりそうな兆しを見せつつ、“ヴィクトリカ”のあしらいぶりで
相変わらず魅せてくれます。そしてあの引きとリアクション、次巻は一層期待が高まります。

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2016年12月29日

『我が驍勇にふるえよ天地3 〜アレクシス帝国興隆記〜』

あわむら赤光 先生が贈るファンタジー戦記。第3巻はディンクウッドを新たな拠点として
に構える“レオナート”たちを穏やかな冬の季節と思いがけない野心が忍び寄ってきます。
(イラスト:卵の黄身 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797389685.html


いきなり広い土地を手に入れたがゆえに顕在化する優秀な人手の不足具合。興味深い2人の
裁定や“レオナート”自身が選定する場面が彼の軍らしさを感じさせてくれます。その思想
を支える“ロザリア”の偉大さに敬服したくなるほど。着実に力をつけている様が窺えます。

訪れる冬に苦労して攻めてくる輩もいないだろうから備えを万全に、という“シェーラ”の
思惑を覆す、ある人物の焚きつけから始まる新たな戦いがこの世界における兵法を描き出し、
将とは何たるかを示してくれる。そこに群像が絡んでドラマが生まれる。魅せてくれます。

それでも苦戦を強いられる局面は迎えます。その中で注目を集めるのが“レオナート”に
縁の深い“エイナム”。彼がその生き様を潔さを貫き通したがゆえにあの結末は物悲しくも
映えるものがあります。心で献杯しつつ、新たな敵の前触れと戦いの予感に目が離せません。

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2016年12月28日

『ゼロから始める魔法の書VIII ―禁書館の司書―』

2017年春のTVアニメ放映に向けて準備が進む、虎走かける 先生の大人気ファンタジー作品。
第8巻は世界を救うべく北の地にある祭壇を目指す“ゼロ”たちが壮絶な光景を目にします。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892539-6/


魔女の力を借りてでも任務を全うしたい教会騎士団の隊長“バルセル”と生粋の教会信者
で副隊長の“レイラント”。そりの合わない二人を“ジェマ”が取り持ちつつ悪魔の領地
へと踏み入れてからの不協和音ぶりに苦笑い。“傭兵”と“ジェマ”の気苦労は尽きず。

“ゼロ”の助言に従う者、従わない者の分かりやすい末路を経て辿り着いた領主、禁書を
収集する図書館の“館長”が示す異常なまでの執着に慄きます。“司書”から語られる
事情からすべてを見抜いた“ゼロ”の容赦ない鉄槌に“傭兵”が怖がるのも分かります。

“傭兵”と過去につながりのある“ジェマ”のエピソードと、彼が示した“バルセル”に
対する感情も見所の一つと言えます。幕間で語られる“神父”と“リーリ”の微笑ましい
やり取りに安堵しつつ、そちら側も動きがありそうですので合わせて続きが楽しみです。

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2016年12月27日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア7 小冊子付き限定版』

大森藤ノ 先生の大人気シリーズ「ダンまち」のスピンオフ作品。第7巻はダイタロス通り
の調査に乗り出した“ロキ”たちが想定外の局面を迎える、本編7巻の裏側を描きます。
(イラスト:はいむらきよたか 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797389357.html


あからさまな隠し扉の発見から始まる新たな迷宮探索。明らかに罠があると分かりつつも
進まざるを得ない「ロキ・ファミリア」の面々が、“フィン”の重傷を始めとして次々と
窮地に陥っていく、かつてない緊迫感あふれる展開に読み手にも焦りと不安が募ります。

人の手によって作られた執念の塊のような迷宮に込められた想い、それを取り巻く関係が
見えてくると共に、わずかなチャンスを拾い上げて状況を覆そうとしていく展開が熱い。
この話運びがほぼ即興で生み出されてきた、というのですから 大森 先生、凄すぎます。

“イシュタル”の野望成就、その切り札がまさかあんな結果をもたらすとは。まさに絶句。
殺伐とした雰囲気は小冊子に収録された 依河和希 先生のゲストイラストや 矢樹貴 先生
の漫画、書き下ろし短編小説の微笑ましさで払拭できたと思います。続きが楽しみです。

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2016年12月26日

『アクセル・ワールド21 -雪の妖精-』

川原礫 先生が贈る大人気シリーズ第21巻。《白のレギオン》との領土戦ステージで相手の
真意攻撃により窮地に立たされる《黒のレギオン》勢がどう立ち回るか、選択を問われます。
(イラスト/HIMA 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892390-3/


無制限中立フィールド化、など予測もつかない真意攻撃により無限EKの舞台へ誘いこまれた
“クロウ”たち。唯一飛べる彼が“ベル”を伴って逃れた直後にあっさりと全損させられた
展開に《白のレギオン》が一枚も二枚も上手で、抱く「大義」の強さを印象づけてきます。

何とか挽回する策を模索する“クロウ”を何やかや言いながらも支える“メタトロン”の
存在が今回はかなり大きい。見せ場がそこかしこにあります。そして戦友として彼を支援
してくれる“リード”のここぞという場面での登場が光ります。あれは実に格好良いです。

仲間の窮地に急遽駆けつける“黒雪姫”が見せる覚悟、その裏側で“クロウ”が出会った
彼女の親友“若宮恵”のアバターが語る「裏切り」の真実に唖然とさせられます。執拗に
狡猾な《白のレギオン》に対抗できるきっかけを活かせるか、続く次巻の動向に注目です。

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2016年12月23日

『エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 5』

東龍乃助 先生が綴る新世代ロボットライトノベル。第5巻は氷室義塾の反攻の狼煙となる
「明星奪取計画」の発動に沸く“夏樹”たちを、予想外の過酷な運命が翻弄していきます。
(イラスト:みことあけみ 先生、汐山このむ 先生、貞松龍壱 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1480


米国政府の確約を取り付け・・・のくだりから怪しいなぁ、と思っていたら案の定の展開で
ある意味、安心というか。総理のほうが一枚上手、という展開に“氷室夏樹”ではなく
“エイルン=バザット”として仲間となった皆を助ける道を選んだ彼の言動がまずアツい。

絶対的に信じる者、疑念を持つ者、敵対する者、日和見な態度をとる者。“エイルン”の
導き出した結論に対し、氷室義塾の面々がとった行動のそれぞれがこれまで蓄積してきた
あるいは培ってきたものを感じさせてくれて人物像としても層が厚くなったと感じます。

そしてあの人から告げられたヘキサとネイバーの秘められた関係。それにも“エイルン”
は動じず為すべきことを為した言動は惚れ惚れするほど。“エルフィーナ”もボロボロに
なる激闘の末に構えていた更なる一大事に物語はどう動くのか。第二部が待ち遠しいです。

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2016年12月22日

『黒騎士さんは働きたくない』

雨木シュウスケ 先生が贈るダッシュエックス文庫の新作はスローライフ・ファンタジー。
新王国に追われた帝国の姫と黒騎士が落ち延びた先の飲食店で第二の人生を歩む物語です。
(イラスト:伍長 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631158-8


大森林の傍らにある獣人街、そこにある犬鳴亭は今とても繁盛している。その理由は居候
している働き者で器量好しの看板娘“レイニア”。もう一人の居候“クロウ”はヒモ同然
で役立たず、のはずだが魔物を従え王国を倒した帝国一の将だと公然の秘密と囁かれ──。

かつての姫“レイニア”に養われながら“ジェダ”にどやされ、“ミアル”には幻滅され、
とダメダメぶりを発揮する“クロウ”ですが、その経緯は明確で思わず「分かる」と同情
したくなります。ちゃんとやる時はやってくれます・・・でも働けよ、とは思いますけど。

“クロウ”を追って“アシュリー”や“パスティア”がやってくる話は微笑ましい感じ
ですが“レイニア”の侍女だった“ルーミィ”が来てからが雲行きが怪しくなります。
そこでどう対応するか、に二人らしさを感じられて実に良かった。続きが楽しみです。

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2016年12月21日

『この旅の果ては、約束と救済と嘘の場所』

『災厄戦線のオーバーロード』の 日暮晶 先生が贈る新作はファンタジー。世界の理が突然
狂わされた世界で旅を続ける元盗賊の青年と記憶喪失の少女が世界を救っていく物語です。
(イラスト:赤井てら 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321607000647


光の柱が立ち昇った夜、それまで当然であった法則を覆す事象「逆理」が世界各地で発生。
“ミステル”の故郷を探し二人旅を続ける“グレイヴ”は、逆理とある関係をもつと嘯く
魔術師“ディア”と出会い、世界を救うためにその蒐集を手伝うよう依頼されるが──。

逆理発生と共に発生した「魔力の反転現象」により魔術の行使が困難になった“ディア”
の苦悩と、逆に使えるようになったことで生活が様変わりした“アイロス”の心境がこの
世界の歪さ、ジレンマのようなものを端的に表していて、物語に惹き込ませてくれます。

ある場所から“ミステル”を救出した“グレイヴ”は中々の強者で女の扱いも慣れたもの。
バランスの悪い三人組において前衛としてバリバリ活躍する姿は格好良いですがこれまた
トンデモない事情を背負ってます。旅の終わりをどう結ぶのか想像するのが楽しみです。

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2016年12月20日

『終末なにしてますか? もう一度だけ、会えますか?#03』

枯野瑛 先生が贈る、終末の世界を描くファンタジー作品。「すかすか」に続くシリーズ
第3巻は目覚めぬ“ラキシュ”を前に、“フェオドール”がある計画を実行に移します。
(イラスト:ue 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321604000296


“リンゴ”の件、そして“ラキシュ”の件。「妖精」について“アイセア”から改めて
説明を受けた“フェオドール”が想いと決意を再認識する場面が物語を動かし始めます。
“アイセア”が実に良い立ち位置にいるし、振る舞いを魅せてくれます。悲しいほどに。

そんな中、眠ったままのはずの“ラキシュ”が脱走したという話を聞き、捜索の命令を
受ける“フェオドール”が、話に聞いた「妖精」の真髄を目の当たりにするワケです。
そして投獄される流れ。“ティアット”たちが動揺するのも無理はないと言えましょう。

“フェオドール”を「理解」した“ティアット”が彼の前に立ちはだかり、投げつける
あのセリフに彼女の成長と、世代の移り変わりを実感させられます。容赦なく酷な運命
を与えてくる 枯野 先生が鬼のよう。彼の戦いは意味を為すのか否か、目が離せません。

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2016年12月19日

『友達いらない同盟』

園生凪 先生の「第5回講談社ラノベチャレンジカップ・佳作」受賞作。こだわりゆえに
一人ぼっちな少年と友達がほしくない少女が組む「同盟」が思春期の難しさを描きます。
(イラスト:天三月 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2016/12/#bk9784063815719


「友達とは何か?」を自分なりに突き詰めたがゆえにクラスで嫌われ者となった“新藤”。
級友の少女“澄田”から、不測の事態に備えて同盟を組みたいと言われ、それを了承する。
「わたしさあ、友達いらないんだよね」そう嘯く彼女に、彼は疑問を感じるのだが──。

“新藤”が「友達」を定義した経緯も凄まじいですが、“澄田”が「友達をいらない」と
いう境地に至った理由も重めです。その過去を背負ってしまったことで、あれやこれやな
言動に至るのも分かる。けど自分がそうなるかは全く想像がつかない。それくらい突飛。

引きこもりの“悠希”や同盟に加わることになる“城ケ崎”との繋がりが“澄田”にある
決定的な「似て非なる者」という認識を持たせてしまった時の解決策がコレしなかない感
は印象に残りました。“スベテ”すげぇな! 多感な時期にこそ触れてほしい作品かと。

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2016年12月16日

『滅びゆく世界を救うために必要な俺以外の主人公の数を求めよ』

みかみてれん 先生が「カクヨム」にて発表していた作品が書籍化。現代世界と異世界とを
行き来できる青年が、出会った少女の特殊な事情を知り彼女を、そして世界を救う物語です。
(イラスト:森倉円 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321608000494


15歳で現世から異世界に転生し、魔法学校で14歳にして稀代の天才と称される“リルネ”。
彼女のステータスを視た“ジン”は3日後に迫る死の宣告に気付き、その運命を断ち切る
ために協力を申し出る。彼女にとっては願ってもない話なのだが、状況は実に非情で──。

“リルネ”が15歳になる時を迎えられるのか。固有スキルを持つ“スターシア”を仲間に
したり、と手を尽くしてもなお迫る脅威と猛威に蹂躙されていく絶望感がハンパじゃない。
鍵を握る「エンディングトリガー」がその運命をどう揺るがすか、それがまず見所の一つ。

精神的な成長を見せる“リルネ”。意外な一面を魅せる“スターシア”。二人の旅に従う
“ジン”が次に何を為すのか・・・という流れであの引き。アレがやりたかったんですか先生
と思わず苦笑い。森倉 先生の絵力も尋常じゃなく目が離せないシリーズを予感させます。

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2016年12月15日

『造られしイノチとキレイなセカイ2』

緋月薙 先生が贈るスローライフ・ストーリー。第2巻は“アリア”たちを迎え、家族同然
の日々を過ごす“カリアス”と“フィアナ”に思いも寄らぬ新たな「家族」が登場します。
(イラスト/ふーみ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/697.html


お茶目な面を見せる“ハールート”と“レミリア”との会談に、何やら不穏な世界情勢を
垣間見つつ“カリアス”たちのダダ甘い親子関係を楽しませていただいております。彼も
男としての、というか男の子としての矜持を保とうとしているのが分かって何よりです。

そんな様子を見た“アリア”が幼いながらに下した決断。強くなること、そしてその覚悟
について身をもって示した“カリアス”と“フィアナ”のやりとりが、信頼関係の厚さを
より一層感じさせてくれました、何より格好良かった。けれど進展は緩やか(苦笑)。

“カリアス”たちの冒険に同行する“リリー”が今回美味しいところを度々持っていって
いるのが印象に残ります。幼体の竜“ウィル”を迎え入れて、ますます 緋月 先生らしい
作品として突き進んでいくこの物語。散見される謎がどう明らかになるのか楽しみです。

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2016年12月14日

『薬屋のひとりごと6』

花街育ちの少女が毒見役として宮廷内で難事件を解決していく様子を描く、日向夏 先生の
シリーズ第6巻。“壬氏”に求婚された“猫猫”が状況の変化と立場に揺れる様を描きます。
(イラスト:しのとうこ 先生)

http://herobunko.com/books/hero14/5568/


のっけからBL展開っぽい口絵と展開で混乱させてくれる“壬氏”。しらばっくれる“猫猫”
も知っていての所業ということで苦笑い。というか今回は女性の秘密に触れる機会が多く
しかも堂々とやらかしてくれる潔さに目を惹きます。事態は深刻さを増してはおりますが。

その的となるのが“里樹”。今回「これでもか!」と言わんばかりに不幸な目に遭い続ける
彼女を見ているのが心苦しくなるくらいで。次々に起こる事件を“猫猫”が解決へと導く
から済むものの綱渡り状態の連続で肝が冷えます。陰に潜み暗躍する「彼女」の存在も。

密かに注目なのが“馬閃”の言動。最後は上手く拾ってくれました。あと“趙迂”の助言
などから“猫猫”の弱点を掴み、ドヤ顔を見せる“壬氏”の駆け引きが印象に残ります。
しの 先生の挿絵がこれまた絶妙。安直には結ばれない二人の今後の行方が気になります。

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2016年12月13日

『くりかえす桜の下で君と』

周防ツカサ 先生が贈る新作は青春ファンタジー。ループする非日常に巻き込まれた少年が
同じ状況下にある誰かと恋人になることが脱出条件だと知り、選択を迫られる物語です。
(イラスト/Aチキ 先生)

http://mwbunko.com/978-4-04-892590-7/


読書家の“望月”は同級生の“三瀬”に想いを寄せながらも声が掛けられず絶賛片思い中。
そんな彼に「自分の書いた小説を読んでほしい」とお願いする女の子。彼を魅了する物語
を書く彼女こそ繰り返す時間の中に長く取り残された、“桜庭”という謎多き少女で──。

「ループしているのは全部で20人」「ループしている者同士で恋愛をすると抜けられる」
「抜けた分の人数は新たに補充される」ループの発生理由も不明なまま、特殊な人間関係
に巻き込まれていく“望月”は“三瀬”がループに参加することをとりあえず願う訳です。

そこに“桜庭”という少女の存在が“望月”の心をどう左右するか。恋愛ってそんな単純
なものではない、と揺れ動く機微を描いて魅せてくれる話運びにホッとしたり、胸が締め
つけられるような思いをさせられました。願わくば二人に幸あらんことを願うばかりです。

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2016年12月12日

『この恋と、その未来。 ―三年目 そして―』

森橋ビンゴ 先生が贈る青春恋愛小説。絶望視されながらも奇跡の刊行を遂げた第6巻は
“未来”のいない広島で“広美”との将来を考え始めた“四郎”の「その後」を描きます。
(イラスト:Nardack 先生)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047343528/eb-novel-22


“広美”との関係を重ねる“四郎”。バレないから、と無断外泊を続けた彼がそれを理由
として停学をくらった時、周囲の皆が彼のことを考えてくれていたことが分かる。優しさ
を感じられる展開に救われます。進学しない、と宣言したところは不安いっぱいでしたが。

そんな関係を知ってか知らずか、姉たちの突然の訪問に焦る二人。その裏に隠された様々
な想い、願いに触れた瞬間、苦手だった女性関係、そして姉たちとのわだかまりも緩和
されたと感じられる独白が印象的でした。“広美”が驚いた、あの表情を描いた挿絵も。

広島に残ると決めた“四郎”の未来をこのまま描いていくのか、と思いきやの粋な計らい。
「本当に、お前に会えて良かった」この帯の言葉を読み手としても告げておきたいです。
ラノベから退くことを惜しみつつ、森橋 先生の今後ますますのご活躍を祈念する次第です。

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2016年12月09日

『私、能力は平均値でって言ったよね!(3)』

FUNA 先生が贈る異世界転生ファンタジー。第3巻は「赤き誓い」のメンバー“ポーリン”
と“メーヴィス”に降りかかる危機に“マイル”が平凡な女の子らしからぬ手を出します。
(イラスト:亜方逸樹 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/24heikinchi3.php


“メーヴィス”を溺愛するオースティン家から遣わされた兄“ユアン”の態度が許せない
“ポーリン”たち。そこへ「赤き誓い」を襲うハンターたちが現れ、思わぬ誤解を招く所
から二人の家族に由来する問題が・・・って中で“レニー”のあの挿絵は中々のインパクト。

そんな呑気なことを言っている内に“ポーリン”の家を復権させるべく討ち入りを果たす
“マイル”たちの容赦ない逆襲と復讐と蹂躙と殲滅が実に爽快。同行した“ティリザ”の
いい仕事ぶりにもスカッとします。そこへ“メーヴィス”を取り戻す父登場と相成ります。

“マイル”から仕込まれた裏技「真・神速剣」を駆使し兄に挑む“メーヴィス”の機微に
ここはご注目いただきたい。ワイバーンすら強引にねじ伏せる“マイル”の言動を堪能
しつつ“アデル”としての過去がそろそろ絡んでこないかな、と期待する今日この頃です。

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2016年12月08日

『七日の喰い神4』

カミツキレイニー 先生が贈るダークファンタジー。第4巻は祈祷士とGHQの軋轢を利用する
“龍之介”、それを止める“七日”、傷心の“ラティメリア”それぞれの戦いを描きます。
(イラスト:nauribon 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516449


“龍之介”たちの魔手から逃れるのに必死な“ロサ”が辿り着いたのは“七日”たちの家。
そこへ暴走する祈祷士協会の犬が強襲。“ロサ”と呉越同舟の“ラティメリア”が彼や
ウミネコの“サキ”とも別れたまま不安な気持ちを膨らませる様子が何とも危なっかしい。

“六花”復活にこだわる“龍之介”がその境地に至った壮絶な過去。それでも彼がやろう
としていることの間違いを正そうとする“七日”が“ラティメリア”を巻き込みたくない
と振舞う葛藤。改めてその名を付けられた“ラティメリア”が感じた躍動、そして絶望。

決着をつけたヒト、モノすべてに等しく降りしきる雪の一面を切り取った見開きの挿絵が
物悲しさとやるせなさを煽ります。エピローグにて、やりたいことをやる、自由に生きる
そう決めた“ラティメリア”の前向きさに救われた気がします。印象に残る物語でした。

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2016年12月07日

『そのオーク、前世(もと)ヤクザにて2』

機村械人 先生が贈る超王道ファンタジー。第2巻は大嵐に見舞われた街で“レイガス”が
助けた亜人の少女に感じる懐かしさは、更なる前世の悲劇と因縁を呼ぶのでありました。
(イラスト:兎塚エイジ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797389548.html


“レイガス”にしがみつくほどべったりで、騎士団の女子陣に敵愾心むきだしの“マフ”。
亜人とは言え、その由来が全く分からない彼女が実はこの物語の、世界の鍵を握っている
ことに気付かされると、彼らの因縁の強さを感じさせると共に謎が更に深まっていきます。

今巻も“レイガス”がヤクザであった過去とオークとして生きる現在を交互に見せて真実
へと導いていく構成で、“マフ”の救われない生い立ちを知ることになります。“龍平”
としての生き様が彼女だけでなく色々と繋がっていくのが分かる話運びで魅せてきます。

物語の陰で“イーヴィ”に接触してきた半狼の魔女“ベロニカ”。怪しい笑顔を浮かべる
“ベロニカ”が“イーヴィ”よりも2つの世界のことに詳しいことは明白ですが、まさか
名乗りでその人が出てくるとは。ここからどう話が動いていくのか続きが気になる所です。

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2016年12月06日

『ゲーマーズ!6 ぼっちゲーマーと告白チェインコンボ』

満を持してのアニメ化決定! の報に沸く、葵せきな 先生が贈るこじらせゲーマーたちの
すれ違い青春ラブコメ。第6巻はあの「事件」を経て“花憐”たちがある結論を出します。
(イラスト:仙人掌 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321603000660


ゲームオーバーぶりを見せつけられた“花憐”と“祐”のちょっとした壊れっぷりもさる
ことながら当事者となる“景太”と“亜玖璃”も釈明に困る、というこれまた面倒な状況
を踏み台に“景太”と“花憐”が一歩前に進んでくれたのは怪我の功名と言うしかなく。

思わぬ方向に関係性を深めていく“景太”と“花憐”の様子、特に彼女のやらかしっぷり
に思わずニヨニヨするばかり。もちろん、彼も頑張って男を上げようとしてますが今回は
彼女のほうが上かな、と。それにしても“祐”のヘタレ具合が段々心配になってきました。

位置情報を駆使したソーシャルゲームのイベントを機に、これまでこじらせ続けた“千秋”
の想いがついに爆発。その過程で新参者の思わぬ毒舌というか情念も目にすることとなり
“景太”の相関図がまたとんでもない状況を描く結果に。思わず苦笑いしながら続きます。

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2016年12月05日

『冴えない彼女の育てかた 11』

TVアニメ第二期放送を4月に控える、丸戸史明 先生が贈るメインヒロイン育成コメディ。
第11巻は最終シナリオ「叶巡璃」のルートを決めるべく“倫也”が“恵”に急接近します。
(イラスト:深崎暮人 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321606000848


扱いが雑なように感じられた“出海”や“美智留”の強烈なアピールをくぐり抜け、そんな
二人の陰に位置するかのような“恵”に“倫也”が焦点を当てる今巻。ここぞとばかりに
ヒロインぶりを発揮したりしなかったりする“恵”が可愛すぎる。口絵も挿絵も絶妙です。

書きたい気持ちはあふれるほどあるのに書けない。“倫也”の苦悩を理解し、打開策を提示
するのは「あの人」しかいないワケですが、そこから二人で「叶巡璃」のシナリオを作って
いこうとする“倫也”のごり押しと“恵”の頑なで正直な言動がこっ恥ずかしくて実に良い。

地の文にもありますけど、既刊を手元に置きながら読むことをオススメしたい展開を魅せて
くれます。確かに、あのページから栞を挟みっぱなしにしておくべきでしょう、“恵”好き
な方々にとっては。その話運びで訪れる「転」とは何か、不穏な空気が実に気になります。

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