古宮九時 先生が贈る、言語と人間を描くファンタジー。第2巻は魔法大国ファルサスに
辿り着いた“雫”が思わぬ仕打ちを受け“エリク”とも距離を置かれる局面を迎えます。
(イラスト/森沢晴行 先生)
【 http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892497-9/ 】
王族に伝わる口伝「世界外から来たものを、排除しろ」。国王“ラルス”は頑なに信じて
正体を表せと“雫”にあれこれ肉体的、精神的負荷をかける一方、王妹“レウティシア”
は彼女に同情の念を寄せ、多少は融通を利かせてくれる。わずかに救いのある展開です。
“エリク”もいたファルサスで日々を過ごすうちに彼の過去や禁呪の話を耳にする“雫”。
彼女があれこれ思索している中で、動く死体の騒動が国を揺るがす事態へと発展。そして
彼の過去が襲いかかる結果に。それでも毅然とした対応を見せる彼らにすごさを感じます。
ただ、数々の騒動を描く過程すら霞むような子供の流行り病、言語障害が出るという症状
の真相に至るラスト数十ページの“雫”と“エリク”のやり取り。あまりの認識の違いに
驚かされつつ、このままうやむやにするのは惜しいので続きが出てほしいと願う次第です。