2016年11月09日

『小説 ガーリッシュ ナンバー 2』

放映中のTVアニメ、その原作者 渡航 先生が筆を執る本作。第2巻は“千歳”が現状打破
のため臨んだ、競争相手がひしめくアニメのオーディションで思わぬ結果を引き寄せます。
(キャラクター原案・カラーイラスト:QP:flapper モノクロイラスト:やむ茶 先生、堂本裕貴)

http://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g321608000107/
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_AM09000032010000_68/
http://www.tbs.co.jp/anime/gn/


「どういう声優になりたい?」問いかける“悟浄”に対し“八重”と“千歳”の回答は
片や可愛らしく、片や可愛げなく。夢おぼろげな2人が臨むオーディションで“千歳”が
役者オーラ漂う“柴崎”とアイドル全開の“苑生”に挟まれ焦る様子は中々面白かった。

結果として“悟浄”の戦略勝ちとなった“千歳”と袂を分かつ結果となった“八重”との
すれ違う気持ちや、彼に不安を吐露する“片倉”の崖っぷちな心情を描いていくことで
思春期真っ盛りの女の子が抱える微妙な機微、業界の厳しさがひしひしと伝わってきます。

クズなりに成長し、思い描く声優に一歩近づいた“千歳”。アフレコの下準備や対応など
至らないなりにも上手くいったが故にダメな面が浮き彫りになる彼女の面倒な部分も垣間
見つつ“悟浄”が小躍りしたくなるチャンスをどう活かすのか。彼女の真価が問われます。

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2016年11月08日

『異世界薬局 3』

高山理図 先生が贈る薬局ファンタジー。第3巻は転生前のような忙しさを彷彿とさせる
“ファルマ”の前に大学を卒業して一級薬師となった“パッレ”が患者として訪れます。
(イラスト:keepout 先生)

http://mfbooks.jp/4307/
http://ncode.syosetu.com/n8541cr/


まずは 高野聖 先生による「ComicWalker」と「ニコニコ静画」でのコミック連載決定との
ことでお祝い申し上げる次第。他にも「小説家になろう」関連の作品が次々とコミカライズ
の発表を打ち出している、とのことでメディアミックスの一端を担う流れが整ったご様子。

本編は、輝かしい功績ゆえに帝国薬学校から教授の席を用意される“ファルマ”が目立つ
のを避けたいと思いつつも人々を救う過程の中で、更には“パッレ”が抱える難病の闘病
を知識、能力を総動員して助けることでより一目置かれる存在に。驚く兄の様子が絶妙で。

“女帝”の無自覚サービス、“ロッテ”の才能開花、“ブランシュ”のやさしい気遣い、
“ロッテ”の恥ずかしい勘違いと微笑ましいエピソードの数々も見どころ。しかしながら
“サロモン”の苦慮すべき事態を迎えて緊張感が増す引き具合に。続きが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:51 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月07日

『やる気なし英雄譚 6』

津田彷徨 先生が贈るやる気なし英雄の隠れヒーロー譚。第6巻はケルム帝国の大使に着任
した“ユイ”が世界を股に掛け、そして世界そのものを賭けた戦いに臨む最終巻となります。
(イラスト:MID 先生)

http://mfbooks.jp/4298/
http://ncode.syosetu.com/n5279bn/


好々爺のような“リアルト”陛下。“ユイ”を恐れるほど評価し、皇女“ミリア”を使って
でも取り込もうとする気持ちに陛下の本気度が分かるというもの。それ故にあの手この手を
かわす“ユイ”の振舞いもブレがない。同行する“アレックス”の気遣いも実に彼らしい。

そんな中、帝国に侵攻するフィラメント魔法公国。帝国への対抗策をもって意気揚々と進む
彼らを圧倒する“ユイ”の秘策がえげつないほどに帝国に完勝をもたらします。その顛末に
垣間見える“ナーニャ”の過去、彼女本来の姿は胸を打つものがあります。優しい女性です。

公国を陰から誘導する者たちが遂にクラリスを脅かす、その時を迎えた“ユイ”が明かす
世界の命運、背負う宿命。国同士の戦いを超えた壮大な話となっても信頼する仲間を信じ
「楽をするために、努力をする」ことで結果を導く姿はまさに英雄。素敵な物語でした。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月04日

『借り暮らしのご令嬢』

江本マシメサ 先生が贈る新作は「小説家になろう」発表作の書籍化。見目麗しい伯爵令嬢
と最悪の出会いをした貧乏貴族の青年が彼女と思わぬ関係を得る所から始まる恋愛劇です。
(イラスト:ラパン 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=02611401
http://ncode.syosetu.com/n8162dc/


子爵家五男の“ベルナール”は貧乏ゆえに宮廷舞踏会で相手にされず、「麗しの薔薇」こと
“アニエス”には蔑んだ眼を向けられ、すっかり結婚願望の薄れた田舎騎士。ある日、家の
没落により行方不明と伝え聞いていた彼女が「お礼がしたい」と彼の家に訪れてきて──。

屈辱の過去と騎士の教え。二つの板挟みから“ベルナール”が導きだした、“アニエス”を
使用人として雇うという結果から始まる同居生活。一緒にいるうちに、伝え聞いたものとは
まるで違う彼女の素顔、やさしさに触れていく彼が意地でも恋に落ちないのがもどかしい。

結婚を急かす母親からの追及を逃れようと婚約者役を務めさせれば気に入られ、と何となく
後のない“ベルナール”。ラパン 先生の描く“アニエス”は本当に可愛くて健気で。彼が
観念して一緒になって、幸せになってくれることを心から応援したくなる素敵な物語です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月03日

『剣士を目指して入学したのに魔法適性9999なんですけど!?』

年中麦茶太郎 先生が贈る新作は「小説家になろう」発表作の書籍化。親の影響を受けて
剣士を夢見る少女が驚異の魔法適性を示したことから始まる痛快ファンタジーの登場です。
(イラスト:りいちゅ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797389333.html
http://ncode.syosetu.com/n1583dj/


剣士“ブルーノ”と槍使い“ドーラ”。Aランク冒険者として数々の功績を残す二人は
魔法使いを軟弱者と扱う偏った思想の持主。二人の子“ローラ”は9歳で冒険者学校に
合格する優秀な娘に育つものの、「実は魔法が使える」という悩みを抱えていて──。

剣の適性が100を超えるだけでも天才の域なのに、魔法適性は9999。そんな“ローラ”を
魔法使いとして育てる学校側の意図、周囲からの奇異の目にあてられ浮いてしまう彼女
ですが“シャーロット”や“アンナ”など理解者を得て成長していく過程が微笑ましい。

自身を天才と自負する“シャーロット”が、それを遥かに超える存在に出会ったときに
抱える苦悩、嫉妬、そして並び立ちたいという想い。“ローラ”の成長を追うと共に、
彼女の物語でもあると思いますので、その点にも注目して読んでいただきたい作品です。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル