2016年11月23日

『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミンXI』

アニメのDVD・BDが順次発売している、宇野朴人 先生が贈るファンタジー戦記。第11巻は
“イクタ”の妹弟子“ヴァッキェ”が“シャミーユ”の心情を事あるごとにかき乱します。
(イラスト/竜徹 先生 キャラクター原案/さんば挿 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892471-9/


暗君、暴君して振舞う“シャミーユ”に物怖じすることなく、馴れ馴れしい態度を見せる
“ヴァッキェ”に憤る女帝が次第に彼女らしさを取り戻させていく変化が実に微笑ましい。
そして“イクタ”に可愛がられる様子がたまりません。早く懐柔されてほしいものですが。

国内情勢を見れば貧民層が集団生活を送り無視できない規模にまで拡大する状況。これを
どう裁くかについても“ヴァッキェ”が切り込みます“イクタ”や“トリスナイ”それに
“シャミーユ”すらも驚かせる方法で。これは帝国にとってもいい流れになりそうな予感。

“ハロ”と“パトレンシーナ”の関係の変化が命を懸けたものと知り確実に胸を打ちます。
好転の兆しを見せるの中にあっても“シャミーユ”の胸に巣食う呪いのような信条は未だ
払拭できず、更に悩ましい状況に置かれる“イクタ”に勝ち目はあるのか次巻も注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月22日

『誉められて神軍1 新宿市国』

『彼女がフラグをおられたら』の 竹井10日 先生が贈る新作は、新境地ファンタジー戦記。
ファンタジー世界と化した日本で元の記憶を持つ少年が本来の世界を取り戻べく戦います。
(イラスト:CUTEG 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/series/?c=1000015577#bk9784063815627


一夜にして「新宿市国」の一小隊を任される軍人となっていた少年“零”。女の子だらけ
の小隊を連れて挑んだ新宿ダンジョンにて拘束衣に囚われていた謎の美少女“火倶夜”を
助けた彼に捧げられたのは「誉めて伸ばす力」。彼の野望を達成する力となるか否か──。

異例のスピードで出世していく“零”が見せる意外なだらしなさから始まり、幼なじみの
“姫鞠”の世話焼き具合を超え、バブみを感じさせる“萌”など、いつも通りの竹井先生
の世界観が繰り広げられていてある意味、安心しながら読めます。姉キャラも当然います。

「誉めて伸ばす力」の思いも寄らぬ使い方、及ぼす影響力に驚かされると共に制約条件が
シビアで“零”も使い所に悩まされるのがよく分かります。女の子たちとのコミカルな
やり取りと内憂外患のシリアスな状況が上手く作用して興味深い話運びを魅せています。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月21日

『インスタント・ビジョン 3分間の未来視宣告』

『天空監獄の魔術画廊』の 永菜葉一 先生が贈る新作は近未来SFバトル。2029年12月31日、
年が変わる3分前に意識が飛ばされる病に絶望と異能をもたらされた少年の運命を描きます。
(イラスト:まごまご 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321608000495


感染する未来視、夢現譜症候群に見せられた“レオ”の3分間は“スクルド”なる人物を
殺すため大量殺人を起こす自身の姿。専用の教育機関に保護され、殺人鬼の汚名を被り、
“スクルド”を単身探し求める彼にある少女とパートナーを組めと厳命が下されて──。

見える3分間が人によって異なり、良し悪しあれば見えない場合もある。その設定を活用
した世界観にまず惹き込まれます。そこに“レオ”と“ティア”、どちらも腹に一物ある
コンビが繰り広げるデコボコぶりで魅せてくれます。前作とは違ったエロさもあります。

思わぬ所からもたらされる“スクルド”の情報、夢現譜症候群の集団感染に隠された思惑、
過去と未来が交錯したときに選択肢を迫られる“レオ”が臨む戦いと精神的な成長の描写
に心地よい読了感を味わいました。ぜひ続きが出てほしいと思える作品。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月18日

『雨音天祢のラノベ作家養成講座 おまえをラノベ作家にしてやろうか!』

舞阪洸 先生が贈る新作はラノベ業界ラノベ。教壇に立つ現役女子高生ラノベ作家の指導を
専門学校生たちはどう受け止めるのか。有名ラノベ作家も実名登場してアドバイスします。
(イラスト:necomi 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/books/2016/11/#bk9784063815658


「ラノベしか読んでない奴はラノベ作家にゃなれないぞ?」作家養成コースの自己紹介で
辛辣なコメントをもらった“隆也”。そう告げた“天祢”はデビューする確率を100倍に
上げるメソッドを提供すると公言。その方法はもちろん楽な道のりではないワケで──。

コースには作家を目指す以外の生徒も含め、独特の個性を見せる人物ばかり。地道な作業
が続く中で焦りを感じたりする“隆也”の機微は同じ夢を追う者であれば多々共感できる
のではないかと。まさにラノベ作家養成講座へ同席しているかのような感覚が味わえます。

特別出演の あざの耕平先生、白鳥士郎 先生、三浦勇雄 先生に“天祢”がインタビュー
する形で行われる特別授業も見どころの一つ。下世話な質問も仕込んできて実に興味深い。
エロ成分は希薄ですが、代わりに人間模様は深堀りできそう。続刊に繋げてほしい所です。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年11月17日

『ワールド・イズ・コンティニュー』

『スカイ・ワールド』の 瀬尾つかさ 先生が贈る新作はMMORPGノベル。バランスが最悪の
ゲームに失踪した姉の残滓を感じた少年が、偏ったスキルと無限蘇生を武器に挑みます。
(イラスト:早川ハルイ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321606000844


七つの異世界から闘神を呼び、何度でも甦る使徒と共に魔物を退け、少しずつ人の領域を
広げる世界「フルシエラ」。使徒の一人として召喚された“浩史”は姉“マリエ”の特徴
をもつ闘神“マクナ”に会う条件、レベル100を目指すが成し遂げたのはごく僅かで──。

セーブポイントのエリアから出るために倒すべきエリアボスに歯が立たず、何度挑んでも
死に戻るが故に自壊死を選ぶ仲間に取り残された“ハイシェン”。その少女に生きる術を
与えた“浩史”とその仲間の影響を良くも悪くも受けて成長していく様子が何とも面白い。

錬金術師で弱体魔法特化という、実に難易度の高いゲームスタイルを披露する“浩史”が
“由紀”や“桃子”に頭が上がらない様子に 瀬尾 先生の作品らしさを感じて安心します。
姉が残した伝言の真意を探るべく困難な道のりに挑む彼を待ち受ける物語が気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル