2016年10月17日

『蜘蛛ですが、なにか? 4』

馬場翁 先生が「小説家になろう」で公開していた迷宮サバイバル・ストーリーの書籍版。
第4巻はマザーとの対決を迎える“蜘蛛子”の激闘や転生者たちの不穏な動向を描きます。
(イラスト:輝竜司 先生)

http://kadokawabooks.jp/product/89/


マザーこと“クイーンタラテクト”のステータスが破格すぎて驚愕する暇も与えず更なる
強敵をぶつけてくる世界の不条理さ。それに立ち向かう“蜘蛛子”が即死もあり得る状況
を奇策、秘策で切り抜けていく戦いが熱い。外に出て一安心か、と油断していただけに。

一方、エルフの里を目指しエルロー大迷宮に挑む“シュレイン”。先生に対する疑念が
次々と見えてくる中、読み手としても疑問に思う描写がちらほら。そこで巻末の年表と
来たら話を読み進める上で新たな興味が沸かずにはいられません。今巻のラストも含めて。

管理者との関係が大なり小なり見えてきた転生者たち。“蜘蛛子”は更なる進化を遂げて
伝説になりそうな勢い。“シュレイン”らはエルフの思惑すら読み切れぬまま“ユーゴー”
との戦いに巻き込まれる情勢。風雲急を告げる彼ら彼女らがどうなるのか続きに注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年10月14日

『覇剣の皇姫アルティーナXI』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第11巻は“ラトレイユ”と決別した
“レジス”が、命を狙われながらも第二皇子の皇帝即位に一石を投じるため暗躍します。
(イラスト:himesuz 先生)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047340413/eb-novel-22


冒頭から衝撃的なシーンからスタートする今巻。急使から伝え聞いた“アルティーナ”は
納得いかない、と“ラトレイユ”のもとへ。渦中の人“レジス”は“フランツィスカ”や
“イェシカ”を説得してどうにか共闘体制を構築。説得の仕方がまた彼らしくて面白い。

しかも逃げるどころか帝都にあんな姿で乗り込んで、いつの間にか有名人なっていた身を
活かして次々と“ラトレイユ”の瑕を白日の下に晒すための準備を進めていきます。変装
した姿もそうですけど“バスティアン”とのやりとりなどは緊張感を和らげてくれてます。

国を変えるために必要なことは何か、時期は適切か、などを訥々と語る“レジス”。耳を
傾ける“バスティアン”たちにも響いたことでしょう。裏をかかれた“ラトレイユ”が
歯噛みした瞬間、詰めかける民衆、そして“アルティーナ”。緊張感が一気に増します。

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2016年10月13日

『楽園【ハレム】への清く正しき道程【ルート】 国王様と楽園【らくえん】の花嫁たち』

野村美月 先生が贈るファンタジー・ハーレム(予定)コメディ。第4巻は想いを持て余し
“ルドヴィーク”のもとを離れた“カテリナ”の真意と様々な謎を解き明かす最終巻です。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047269611/eb-novel-22


“フロリン”のことを知っていた“アーデルハイド”からの諫めを振り切って、大雪の中
王妃探しに乗り出す“ルドヴィーク”。しかし足場を崩してあわや大惨事かと思った瞬間
彼の前に再び青い髪の少女が現れ、そして実に不思議な体験をしていくことになります。

「七番目は永遠に手に入らない」「七番目を得るには他のすべてを捨てなければならない」
と宣告されたその意味を特別な時間軸の中で掴んだ“ルドヴィーク”。なるほど、という
想いの強さを得て“カテリナ”の本心を引き出し、首肯させたあの場面は拍手ものでした。

“ミーネ”“テレーゼ”“エヴァリーン”“アーデルハイド”“ロッティ”“カテリナ”
そして“ルドヴィーク”と誓いの言葉を答えていく様子は印象的でしたし、巻末の短編で
描写された初夜話も初々しくて素敵でした。見事な大団円を祝いつつ、新作を待望します。

posted by 秋野ソラ at 00:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年10月12日

『山内くんの呪禁の夏。 夏の夕べに約束を』

二宮酒匂 先生が「小説家になろう」で発表していた青春オカルトファンタジーの書籍化。
第2巻は“紺”が直面する血の定めと窮地を前に“山内”くんが重大な選択を迫られます。
(イラスト/平山けいこ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=321605000279


“青丹”との術くらべに屈するようであれば彼を“紺”に娶せる。祝部の血を取り込むため
手段を選ばない十妙院家の惣領にて彼女の祖母“銀”の横暴さに“山内”くんも流石に血が
上るか、というところで突きつけてきた衝撃的な事実に混乱、意気消沈する姿が痛々しい。

術くらべの結末を迎える前に立ち直ってくれた“山内”くん。そこに至るに欠かせない父の
存在が大きくて涙を誘う、家族愛あふれる一幕は見所の一つです。その後の微笑ましい会話
に思わずニヨニヨ。“紺”可愛いよなぁ、もう。“山内”くんも女たらしの素養があります。

“山内”くんが見鬼の力をようやく手放せるかと思っていた隙を突くかのように、“紺”の
ある見落としが2人に最大最悪の窮地を招きます。まさかの真犯人にどう立ち向かうのか、
胸を熱くする展開と顔を火照らせる話の結び方にご注目。前巻との一気読みをお薦めします。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年10月11日

『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』

『とある飛空士への誓約』で「飛空士」シリーズを完結させた 犬村小六 先生が贈る最新作。
“ヴィヴィ・レイン”、その名前しか分からない人物を探す少年の数奇な運命を描きます。
(イラスト:岩崎美奈子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516340


飛行輸送船から落ちてきた少女“シルフィ”を助け、心の拠り所として貧民窟で暮らす少年
“ルカ”。体が弱い彼女が死を迎えるその時「探してほしい」と頼まれた人物を見つければ
この世界をよくできる、変えられる、というその言葉を胸に彼はあてのない旅に出る──。

序盤で“ルカ”が本当に報われない人生を送らされていることにやるせない気持ちを覚え、
その終幕を迎えそうなその瞬間から動き始める物語に、そして“ヴィヴィ・レイン”の名が
意外な所から出てくるあたりからはすっかり引き込まれていった感があります。流石です。

死の淵から拾い上げてくれた“ファニア”、最高のパートナー“ミズキ”、“シルフィ”に
似すぎている人造人間“アステル”。“ルカ”の旅の道連れも増え、世界観が広がった所で
魔女“アナスタシア”が告げるあの意味深長な発言が気になりすぎて次巻が待ち遠しいです。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル