2016年10月31日

『響け! ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌』

『響け! ユーフォニアム』公式ガイドブックと位置付けられる本作。武田綾乃 先生による
書き下ろし小説2編のほか、インタビューや吹部紹介、応援コメントを収録した一冊です。

http://tkj.jp/book/?cd=72622601


北宇治高校の定期演奏会を描く「冬色ラプソディー」。まとめ役の“みぞれ”を補佐する
ことになった“久美子”が久しぶりに戻ってきた先輩たちの意思も交え、皆のこだわりと
成長を感じとれる様々なやりとりが見どころ。“麗奈”とのとっさの接触にドキドキです。

立華高校との合同演奏会に触れる「星彩セレナーデ」。“梓”の急成長ぶりに圧倒される
“久美子”が、ユーフォニアムを吹くことに対する自分なりの意味を再認識するやりとり
に生々しさを感じました。“麗奈”と過ごすひと時の別世界、その様子にホクホクです。

武田 先生のインタビュー記事では、これまで描かれてきたエピソードの創作秘話などが
語られて興味深く読ませてもらいましたし、吹奏楽部経験者であれば「あるある」と首肯
できる内容もふんだんに含まれておりました。そう言えば、な初のあとがきにも注目です。

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2016年10月28日

『宝石吐きのおんなのこ(5) 〜ちいさな宝石店といつわりの魔法使い〜』

なみあと 先生が贈るファンタジーノベル。第5巻は敏腕警部“ナツ”の思い出話を交えて
“クリュー”の成長を追いつつ、あの男の心を揺さぶるある仮説が“ユキ”から示されます。
(イラスト:景 先生)

http://www.ponicanbooks.jp/book/1612/
http://ncode.syosetu.com/n4843br/


“エルサ”や“犬屋”から「“スプートニク”と似ている」と言及される“ナツ”が心外
と言いながら共通点を探るも中々出てこない。出会いから衝突してるのには思わず苦笑い
と言うしかありませんが、答え合わせをしてみれば腑に落ちるところもあり納得の一言。

そんな折、“ナツ”から届けられた封筒によってついに“ファンション”存命の可能性を
示唆される“ソアラン”。彼女からの仕掛けに次々と気付く彼がとった決断は至極当然。
その結果を受け入れる“イラージャ”の対応も切ないながら分かってしまうというもの。

昔語りの中で人見知りどころじゃない態度を示す“クリュー”が恋を知り、可愛らしさを
増していくだけでなく、それを失う局面を目の当たりにして想いを揺らすまでに成長した
様子を丁寧に描いてきました。それぞれにどんな未来が待ち受けているのか、注目です。

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2016年10月27日

『即死チートが最強すぎて、異世界のやつらがまるで相手にならないんですが。 1』

藤孝剛志 先生が贈る新作は「小説家になろう」発表作の書籍化。クラス全員が異世界召喚
でほぼ異能力を与えられる一方、恩恵を受けなかった少年がなぜか即死能力で無双します。
(イラスト:成瀬ちさと 先生)

http://www.es-novel.jp/booktitle/32sokushicheat.php
http://ncode.syosetu.com/n5691dd/


異世界を守る存在「賢者」。その一人“シオン”は召喚した“知千佳”の級友らに賢者に
なるミッションを課す代わりとして異能力を授ける。しかし彼女を含めた数名はその変化
がなく足手まといとして置き去りにされ、更にドラゴンの強襲に遭い死を覚悟するが──。

“シオン”からの説明を受けている間も寝ていた“夜霧”が自分たちを奴隷にしようと
する級友をけだるげに殺すところから彼の無双ぶりが始まり、それについていく“知千佳”
が振り回されるという構図。彼女の反応が実に面白い。落ち着いた彼との対比としても。

鉄壁の即死チート能力を無暗に振るわないわりには賢者も、異世界人も、賢者候補の級友も
敵意を向けられれば死に至らしめる“夜霧”が色々と目をつけられていく中、“知千佳”も
それなりに秘密はあって、それらがどう絡んで物語が動いていくのかが興味深い作品です。

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2016年10月26日

『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.12』

聴猫芝居 先生が贈る、残念で楽しい日常≒ネトゲライフ。第12巻は両親不在の“アコ”の
家に泊まることになった“ルシアン”。ネトゲでも家を守るイベントが発生し大忙しです。
(イラスト/Hisasi 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892452-8/


ゴールデンウィーク中に旅行する両親についていかない“アコ”が家で堕落した生活を送る
のを防ぐため“ルシアン”にお泊りしてほしい、とお願いする親も親ですが、真面目系クズ
な彼女のことを理解してやむを得ず引き受ける彼も彼だなぁ、とか思ったりもするワケで。

同じく始まるネトゲ上の家を守るイベント。部員も勢揃いで臨むか、と思えば都合があって
バラバラで参加する流れに。近い未来、いつかみんなとも離れ離れになってしまうのか、と
“アコ”と“ルシアン”に考えさせる描写が焦点の一つになるかと。杞憂に終わりますが。

“ルシアン”が“アコ”に対する気持ちもだいぶ変化してきたことが異色の夫婦喧嘩? で
明らかになりました。陥落間近、というかもう落ちてると言ってもいいかもしれません。
堪えきれない“アコ”がやらかしてくれましたし、二人がどこまで行くのか楽しみです。

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2016年10月25日

『いでおろーぐ!5』

椎田十三 先生が贈るリア充爆発アンチラブコメ。第5巻は文化祭にて革命的勝利を目論む
“領家”たち反恋愛主義青年同盟部と“宮前”ら生徒会がかつてない闘争を繰り広げます。
(イラスト/憂姫はぐれ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892185-5/


部員たちが文化祭準備の要となる組織に内定を続け、生徒会を出し抜いて調子の良い展開
を見せたかと思いきや、“宮前”に地下部室がバレるなどじわじわと追い詰められていき
ハラハラさせられます。うらやまけしからん偽装で難を逃れるも“領家”の気落ちは深く。

そこで飛び出す“領家”の議長辞任発言。ここでの“高砂”の言動にまずご注目。まさか
あんな恥ずかしい引き止め方をするとは。それでほだされる彼女も彼女で。自己批判書も
面白いし、挿絵指定も素晴らしい。“女児”の思惑に反していく彼の心意気に天晴れです。

逆境をはねのけ遂に“領家”と“宮前”の一騎打ちを迎える局面。反恋愛と恋愛至上主義
の直接対決がまさかの結末を迎えます。この切り返しの面白さと、“領家”と“高砂”も
タジタジの様子になりつつアツアツぶりを魅せる場面はぜひ読んで確かめて頂きたいです。

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2016年10月24日

『青春ブタ野郎はハツコイ少女の夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。第7巻は身代わりとなった“麻衣”の死を受け止め
きれない“咲太”が、思春期症候群の力を借りて新しい未来に辿り着く道筋を模索します。
(イラスト/溝口ケージ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892281-4/


“麻衣”の告別式まで暗澹とした雰囲気が続き流石に泣き言が出る“咲太”の前に現れた
“翔子”。彼女が告げる「咲太君が幸せになるまで、何度だって助けに来る」という想いと
覚悟に得も言われぬ強さを感じます。自身のこともあるはずなのにそこまで出来るのかと。

あの事故が起きる前に舞い戻った“咲太”が自分でも納得できないにも関わらずもう一つ
の選択肢を選ばざるを得ない心境がまたつらい。“麻衣”と居て幸せなはずなのにつらい。
彼を心配するあまり涙する“理央”に驚くと共に、その後のやりとりが印象に残ります。

本当の幸せを諦めきれない“咲太”が更なる可能性に賭けると決め、それを止めることなく
受け止める“麻衣”。やさしさにあふれるみんなの気持ちがどんな結末を導き出したかは
ぜひ読んでご確認いただくとして、ここからどう話を進めていくのか興味津々であります。

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2016年10月21日

『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか11』

大森藤ノ 先生が贈る、一端の冒険者である少年と矮小なる女神が織り成す眷族の物語。
第11巻は名声を失った“ベル”と異端児に対する想いが錯綜する、その結末を描きます。
(イラスト:ヤスダスズヒト 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797388121.html


“ベル”の行動に不信感をあらわにする者、それでも信じようとする者。決意揺らぐ彼に
仲間の支えがあることがどれだけ救いのあることか。その彼の動向を注視する“フィン”
“ヘルメス”“フレイヤ”そして異端児たち。各々の裏の読み合いが緊張感を誘います。

「人造迷宮」に集まる各陣営の駆け引き、繰り広げる勝負の数々。オールスターの競演と
言ってもいいほど熱い展開が続きます。中でも“アイズ”にも決意を貫き通した“ベル”
の気迫と、彼の気持ちに応えた“ウィーネ”の心の成長とその強さには眼を見張ります。

英雄回帰を臨む“ヘルメス”の腹黒い思惑をも吹き飛ばす黒き闖入者。死闘を繰り広げる
“ベル”の「冒険者」ぶりに街の住人も応じてくれる流れは実に良かった。結果として
強くなりたいと願う気持ちを呼び起こした彼の新たなダンジョン・アタックに期待です。

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2016年10月20日

『のうりん13』

白鳥士郎 先生が贈る大人気農業高校ラブコメディ。第13巻は突如いなくなった“林檎”に
戸惑いを隠しきれない“耕作”が、次期位生徒会長に立候補するまでの顛末を描きます。
(イラスト:切符 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797389425.html


電話相談やファンレター騒動など“バイオ鈴木”の活動著しい様子に笑わされる一方で、
「農フーズ」で廃棄物の転売問題でシリアスな現状を、分かりやすく伝えてくる。まさに
本作の真骨頂。そして“ベッキー”が要所で絡み、暴走していくあたりも同様に(笑)。

芸能界に電撃復帰した“林檎”をモニター越しに見届ける“耕作”。やせ我慢なのは承知
の上でこのまま農林高校での日々を過ごすのか・・・と思いきや、やはり仕掛けてきました。
ぜひ突き抜けてほしい所です。それにしても生徒会長の役割、そこまで無いものなのか。

もう一つ注目すべきは、バレンタイン終了の嵐が吹き荒れる農林高校で勢いとは言え遂に
その想いを伝え、両思いであることを認識、周知させたあの顛末。相手がそんなそぶりを
全然見せてなかったので驚きです。ということで次巻はいよいよ最終巻。待ち遠しいです。

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2016年10月19日

『姫騎士がクラスメート! 4』

EKZ 先生が贈る異世界転生ハーレムバトル。第4巻は決別した“オルト”と対峙するため
決心した“リルナ”の想いと体を受け止める“トオル”が物語を大きく動かしていきます。
(イラスト:吉沢メガネ 先生)

http://ktcom.jp/bn/bn025/


“トオル”の隷属術式をも跳ね返してしまう“リルナ”をどう従えるのか。答えはすでに
出ておりましたが、いざ実践となると至難の業。それを体を重ねる欲望も含めて実現する
彼の生き様が実に素直でよろしい。彼女の決心に繋がる昔話がまた純真でいじらしいです。

“オルト”との対峙の果てに彼女が抱えていた悲願を叶える手助けもするなど“トオル”の
株がまた一つ上がる結果に。それを受け“ナナ”や“リルナ”もハーレム参戦で“キリカ”
の心穏やかでない心情、それがダダ漏れになる場面が琴線に触れます。ここまで来たかと。

魔隷術師として更なる高みを目指す“トオル”の耳に届く、破天の骸がもたらす魔界騒乱の
兆し。魔界の勢力図が書き換わる、その局面の鍵を握る、謎多き“ベル=フォイゾン”公。
“ベル”の思いもよらぬ秘密を握った“トオル”たちはどう巻き込まれるのか、注目です。

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2016年10月18日

『公爵令嬢は騎士団長(62)の幼妻 2』

筧千里 先生が「小説家になろう」にて発表していた、歳の差ラブロマンス作品の書籍化。
第2巻は“いい女”になるため騎士団入りを希望する“キャロル”が一波乱を起こします。
(イラスト:ひだかなみ 先生)

http://kadokawabooks.jp/product/87/


家族から当然、猛反対を受ける“キャロル”。そもそも運動神経に疑問を残す彼女が騎士
になれるのか。その抜け道を母は見抜いておりました。娘に理解のある良いお母様です。
予想外な所から“ヴィルヘルム”を悩ませた彼女も心苦しさを覚えますがへこたれません。

そんな中“キャロル”のもとを訪れた学園時代の親友“リリア”。これまでの経緯を知った
彼女が紅茶を吹き出すほど驚くのも無理はなく。でもそのやり取りに互いを思う気持ちが
見える様子が実に微笑ましく。何やかんや言いながら“キャロル”を手助けするあたりとか。

才能を買われてお仕事をすることになった“キャロル”が遭遇したある現場での手助けが
ある人物の騎士道精神を呼び起こすことに。これは“ザック”も色々な意味で報われない。
「いい女」として認め、認められた彼女が次に何をしでかすのか楽しみな所であります。

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2016年10月17日

『蜘蛛ですが、なにか? 4』

馬場翁 先生が「小説家になろう」で公開していた迷宮サバイバル・ストーリーの書籍版。
第4巻はマザーとの対決を迎える“蜘蛛子”の激闘や転生者たちの不穏な動向を描きます。
(イラスト:輝竜司 先生)

http://kadokawabooks.jp/product/89/


マザーこと“クイーンタラテクト”のステータスが破格すぎて驚愕する暇も与えず更なる
強敵をぶつけてくる世界の不条理さ。それに立ち向かう“蜘蛛子”が即死もあり得る状況
を奇策、秘策で切り抜けていく戦いが熱い。外に出て一安心か、と油断していただけに。

一方、エルフの里を目指しエルロー大迷宮に挑む“シュレイン”。先生に対する疑念が
次々と見えてくる中、読み手としても疑問に思う描写がちらほら。そこで巻末の年表と
来たら話を読み進める上で新たな興味が沸かずにはいられません。今巻のラストも含めて。

管理者との関係が大なり小なり見えてきた転生者たち。“蜘蛛子”は更なる進化を遂げて
伝説になりそうな勢い。“シュレイン”らはエルフの思惑すら読み切れぬまま“ユーゴー”
との戦いに巻き込まれる情勢。風雲急を告げる彼ら彼女らがどうなるのか続きに注目です。

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2016年10月14日

『覇剣の皇姫アルティーナXI』

むらさきゆきや 先生が贈る覇道戦記ファンタジー。第11巻は“ラトレイユ”と決別した
“レジス”が、命を狙われながらも第二皇子の皇帝即位に一石を投じるため暗躍します。
(イラスト:himesuz 先生)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047340413/eb-novel-22


冒頭から衝撃的なシーンからスタートする今巻。急使から伝え聞いた“アルティーナ”は
納得いかない、と“ラトレイユ”のもとへ。渦中の人“レジス”は“フランツィスカ”や
“イェシカ”を説得してどうにか共闘体制を構築。説得の仕方がまた彼らしくて面白い。

しかも逃げるどころか帝都にあんな姿で乗り込んで、いつの間にか有名人なっていた身を
活かして次々と“ラトレイユ”の瑕を白日の下に晒すための準備を進めていきます。変装
した姿もそうですけど“バスティアン”とのやりとりなどは緊張感を和らげてくれてます。

国を変えるために必要なことは何か、時期は適切か、などを訥々と語る“レジス”。耳を
傾ける“バスティアン”たちにも響いたことでしょう。裏をかかれた“ラトレイユ”が
歯噛みした瞬間、詰めかける民衆、そして“アルティーナ”。緊張感が一気に増します。

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2016年10月13日

『楽園【ハレム】への清く正しき道程【ルート】 国王様と楽園【らくえん】の花嫁たち』

野村美月 先生が贈るファンタジー・ハーレム(予定)コメディ。第4巻は想いを持て余し
“ルドヴィーク”のもとを離れた“カテリナ”の真意と様々な謎を解き明かす最終巻です。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4047269611/eb-novel-22


“フロリン”のことを知っていた“アーデルハイド”からの諫めを振り切って、大雪の中
王妃探しに乗り出す“ルドヴィーク”。しかし足場を崩してあわや大惨事かと思った瞬間
彼の前に再び青い髪の少女が現れ、そして実に不思議な体験をしていくことになります。

「七番目は永遠に手に入らない」「七番目を得るには他のすべてを捨てなければならない」
と宣告されたその意味を特別な時間軸の中で掴んだ“ルドヴィーク”。なるほど、という
想いの強さを得て“カテリナ”の本心を引き出し、首肯させたあの場面は拍手ものでした。

“ミーネ”“テレーゼ”“エヴァリーン”“アーデルハイド”“ロッティ”“カテリナ”
そして“ルドヴィーク”と誓いの言葉を答えていく様子は印象的でしたし、巻末の短編で
描写された初夜話も初々しくて素敵でした。見事な大団円を祝いつつ、新作を待望します。

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2016年10月12日

『山内くんの呪禁の夏。 夏の夕べに約束を』

二宮酒匂 先生が「小説家になろう」で発表していた青春オカルトファンタジーの書籍化。
第2巻は“紺”が直面する血の定めと窮地を前に“山内”くんが重大な選択を迫られます。
(イラスト/平山けいこ 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=321605000279


“青丹”との術くらべに屈するようであれば彼を“紺”に娶せる。祝部の血を取り込むため
手段を選ばない十妙院家の惣領にて彼女の祖母“銀”の横暴さに“山内”くんも流石に血が
上るか、というところで突きつけてきた衝撃的な事実に混乱、意気消沈する姿が痛々しい。

術くらべの結末を迎える前に立ち直ってくれた“山内”くん。そこに至るに欠かせない父の
存在が大きくて涙を誘う、家族愛あふれる一幕は見所の一つです。その後の微笑ましい会話
に思わずニヨニヨ。“紺”可愛いよなぁ、もう。“山内”くんも女たらしの素養があります。

“山内”くんが見鬼の力をようやく手放せるかと思っていた隙を突くかのように、“紺”の
ある見落としが2人に最大最悪の窮地を招きます。まさかの真犯人にどう立ち向かうのか、
胸を熱くする展開と顔を火照らせる話の結び方にご注目。前巻との一気読みをお薦めします。

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2016年10月11日

『やがて恋するヴィヴィ・レイン 1』

『とある飛空士への誓約』で「飛空士」シリーズを完結させた 犬村小六 先生が贈る最新作。
“ヴィヴィ・レイン”、その名前しか分からない人物を探す少年の数奇な運命を描きます。
(イラスト:岩崎美奈子 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516340


飛行輸送船から落ちてきた少女“シルフィ”を助け、心の拠り所として貧民窟で暮らす少年
“ルカ”。体が弱い彼女が死を迎えるその時「探してほしい」と頼まれた人物を見つければ
この世界をよくできる、変えられる、というその言葉を胸に彼はあてのない旅に出る──。

序盤で“ルカ”が本当に報われない人生を送らされていることにやるせない気持ちを覚え、
その終幕を迎えそうなその瞬間から動き始める物語に、そして“ヴィヴィ・レイン”の名が
意外な所から出てくるあたりからはすっかり引き込まれていった感があります。流石です。

死の淵から拾い上げてくれた“ファニア”、最高のパートナー“ミズキ”、“シルフィ”に
似すぎている人造人間“アステル”。“ルカ”の旅の道連れも増え、世界観が広がった所で
魔女“アナスタシア”が告げるあの意味深長な発言が気になりすぎて次巻が待ち遠しいです。

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2016年10月10日

『銃魔大戦 怠謀連理』

カルロ・ゼン 先生が原作・シナリオ執筆を担当されるフリーゲームをセルフ・ノベライズ。
腐敗した貴族社会の国が陥る窮地に暗躍する男と矢面に立たされる少女の生き様を描きます。
(イラスト:村 先生)

https://www.enterbrain.co.jp/product/mook/mook_bungei/213_other/15247801.html
https://gamemaga.denfaminicogamer.jp/ganma/


コモンウェルスの隣、ユニマール朝で発生した武装蜂起。貧富の差が原動力となる革命の
意志の強さを見誤った国王は落命。責任転嫁しあう貴族に業を煮やす姫“ヤーナ”が強権
を発動。その彼女に辺境伯“モーリス”は不気味に平静を装いながら接触を図るが──。

“モーリス”が食えない男と知りつつも国の窮状ゆえに登用せざるを得ない“ヤーナ”が
将としての力を発揮して場を次々とひっくり返していく気っ風のよさと、戦局を見極め
ながらゲームを楽しむかのように振舞う彼の狡猾さ。2人が魅せる駆け引きが楽しい。

各章の導入として図説を用いた戦況の要約があるため、話の流れが追いやすく読み返して
振り返りながら読むのも一興かと思います。“モーリス”の掌で踊らされる“ヤーナ”が
一矢報いるラストのやりとりがまた爽快です。共犯者となった2人の活躍をぜひご覧あれ。

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2016年10月07日

『ネット小説家になろうクロニクル 1 立志編』

『やる気なし英雄譚』の 津田彷徨 先生が「小説家になろう」に発表していた作品の書籍化。
怪我によりサッカーへの夢破れた少年がWeb小説と出会い、小説家を目指す過程を描きます。
(イラスト/フライ 先生)

http://seikaisha.co.jp/information/2016/09/09-post-net1.html


“優弥”に薦められた小説にハマり、まだ刊行されていない続きを「Become the Novelist」
通称「ベコノベ」なる小説投稿サイトで読めることを知った“昴”はやがて自分でも小説家
を目指すように。最初から上手くいく訳もなく何度も挫折を味わう中、思わぬ手助けが──。

大阪芸術大学文芸学科第二回「ラノベ祭り」に登壇した 津田 先生による、データ解析を
重視したネット小説家になるために有用なノウハウが詰め込まれております。津田 先生、
もとい“津瀬”先生の助言を得て学業と執筆を両立していく“昴”の躍進にまずご注目。

一時は世捨て人のような顔をした“昴”が“優弥”や“由那”と協力関係を築き、プロを
目指す夢を抱いて活き活きと変化していく青春ぶりにも目が離せません。フライ 先生の
イラストもその演出に花を添えます。指南本としても有用でありながら楽しめる作品です。

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2016年10月06日

『世界の終わりの世界録<アンコール>8 慟哭の神霊』

細音啓 先生が贈る王道ファンタジー。コミックス2巻と同時刊行となる第8巻は、仲間の
行方を追う“レン”が“エリエス”と再会し、更なる世界の混乱を目の当たりにします。
(イラスト:ふゆの春秋 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1466


極寒の冷気に晒され、人の出入りもままならない聖地カナン。精霊の声に導かれて“レン”
たちが訪れてみれば“エリエス”の傍には“ルル”や五大災が不在の今イキイキとしている
“魔王”が肩を並べるという珍しい顔合わせ。というかホントに楽しんでるよな“魔王”。

深海にある神殿に向かったという“エリーゼ”を探しに向かった“レン”たちが目にした
神性都市の記録。そこに記された精霊信仰から三種族信仰に移った、更にその先の動向を
示唆する記述が新たな謎と、“ルル”たちでも苦戦する敵との遭遇へと導いていきます。

あまりの激戦ゆえに崩落を余儀なくされる神殿から審門を使って脱出してみれば、そこは
降りしきる灰におおわれた町。灰の意味と精霊の真価を目の当たりにした“レン”が遂に
見つけた英勇の旅の先、彼独自の戦いは物語に熱量を帯びさせます。続きも楽しみです。

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2016年10月05日

『逆転召喚2 〜裏設定まで知り尽くした異世界に学校ごと召喚されて〜』

三河ごーすと 先生が贈る、異世界召喚がもたらす人生逆転物語。第2巻は精霊の国に足を
伸ばした“湊”たちが学生らにより不穏な空気をもたらすかの国に対処する顛末を描きます。
(イラスト:シロタカ 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-631144-1


“麻梨果”が吐露した心情を補うべく向かった《ガーデン》は精霊王を差し置いて“エマ”
のクラスメイトが奴隷制度を敷く国へと変貌を遂げており、またその現状を見た“エマ”も
態度によそよそしさが見られ、“湊”も問題解決に乗り出さざるを得ない状況に陥ります。

《ガーデン》を治めるはずの“精霊王”は洗脳されているワケでもなく、では誰が現状を
作り上げたのかを突き詰めるうちにあらわとなる、ある人物の闇のような感情。その感情に
よって苦しめられたことを明らかにした“エマ”の気持ちに胸が締め付けられる思いです。

参加者の意思統一が鍵を握るアンティゲーム「民主主義戦争ゲーム」でクラスメイトらと
対決する“エマ”を後押しし、黒幕となる人物を完膚なきまでに叩き潰す“湊”の容赦の
無さに爽快感を覚えました。見返した口絵が魅せる“エマ”の笑顔が実に素敵に映りました。

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2016年10月04日

『弱キャラ友崎くん Lv.2』

屋久ユウキ 先生が贈る人生攻略ラブコメ。第2巻は生徒会選挙で“葵”に挑む“みなみ”
を支援することになった“文也”が指導を受けながら2人の過去と人生観に触れていきます。
(イラスト:フライ 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094516319


妹や“水沢”から「脱オタ目指して頑張ってるの?」と指摘を受ける中、“葵”との会議
で徐々にハードルが上がっていく課題に挑む“文也”。いつの間にか訪れていた自身の
変化に気づいた時の達成感。それをふとした情景に込めて描くあたりが等身大で実に良い。

下馬評では“葵”の信任投票に近いとされる生徒会選挙。そこに立候補した“みなみ”が
示した「葵に勝ちたい」という思い。万年2位の立場でもがく彼女に共感した“文也”が
人生というゲームでも“葵”に勝ちたいとあれこれ仕掛ける、彼らしい姿勢が見どころ。

「集団にいる中で自分の提案をとおす」という課題が要所で活きて、道に迷う“みなみ”
を結果的に軌道修正できたあのシーン、一番になれない彼女を励ますあの一言が友情の力
を実感させてくれます。フライ 先生の挿絵も良かった。次巻のレベルアップも期待です。

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