2016年09月23日

『新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙』

支倉凍砂 先生のデビュー作にして出世作となる本作が10周年を迎えて新シリーズへ突入。
前作主人公2人の娘“ミューリ”と、聖職者を目指す“コル”の2人旅を描いていきます。
(イラスト/文倉十 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892356-9/
http://hasekuraisuna.jp/


惜しまれながら“ロレンス”が営む湯屋『狼と香辛料亭』を後にした“コル”は神の教えを
正すべく動き出したウィンフィール王国に協調すべく南へ向かう船に乗る。一人旅のはずが
“ミューリ”が船に紛れ込んでおり、聞けば一緒に旅がしたくて家出したと言うのだが──。

まさに天真爛漫と言うにふさわしい“ミューリ”の闊達さと、学があるものの視野は狭い
“コル”とのやりとりが“ロレンス”たちとはまた違った楽しさ、面白さを魅せてくれて
あっという間に読み終えた感じです。彼女の自由奔放さが羨ましく映るというものです。

教会が徴収する「十分の一税」に疑義を唱える“ハイランド”に助力し、聖典を翻訳して
皆が見れるようにする活動を進める“コル”が陰謀に巻き込まれ、機転を利かせて逆転に
繋げる活躍は熱い。彼の節制は“ミューリ”に対してもどこまで貫けるか、見ものです。

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2016年09月22日

『狼と香辛料XVIII Spring Log』

支倉凍砂 先生が贈る“ホロ”と“ロレンス”の物語。共に世に登場してから10年の時を
経て待望の続編が登場。雑誌掲載の短編3編に加え、書き下ろし中編を収録した一冊です。
(イラスト/文倉十 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892355-2/
http://hasekuraisuna.jp/


衝撃的なシーンから始まる「旅の余白」。完結してから随分経つというのに“ホロ”も
“ロレンス”も変わりないと分かるやりとりが実に良い。「黄金色の記憶」で逗留した
謎の客の真意を図り、満足させるあたり、首を突っ込むところも相変わらずというもの。

「狼と泥まみれの送り狼」では、ニョッヒラの近くに新しい温泉街が出来るという話に
探りを入れる2人が、思わぬところで将来を考えされられたり、降りかかってきた危機
を前にある奇跡を起こしたりします。しおらしい“ホロ”も見られたりして興味深い。

“ホロ”が使う独特の言葉遣いを見ると「やはり“ホロ”だよな」と今でも感じられる
キャラクター性がすごいと再認識しました。同時発売の新シリーズ『狼と羊皮紙』にも
繋がる「羊皮紙と悪戯書き」はそちらを読むより先に堪能しておくことをお薦めします。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年09月21日

『魔装学園H×H 9』

TVアニメも絶頂放映中となる 久慈マサムネ 先生の大人気ハイブリッド・バトル。第9巻は
機械神“オシリス”に洗脳された“ユリシア”を取り戻すため“傷無”が全力で挑みます。
(イラスト:Hisasi 先生 イラスト/メカデザイン:黒銀 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321605000162


異世界の鉱石から無限のエネルギーを得て発展したある王国が、その副作用とも言える影響
で迎える緩やかな死の末路。生き延びるために機械と融合し、生き延びた“オシリス”には
生けるものが残っていなかった。その悲しみから見せる彼女の言動の数々に哀愁を感じます。

悲壮な機械神の想いにまきこまれた“ユリシア”は彼女の娘として振舞い、“傷無”たちを
容赦なく攻撃してくるほど洗脳されており、さてどうするか・・・というところでSMですか。
相変わらずぶっ飛んでますね(誉め言葉)。ご主人様と呼ばせてしまう彼の所業が鬼畜です。

精神支配を得意とする“オシリス”を、洗脳の解けた“ユリシア”を契機にどう攻略して
いくかは読んでご確認いただくとして。それにしても短編でも魅せる“ゼルシオーネ”の
気の強さと羞恥心とのギャップが実にハンパない。挿絵も刺激の強さがエロノベル級です。

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2016年09月20日

『エクスタス・オンライン 01.魔王はクリアを許さない 』

『魔装学園H×H』の 久慈マサムネ 先生が「エクスタシーVRMMOファンタジー」と称する
新シリーズを始動。VR世界で魔王となった少年が攻略対象として狙われる顛末を描きます。
(イラスト:平つくね 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321605000167


次世代VRシステムを使った世界遺産巡りをする社会科見学に臨む“駆流”。気がつけば
アルバイト先の会社が作成したゲーム世界に魔王として君臨し、倒せばクリアできると
級友から狙われる始末。クリアに潜む危険と板挟みになった彼は戦うか? それとも──。

ログアウトできない。死んでも生き返るがペナルティがシビア。クリアには“駆流”の死
が要求されるが、現実では肉体に戻る手段が確立されておらず、今クリアされると即死亡。
無理ゲー設定の中で皆を救うために立ち回る、“駆流”の裏方的な頑張りにまずご注目。

そして 久慈 先生の作品として今作もエロさ炸裂。催淫魔法などを駆使してバイトの上司
“愁子”やクラスの女子“凛々子”“乃音”などを次々と蹂躙していく様子はまさに魔王。
痛々しいセリフに込められた皆を救いたい想いは報われる時が来るのか、続きに注目です。

posted by 秋野ソラ at 12:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年09月19日

『響け! ユーフォニアムシリーズ 立華高校マーチングバンドへようこそ 後編』

2016年10月からTVアニメ第2期放映が始まる 武田綾乃 先生の人気作、新シリーズ第2巻。
“あみか”との関係の変化を機に「“久美子”にとっての友人とは何か」を掘り下げます。
(イラスト:アサダニッキ 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=72587401
http://anime-eupho.com/


“桃花”から鬼のような指導を受ける“あみか”。そんな様子を見守る“梓”と“志保”。
“志保”がついに告げた“梓”の友達観が、彼女がかつて築いてきた“芹菜”との関係と
その結果をフラッシュバックしていく過去と重なる展開からその危うさが露呈してきます。

そんなことはない、と音楽に、マーチングに打ち込む“梓”の両極端さを読み手も危ぶむ
中で部を襲うまさかの事態。頑張りすぎる彼女に的確な助言をしていく“未来”に応える
形で見せた本音、そして変わっていく様子が印象的。こんな先輩いたら惚れます、確かに。

“あみか”との距離感も、“芹菜”との距離感も掴み直した“梓”が見せる、生き生きと
した力強さだけでなく“太一”たちも成長して立華高校高校の吹奏楽部の名を高めていく
ラストの展開、そしてエピローグで受け継がれていく伝統が眩しく、羨ましく映りました。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル