2016年06月30日

『高度に発達した魔法は神の奇蹟と区別がつかない』

瀬尾つかさ 先生が贈る新作はファンタジー作品。種族間戦争を経て千年、平和な時を送る
人類と魔族の世界で、魔導学院の女子寮が千年前に転移し、戦乱に巻き込まれていきます。
(イラスト:kakao 先生)

http://www.ichijinsha.co.jp/novel/2016/05/


学院で天才魔術師と名高い妹“ナナリー”が女子寮生活の不安感を和らげるため、かつて
優秀な冒険者だったスキルを活かし、何度も忍び込んでいた兄“エルド”。千年前の世界
へ飛ばされた彼は、唯一の男手として女子寮の面々と共に元の世界に帰る手を探すが──。

風紀委員長“ケーネ”とラッキースケベな目に遭ったり、生徒会長の“アレミア”からは
色々な意味で目をつけられたり、と 瀬尾 先生の作品らしい“エルド”と女性陣の距離感
を堪能しつつ、過去改変とも言える出来事を経て歴史の動きが読めない展開が興味深い。

タイトルにある通り、現実世界と違うメリットがあるものの、時間的制約があるため焦り
の色は隠せない女子寮の面々。黒いローブをまとう男たちの暗躍に元の世界へ戻る契機を
得た彼女たちの願いは成就するのか。兄妹愛の行く末なども気にしつつ次巻を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 02:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年06月29日

『はたらく魔王さま!16』

和ヶ原聡司 先生が贈る魔王と勇者の庶民派ファンタジー。第16巻は“真奥”と“恵美”が
娘の願いのために神討ちの戦いへ臨む中、バレンタインを機に皆の気持ちを確かめます。
(イラスト/029 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892118-3/


とは言いながら、立場とその存在感ゆえに日本で待機となる“真奥”と“恵美”。そこで
彼が“楠田”からバレンタインのチョコ、しかもしっかりしたモノを貰い、その事実を
“アシエス”から間接的に“千穂”が伝え聞いたものだから何やら複雑な状況と心情に。

“真奥”にチョコを渡す、その行為に気を遣う女性陣を代表するかのように彼の気持ちを
問いただす“鈴乃”もまた動揺を隠せないワケで。“千穂”の気持ちを受け止めきれない
彼に対し、焦りつつも彼からの返答を待つ意思を固めた彼女にはオトナの余裕が見え隠れ。

戦いの鍵を握る4つの「大魔王サタンの遺産」、その1つを預かる「山羊の囲い」の長
“ディン・デム・ウルス”が「彼女」を勇者の器だ、と絶賛するのも分かるというもの。
一難去ってまた一難、“天祢”が憤怒する新たな騒動の兆しは何なのか。次巻に続きます。

posted by 秋野ソラ at 00:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年06月28日

『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』

鴨志田一 先生が贈る青春ストーリー。第6巻は同居生活を始めた“翔子さん”と入院生活
を送り続ける“翔子ちゃん”、2人の秘密に気づいた“咲太”が衝撃の事実に直面します。
(イラスト/溝口ケージ 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865891-1/


うぉっ、これ次巻と共に一気読みしたほうがいいヤツでした。この引きは気になり過ぎる。
相談した“理央”からの見解を元に「“翔子さん”はどこから来たのか」が判明してから
究極の選択を迫られる“咲太”の、他人に見せまいとする心情がもう切なくて、切なくて。

病室に通い続け“翔子ちゃん”との好感度イベントをこなす“咲太”。“翔子さん”から
想いを伝え続けられる“咲太”。それを見て引く“理央”、何やかや言いつつもやきもき
する“麻衣”のいじらしさがまた良い。だからこそ、あのラストに繋がるワケですが・・・。

「ちゃんとしたい」と嘯く“咲太”。「仕事なんてどうでもいい!」と引き止める“麻衣”。
全てを理解した上でにっこりと微笑む“翔子さん”に見送られた彼が見届けた日常と現実
そして決定的瞬間。10月の次巻刊行まで生殺しの日々が続くかと思うと切なさが溢れます。

posted by 秋野ソラ at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年06月27日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンIX〈下〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。9話下巻は賤ヶ岳の戦いに端を発するP.A.Odaと
羽柴の戦いと共に、本能寺に至った武蔵勢が創世計画の真意に辿り着けるのかを描きます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-892120-6/


“可児”と“不破”の一戦も見どころですが、それを上回る“福島”と“清正”、そして
“御市”と“勝家”による相対。長く続いた戦いを経て先を行く者、置いていかれる者の
違いを明確にする印象深い場面の連続でした。特に“御市”の泣いて、笑ったあの結末は。

そして本能寺の変、という局面を前に“トーリ”が“浅間”と“ネイト”に伝えたい想い
を言葉という限界を超える行為で示すあのくだりはまた一歩進んだ感があります。挿絵も
含めてとても微笑ましい一面でした。“喜美”じゃないですが、楽しいことばかりです。

ネシンバラによる「あの暗号」の解説を踏まえて“羽柴”そして“信長”の襲名者から
語られる末世の意味、大罪武装の意義、創世計画の意思。ちゃんと違いがわかっている
“トーリ”の力強い言動を胸に創世計画を止めるべく動き出す武蔵勢の今後に注目です。

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2016年06月24日

『砂の眠り 水の夢』

冴木忍 先生が贈る書き下ろしのファンタジー作品。盗まれた家宝を探し砂漠のオアシスに
辿り着いた少女を助けることとなった青年が目の当たりにする不思議な出来事を描きます。
(イラスト/弘司 先生)

http://mainichibooks.com/books/m-novel/post-143.html


「これ」の身を護り、手助けせよ。そう脅迫し、倒れた少女“リンレイ”を介抱した青年
“ルオー”。気がついた少女から事情を聞くと東の国にある竜の持ち物と伝えられた家宝を
探しているが、それが何かは分からないと言う。不安いっぱいな中、探索を手伝うが──。

竜の血を引き、水を動かす力がある“リンレイ”。太守には水が減りつつあるオアシスの
救世主として目をつけられ、水の神殿の巫女には対抗意識を燃やされ、いつしか水を巡る
陰謀に“ルオー”共々巻き込まれます。男性主人公が相変わらず不幸な目に遭ってます。

一夜にして涸れたオアシスの謎。“ライシェン”とは何者なのか。そして家宝とは何か。
すべてを明らかにするため、命懸けで“リンレイ”を助けた“ルオー”。彼女が彼に淡い
想いを寄せていく機微の変化にもどこか懐かしさを感じつつ最後まで楽しく拝読しました。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル