2016年05月10日

『てらめぐりぶ?』

自称歴史研究者・寺社仏閣ライターでもある 森田季節 先生が知識と経験を総動員して贈る
新作は、帰宅部に入るはずの女子高生が一風変わった部活動に巻き込まれる様子を描きます。
(イラスト/風華チルヲ 先生)

http://blog.hakkoushuppan.co.jp/article/174913768.html
http://moritarail.blog108.fc2.com/


愛久学園に入学した“香深”は、ダラダする時間を求めて帰宅部を希望するもそれは無く。
止む無く文化部を狙う彼女が目にしたのが「寺巡り部」。土日を中心に関東近郊の寺社や
史跡を巡る部だと部長の“舞子”から熱い説明を受ける彼女は思わず顔をしかめるが──。

寺社のことしか頭にない“舞子”や“由良里”、仏像や石に異常な興味を示す“柿生”に
ただ圧倒され、振り回される“香深”の気持ちについつい同調しながら読み進めていくと
“舞子”が言っていた寺巡りの良さを何となく理解できるようになるのだからあら不思議。

寺社のことなんてまるで興味がなくても程よく解説は入りますし、何より彼女たちの日常
を追っていくだけでも楽しめます。挿絵初挑戦となる 風華 先生も、漫画を含めて演出を
アシストしてくれますし読みやすい物語だと思います。続刊が出ても違和感はありません。


#(参考)

#◆元・西八王子大学准教授(歴史学)による『てらめぐりぶ?』解説 ※写真付き
#【 http://togetter.com/li/966455

posted by 秋野ソラ at 01:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年05月09日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンIX〈上〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。9話上巻は歴史再現の節目となる本能寺の変を
前にP.A.Oda、三征西班牙、そして武蔵など、様々な思惑が錯綜する様子を描いていきます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865886-7/


“フアナ”ほか三征西班牙のメンバーを相手にする大事な会議で適用された「京ルール」。
これによる“正純”のややこしい発言などでコミカルな様子を見せつつ、相手の思惑を探り
駆け引きをした結果として戦争を回避する過程がまず最初の山場。実に混乱させられます。

そんな中、“トーリ”と“ホライゾン”の関係に決定的な転機が訪れます。というか、何て
アクロバティックにキメてくるのか、と思わず苦笑い。境界線のエピソードが印象的です。
碑石に関するやりとりにもご注目。“浅間”や“ネイト”が次を務めるのはいつのことか。

創世計画に対する考え方の違いも鮮明になっていく中で始まっていく賤ヶ岳の戦い。安土と
佐久間艦隊の応酬が続く戦いに本能寺の変へ突入する緊張感の高まりを感じつつ、遂にその
姿を見せた“羽柴”。その相貌が意味するものは何かを気にしながら下巻の刊行を待ちます。

posted by 秋野ソラ at 00:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年05月06日

『いづれ神話の放課後戦争〈ラグナロク〉3 ─魔眼の王と神冥裁判─』

なめこ印 先生が贈る学園ヒロイックバトルサーガ。第3巻はつかの間の安息を堪能する
間もない“雷火”たちに、島全域を死で覆う“オシリス”の神冥裁判開廷の時が迫ります。

(イラスト:よう太 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321601000519


疲労の重なる身をレジャープールでリフレッシュを図ることになる“雷火”が“天華”と
遊ぶ羽目に陥ったり、“涙々”や“マリア”の板挟みになったり、“ブリュンヒルデ”と
“シャロ”にアピールされたりと挿絵多めでで羨ましい目に遭います。爆発しろ案件です。

下卑る“バロール”のように楽しむ気概もない“雷火”の前に現れた“オシリス”からの
お誘いをあっさりと断る彼に、容赦のない現実が突き付けられ神冥裁判もあっさりと開廷
されてしまいます。これがまたえげつない内容で彼をあわや、という所まで追い詰めます。

“姫子”に適合した“スサノオ”が要所となる場面で利いてくるところと、ある点に着目
した“雷火”が“オシリス”に一泡吹かせるシーンがやはり見どころ。最後の挿絵も実に
倒錯的でよろしいかと思います。ラストとあとがきはどう活かされるのか気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年05月05日

『アサシンズプライド2 暗殺教師と女王選抜戦』

天城ケイ 先生が贈るファンタジー作品。第2巻は姉妹校と行われる選抜戦の代表選手に
“メリダ”が選ばれるというアクシデントが様々な思惑の渦巻く騒動の引金を引きます。
(イラスト:ニノモトニノ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321510000401


カバーにマットPP加工、帯に書店員さんのコメントをふんだんに使うなど力の入れようが
すごい本作も順調に2巻が出てまずは何より。今巻は“エリーゼ”が言い放った一言で
ぎくしゃくする関係に悩む“メリダ”と彼女の発言の真意が話の軸の一つを担います。

“メリダ”の育成と秘密隠蔽を気遣う“クーファ”の前に現れた同業で潜入任務が得意な
“ブラック=マディア”。彼女の介入によるものと思われる数々の騒動に彼のみならず
“メリダ”たちも巻き込まれていき、どうにか対応するのが精一杯の状況が続きます。

選抜戦の経緯もあり“クーファ”への想いを高めていく“メリダ”。“エリーゼ”の本心
も受け止めて順風満帆に見える彼女を取り巻く状況は見えないところで深刻な状況を迎え
つつあります。最悪の事態となった場合、彼はもう一つの任務を全うできるのか注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2016年05月04日

『伊達エルフ政宗』

森田季節 先生が贈る新作は異世界転生×戦国ファンタジー。真田幸村に転生した少年が
出会った眼帯のエルフを後押しし、織田サタン信長に対抗すべく奥州統一を目指します。
(イラスト:光姫満太郎 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797386325.html


悪魔を封印する高度な魔術もある、とされるイヅナ法。それを恐れた“織田サタン信長”に
一族もろとも滅びの道を歩まされる“真田幸村”。彼の執念により魂を入れ替えられた
“勇十”が目にしたのは“伊達政宗”と名乗り眼帯をしているが、エルフの美少女で──。

“正宗”の他“上杉マンティコア謙信”“武田ヴァンパイア信玄”“佐竹アルラウネ義重”
“蘆名ドワーフ盛氏”“北条サキュバス氏直”・・・と戦国大名の勢力図と異種族との関係が
絶妙に組み合わされていて、世界観をしっかりと作りこんでいる点にまず驚かされます。

武将たちも可愛いだけでなく、一癖あるキャラづけがされていて魅力的。“勇十”もつい
うらやまけしからん目に遭います。史実との絡ませ方もひとひねり加わっていて歴史好き
でもそうでなくとも読み応えがあります。興味深いシリーズの登場に注目しておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル