なみあと 先生が贈るファンタジーノベル。第3巻はスプートニク宝石店を管理する担当者
に合うためフィーネチカの街を訪れた“クリュー”たちが新たな事件に巻き込まれます。
(イラスト:景 先生)
【 http://www.ponicanbooks.jp/book/1266/ 】
“ユキ”のあのイラストからのギャップがまず目を惹きます。宝石商会で“スプートニク”
とは浅からぬ関係にあるところから、商会を舞台とした詐欺事件の解決を強いられます。
その過程で彼の過去が次々と明らかになります。彼の名前にも由来があるのが驚きでした。
馬車に酔ってそれどころではなかった“クリュー”も思わぬ局面で事件の裏側を垣間見る
こととなるワケで。しかもそれ故に「宝石吐きのおんなのこ」として狙われることになる
彼女の今後が気になります。それにしても“ソアラン”の報われなさが不憫で仕方がない。
巻末には 景 先生による特別読切ショートコミカライズが収録されており、“クリュー”の
コロコロと変わる表情や“スプートニク”のつっけんどんな様子など魅力的に描かれている
ので一読の価値ありです。ぜひ特別と言わず定期的にコミカライズしてほしいと思います。
2016年02月08日
2016年02月05日
『やる気なし英雄譚 5』
津田彷徨 先生が贈るやる気なし英雄の隠れヒーロー譚。初の完全書き下ろしとなる第5巻
では王都で発生したクーデターを完膚なきまでに鎮めるため、驚きの策謀を巡らせます。
(イラスト:MID 先生)
【 http://mfbooks.jp/3579/ 】
黄金の八十八期、と称される中心人物“リュート”“アレックス”“ユイ”が揃えば何者も
止めることは出来ない、と言わんばかりの立ち回りの良さが際立ちます。その影で、同期の
“ムルティナ”が辛酸をなめてきたという背景の活かし方が鍵を握る話運びが素晴らしい。
戦術としては復興を成し遂げた「レムリアック」の地の利をこれでもか、と利用していく
周到さと役者が一人でも欠ければ未来は無いという綱渡りのような要員配置が功を奏する
絶妙な采配ぶりを魅せます。“ユイ”が“リュート”に切った啖呵がまた熱くて実に良い。
隣の席を空けてある覚悟を見せる“エリーゼ”は“セシル”に思わぬ感情を突きつけられる
などヒロインとしては不遇な立ち位置が続きます。そしてそれは“ユイ”にとっても同じ。
クーデターを抑えた結果としてまたもや過去最悪の左遷先へ飛ばされどうなるのか注目です。
では王都で発生したクーデターを完膚なきまでに鎮めるため、驚きの策謀を巡らせます。
(イラスト:MID 先生)
【 http://mfbooks.jp/3579/ 】
黄金の八十八期、と称される中心人物“リュート”“アレックス”“ユイ”が揃えば何者も
止めることは出来ない、と言わんばかりの立ち回りの良さが際立ちます。その影で、同期の
“ムルティナ”が辛酸をなめてきたという背景の活かし方が鍵を握る話運びが素晴らしい。
戦術としては復興を成し遂げた「レムリアック」の地の利をこれでもか、と利用していく
周到さと役者が一人でも欠ければ未来は無いという綱渡りのような要員配置が功を奏する
絶妙な采配ぶりを魅せます。“ユイ”が“リュート”に切った啖呵がまた熱くて実に良い。
隣の席を空けてある覚悟を見せる“エリーゼ”は“セシル”に思わぬ感情を突きつけられる
などヒロインとしては不遇な立ち位置が続きます。そしてそれは“ユイ”にとっても同じ。
クーデターを抑えた結果としてまたもや過去最悪の左遷先へ飛ばされどうなるのか注目です。
2016年02月04日
『異世界薬局 1』
「小説家になろう」にて 高山理図 先生が公開する人気のWeb小説が満を持しての書籍化。
過労死した有望な若き薬学者が異世界の宮廷薬師の息子に転生し現代医学で無双します。
(イラスト:keepout 先生)
【 http://mfbooks.jp/3585/ 】
幼少の折、難病を抱える妹の最後を看取った“薬谷”が二度と自分のような悔しい思いを
する人たちが出ないよう、あらゆる人を救うために薬学の研究に没頭しすぎて過労死する
という何とも切ない導入。その情熱を異世界で果たそうとする気概に熱いものを感じます。
少年“ファルマ”として転生した“薬谷”が現代医学と照らし合わせて、間違っていると
認めざるを得ない決定的な瞬間を目の当たりにし、ついに決断を下してからの激動の展開
がまさに現代医学の知識でチートする、という一風変わった爽快感を味わわせてくれます。
そんな“ファルマ”を後押しする異世界らしい能力、左手の物質創造、右手の物質消去や
その他あれこれがメリットとして扱われる時もあればデメリットと見なされることもある
異世界ながらの事情も見所の一つ。それ故のラストの不穏な動きがどう繋がるか注目です。
過労死した有望な若き薬学者が異世界の宮廷薬師の息子に転生し現代医学で無双します。
(イラスト:keepout 先生)
【 http://mfbooks.jp/3585/ 】
幼少の折、難病を抱える妹の最後を看取った“薬谷”が二度と自分のような悔しい思いを
する人たちが出ないよう、あらゆる人を救うために薬学の研究に没頭しすぎて過労死する
という何とも切ない導入。その情熱を異世界で果たそうとする気概に熱いものを感じます。
少年“ファルマ”として転生した“薬谷”が現代医学と照らし合わせて、間違っていると
認めざるを得ない決定的な瞬間を目の当たりにし、ついに決断を下してからの激動の展開
がまさに現代医学の知識でチートする、という一風変わった爽快感を味わわせてくれます。
そんな“ファルマ”を後押しする異世界らしい能力、左手の物質創造、右手の物質消去や
その他あれこれがメリットとして扱われる時もあればデメリットと見なされることもある
異世界ながらの事情も見所の一つ。それ故のラストの不穏な動きがどう繋がるか注目です。
2016年02月03日
『天久鷹央の推理カルテIV ―悲恋のシンドローム―』
知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。第4巻は天才女医“天久鷹央”が
女性にふりかかる呪い、ゴミ屋敷の殺人、そして瞬間移動する女性死体の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 http://shinchobunko-nex.jp/books/180057.html 】
「迷い込んだ呪い」では新しい恋愛が成就しようとする度に腹の激痛に襲われる女性の謎
を霊能力者が解決できると断言したところに目をつけた“鷹央”が診断することによって
色々な意味で患者を救うことになる話。あの症例で喀血することになるとは、驚きです。
「ゴミに眠る宝」ではゴミ屋敷の向かいに住む青年が注意しようと屋敷を訪れてから姿を
見せなくなった所から殺人の噂を聞きつけた“鷹央”が意外な人物の犯行だと推理する話。
ゴミを集めるようになる契機とか、「宝」とはそういうことか、と唸らせてくる内容です。
「瞬間移動した女」ではプロローグで“鷹央”から「手を引く」と宣言させた事件の真相
に“小鳥”が迫れるかが注目の書き下ろし作。あらゆるものが勘違いだったと気付けるか、
医学知識があればこそ導き出される結論に驚かされるばかりの、読み応えのある話でした。
女性にふりかかる呪い、ゴミ屋敷の殺人、そして瞬間移動する女性死体の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 http://shinchobunko-nex.jp/books/180057.html 】
「迷い込んだ呪い」では新しい恋愛が成就しようとする度に腹の激痛に襲われる女性の謎
を霊能力者が解決できると断言したところに目をつけた“鷹央”が診断することによって
色々な意味で患者を救うことになる話。あの症例で喀血することになるとは、驚きです。
「ゴミに眠る宝」ではゴミ屋敷の向かいに住む青年が注意しようと屋敷を訪れてから姿を
見せなくなった所から殺人の噂を聞きつけた“鷹央”が意外な人物の犯行だと推理する話。
ゴミを集めるようになる契機とか、「宝」とはそういうことか、と唸らせてくる内容です。
「瞬間移動した女」ではプロローグで“鷹央”から「手を引く」と宣言させた事件の真相
に“小鳥”が迫れるかが注目の書き下ろし作。あらゆるものが勘違いだったと気付けるか、
医学知識があればこそ導き出される結論に驚かされるばかりの、読み応えのある話でした。
2016年02月02日
『勇者と魔王が電撃同盟! キッカケは、お互いの恋を応援するため!?』
人気シナリオライターとしても知られる あごバリア 先生のライトノベルデビュー作品。
魔王が勇者の親友に、勇者が魔王の側近に一目惚れしてしまうクロスラブコメディです。
(イラスト:なつめえり 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1402 】
「繁栄宣言」という、かつての大預言者が残した伝承。人類が平穏な日常を過ごすために
5年という期間の間で魔王を討たねばならない、けれど勇者は一度も勝ったことがない
絶望的な状況の中、二人は手を結ぶことになる。互いの恋愛を成就させるために──。
ということで八百長の決戦を繰り広げつつ、勇者“レイル”は“ミア”と、魔王“ユメ”
は“アーディ”と恋仲になるべくアプローチを仕掛けます。このあたりの会話のやりとり
で魅せてくるあたりは流石という感じがします。“アリナ”の引っかき回しぶりも絶妙。
とはいえ、いつまでも八百長はやっていられないし、恋は成就するのかといった不安要素
もある。それが勇者と魔王の電撃同盟にどう影響してくるかが見どころとなってきます。
実にテンポもよく、読みやすくて面白い作品だと思います。続きに注目しておきます。
魔王が勇者の親友に、勇者が魔王の側近に一目惚れしてしまうクロスラブコメディです。
(イラスト:なつめえり 先生)
【 http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1402 】
「繁栄宣言」という、かつての大預言者が残した伝承。人類が平穏な日常を過ごすために
5年という期間の間で魔王を討たねばならない、けれど勇者は一度も勝ったことがない
絶望的な状況の中、二人は手を結ぶことになる。互いの恋愛を成就させるために──。
ということで八百長の決戦を繰り広げつつ、勇者“レイル”は“ミア”と、魔王“ユメ”
は“アーディ”と恋仲になるべくアプローチを仕掛けます。このあたりの会話のやりとり
で魅せてくるあたりは流石という感じがします。“アリナ”の引っかき回しぶりも絶妙。
とはいえ、いつまでも八百長はやっていられないし、恋は成就するのかといった不安要素
もある。それが勇者と魔王の電撃同盟にどう影響してくるかが見どころとなってきます。
実にテンポもよく、読みやすくて面白い作品だと思います。続きに注目しておきます。