2015年12月06日

『エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜 3』

東龍乃助 先生が綴る新世代ロボットライトノベル。第3巻はマリス、更には“セレン”を
狙う武装組織から全てを守るため重傷を負った“エイルン”の隙を突く展開を描きます。
(イラスト/メカデザイン:みことあけみ 先生 メカデザイン:汐山このむ 先生  ロボ作劇/メカデザイン:貞松龍壱 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1389


“セレン”、更に言えばネイバーフッドを取り巻く環境は、“エイルン”によって多少
改善したものの氷室義塾内、引いては外に目を向けてみるとまだまだ厳しく。国が違えば
人権すら認められないという現状に、彼女を守りたい“紫貴”は頭を悩ませるばかり。

そこへ「原則として一国に一機のネイバーしか持てない」という国際条約の唯一例外を
認められたアメリカより訪れた“バートン”の執拗な策謀から“セレン”を守ろうとする
“紫貴”のちぐはぐな行動が現場の混乱を生み、泥沼に嵌っていく様子にやきもきします。

“エルフィーナ”の助言や、何よりもデストブルムのことを理解しようとする“セレン”
の努力が実った瞬間はガッツポーズがしたくなるほど爽快で。“エイルン”=“氷室”の
図式へ辿り着いた「彼女」が今後どうアプローチを仕掛けてくるのか気になるところです。

posted by 秋野ソラ at 00:08 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月05日

『神器繰刻のアイオーン』

『僕と彼女とカノジョとかのじょ』の 田尾典丈 先生が贈る新作は、時間操作能力を持つ
ようになった世界において、異形の生物たちと戦う若人が集まる学園が舞台の物語です。
(イラスト:むりりん 先生)

http://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865540581


能力者を育成する九曜学園に編入早々「バタフライ」に襲われる“拓未”。窮地を救った
少女は学園でもエリート組に所属する“小夜”。二人一組で戦う「エンゲージシステム」
の相手がいない彼女は、彼がパートナー候補と分かり俄然、熱が入る訳なのだが──。

ということで、学園異能バトルもので全員が時間を操作する能力を持っていたら、という
コンセプトのもとでスタートしたこの企画。「加速」「減速」「過去」「未来」に加えて
「停止」という五つ目の能力が今後の鍵を握る、なかなか興味深い力の使い方が見どころ。

むりりん 先生が描くキャラの可愛らしさも相まって、“小夜”はもちろん、幼なじみの
“朝陽”、“美凪”“蛍火”“紗雪”の三姉妹も魅力的に映ることうけあい。相変わらず
“紗雪”のようなタイプに弱い自分を認識しつつ、面白そうな物語がどう動くか注目です。

posted by 秋野ソラ at 02:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月04日

『MOE――召喚(め)しませ!乙女なえいたんご』

旭蓑雄 先生が贈る新作は、英単語を擬人化したMMROPG「えいたんご☆ますたあ」を舞台に
あるレアキャラクターが好きすぎてのめりこんでいく少年少女たちのMMRライフを描きます。
(イラスト/keepout 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865517-0/


単語キャラクターが持つ固有能力を駆使した戦いが見所となる「えいたんご☆ますたあ」。
中でも「爆発しろ」と毒を吐くロリキャラ“explode”に心奪われた“エイタ”はサービス
開始と共に彼女を手に入れるべく、同好の士が集まる「EHSP」に合流するのだが──。

「萌え」という要素を前面に押し出しながら、読み進めていくと結構がっつりと暗号解読
に取り組んでいく“エイタ”たちの謎解き描写に重きを置いたストーリーに圧倒されます。
「MOE」からここまで話が広げられるのはまさに圧巻の一言。言葉遊びの巧みさがすごい。

もちろん謎解きだけではなく、入手できそうでできない“explode”の魅力や“エイタ”に
近づいてきた少女による揺さぶり、思いも寄らないラスボスとの決戦など、色々な要素を
交えた描写の数々も目を惹く面白さを見せていて、中々に楽しませてもらった一作でした。

posted by 秋野ソラ at 02:32 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月03日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾン ガールズトーク 祭と夢』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー。物語の隙間を埋めるガールズトークの第2巻は
“正純”に焦点を当てた、三河争乱の前に発生した不可解な殺人事件にまつわる話です。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865545-3/


今や「戦争狂」と言われても過言ではない評価を周囲から受けている“正純”も、かつて
襲名者となる見込みのない立場でありました。それがなぜ今、政治の表舞台に立つに至る
経緯に迫る事件の記録となるワケですが、事実改変しようとする人が多くて面白いの何の。

三河で起きた殺人事件がなぜ“正純”の転居一時中止に、武蔵の入艦手続凍結に、そして
聖連の介入に繋がるのか。一見すると関係性のない事象が、それぞれの背景、周囲の状況
を一つ一つ見ていくと驚くべき繋がりを見せるシティー・アドベンチャーを思わせます。

時折、面白おかしいエピソードや突発的な戦闘に陥るなどしながらも、やがて記録されて
いく分割襲名というキーワード、そして当時の羽柴、三征西班牙との関係を前に決断した
ある人物の想い、そして願いにご注目。今回も余談ながらに読ませてくる内容でした。

posted by 秋野ソラ at 01:52 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月02日

『とある飛空士への誓約9』

犬村小六 先生が贈る飛空士たちの恋と空戦の物語。「誓約」第9巻は「飛空士」シリーズ
の最後を飾る最終巻。それぞれの飛空士たちがクライマックスの連続に直面していきます。
(イラスト:森沢晴行 先生)

http://sol-comics.shogakukan.co.jp/solc_dtl?isbn=9784094515824


“かぐら”処刑はあくまで誤報と信じ、悲痛にも決意を固める“バルタザール”。それを
見届ける“セシル”。片道切符も同然の作戦を前に本心を告げる“清顕”。それを受ける
“イリア”。覚悟を決めた“ミオ”。それに動揺する“ハチドリ”。緊張感が漂います。

その雰囲気は空戦でも感じられます。ジェット機なんで反則級の相手にも挫けることなく
対峙する“清顕”たちの他、“カル”“海猫”“魔犬”と一堂に会した空の舞台で魅せる
手に汗握る戦闘の数々は必見。“ニナ”の願いが叶った瞬間とかもう、心も目頭も熱くて。

「奇蹟」を目の当たりにした後、「エリアドールの七人」が揃うのは難しいか・・・と最後
まで思わせていた所であのラスト。もうここまで読んだからこそ味わえる、まさに感動
と言える結末に思わず何も言えなくなりました。まさしく業界屈指、傑作の一つです。

posted by 秋野ソラ at 01:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル