2015年12月21日

『ゼロから始める魔法の書V ―楽園の墓守―』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第5巻は「ゼロの魔術師団」なる集団が数々の
村を襲う話を聞いた“ゼロ”たちが首を突っ込む前に新たなる裁定官の影が忍び寄ります。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865565-1/


銀髪の魔女が率いるというゼロの魔術師団。その魔女を滅すべく現れた裁定官は“隠匿”、
ではなく彼と面識がある“背徳”。その登場により裁定官にもいろいろな人物がいることが
見てとれる訳ですが「墓堀り人」とも呼ばれる彼女の行動原理がおぞましすぎて震えます。

一方、偽者を追って旅を続ける“ゼロ”が“背徳”に会うやいなや見初められて狙われて。
あげく教会の秘密兵器まで持ち出されて“傭兵”もろとも窮地に追いやられます。しかも
一連の騒動の背景には二人もよく知るあの人物が絡んでいると知り歯がゆさを覚えます。

“隠匿”、そして旅先で出会ったネズミの獣堕ち“リーリ”が見せる「意外さ」にご注目。
“背徳”がしでかしたことは決して同意できるものではありませんが、悲しい結末に少々
切ない思いを感じることも。元凶たる〈不完全なる数字〉に辿り着けるか気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:44 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月20日

『GOSICK PINK』

桜庭一樹 先生の名作、『GOSICK』の続編が満を持して登場。姉の“瑠璃”の家に厄介と
なった“一樹”、そして“ヴィクトリカ”が新生活を始めて早々に事件に巻き込まれます。
(装画:カズモトトモミ 先生)

http://gosick.jp/pink/


“瑠璃”、その子“緑青”との距離感をも掴みかねる“ヴィクトリカ”。“一樹”との
言い合いはそのままにニューヨーク、マンハッタン島を散策することに。そこで二人が
離れ離れになりますが、互いの主張が食い違っている様子が見ていて相変わらず面白い。

その間に巻き込まれる一大イベント、橋の上で行われるボクシングの試合。チャンピオン
と挑戦者にまつわる戦争中のエピソード、未解決の殺人事件に二人が別々の角度から関与
していくことに。そこで出てくるのが「ジョブ&ホーム」という重要なキーワードです。

“ヴィクトリカ”を支えたい一心で新天地にて奔走する“一樹”。彼の姿を見て疑問に
思う彼女が口にした「What is Home?」、その言葉に含まれる本音が実に印象に残ります。
そして天職を得ることとなった二人がどんな物語を紡いでいくのか興味津々であります。

posted by 秋野ソラ at 00:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月19日

『異世界居酒屋「のぶ」四杯目』

転 先生によるコミカライズもスタートした、蝉川夏哉 先生が贈る大人気異色グルメ小説。
第4巻は料理人としての成長著しい“ハンス”と「ショーユ」という単語が軸となります。
(イラスト:転 先生)

http://tkj.jp/book/?cd=02487701
http://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS02000029010000_68/
http://konomanga.jp/manga/46440-2


“しのぶ”が眼鏡をかける、という印象的な場面が出てきます。実は「眼鏡」も興味深い
エピソードへとつながっていくワケで、中でも“ロンバウト”の照れ隠しも含めた台詞の
言い回しには心温まるものがあります。転 先生のイラストも絶妙な雰囲気を醸し出します。

異世界にあっても不自然ではないもの、という話はよく議論されるものですが、その中で
挙がったと思われる大豆。よしんば大豆はいいにしてもなぜ醤油があるのか、その答えは
「トリアエズナマ」を「取りあえず、生」と解釈できる新たな人物の登場が明かします。

異世界とのつながりに関する一つの仮説。奇しくも異世界で料理人を続けることとなった
“信之”と“しのぶ”がそれを聞いて何と思ったか。今巻も次々と出されるメニューと
共に感じ取ってほしい点です。何かを予感させる夏の兆しと共に次巻も期待が高まります。

posted by 秋野ソラ at 01:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月18日

『ソードアート・オンライン プログレッシブ4』

アインクラッドを第一層から攻略する過程を描く、川原礫 先生のもう一つの「SAO」。
第4巻は第五層に到達した“アスナ”が“キリト”との関係を見つめ直す機会を得ます。
(イラスト/abec 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865566-8/


攻略ギルド「DKB」と「ALS」の対立を目論んだ“モルテ”、強化詐欺の影に居たとされる
“黒ポンチョの男”。PKを促すように立ち回る者が複数いると考える“キリト”は、その
着眼点を裏付けるかのように新たな火種を起こさんとする別の人物と対峙する羽目に。

その契機が連絡が取れない“アルゴ”を探しに単身地下へ向かった“キリト”を水臭いと
後追いした“アスナ”がある窮地に陥ったこと、というのがポイント。二人でいる理由、
それが握った手の先に、握り返した手の中にあるといいな、と思わせる描写が素敵です。

火種を食い止めるべく、考えた先に“キリト”が口にした無茶な策。あとがきにもある
通り、がっつりとフロアボス攻略にあてられる後半の展開はまさに手に汗握る場面の連続。
“アスナ”が慟哭する余韻も覚めやらぬ中、最後に挟まれる不穏なシーンが気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年12月17日

『新約 とある魔術の禁書目録(14)』

鎌池和馬 先生が贈る大人気シリーズ。第14巻は魔神たちを一瞬にして消し去る能力を持つ
「どこにでもいる平凡な高校生」と対峙する“当麻”が思いの丈をぶつけることになります。
(イラスト/はいむらきよたか 先生)

http://dengekibunko.jp/newreleases/978-4-04-865507-1/


学生寮に突如舞い込んできた“ネフテュス”をも交えての鍋パーティーも満足にできずに
「理想送り(ワールドリジェクター)」という“当麻”と対を成す右手を持つ少年“翔流”
との接触、そこから更に二人の“パトリシア”が抱える問題が絡み合うのが今巻の主軸。

ある身体的難題を抱える“バードウェイ”と、それを自己犠牲の上で解決しようと画策する
“レイヴィニア”。それを見て、片や「彼女」のヒーローであらんとする“翔流”と、片や
彼女たちを救うヒーローとなることを望む“当麻”。相容れない両者が自然とぶつかります。

ルーキーたる“翔流”の言動を見て、これまで自分なりに培ってきた平凡な高校生なりの
「ヒーロー論」を語り、投げかけていく“当麻”が熱い。その結果、“翔流”は“当麻”が
秘める何かに気づき、舞台の裏側では新たな潮流の兆しを見せていて先が気になる所です。

posted by 秋野ソラ at 00:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル