2015年08月31日

『明日、今日の君に逢えなくても』

『カレントテイル』から久しぶりの上梓となる 弥生志郎 先生の新作は、一人の体に複数の
人格が生まれる現代病をテーマに、とある兄と妹たちの繊細な機微を描く青春群像劇です。
(イラスト:高野音彦 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1352


家庭的で控えめな“藍里”、走ることが好きで活発な“茜”、孤独にロックを愛する“蘭香”。
〈シノニム〉により3人の人格をもつ妹たちと、時折「誰か」を当てる「かごめゲーム」に
興じる“統哉”が突如、妹からキスをされる。想いを告げたのが「誰か」も分からずに──。

主人格が心の傷を癒すために別人格を用意するのが〈シノニム〉なら別人格を必要としない
くらい主人格の心の傷が癒えたらどうなるか。個性的な人格の妹たちが、自分たちのしたい
こと、何よりも主人格のことを想って精一杯臨んでいく様子がとてもまぶしくて、切なくて。

「プロローグ」から「エピローグ」へ向かうまでの間に意外性十分な話の切り返しもあり、
読了後も実に良い余韻が残るだと感じました。久しぶりに拝見した 高野 先生のイラストも
作品の雰囲気に合っていて申し分ないと思います。新作の中でもオススメできる一冊かと。

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2015年08月30日

『掟上今日子の挑戦状』

10月より連続TVドラマ化が決定している、西尾維新 先生が贈るタイムリミットミステリー。
第3巻は2014年、2015年の雑誌「メフィスト」に掲載された小編3編を収録しております。
(イラスト:VOFAN 先生)

http://kodansha-box.jp/topics/nishio/okitegami/


「〜アリバイ証言」は疎遠な友人の感電死を最初に目撃した“鯨井”がアリバイを作るため
“今日子”をダシにした、といういかにも第一発見者が怪しい状況を彼女がどう見るのか。
興味深いオチを魅せてくれたと共に“肘折”警部にはご苦労さまと思わずにはいられない。

「〜密室談義」はアパレルショップ内の試着室にて発生した密室殺人の話。事件を担当する
“遠浅”警部を“今日子”が捜査協力する、というのがポイント。お金に関してはシビアな
彼女に頼らざるを得ない警部の苦労に思わず哀愁が・・・って、ウチそれしか言ってないな。

「〜暗号表」は人脈開発会社の社長“結納坂”が副社長の不正行為を見逃せず殺害に及ぶ話。
副社長が残したダイイング・メッセージの意図を汲み取り、「いただけない話」と判断した
“今日子”の筋を通す名推理ぶりが光ります。切なさあふれる友情の顛末でもありました。

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2015年08月29日

『七星のスバル』

田尾典丈 先生が贈る新作は、ある事件を境に縁を断ったMMORPGの伝説のパーティメンバー
が、現実とMMORPGの世界で奇しくも再会していく革新的青春オンライン・ストーリーです。
(イラスト:ぶーた 先生)

http://sol-comics.shogakukan.co.jp/solc_dtl?isbn=9784094515664


闘・魔・心・変・夢・天。最初に割り振られるセンスをそれぞれ極めたMMORPGのプレイヤー
6人が最強の敵に挑みゲーム内と現実で死者を出した事件を機にゲームを止めた“陽翔”。
6年が経過したMMORPGの世界で、死んだはずの“旭姫”と出会う所から物語は始まる──。

元々は《ユニオン》という名のMMORPGが検証の末《リユニオン》と改めて再出発を図る間、
小学生の頃に極めたセンスは衰え、培った絆も変わってしまって・・・と葛藤とやるせなさが
心中渦巻く中で、何一つ変化のない“旭姫”の言動に“陽翔”が戸惑わないワケがない。

“陽翔”が「約束」を思い出すまでのもどかしさ、“咲月”が恋敵の再来を素直に喜べない
心境、そして何より“旭姫”が持つ能力や存在自体の謎など興味を惹く要素を読みやすく
繋げた構成が素晴らしい。彼らは再び伝説となれるか、先が楽しみなシリーズの登場です。

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2015年08月28日

『聖剣士VSブラック企業 〜ラノベ作家、社畜エルフを救う!?〜』

弘前龍 先生が贈る新作は社畜系ブラックコメディファンタジー。温厚で勤勉なエルフの国
で問題視されている「ブラック企業」の存在を駆逐し続ける謎の聖剣士の活躍を描きます。
(イラスト/100円ロッカー 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865312-1/


本作は異世界ラノベレーベル「雷撃文庫」の編集部も巻き込んでの物語、となりますが
あとがきの「ある一節」がとても強烈な印象を残してきます。担当編集さんの大変さを
垣間見ることがあとがきだけで出来ます。・・・ホントにお疲れさまです、ということで。

本作は営業目標達成を強いられる“カレナ”が布団の押し売りに行った先で、今の生活を
続けることを問題視する指摘を受けて少しずつ変わっていく様子と、その契機を与えた
“マゴル”が「ブラック企業」を許さない姿勢を貫いていく様子がポイントとなります。

作中にも出てくるような理不尽すぎる事例が現代日本にはまだまだ数多くあると思います。
その中で悲しき企業戦士は今日も社畜として朝早くから夜遅くまで仕事に従事しています。
ブラックな状況を問答無用で打破してくれる聖剣士の登場が羨ましくて仕方がありません。

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2015年08月27日

『美少女とは、斬る事と見つけたり』

入間人間 先生が贈る新作は本格異能バトル。人を殺したいと願う美少女が「ある事件」を
契機に両腕が使えなくなる反面「あること」が出来ると知り、夜ごとに刀を振るいます。
(イラスト/珈琲貴族 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865264-3/


日常生活において健常者であれば手で行う全てを足でこなす“透”。想像し難い振舞いを
見せる彼女は傷つけた物は透明になるという利点を活かし口に加えた刀で凶行に及びます。
その姿は不可解でもあり神秘的でもあり、珈琲貴族 先生の挿絵がそれを強く印象づけます。

超能力を持つ姉の“陽”のことばかり考える“明”はそれをおくびにも出さず、通う学校で
生徒会長を務める優等生。その姉へ向けられた“透”の刀を受けたことで透明人間となって
しまったところから彼の、そして彼女の奇妙な縁がつながり、話が動き出していきます。

街に居座り狼藉をはたらく「超能力者」たちを斬る、それを邪魔する者をも斬る“透”に
復讐の刃を向けるかも知れない“明”の存在がどんな刺激を与えるのか。そんな二人の
思惑を遥かに上回る、置かれた現状のイカレた様子が物語にどう影響するのか注目です。

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2015年08月26日

『OBSTACLEシリーズ 激突のヘクセンナハト I』

川上稔 先生が贈る新シリーズ。世界を壊滅に追いやる「黒の魔女」を封印し、十年に一度
それを解放して打ち破るための夜に臨む権利を望む魔女たちの出会いと衝突を描きます。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY) 協力/剣康之 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865311-4/


大鑑巨砲主義と言いますか、物理で殴ると言いますか・・・これまたド派手な戦闘シーンが
見どころ満載の魔法少女モノが登場しました。巻末に設定資料集がついていたりするのも
いつも通り。400 ページ程度で厚くない、と感じてしまうのはやはり異常でしょうね。

四法印学院の生徒会長にして魔女の序列四位たる“堀之内”が、ヘクセンナハトに挑む
には足りない何かを、突如現れた少女“各務”の見せる規格外な力に見い出そうとする
までのどつき合いが妙に滑稽で、それでいて熱い。対“ハンター”戦などはまさにそれ。

同時発売となる 剣康之 先生のコミックも拝読しておりまして、これがまた小説の内容を
実に上手く集約した形で話を動かしていて読みやすいのなんの。小説を読んだ方も動きが
把握しやすいので読むと良いと思います。秘密多き“各務”の動向が俄然、気になります。

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2015年08月25日

『堕天のシレンII』

上月司 先生が贈る、次世代ヴァーチャルゲームを舞台とする物語。第2巻は“桐子”の
マスターとなった“朱音”が新たなプレイヤーを前に共闘するか、対峙するかを迫ります。
(イラスト/さんた茉莉 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865309-1/


「Player or Slave」が始まって三週間。膠着する状況を動かすために運営がとった施策も
“朱音”の想定範囲内。早速、釣りを仕掛けてかかったのが“f”と“ポーン”、そして
“ショーキ”。出し抜いて、出し抜かれての連続でも“朱音”は焦ることはありません。

どんな状況であれ楽しもうとする“朱音”の裏に想像以上の過去があることを、ある出会い
を通じて知った“桐子”。散々憎まれ口を叩く彼女でも、流石に驚きと動揺は隠せません。
その“朱音”が冒頭で描かれた窮地に陥るのだから、読んでいるこちらもビックリです。

伏線を張ってしっかり回収してくれる点や駆け引きの妙、そして“朱音”は窮地を脱する
ことが出来るのか否かを引っ張り続ける話の構成は、興味を惹かれて楽しく読めました。
とりあえず次巻は出してくれそうなので、その先も含めて期待しておきたいところです。

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2015年08月24日

『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.8』

聴猫芝居 先生が贈る、残念で楽しい日常≒ネトゲライフ。アニメ化決定の知らせを受けて
刊行となる第8巻は、最高のバレンタインを目指して最大の試練に“アコ”が挑みます。
(イラスト/Hisasi 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865340-4/


現実のバレンタインを前に浮かれる“アコ”の「アコレート」を事前に食い止めるなど、
気苦労の耐えない“ルシアン”。ゲーム内で発生したバレンタイン・イベントに挑むも
ヒーラーが試練を問われる内容で“アコ”のプレイヤースキルの低さに頭を悩ませます。

最高の材料を使った最高のチョコレートを“ルシアン”あげる、ただしゲーム内で、と
“アコ”から宣言された彼の胸中は複雑ですが、本当に頑張ってイベント・クリアまで
辿り着くほど成長していく“アコ”の様子はかなり褒めてあげたい気持ちでいっぱい。

あと、リアルでもチョコ作りの際に他のメンバーを引っ張る役として奮闘していた様子も
なかなか珍しく、好印象を受けるところでありました。“ルシアン”もバレンタインを
満喫して、綺麗にまとめて、オチは“アコ”がしっかりつけるという素敵な日常でした。

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2015年08月23日

『仮面魔女の解放戦記《レジスタンス》』

すえばしけん 先生が贈る新作は、大国から身を追われた小国の姫が異世界から来た魔術師
と出会い、魔術を習いつつ反乱軍を立ち上げ守りから攻めに転じる顛末を描く進撃譚です。
(イラスト:マニャ子 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797382969.html


日本の魔術師を管理し、絶大なる影響力を持って社会へも関与する魔術結社「暁の神殿」。
その体制に異を唱える“戒斗”“蒼馬”“雪火”はそのトップ暗殺を計画、実行に移す。
“蒼馬”の凶刃が結社の首魁“魔術皇”に届こうとするその瞬間、世界は暗転し──。

異世界に飛ばされた結社の一員“秋輔”がエテイル王国の“カティア”と出会い、敵対心
むきだしな“雪火”と手を組んで王国を帝国から護る手伝いをする。自己否定精神の強い
“カティア”をどう立ち上がらせるか、という“秋輔”の影ながらの努力がポイントです。

飛ばされた魔術師は帝国にも居て、こちらも呉越同舟で元の世界に戻ろうと躍起なもの
ですから異世界を舞台に背負うものを混ぜ込んで望まぬ戦いなど生まれそうな予感がする
話運びが興味を惹きます。ひねりのきいた立ち回りも魅力的で続きが楽しみな作品です。

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2015年08月22日

『幻葬神話のドレッドノート』

『ボーイ・ミーツ・ハート!−彼女のフラグは難攻不落!?−』の刊行から約4年ぶりとなる
鳥羽徹 先生の新作は、異端の天才と無双の戦姫が夫婦で幻獣を滅する伝説を描く物語です。
(イラスト:赤井てら 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797384680.html


平地が有害物質「幻素」に覆われた「大災禍」により山間部へ逃げ込んだ人類を救う発見。
「魔力」と「魔術」をもって幻素により変異した幻獣にも打ち勝つ戦技魔装士が誕生した。
若き“志雄”や“日輪”もそれを目指す。それも上位を、ある願いを胸に秘めつつ──。

最初から“志雄”と“日輪”が夫婦という間柄ですのでイチャイチャぶりが実に微笑ましい。
“日輪”がヤキモチ焼きなのでそのあたりの掛け合いとかも。ただ夫婦になった経緯などは
それなりに覚悟の要る重めな背景を背負ってのことですので上手く対比にはなっているかと。

比翼連理、というのは単に日常風景だけではなくその才能と実力をこれでもかと発揮する
幻獣との戦いにおいても見ることが出来ます。ド派手なバトルを楽しんでいただくと共に
“日輪”の葛藤にもぜひ注目してもらえればと思います。オススメできるタイトルです。

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2015年08月21日

『東京ドラゴンストライク』

『ガンズ・アンド・マジック』の 長田信織 先生が贈る新作は、現代の日本に突如現れた
ドラゴンに対して巻き起こる大激戦の顛末とその鍵を握る少年の数奇な運命を描きます。
(イラスト/緒原博綺 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865123-3/


「ノースライン航空755便失踪事件」における唯一の生還者“景人”は、行方不明であった
半年間の記憶を失くし、代わりに機械を自分の思うように動かす馴化できるようになった。
それから5年が経過した日常を、動くあらゆるものを竜にする力を持つ者たちが脅かす──。

野望を胸に日本に転移してきた“ニズレグ”に巻き込まれた“クウクル”。彼を止めようと
及ばずながら頑張る彼女を“景人”が何の因果か手助けすることに。彼女と行動を共にする
ことで彼が持つ生と死の概念が変わっていく様子とその背景にまずご注目いただきたい。

そして何と言っても数々の軍の装備がドラゴンたちとの戦いで費やされていく戦闘シーン。
まるで映画を見ているかのような派手さと細かい設定描写が本作一番の売りではないかと。
“舞嶽”の言動に振り回されつつも最後は大団円でまとまっており読み応えのある作品です。

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2015年08月20日

『なれる!SE 13 徹底指南?新人研修』

夏海公司 先生が萌えるSE残酷物語。第13巻は社会人2年目を迎えた“工兵”が新人教育を
任されるものの個性派揃いの新卒社員ばかりで──。苦心する彼が下した決断や如何に。
(イラスト/Ixy 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865339-8/


これはまた心をえぐるテーマ。右も左も分からないから教えてほしいと思っている新人側
と、自分のときはどうだったっけ? とどこまで教えれば良いのか戸惑う指導側。そこに
「ゆとり」「意識高い系」といったキーワードが乗っかってくるものだから胃に悪い。

会社のサイトに載っていた紹介文に憧れて入社してきた、と聞き嬉しく思う“工兵”でも
流石にキレるのは致し方ない。そして新人がメンタル、出社拒否へと繋がる流れ。胃に悪い
ですね。新人でなくとも後輩を受け持ったことがある社会人なら共感できてしまうのでは。

もちろん“室見”の心証も最悪になるワケですが、そこを数々の助力を得て起死回生の一手
から夢のような大逆転劇を見せてくれる“工兵”の奮闘にご注目。こんな2年目がいたら
放っておかないよ! ということでトンデモない引きに彼がどう対処するのか楽しみです。

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2015年08月19日

『バリアクラッカー 神の盾の光と影』

囲恭之介 先生の「第21回電撃小説大賞・電撃文庫MAGAZINE賞」受賞作。あらゆる傷病から
人を守る不可視の盾に守られた街で異端審問官を務める少女が数奇な運命を辿る物語です。
(イラスト/KeG 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865341-1/


不可視の盾「アイギス」による加護がないレプトイドと呼ばれる異形たちによる犯罪が残る
都市アーモロートで彼らに対抗し、活躍を続ける“ベル”には夢がある。かつて異端宣告を
受けた兄を見て、アイギスが無いだけで異端だと即断する教会を変えたいという夢が──。

胡散臭いけどネタは確かな情報屋“クリカラ”と組み立身出世を図る“ベル”。ライバル的
存在の“シビル”に絡まれたりしつつ切磋琢磨する彼女に突如降りかかる異端の嫌疑。彼女
はそこで初めて「アイギス」に疑問を持ち、逃亡しつつそれが何たるかを調査し始めます。

思わぬ繋がりを見せる人間関係、「アイギス」と「バリアクラッカー」の背景にあるもの、
様々な要素が絡み合って話が大きく広がっていく展開は面白い。よくまとめたと思います。
KeG 先生のイラスト、トーメント・デバイスがまたカッコイイ。続きがあるなら楽しみです。

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2015年08月18日

『ゼロから始める魔法の書IV ―黒竜島の魔姫―』

虎走かける 先生が贈るファンタジー作品。第4巻は“ゼロ”の故郷へ向かう途中で船が
難破。流れ着いた島に魔法の普及した国があると分かり“傭兵”共々調査に乗り出します。
(イラスト/しずまよしのり 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865306-0/


黒竜島。かつて2つの国があり、持ち込まれた魔法で栄え、そして争い、ノーディスという
国一つに収まった島。あるいは離れようとすれば黒い竜に打ち滅ぼされる、出国不可な島。
王女“アムニル”は写本を渡す気がないため、“ゼロ”の交渉も一筋縄ではいきません。

“アムニル”がもつ「最善」の考えにより数奇な運命を歩まされる“ゴーダ”の話や、彼女
自身が「破竜祭」で背負う覚悟など、“ゼロ”としても聞いたからには考慮せざるを得ない
側面があり、手を貸すところは惜しみません。この姿勢は毎度ながら好感触を抱きます。

“神父”の割り込みもあり慌しい中でやらかしてくれた“サナレ”の悪行。「彼女」を想う
“ラウル”が本当に不憫で。“ゼロ”と“傭兵”同様、ここまで胸糞悪いと思えるキャラは
中々いないので、ぜひ容赦なく始末してほしいと次巻以降の刊行と共に願いたいと思います。

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2015年08月17日

『魔法科高校の劣等生(17) 師族会議編〈上〉』

佐島勤 先生が贈る大人気シリーズ。第17巻は“深雪”と“達也”の婚約話が公表された
ことで十師族の間に、そして魔法科高校の生徒、友人、卒業生の間に波紋が広がります。
(イラスト/石田可奈 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865313-8/


“真夜”が提示した「建前」に対して強くに反応する一条家。相乗りする七草家。各々が
横槍を入れるために立てた白羽の矢、“将輝”と“真由美”は親の思惑に振り回されつつ
揺れ動く心は止められない、ということで親子双方の葛藤が伺えます。“真由美”頑張れ。

“深雪”と“達也”に対し“エリカ”や“レオ”のように割り切れるような者は少なく、
“幹比古”や“美月”のようによそよそしい態度をとる者、そして“ほのか”のように
ショックを受ける者が多数。“雫”の冷静な対応が救いの1つであったと感じられます。

口絵にある二人の世界を見れば“深雪”が幸せいっぱいなことは伝わってきます。そんな
雰囲気を知ってか知らずか、“七賢人”からもたらされた警告が少しずつ関係者に伝わる
ところで「師族会議」を暴威が襲う。中編、下編でどう話が動くか注目したいところです。

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2015年08月16日

『ソードアート・オンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング』

『ソードアート・オンライン16 アリシゼーション・エクスプローディング』

川原礫 先生が贈る大人気シリーズ、「アリシゼーション編」8冊目となる第16巻は暗黒神
が率いる侵略軍と整合騎士が率いる人界守備軍の一大決戦に“アスナ”が乗り込みます。
(イラスト/abec 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-865307-7/


“ベクタ”の命を受け時に暴力、時に奇策をもって人界守備軍の陣へと攻め込む侵略軍を
整合騎士の奥義と犠牲をもって退けますが、隙を突かれて危うい局面を何度も迎えるなど
手に汗握る攻防にハラハラさせられっぱなし。侵略軍側も興味深いエピソードが満載です。

そして満を持しての“アスナ”登場。“アリス”と修羅場な局面を迎えたり、“リーナ”
たちと情報取引に応じたり、と未だ復活には至らない“キリト”を前に微笑ましい光景を
繰り広げつつも右眼の封印やリアルワールドなどの話も“アリス”たちへ遂に伝わります。

光の巫女がいかに重要かも把握できたところで、アンダーワールドに来た“アスナ”には
手の及ばない“ベクタ”たちの秘策が牙をむく直前、“ユイ”の機転が最後の鍵を握る。
心に残る彼女の言葉と涙は功を奏するのか、“キリト”復活と共に期待したいと思います。

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2015年08月15日

『廃駅の天使 ―廃線上のアリス2nd―』

マサト真希 先生が贈る青春ラブストーリー。第2巻は東京から岩手に引っ越してきた少年
が廃駅で少女と出会ったことをきっかけに様々な思いと出来事に直面する顛末を描きます。
(イラスト:フカヒレ 先生)

http://www.ponicanbooks.jp/book/1105/


廃駅で自殺を図る少女“春告久”を止めた“晴”。彼女がクラスの転校生だと知り驚くが
級友たちとの距離感を空けたままの彼女へ彼が助け舟を出すことに。二人の距離感だけは
縮まっていく中で彼女が転向してきた理由を示す悪意あるメッセージが出回り始める──。

宮沢賢治の物語を織り交ぜてみたりと岩手が舞台という雰囲気と恋の物語を演出しつつ、
“春告久”の過去、“晴”の過去を持ち出して陥れようとする者がいると知り、時に守りの
時に攻めの姿勢で対応する二人。見えぬ相手の真意を計り知れぬまま日常が過ぎていきます。

助っ人の登場で動き始めた物語は、確認不足とコミュニケーション・エラーを遠因として
思わぬところに犯人がいたことを告げ、“春告久”と“晴”を対等の立場に置くための
通過点を描きエピローグへと向かいます。色々と結びついていきそうで次巻も楽しみです。

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2015年08月14日

『たま高社交ダンス部へようこそ』

「第7回GA文庫大賞・奨励賞」「第2回ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞・大賞」そして
「第20回スニーカー大賞・特別賞」のトリプル受賞者、三萩せんや 先生の作品を拝読です。
(イラスト:伍長 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321504000232


「競技ダンス部」とは距離を置き「社交ダンス部」へ入部した“璃子”。元の相手からの
よりを戻そうとする言動を無視し続ける彼女に部の統廃合という無視できない現実が去来。
部の窮地を前に、腰掛け程度に入部していた“雪也”が存続を賭けて一念発起する──。

社交ダンスのことに全く興味のなかった“雪也”がクールビューティーな“璃子”と助け
助けられながら踊ることの楽しさにのめりこんでいく様子を平易かつ丁寧に描いた正統派
部活モノ、まさに青春グラフィティ。成長、挫折、衝突、そしてラブが詰まっています。

“篤成”が適役な敵、ということで話がぶれないことと端々に織り込まれるサブカル関係の
ネタが物語導入へのハードルを下げていて読みやすいです。専門用語も出ますが気にせず
読めるのも特徴でしょう。伍長 先生の挿絵も雰囲気が良いですしオススメできる一作です。

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2015年08月13日

『保育の騎士とモンスター娘』

神秋昌史 先生が贈る新作はモンスター育成ラブコメ。魔族保育園の護衛として僻地へ派遣
された騎士見習いの青年が魔族の子供たちと触れ合う中で成長していく様子を描きます。
(イラスト:森倉円 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321504000240


魔族と和平を結んで約二年。魔族領にほど近い王国の僻地にある「国立ヒューモン保育園」
には魔族の子どもたちが預けられ一人の女性が保育士として彼ら彼女らの相手をしている。
危険地域と見た堅物の騎士見習い“デルク”がその地に赴任する所から物語は始まる──。

状況を受け入れている“ティリア”を余所に“デルク”も魔族の子どもたちも警戒レベル
は高め。ですが容姿や力が違うだけで思う所はヒトの親子と変わらないとに気付いた彼が
少しずつ歩み寄っていき、結果として保育士見習いに至るまでの流れが実に微笑ましい。

“ティリア”に頭が上がらない魔族の面々といったコミカルな面も見せつつ、“ラミーネ”
が直面する転機にどう向き合うかを描くことで彼女の成長にも触れるシリアスな場面もあり
と興味深いお話でした。“デルク”の過去も色々ありそうですし続きが楽しみな作品です。

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2015年08月12日

『横浜ダンジョン 大魔術師の記憶』

瀬尾つかさ 先生が贈る新作は各地にダンジョンがあふれる世界を舞台に、力を隠しながら
生活する少年が、ある目的からその踏破に挑む少女らを導いていくファンタジー作品です。
(イラスト:やむ茶 先生)

http://sneakerbunko.jp/bookdetails/?pcd=321504000238


異世界に繋がり、魔法が使えるようになって17年。多数のダンジョンから魔物が大量出現
する事件が発生。巻き込まれて以来、探索する者たちを嫌悪するようになった妹“琉衣”
を見て、自分の中に発露した力とその理由を秘密にすると決意した“響”であったが──。

姉へのコンプレックスを抱えつつ「探索者」として頑張る“春菜”とそのパートナー“彩”
を助けてしまったことで彼女らが強くなるために力を貸すことになった“響”。妹“冬音”
との出会いが彼の「目的」を決定づけることになり・・・と運命的な展開を描いていきます。

“響”の圧倒的な力をいぶかしむ“春菜”に「前世の記憶が・・・」と嘯くところが面白い。
女性陣のからかう言い回しとやりとりは相変わらず上手いな、と感じます。彼の「目的」
を達成するための手段であることを受け入れた“春菜”たちとの冒険に注目しておきます。

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