鰤/牙 先生が贈る圧倒的な課金バトルアクション。第5巻はアカウントハックをされた
“一朗”が手を打つ中、犯人を止めるべく“桜子”が禁断の力に身を任せていきます。
(イラスト/桑島黎音 先生)
【 http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/604.html 】
散在の波動、カネの暗黒面にさらされた“桜子”が暗黒課金卿キルシュヴァッサーと成り
果てる、というどこか滑稽な彼女のロールプレイが見られます。ここぞ! という場面で
課金剣が使えなくなって動揺したり、“アイリス”が説得する場面とかステキすぎます。
乗っ取られた“イチロー”、区別するため“パチロー”と呼ばれた犯人の意図は何なのか。
彼をライバル視する“キング”こと“世良”のプレイスタイルがあればこそ気づいたある
ある共通項から意外な真実へと辿り着く展開も見どころです。“世良”の秘密の件も含め。
犯人と直面するまでにとった“一朗”の行動一つ一つが、改めて彼のハイスペックぶりを
認識させてくれます。ホントになんでもござれ、という感じで。今回の騒動を経て弱みを
握られたシスル社を“一朗”は最終手段を使わずにどう守るのか、注目したいと思います。
2015年06月15日
2015年06月14日
『天久鷹央の推理カルテIII ―密室のパラノイア―』
知念実希人 先生が贈る新感覚メディカル・ミステリー。第3巻は天才女医“天久鷹央”が
呪いの動画、男性恐怖症、そして“小鳥”の派遣終了を促す溺死事件の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 http://shinchobunko-nex.jp/books/180035.html 】
精神科の診療部長を、かつて誤診をもとにあげつらった“鷹央”。いがみ合う仲でも診断
により呪いの動画事件を解決した点を認めるのは潔い。男性恐怖症の女性に男として認識
されていない、と“小鳥”を落ち込ませた騒動の落とし所はためになる話でもありました。
そして冒頭のプロローグが“鷹央”の焦燥を煽る事件では“小鳥”の派遣元となる病院で
医師が殺人の嫌疑を掛けられ彼を呼び戻す話が浮上する所からスタート。その発端となる
密室での溺死の謎を解けばそれもご破算になると見た彼女は勇んで診断に乗り出します。
“鷹央”の診断という行為は彼女が世間とのつながりを掴み直すリハビリだと、それが
出来ているのも“小鳥”のサポートがあればこそだと言う“鴻ノ池”の分析が強く印象に
残ります。リハビリ期間の内に好意へとつながるかどうか、が最大の謎になりそうです。
呪いの動画、男性恐怖症、そして“小鳥”の派遣終了を促す溺死事件の謎を診断します。
(イラスト/いとうのいぢ 先生)
【 http://shinchobunko-nex.jp/books/180035.html 】
精神科の診療部長を、かつて誤診をもとにあげつらった“鷹央”。いがみ合う仲でも診断
により呪いの動画事件を解決した点を認めるのは潔い。男性恐怖症の女性に男として認識
されていない、と“小鳥”を落ち込ませた騒動の落とし所はためになる話でもありました。
そして冒頭のプロローグが“鷹央”の焦燥を煽る事件では“小鳥”の派遣元となる病院で
医師が殺人の嫌疑を掛けられ彼を呼び戻す話が浮上する所からスタート。その発端となる
密室での溺死の謎を解けばそれもご破算になると見た彼女は勇んで診断に乗り出します。
“鷹央”の診断という行為は彼女が世間とのつながりを掴み直すリハビリだと、それが
出来ているのも“小鳥”のサポートがあればこそだと言う“鴻ノ池”の分析が強く印象に
残ります。リハビリ期間の内に好意へとつながるかどうか、が最大の謎になりそうです。
2015年06月13日
『@バスルーム』
秋口ぎぐる こと 川上亮 先生が贈る監禁脱出サスペンス。アイドル4人組が監禁された所
から繋がるSNSを利用して脱出を試みる過程を描く物語。すでに映画化が決定しています。
(イラスト:さらちよみ 先生)
【 http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321501000064 】
リーダーでしっかり者の“久美子”。最年長だけど引っ込み思案な“瞳”。ボーイッシュで
直情的な“有希”。最年少の美少女だけど毒舌家な“さくら”。「Qvinta」として音楽活動
を続けるも伸び悩む4人がある日、見たこともないバスルームに閉じ込められていて──。
助けを求めたSNSでは興味本位で見る者、事の重大さを感じて助言する者、煽る者など様々
な人たちが関与してきます。その中で真犯人を名乗る者が「見返り」を求めてから吹き出す
人間の悪意、集団悪とも言える文字の羅列が妙な現実感を帯びて薄ら寒さを感じさせます。
SNSでのやり取りも興味深い話運びですけど「そもそもなぜ監禁先でWi-Fiが繋がったのか」
という点に気づかされてから監禁事件の真実が明らかになっていく過程もまさにサスペンス。
これは映像にしたら映えるでしょうね、ということでそのあたりも期待したいところです。
から繋がるSNSを利用して脱出を試みる過程を描く物語。すでに映画化が決定しています。
(イラスト:さらちよみ 先生)
【 http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321501000064 】
リーダーでしっかり者の“久美子”。最年長だけど引っ込み思案な“瞳”。ボーイッシュで
直情的な“有希”。最年少の美少女だけど毒舌家な“さくら”。「Qvinta」として音楽活動
を続けるも伸び悩む4人がある日、見たこともないバスルームに閉じ込められていて──。
助けを求めたSNSでは興味本位で見る者、事の重大さを感じて助言する者、煽る者など様々
な人たちが関与してきます。その中で真犯人を名乗る者が「見返り」を求めてから吹き出す
人間の悪意、集団悪とも言える文字の羅列が妙な現実感を帯びて薄ら寒さを感じさせます。
SNSでのやり取りも興味深い話運びですけど「そもそもなぜ監禁先でWi-Fiが繋がったのか」
という点に気づかされてから監禁事件の真実が明らかになっていく過程もまさにサスペンス。
これは映像にしたら映えるでしょうね、ということでそのあたりも期待したいところです。
2015年06月12日
『やる気なし英雄譚 3』
津田彷徨 先生が贈るやる気なし英雄の隠れヒーロー譚。第3巻は士官学校での誘拐事件に
思う所ある“ユイ”が彼の地の駐在大使へ左遷され、そこで新たな英雄譚を生み出します。
(イラスト:MID 先生)
【 http://mfbooks.jp/1510/ 】
1巻からの一気読みです。やる気がないだけで実力は十分な“ユイ”は救国の英雄になって
しまったかと思えば貴族院に疎まれ名誉職の仕官学校長になり、閑職を満喫するかと思えば
スパイをしていた教員を締め上げて株を上げてはまた疎まれたり、と苦労が絶えません。
そしてまた左遷の道を行く“ユイ”が選んだのはスパイが利益を得ていたラインドル王国。
内戦の最中にあるこの国に士官学校に所属していた若き魔法士が連れ去られ利用されている
ことに深く静かに憤りを感じた彼が駐在大使の肩書きを手に乗り込み、引っ掻き回します。
今巻もテンポのよい場面展開と共に、ピンチも迎えましたが勧善懲悪の話が展開されていく
実に爽快な読了感が味わえます。また一人、レディの心を“ユイ”が掴んだりもしますし。
次巻は“エリーゼ”が王女を目指すと共に、Web版とは話が分岐するとのことで注目です。
思う所ある“ユイ”が彼の地の駐在大使へ左遷され、そこで新たな英雄譚を生み出します。
(イラスト:MID 先生)
【 http://mfbooks.jp/1510/ 】
1巻からの一気読みです。やる気がないだけで実力は十分な“ユイ”は救国の英雄になって
しまったかと思えば貴族院に疎まれ名誉職の仕官学校長になり、閑職を満喫するかと思えば
スパイをしていた教員を締め上げて株を上げてはまた疎まれたり、と苦労が絶えません。
そしてまた左遷の道を行く“ユイ”が選んだのはスパイが利益を得ていたラインドル王国。
内戦の最中にあるこの国に士官学校に所属していた若き魔法士が連れ去られ利用されている
ことに深く静かに憤りを感じた彼が駐在大使の肩書きを手に乗り込み、引っ掻き回します。
今巻もテンポのよい場面展開と共に、ピンチも迎えましたが勧善懲悪の話が展開されていく
実に爽快な読了感が味わえます。また一人、レディの心を“ユイ”が掴んだりもしますし。
次巻は“エリーゼ”が王女を目指すと共に、Web版とは話が分岐するとのことで注目です。
2015年06月11日
『勇者イサギの魔王譚 3 鞄には愛だけを詰め込んで』
みかみてれん 先生が贈る、魔王候補として召喚された勇者の冒険譚。第3巻は元の世界に
残した妹との再会を渇望する“廉造”の執念に、“イサギ”が真正面から向き合います。
(イラスト:荒川眞生 先生 監修:桝田省治 先生)
【 https://www.enterbrain.co.jp/product/mook/mook_bungei/213_other/14398301.html 】
冒険者から受けた被害が深く残る魔族国にも抗戦派、穏健派、親人間派と派閥があり足の
引っ張り合いをする始末。見かねた“廉造”が一刻も早く元の世界に戻りたい一心で暴挙
に出た彼を守りつつも危惧し、いざとなれば体を張ってでも止める決意をする“イサギ”。
“廉造”が妹“愛弓”を大事にする契機となったこれまでの人生そのものがまた痛ましく、
だからこそ帰りたいと焦る気も分かるというもの。けれど“イサギ”にも譲れない想いが
あるワケで、だからこそ表紙の絵にも繋がっていくのです。それが熱くて、そして切ない。
そんな二人の不毛な戦いが行われている裏で進められていた筋書きに救われるものを感じ
ながら、“イサギ”が遂に「想い」に繋がる手がかりを得たと知ったときの高揚感たるや。
殊更にきな臭くなってきた冒険者ギルドを舞台に物語がどう動くのか、注目が集まります。
残した妹との再会を渇望する“廉造”の執念に、“イサギ”が真正面から向き合います。
(イラスト:荒川眞生 先生 監修:桝田省治 先生)
【 https://www.enterbrain.co.jp/product/mook/mook_bungei/213_other/14398301.html 】
冒険者から受けた被害が深く残る魔族国にも抗戦派、穏健派、親人間派と派閥があり足の
引っ張り合いをする始末。見かねた“廉造”が一刻も早く元の世界に戻りたい一心で暴挙
に出た彼を守りつつも危惧し、いざとなれば体を張ってでも止める決意をする“イサギ”。
“廉造”が妹“愛弓”を大事にする契機となったこれまでの人生そのものがまた痛ましく、
だからこそ帰りたいと焦る気も分かるというもの。けれど“イサギ”にも譲れない想いが
あるワケで、だからこそ表紙の絵にも繋がっていくのです。それが熱くて、そして切ない。
そんな二人の不毛な戦いが行われている裏で進められていた筋書きに救われるものを感じ
ながら、“イサギ”が遂に「想い」に繋がる手がかりを得たと知ったときの高揚感たるや。
殊更にきな臭くなってきた冒険者ギルドを舞台に物語がどう動くのか、注目が集まります。