2015年02月28日

『鮮血のエルフ』

藤原祐 先生が贈る新作はダークファンタジー。人間の姉弟とエルフの兄妹、種族は違えど
仲睦まじい4人が世界情勢の変化に巻き込まれ剣を向け合う関係となる悲愛の物語です。
(イラスト/kona 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-869165-9/


十六の氏族と選ばれた長により統率されるエルフの国。王子である“シルジス”、姫である
“エリス”は辺境にある人間の村に住む“ウルハ”と“イミナ”に会いに来ては剣の練習に
勤しんだり一緒に食事をしたり、そして恋心を抱いたりと実に幸せそうな雰囲気ですが──。

しばらくご無沙汰になったかと思えば突然現れて“イミナ”との決闘を望む“シルジス”。
そこから全ての歯車が狂い始めていき、まさに鮮血の雨を降らすかの如き所業の数々とその
描写たるや 藤原 先生の本領発揮と言わざるを得ません。“イミナ”が不憫すぎます。

悲しみの果てに剣を取る覚悟を決めた“イミナ”。彼に同行する決意を固めた“エリス”。
kona 先生が描く彼女の可愛らしさにも容赦なく影をちらつかせる非情な設定がこれまた
衝撃的で続きに期待しないワケがない。彼の悲願は達成できるのか注目しておきたいです。

posted by 秋野ソラ at 00:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年02月27日

『エイルン・ラストコード 〜架空世界より戦場へ〜』

「MF文庫J」が満を持して世に送り出す超豪華メカライトノベルシリーズ。筆を取るのは
東龍乃助 先生。謎の生命体に襲撃された未来の地球で空想を現実のものとした物語です。
(イラスト/メカデザイン:みことあけみ 先生 メカデザイン:汐山このむ 先生
  ロボ作劇/メカデザイン:貞松龍壱 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1248
http://eirunlastcode.com/


ライトノベルにおいてロボットものが流行しない理由の1つとしてメカメカしい描写、特に
アクションシーンの熱気や格好良さが読み手に伝わりにくい点にあるかと思います。それを
連続挿絵化、つまりショートコミックで補う試みは興味深いアプローチだとまず感じました。

地球に生きるもの全ての敵となる「マリス」に対抗できる唯一の巨大兵器「デストブルム」。
そのパイロットまた唯一無二であること、更に彼女“セレン”が戦いたくないと逃亡する
ほどに摩耗した絶望感が漂う中で謎の戦闘機がその窮地を救ったりするからまず熱いです。

「その日アニメが、現実になる。」実に良いコピーです。戦闘機のパイロット“バザット”
の置かれた現状と、その結果として自身の存在意義を見失いかける心情を想起させるに足る
ものがあります。何もかもがイレギュラーな彼、彼が救った彼女の進む未来に注目です。

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2015年02月26日

『不戦無敵の影殺師(ヴァージン・ナイフ)4』

森田季節 先生が贈る異能力者の光と闇を描くリアル・アクション。第4巻は異能力者に
敵愾心を抱く「無能力者」がユニットを組んで“朱雀”たちの存在を脅かしてきます。
(イラスト:にぃと 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094515374


地方巡業先で温泉へ一緒に入ったりなどと、より心の繋がりが深くなっていることを感じ
させる“朱雀”と“小手毬”。今回は“小手毬”の過去が深く関わってくる物語です。
彼は彼女がいないと存在意義すら失うくらいの立ち位置に居るのがよく分かります。

「無能力者ガールズ」と言いながら人間なのに異能力らしい力を見せるアイドル集団に
仲間の異能力者たちが営業活動を阻害されていく過程で、いつの間にか悪者扱いされる
“朱雀”の切なさたるや。帯にもありますがまさにそう叫びたくもなると言うものです。

異能力と科学力、どちらが上かという問いかけの背景にある煌霊遣い、そして煌霊の宿命
とも言える根幹を揺るがす事態にまたも心揺れる“朱雀”。しかもプロローグの内容が
思わぬ形で“朱雀”の身に去来しましたけど、ホントこれどう続けるのか気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年02月25日

『艦隊これくしょん ─艦これ─ 鶴翼の絆4』

内田弘樹 先生が贈る、“瑞鶴”視点で「艦これ」の世界を描く本格戦記小説。第4巻は
2014年夏イベント「AL/MI作戦」を背景に各々の戦地で奮戦する艦娘たちを描きます。
(原作・監修:「艦これ」運営鎮守府 イラスト:魔太郎 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321407000083


「AL作戦」では“龍驤”らが踏ん張り、「MI作戦」では“蒼龍”に託された策や“浜風”
から提案された「レーダーピケット艦戦術」の要となる“舞風”の頑張りなどによって
勝利は目前・・・かと思いきや深海棲艦がそれを許すこともなく、規格外な「レ級」が登場。

更には“蒼龍”と“飛龍”のわだかまりが解けた余韻に浸る間もなく呉鎮守府、本土決戦
に狙いを定めての侵攻。“大和”らが本調子でない中で“提督”が歯噛みしながら立てた
作戦で一縷の望みが見えてきた・・・かと思えば窮地の連続で最悪の事態も覚悟する展開に。

どうすれば勝てるのか、という状況下で覚悟を決めた“飛龍”。その頑張りに応えるべく
ビッグ7の実力を見せつけた“長門”。そして“瑞鶴”の後押し。全ての力を振り絞り、
紙一重の運の良さで締め括る結末はまさに圧巻。また素晴らしい話が読めて幸せです。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年02月24日

『冴えない彼女の育てかた Girls Side』

TVアニメが絶賛放送中となる、丸戸史明 先生のメインヒロイン育成コメディ。“英梨々”
と“詩羽”の出会いを描く小編と7巻の裏側に触れる大事な挿話を収録した一冊です。
(イラスト:深崎暮人 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321412000063


第二部(8巻)を早く! と、ついつい言いたくなるこれまた良い話を上梓してきますね
丸戸 先生は。「冴えない竜虎の相見えかた」は互いに敬意を抱きつつも、第一印象が最悪
なだけについつい衝突してしまう2人の心情にも触れられていてらしさが感じられます。

書き下ろしの「そして竜虎は神に挑まん」では口絵、挿絵も含めて満を持しての登場と
なる“紅坂朱音”のメディアミックス成功に掛ける執念を目の当たりにしました。これは
“英梨々”と“詩羽”、一人ずつでは対抗できないと彼女らに思わせるのもうなずけます。

才能を買われつつも下目に見られていた“英梨々”。“詩羽”が下に見られていた点も
衝撃的でしたが、口絵にもあるようにそれをバネに格段にレベルを上げた“英梨々”の
凄さと打たれ弱い面を存分に味わえた内容でした。エピローグの不遇さもまた(苦笑)。

posted by 秋野ソラ at 00:18 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル