野村美月 先生が贈るドラマティック青春ノベル。第3巻は「とりかえばや」をテーマに
各演劇部の主役が集う劇へ“詩也”が参加するも“雫”の一言に動揺が隠せないようです。
(イラスト:竹岡美穂 先生)
【 http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_01 】
「綾音に告白したければ、すればよい」「けど、それはいつか破局する」──“雫”が
吸血鬼となった“詩也”に忠告したその意味を受け止め、自然と“綾音”との距離感を
とってしまう彼を見てまたすれ違いを生んでしまう2人の関係が何とももどかしい。
加えて、女たらしの三股男「宰相中将」を演じるために王子こと“偲”の指導を受けつつ
彼女に対するとある疑念を経て彼女が抱える悩みに触れ、「永遠」というキーワードに
対する1つの解を導き出す流れの中にバスケが関わってくるあたりは彼らしい所です。
「とりかえばや」という想いが演者のそれと重なる話運びとか、感心させられるばかり
です。「凪乃の誤算」も切なくてたまらない。“綾音”が抱えていた秘密と相まって
完全にすれ違ってしまった“詩也”に切り返しの契機はあるのか、次巻も楽しみです。