2015年01月31日

『セントレイン戦記 2 〜七戦姫と禁忌の魔剣士〜』

森田季節 先生が贈る王道戦記ファンタジー。第2巻は南にある王都への通行を拒む第二州、
そして人間界を支配すべく兵を集める北方の妖魔領と“ジルス”たちが挟撃を受けます。
(イラスト:nauribon 先生)

http://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784865540277


第二州を預かる“アリスロット”の最大の武器は自身が開発した「堅鋼兵」という機械。
堅牢な上にからくり仕掛けも多彩、ということで鉤縄での捕縛ナイスです。挿絵指定も。
一度は退けられるものの改良版をすぐ用意してくるあたり、芯の強さを感じさせます。

北方の脅威も対処すべく“ジルス”と“クランベル”で妖魔領に乗り込み交渉、あるいは
実力行使も已む無し・・・と思っていたら衝撃の事実が飛び出してまさに瓢箪から駒の状況。
彼を事あるごとに狙う妖魔領の王“チャーラ”の繰り出すシチュエーションが素敵です。

“ナターシャ”を始めとしてラッキースケベな目に遭う“ジルス”も決めるべきところは
自身でしっかりキメてくる格好良さを見せてくれるのが良いです。キスシーンも更に濃厚
で実によろしい。少ないページ数でここまで魅せる話を書いてくることも驚嘆に値します。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年01月30日

『できそこないの魔獣錬磨師』

見波タクミ 先生の「第27回ファンタジア大賞・金賞」受賞作。モンスターを従え闘わせる
モンスタートレーナーを育てる学園で最弱の人物が勝利を、そして最強を目指す物語です。
(イラスト:狐印 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=321411000013


生まれた時に授けられた紋章の違いによって従えるモンスターや将来の可能性すら決まる
世界でスライムを相棒とする“レイン”。日々の鍛錬を欠かさぬ彼に突っかかるドラゴン
トレーナーの“エルニア”は非公式戦ながらも彼に負けてしまったと言うのだが──。

「スライムトレーナーが如何に地位が低いか」という描写から始まり、それでも頑張り
続けて成果を出す“レイン”。まさに正統派の成長モノと言えるかと。なぜ勝てるのか?
という点も“エルニア”を驚かせるほどに考え抜かれてあって、爽快な気分になれます。

そんな“レイン”を認める“アリカ”や“ガゼット”という友人たちの心情や、妙に
人間味あふれるドラゴン“キール”とのやりとりも読んでいて楽しいです。“ペムペム”
はグッズ化にも耐えられる可愛らしさが魅力的。オススメできる新人賞作品と言えます。

posted by 秋野ソラ at 01:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年01月29日

『ジンクスゲーム』

アダチアタル 先生の「第15回 GA文庫大賞・優秀賞」受賞作。見えない凶器(ジンクス)
という異能を与えられ、報酬付きの殺人ゲームに駆り出された5人の男女たちを描きます。
(イラスト:ニリツ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797382068.html


電車の脱線事故に巻き込まれた“蒼馬”とその妹“真奈”。瀕死の“蒼馬”を救う代わりに
自分を殺してほしい、と異能を授ける“ロストマン”。殺した相手の命を分け与えることが
出来ると言われ、妹も死の淵にある妹の姿を前にして選択肢はもう残っていなかった──。

世を騒がす殺人鬼“毒りんご”を追い、“蒼馬”に疑念を持って転校してきた美少女名探偵
“鈴蘭”はかつての幼なじみ。“ロストマン”からその殺人鬼を殺すミッションを与えられ
「死者を一人蘇らせる権利」が褒美となれば他のジンクス使いも無下にはできない局面。

“鈴蘭”の推理力も借りて“蒼馬”が突き止める“毒りんご”の正体はジンクス使いなのか
それとも、という死と隣り合わせの筋の読みあいが面白いサイコスリラーかと思います。
結末も、そしてその先にある物語もまた興味深く、シリーズ化に期待がかかる作品です。

posted by 秋野ソラ at 01:40 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年01月28日

『パパのいうことを聞きなさい!17』

松智洋 先生が贈るドタバタアットホームラブコメ、ドラマCD付予約限定版と同時発売と
なる第17巻は就職活動が上手くいかない“祐太”に対して遂に想いを伝える時が来ます。
(イラスト:なかじまゆか 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-630805-2


小学1年生となった“ひな”と、彼女の授業を受け持つことになった教諭1年目の“莱香”。
夢に向かって頑張る“空”や“美羽”の姿を見て思うところがあり悩む少女を、特殊な関係
から中々フォローできずに懊悩する女性。それぞれの葛藤がもどかしいさを感じさせます。

少女から女性への転換期を迎える“空”や“美羽”は異性からの告白を受けることも茶飯事
ということでより綺麗になっていく彼女らを見て“祐太”にも心境の変化が生まれつつ
「後見人」になるという気持ちは変わらないことを告げればそりゃあ、ああなりますな。

加えて、遂に自分の気持ちを意識した“莱香”からのアプローチ。ようやくここまで来たか
と感じつつもあのタイミングはある意味、素晴らしい。“莱香”と“祐太”そして三姉妹
で築いてきた関係があってこそのエピローグからどう結んでいくか、楽しみなところです。

posted by 秋野ソラ at 01:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2015年01月27日

『とある飛空士への誓約 7』

犬村小六 先生が贈る飛空士たちの恋と空戦の物語。「誓約」第7巻は“ニナ”たちの物語
と「エリアドールの七人」の物語が真の意味で交錯する、第三部の幕開けとなります。
(イラスト:森沢晴行 先生)

http://www.shogakukan.co.jp/books/detail/_isbn_9784094515312


もう、何と言ったらいいか。ここまで読んだ身からすればご褒美でしかない展開の数々。
最後の見開きとかまさに夢のような展開で、思わず目頭を熱くする場面も。巻末に収録
された「用語集」にある、本編では使われなかった設定なども興味深く拝読しました。

“ゼノン”にあらぬ仕打ちを受ける不遇さが拭えない“ミオ”。彼女に対する嫉妬にも
似た感情が拭えない“イリア”。内外に向く感情を持て余し気味な“清顕”。距離感の
ある三角関係を結論づけるのはまだ時間が掛かりそう。直接対決が来ることに期待です。

新女王エリザベートとなった“セシル”が世界に関与し始め、“かぐら”もまた命を
賭してでもとその道へ足を踏み入れる中、“バルタザール”や“ハチドリ”が後塵を
拝する感には頑張ってほしいとエールを送りたいところ。次巻も目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル