2014年08月26日

『きんいろカルテット!(3)』

遊歩新夢 先生が贈る青春音楽ストーリー。第3巻は国際アンサンブルコンペ出場に向け
最終調整の進む“菜珠沙”たちを支える“英司”に思わぬ邪魔が入ってしまいます。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://over-lap.co.jp/Form/Product/ProductDetail.aspx?pid=9784906866991


“英司”に対する執拗なまでの嫌がらせ。評価方法の違い。プロとアマの認識の差、等々。
そこに根ざす日本の音楽教育、あるいは業界に対する問題の列挙はまるで内部告発のよう。
関係者を含めてこれは読むべきなんじゃないのか、と思わざるを得ないものを感じます。

“英司”の問題解決にある程度の目処がついたと思えば更なる災難がメンバーを襲う展開
を迎えますが、ここで打つ起死回生の一手が大いなる躍進へと繋がっていきます。実に
熱い流れです。“勇樹”が思わぬ繋がりをもう一つ生んでいたこともポイントになります。

大舞台を前に慄く気持ちも、“真里菜”が示す未来への不安も「エンジョイ・ブラス」の
気持ちで乗り切っていく「Kiss Me Hymn」の面々。その楽しむ気持ちも、前向きに進もう
とする期待も「第二部」として繋げていってほしいと編集部に心より願う次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年08月25日

『101番目の百物語異聞』

「MF文庫J」から刊行され、完結した『101番目の百物語』の外伝を サイトウケンジ さん
自らが描く同人誌。装丁を 木緒なち さんが担当し、ペーパーが付くなど豪華仕様です。
(イラスト:涼香 さん)

http://odorigui.blog.jp/archives/1007448524.html


“モンジ”のことを想うあまり“理亜”が「迷いの森(ワンダーフォレスト)」のロアに
苦戦を強いられるのが前段となる異聞外話。彼女の窮地を救うため、“一之江”の凶悪な
までに強い能力が遺憾なく発揮されます。相変わらずラブラブだなぁ、こんちくしょう。

そして本編となる異聞では、目撃情報という噂を介していつの間にか本人と入れ替わる
「存在しない自分(ゼロ・セルフ)」のロアに“モンジ”の主人公特性をコピーされ、
“一之江”の存在をもコピーされるという前代未聞の窮地に“モンジ”が立たされます。

それをどう覆すか、という方法が信頼と親愛に満ちた彼ら、彼女らにふさわしい内容で
「爆発しろ」レベルです。これぞ『101番目の百物語』、十分に楽しめました。頒布も
盛況で再販決定とのことですのでご祝辞を。そして益々のご活躍を祈念しております。

http://odorigui.blog.jp/archives/1008018034.html

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2014年08月24日

『なつ×みさ』

ライトノベル作家が同業者を美少女化した挙句、百合カップルに仕立て上げる事案が発生
ということで 弘前龍 さんのライトノベル作家ペアリング小説を読ませていただきました。
(イラスト:ふゆまる さん 曲・動画:ほのづき さん)

http://www.nicovideo.jp/watch/sm24167772


女子高生作家となった“天沢ナツキ”が授賞式に出席して、同期の“鷺宮ミサキ”──
美人にしてボクっ娘──と出会う所から物語は始まります。片や社交的で奔放に振舞う
相手に、片や青春真っ只中な相手に興味を持ち始める様子を“ナツキ”視点で描きます。

他にも作者の「脳内美少女フィルター」によって“エメラルド・スミス(エミィ)”や
“折口ヨシノ”、名前は出てきませんが「ギター経験者の先輩作家」も登場します。
『ばけらの!』で作者が出てこないから百合になった、と言うのが雰囲気として近いか。

聞いたことのあるような数々のエピソードに加え、『耳をすませば』を映画館で観て
青春を感じた身としては始終キュンキュンしっ放しの、ソフトで良い百合小説。同人誌
だからこそできる内容でもあり満足の一冊です。・・・これ、続き出ないですかね?(チラッ


#こんな「まとめ」もあります。

#◆なつ×みさ アフター - Togetterまとめ
#【 http://togetter.com/li/709114

#◆疾走! 電撃ミニ四駆部!!(3) #ラノベ - Togetterまとめ
# 【 http://togetter.com/li/685217

posted by 秋野ソラ at 01:17 | Comment(0) | TrackBack(0) | 同人誌

2014年08月23日

『落第騎士の英雄譚(キャバルリィ)5』

海空りく 先生が贈る学園ソードアクション。 第5巻は「七星剣武祭」開始を前に前年の
覇者“諸星雄大”との交流を経て“一輝”にも新たな覚悟が求められる場面を迎えます。
(イラスト:をん 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797377545.html


気さくに話しかけてくる“雄大”に夕飯をご馳走になったりと戦いを前にしてのほほんと
した滑り出しを見せる序盤。けれど“雄大”には背負うものがある、という所を少しずつ
見せていくことで油断がならないことを“一輝”に、そして読者に感じさせていきます。

そんな中で“一輝”を襲う突然の体調不良。最強の剣士“エーデルワイス”との戦いにて
「パンチアイ」というトラウマを背負ったのではないかという疑惑も解消されぬまま、
運命の第一回戦、“雄大”と“一輝”の激突が遂に幕を開けてしまうことに。

様々な伏線が二人の対決の合間に拾われていく展開と、対決における壮絶な読み合いが
見どころ。決着は読んでご確認いただくとして、最後の最後にようやく姿をあらわした
“ステラ”が放つ強気な発言は自信の表れと見てよいのか。次巻も気になる話運びです。

posted by 秋野ソラ at 00:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年08月22日

『魔王なあの娘と村人A(8) 〜アップダウンスパイラル〜』

ゆうきりん 先生が贈る、常識が通じない《個性者》に気苦労の絶えない《村人》たちの
日常を描くシリーズ。第8巻は進級して騒乱の幅が広がる“佐東”の周囲を描きます。
(イラスト/赤人 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-866813-2/


校長から突如告げられた個性者向けの「相談室」設置の知らせ。カウンセラーを務める
のは《村人A》こと“佐東”。なにをすれば、というところに“竜ヶ峰”の知恵袋として
名乗りを上げる《魔導神官》の“真”が登場して“佐東”とは剣呑な雰囲気に。

そして時を同じくして起きる嫌がらせの数々。その根源として“竜ヶ峰”や“翼”に的が
向けられるも互いに「らしくない行為」と庇い立てするくらいには両者気心が知れている
ことが窺えます。“佐東”の取り合いも相変わらず“竜ヶ峰”が一歩遅れをとる感じか。

じゃあ結局のところ犯人は誰なの? という場面で「相談室」の話が役に立つのが今回
の話のポイント。“佐東”だから出来る、通じるアドバイスでもって相手をねじ伏せる
のが話運びとしても綺麗でオチも着実についています。次巻は予告が全てを物語るかと。

posted by 秋野ソラ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル