2014年05月11日

『棺姫のチャイカIX』

榊一郎 先生が贈る新世代ファンタジー、第9巻は“チャイカ”たちを楯に取られ「遺体」
との交換を要求される“トール”が自分の立ち位置を見直し、決断する時を迫られます。
(イラスト:なまにくATK 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=301312000261


「遺体」を渡して“チャイカ”を救うにしろ、「遺体」を渡さずに“チャイカ”を見殺し
にするにしろ、乱破師(サバター)としての盟約と命の重みとで板挟みになる“トール”
の苦悩を、あるいは限界を“シン”が、“フレドリカ”が容赦なく突いてきます。

一方、“『白』チャイカ”を含む“チャイカ”たちにも同様の、あるいはそれ以上の悩み
がもたらされると共に、“『黒』チャイカ”から存在証明を揺るがす決定的な言葉と事象
を突きつけられます。この時が来たか、と感じると共に衝撃的な場面でもありました。

全ては手詰まりかと思わせる流れの果てに“『白』チャイカ”が、そして“トール”が
選んだ道。共に自己を否定しつつ生き残るために後向きで、前向きで、と対称的な点が
印象的でした。表紙を含め背徳的なイラスト指定があるのもポイントと言えましょう。

posted by 秋野ソラ at 00:22 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年05月10日

『S.I.R.E.N. ─次世代新生物統合研究特区─』

『氷結鏡界のエデン』完結後に 細音啓 先生が贈る新作はバイオロジカル・ファンタジー。
科学技術の超越した世界にて空想の産物を再現するバイオテスタを巡る物語を拝読です。
(イラスト:蒼崎律 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=301401000152


バイオテスタと呼ばれる次世代新生物を研究する最高権威者“アナスタシア”に助けられ、
師と仰ぐ少年“ミソラ”。姿を消した彼女からの教えを実行に移すべく最先端研究エリア
「S.I.R.E.N.」で苦学生として生活を送る彼の前に現れた少女が運命の輪を動かす──。

創造主たる母を捜すために現れた、世界でも希少な「天使型」に分類される“フィオ”。
物知らずな彼女とのラッキースケベなど体験しながら少しずつ信頼を得ていく“ミソラ”
が彼女の秘密を目の当たりにし、披露した「27秒」に込めた想いにご注目いただきたい。

“ミソラ”と仕事上のパートナーを組む“レイベルト”の思わせぶりな言動、“フィオ”
を求める者たちの存在、“ミソラ”の方程式(オムニス)に秘められた謎・・・等々、今後
物語にどう絡むのか気になる要素も多く、期待のシリーズになることを予感させます。

posted by 秋野ソラ at 00:34 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年05月09日

『冴えない彼女の育てかた 6』

遂にTVアニメ化が決定した、丸戸史明 先生が贈るメインヒロイン育成コメディ第6巻。
同人ゲーム製作が大詰めを迎え、“英梨々”がカンヅメに突入して巻き返しを図ります。
(イラスト:深崎暮人 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=301308000432


サークルへの貢献度と“倫也”との距離感の近さを見せつける“詩羽”と“美智留”。
その様子にやきもきする“英梨々”のテンプレな反応が微笑ましい日常として映ります。
・・・進捗が進んでいるのは“恵”のおかげあってこそになっていますが、いつの間にか。

マスターアップまで残り一週間、という状況で“英梨々”を襲う不測の事態。敵である
“伊織”に言わせれば普段の“倫也”なら対処できていた、という現状を目の当たりに
した彼が下した決断。物語はいつしかまさかまさかの展開へとなだれ込んでいきます。

「blessing softwere」と「rouge en rouge」の冬コミ対決は一つの決着を見ましたが
その後処理が問題。“恵”と本当に向き合えているのか問われる“倫也”、不穏な発言
を見せる“英梨々”が何とも心配な状況ですが次巻は短編集ですってよチクショウ。

posted by 秋野ソラ at 01:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年05月08日

『スカイ・ワールド7』

瀬尾つかさ 先生が贈るMMORPGノベル。第7巻は“アリス”を救う期限が迫る中、第三軌道
へと急ぐ“ジュン”たちが「スカイワールド」という世界の真理にまた一歩近づきます。
(イラスト:武藤此史 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=301401000232


小学生にしてやり手の商人“リュカ”も加わり、からかわれる対象が増える“ジュン”。
そんな様子を見ているのも楽しいですし、“ヒカル”がテンパっている様子を見るのも
楽しいです。“ジュン”の朴念仁プレイが少しずつ解消されているところも注目です。

神の御使い(アポスト)の一人、“グレートワーデン”から語られた転生の日に関する
一つの回答を聞き“ユーカリア”が感じた疑念は誰しも抱くもの。“ジュン”も例外では
ありません。そこを上手く払拭する“かすみ”や“サクヤ”とのやりとりも見所の一つ。

「銀翼騎士団」との共闘で攻略を進める傍ら、「神秘の座」のスパイにも目を光らせる
“ジュン”の目論見が功を奏し奇襲を退けたところでいよいよ「バロックの牢獄」へと
到着。助けを待つ“アリス”に彼は間に合えたのか、次巻の展開が待ち遠しい限りです。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年05月07日

『GENESISシリーズ 境界線上のホライゾンVII〈中〉』

川上稔 先生が贈る戦国学園ファンタジー、7話中巻は遂に関東解放の歴史再現が始まり
羽柴が、毛利が、里見が、そして武蔵がそれぞれの想いを胸に激しくぶつかり合います。
(イラスト/さとやす 先生(TENKY))

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-866475-2/


衝突した後の勝ち負けによって描かれる各々の機微に目がいきます。“鈴”や“大久保”、
“鍋島”や“浅野”あたりが印象に残ります。あと“人狼女王”。あまりに規格外すぎて
「現役娘」と名乗るにふさわしい面を別角度から見届けさせていただいた感じです。

“ネイト”も色々と頑張っておりますが、相変わらずイジられる場面にも事欠かない様子
でもあります。それで言うと“点蔵”、というか“メアリ”にまた「やられた!(笑)」
と言わざるを得ません。あの文字が頻出する文庫というのも珍しいのではないかと。

とは言え“点蔵”も第一特務としての仕事はやり遂げてくるのでそこは褒めるべきところ。
今のところ武蔵が優勢な展開で押し進めている雰囲気ですが、まだ組まれていない戦いや
解決していない事案も残っておりますので次こそは下巻、楽しみにしておきます。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル