2014年04月15日

『氷結鏡界のエデン13 楽園現奏─エデン・コード─』

細音啓 先生が贈る重層世界ファンタジー。『不完全神性機関イリス』の完結、あるいは
『黄昏色の詠使い』から続いた“シェルティス”と“ユミィ”の物語を結ぶ最終巻です。
(イラスト:カスカベアキラ 先生)

http://www.fujimishobo.co.jp/bk_detail.php?pcd=301307000067


“シェルティス”と“ユミィ”が手と手をとって歩く姿。叶わぬ願いなど無い、そんな
想いが形になるところが見たくてここまで読み進めてきたのかもしれません。“イリス”
も約束を果たした、というか力ずくで成し遂げようとしているので微笑ましい限り。

本作は2人の物語であったのと同時に“ユミィ”たち、その片割れである“イグニド”
こと“ユミエル”の物語でもあったと言えるかと。彼を想う気持ちは同じなのにそれは
届くことが無い。それでも想いを貫き通した彼女の姿は愛しさと切なさを感じさせます。

“セラ”に対して“シェルティス”が歩み寄ったことで穢歌の庭(エデン)、浮遊大陸を
護る必要の無くなった新しい世界に幸あらんことを。そして『S.I.R.E.N.(サイレン)
─次世代新生物統合研究特区─』でも魅力溢れる物語が紡がれることを期待します。

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2014年04月14日

『新妹魔王の契約者V』

アニメ化企画が進行中、ということで波に乗る 上栖綴人 先生のディザイア・アクション、
第5巻は「魔界」を訪れた“澪”たちが現魔王派と穏健派の思惑を目の当たりにします。
(イラスト:大熊猫介 先生)

http://www.sneakerbunko.jp/bookdetails/index.php?pcd=321307000197


穏健派に仕えるメイドとなった“ゼスト”にまず焦点が当たります。“刃更”への複雑な
想いを抱えた彼女がまた、こう、とてつもなくエロいワケで。直接言わないだけで色々と
イタしているのが分かるのは彼女の想いの深さの裏返し、と言えるのかも知れません。

その想いの橋渡しをした“シェーラ”。“澪”を呼びつけた“ラムサス”や“ノエル”の
態度に腹を据えかねる“刃更”との一触即発な雰囲気も仲介するあたり、方々に目が利く
ところを見せております。穏健派も考え物だということを裏付けているかのように。

“澪”が魔界にいる、となるとそれを無視できないのが現魔王派。“ネブラ”が何とも
分かりやすい悪役、かつ三下ぶりを見せてくれて清々しました。激戦を退けた“刃更”
たちの前に現れた“滝川”こと“ラース”の真意が気になる引き具合に目が離せません。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年04月13日

『絶深海のソラリス』

「KCG文庫」にて『SatanDay Night』を上梓した らきるち 先生が「MF文庫J」より贈る
新作は絶望率100%の「衝撃の深海クリーチャーパニックアクションノベル」です。
(イラスト:あさぎり 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1157


かつて大海害で被害を受けた世界を復興する助力となった、生きた鉱石「ソラリス」。
その鉱石によって稀に生まれてくる水陸両生の突然変異、「水使い」という新人類。
人工島にある、深海でも生きていける彼らを訓練する「アカデミー」が主な舞台。

かつて問題児と騒がれた“ミナト”が教官として赴任し、跳ね返り者の“ミナト”や
落ちこぼれで幼なじみの“ナツカ”といった問題児を抱えつつも、のらりくらりと
訓練生たちを切磋琢磨させていく。厳しくも楽しい学園生活を描いていきます。

・・・といった前半の朗らかな雰囲気を覆す深海の遠征演習。愛着の沸いた少女たちが
次々と死んでいく様は衝撃的で、しかも始めの選択肢を選んだ時点で悲劇確定という
のだから救いが無い。極めつけがあの引き際で、どう繋げていくのか気になります。



#僭越ながら、まとめました。

#◆いま注目を集める戦慄の本格パニックノベル──『絶深海のソラリス』
#【 http://togetter.com/li/647886


posted by 秋野ソラ at 00:09 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年04月12日

『仏教学校へようこそ』

「HJ文庫」では約2年ぶりとなる わかつきひかる 先生の新作は仏教系の学校を舞台と
した《さとり教育》ライフを描く学園ラブコメ。蝉丸P氏の仏教コラムもあります。
(イラスト/犬江しんすけ 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/534.html


仏教用語を仏教をよく知らない人向けに噛み砕いて説明する内容が現代的で分かりやすく
置いてけぼりになることは無かったと思います。仏教系学校のカリキュラムが如何に特殊
であるか、ということが伝わってくるのも読んでいて興味深く感じたところです。

本編は高校受験に失敗し、滑り込みで合格した学校のあまりの違いに落胆の色を隠せない
“大和”が、未来設計を描いている同級生たちと出会い、騒動に首を突っ込んでいく中で
「自利利他、二利円満」の思想を体感し、学校生活を楽しく感じていくまでを描きます。

ツイッターで「#ラノベの仕事したい」ハッシュタグを使い始めた 犬江 先生のイラスト
はカラーもモノクロも実に映える塗りで大変よろしいかと思います。蝉丸P氏のコラムも
実に開けっ広げで好感が持てます。シリーズ作とのことですので注視したいと思います。


#当時のまとめです。

##ラノベの仕事したい まとめ - Togetterまとめ
#【 http://togetter.com/li/579524


posted by 秋野ソラ at 01:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年04月11日

『異世界因果のトラベローグ2』

姫ノ木あく 先生が贈る異世界ファンタジー修学旅行シリーズ。第2巻はトンネル抜けたら
異世界の空の下。今度は“ファル”の世界で“弘武”たちが騒動に巻き込まれていきます。
(イラスト:カグユヅ 先生)

http://over-lap.co.jp/%E7%95%B0%E4%B8%96%E7%95%8C%E5%9B%A0%E6%9E%9C%E3%81%AE%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%99%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0%EF%BC%92/product/0/9784906866632/?cat=BNK&swrd=


“弘武”が有する「ヤドリギの目」。もののついでとしてその能力を詳細に解析した所
色々と副次的な効果も期待できそうで・・・って、えちぃことにも応用させてしまうあたり
姫ノ木 先生いい仕事されてます。流石に挿絵指定はできない場面ではありますけど。

“瑛那”に似た“シャル”と最悪の出会いをしつつも良い信頼関係を築けたり、その姉
である“ファル”との結婚話も応援してもらったりで周囲も、とりわけ“羽澄”の心が
気が気でない様子。私としては“なるあ”を推したいところです。あれは少し切ない。

「アエテルナミア」との意外な接点、“弘武”と“鼎”が遭遇した想定外の出来事、
“リア”がつぶやいた意味深長な発言、そして2つの世界で時間の流れが違うという
要素が“弘武”たちの心境をどう揺り動かすことになるのか注目したいと思います。

posted by 秋野ソラ at 01:11 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル