2014年02月09日

『魔弾の王と戦姫〈ヴァナディース〉8』

川口士 先生が贈る最強戦姫ファンタジー、第8巻は“ティグル”行方不明の報に揺れる中
“サーシャ”と“トルバラン”の死闘、戦姫の暗躍、あるいは出会いが繰り広げられます。
(イラスト:よし☆ヲ 先生)

http://www.mediafactory.co.jp/bunkoj/book_detail/1111


「火の鳥(フェニックス)」と付けられた章題にいろいろな想いが込められている感じが
して思わず感傷に浸ってしまいました。彼女の双剣がその時を告げる、という演出にほぼ
やられたと言ってもいいでしょう。よし☆ヲ 先生のイラストも実に印象的でした。

“エレン”が涙するその先で“リム”もまた滅多に見せることのない雫を落とすことに
なる。その要因はもちろん“ティグル”にあるワケですが、助かったと思ったらあんな
状況に陥っているとは。彼に声をかけた主は気まぐれもいいところです。

“ティグル”はここに居る、と分かっている読み手と分かっていないキャラクターたちの
ギャップが生み出すもどかしさが今巻の物語としてのもう一つの見せ所。ようやく最後に
なって気付くに至りますがその先はどうなることやら。まずは戦いの行方を見守ります。

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2014年02月08日

『クライシス・ギア3 修羅の分岐点(ブラッディ・クロスロード)』

三上康明 先生が贈るバトルアクション、第3巻は遂に「終末の探偵」へ心中事件の調査を
依頼した“慎”が手掛かりとなる黒の使徒を追い、真実へと近づいていく過程を描きます。
(イラスト:白井鋭利 先生)

http://dash.shueisha.co.jp/bookDetail/index/978-4-08-630768-0


機会あって1巻からまとめての拝読です。“紗々良”の過去を隠しながら接し、彼女の
過去を知るために非才の身をもってがむしゃらにぶつかっていく“慎”の熱さに惹かれ、
思いの届かない、報われない“霞耶”を応援しながら知らぬ間に読み終えていた感じです。

“蒼狼”が一目置くほど強さに磨きをかけつつある“慎”。そんな彼と組むことになった
“尋務”がまた謎ありな立ち位置で、“慎”をアシストするという思惑にも今後気に掛けて
おきたい所。“柚”が少し卑屈になっている様子が普段と違って可愛いものでした。

「終末の探偵」から思いもかけず突きつけられた選択肢に導かれ辿りついたまさかの結末。
五里霧中となった“慎”に手を差し伸べたのはやはりこの人。緋扇財閥総帥としての才を
見せる“紗々良”を守れるか、一縷の望みを鍵となる人物に畳み掛ける展開に注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:16 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年02月07日

『艦隊これくしょん ‐艦これ‐ 一航戦、出ます! 』

鷹見一幸 先生が贈る大人気ブラウザゲームのノベライズ。強靭な深海棲艦が南方海域に
頻出する事態を重く見た提督が総力戦を仕掛けるまでを第一航空戦隊を軸に描きます。
(協力:「艦これ」運営鎮守府 イラスト:GUNP)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_search.php?pcd=321310000112


引き続き「艦これ」未プレイな私ですが、かつての大日本帝国のように資源が逼迫する
苦境の中、艦娘たちが知恵と勇気を振り絞って深海棲艦たちとの戦いに臨むバトルもの
として普通に楽しく読めました。そこがまず素晴らしいところかと思います。

「提督」とは何か、から始まり“吹雪”と共に始めた鎮守府での活動──主に失敗談──
について触れ、艦娘たちに励まされ、助けられて今が在る。それが深海棲艦と対峙する
最中に想起する、という演出もプレイヤーならなお感じるものがあるのではないかと。

“赤城”や“加賀”、“朧”“漣”“曙”“潮”といった面々のほかにもおなじみの艦娘
たちが顔を出す賑やかな構成なのも見どころでしょうか。「月刊コンプティーク」誌での
連載もあることですし、シリーズ化にも期待が持てる内容だと感じました。

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2014年02月06日

『ビブリア古書堂の事件手帖5 〜栞子さんと繋がりの時〜』

三上延 先生が贈るビブリオミステリ、第5巻は“大輔”の想いに対し返事を留保し続ける
“栞子”の心残りが古書を通じて明らかとなり、そして答えへと繋がる過程を綴ります。
(イラスト:越島はぐ 先生)

http://mwbunko.com/product/2014/01_01_isbn.html


「話をごまかしたりしない」にしろ、「時間がかかっても、訊かれたことにはきちんと
答える」にしろ、現状維持が続けられるのは“大輔”が待ち続けられる性格あってこそ。
好きという想いの為せる関係に思わず微笑ましい感情を覚えることもしばしば。

マンガですら読み込んでいる、という本の虫が過ぎる片鱗を見せる“栞子”を間接的に
見届ける“智恵子”。彼女の口から告げられた互いの本性は知識欲もここに極まれり、
と言わんばかりの内容。“栞子”が回答に二の足を踏んだ理由も理解に至りました。

同じような2人が好きになった人が同じなわけがない。“栞子”の不安な気持ちにいとも
容易く打開の道を示す“大輔”の大物ぶりも光るものがありました。“智恵子”が言及
した忠告とはこのことか、という引きがあとがきにある終わりの近づきを予感させます。

posted by 秋野ソラ at 01:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年02月05日

『七曲ナナミの斜めな事情 2』

雨木シュウスケ 先生が贈る学園×青春×バトルストーリー、第2巻は謎多き少女“陸車”
の尋ね人が来たり、世界を救うギルドが現れたりと“ハチ”の周辺に波風が立ちます。
(イラスト:硯 先生)

http://lanove.kodansha.co.jp/10004.html?id=9818/28248#29986


“陸車”の誇大妄想が入った自己推理に付き合う“ハチ”の目の前に、本当に突如現れた
少女“九郡”。“陸車”を探している、という話から“ハチ”のことも含めて訳知り顔な
面がちらほら。今という世界が「何かが終わった前の世界」であることを予感させます。

「トリオナンバーズ」とも呼ばれる彼女らの事情は分からぬまま、今度は“九郡”を探す
ギルド「シーカーズ」、そしてその幹部である“シークワン”が登場。気が触れたかの
ような夢物語を説いた後、決断してしまった彼らのその後は杳として知れません。

彼らとの関わりを示唆された“独歌仙”、そして「次元通路」の秘密。“ハチ”という
存在そのものにも疑問が浮かび上がる内容でしたが、そんなことはさておき“七曲”が
デレた、というところが重要。硯 先生が巻末の4コマで示したくなるのも納得です。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル