2014年02月19日

『リーガル・ファンタジー 1 勇者弾劾裁判』

羽田遼亮 先生の「第15回えんため大賞小説部門・優秀賞」受賞作。聖魔戦争の功労者、
勇者の罪を問う前代未聞の裁判に優秀な弁護士と見習い弁護士が挑む物語を拝読です。
(イラスト:三弥カズトモ 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_01


良い魔王と悪い勇者。昨今の風潮を受けたかは知りませんが本作に登場する勇者もまた
度を越したロクデナシ、しかも死なないとあれば女遊びも数知れず。それでも勇者の力
が残ることを恐れた当時の国王によって制定されたとある法律が物語の鍵を握ります。

世界を分かち合う──魔王からの提案を了承した勇者を弾劾する裁判に勝率99%超、
「法廷の魔女」と称される“スミオ”が弁護に回るも彼の奔放ぶりに手を焼く始末。
それでも立て直したと思ったら新たな苦境が去来したりと一進一退の攻防が見所。

超優秀だが守銭奴な“スミオ”に、何の因果か使役される破目に陥った見習い弁護士
“フィオナ”。彼女の頑張りと秘めた想いが織り成す「矛盾」に注目しながら読むと
最後に彼女が犯した罪を咎める気もしなくなるでしょう。興味深いお話でした。

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2014年02月18日

『四百二十連敗ガール4』

桐山なると 先生が贈るハートブレイクラブコメディ、第4巻は“ハル”たちが強制参加
させられた園芸部員の合宿にて“毒空木”の過去に触れるクライマックスを迎えます。
(イラスト:七桃りお 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_06


「デレ空木」「ジェラ空木」と“ハル”に対する想いを加速させる“毒空木”の言動は
ちょっとウザいくらいですがまさにヒロインそのもの(苦笑)。まぁ、騙し討ちで部員
獲得に奔るあたりが正統派ヒロインではない感を印象づけてしまうワケですけど。

なぜ“毒空木”はサッカーが得意なのか。かつての知り合いである“茜”の登場でその
理由が、そして疎遠となった背景が明らかとなります。事情を知ってしまっただけに
何とかしようとする“ハル”ですが、デリケートな問題だけに思いも行動も空回り。

「バカは走れ!」──そう叱咤する“時宗”の姿が印象に残ります。「全告ツアー」に
やきもきしていた現実問題もこれで解消、ということで少し早すぎる終結に残念さを
覚えてしまうのも本作への思い入れあってこそ。まずは無事完結、お祝い申し上げます。

posted by 秋野ソラ at 01:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2014年02月17日

『すずみんは肉食系火竜(3)』

西野吾郎 先生が贈る学園ファンタジー、第3巻は“すずみ”と“鋼平”の繋がりに1つの
推察をみる“白刃”の言動から思わぬ真相が明らかになっていく大波乱の展開を見せます。
(イラスト:あなぽん 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_07


自身も知らない秘密を探るため“白刃”と行動を共にする“鋼平”。花火大会で2人きり
になった“蓮華”の抑えきれない気持ちを受け止める“鋼平”。“すずみ”にヤキモチを
焼かせる天才と言っても過言ではないでしょう。うらやまけしからん少年です。

“鋼平”の母からあっさりと聞かされた「秘密」が“すずみ”の抑止力に繋がっている
という設定が説得力のあるもので良かったです。彼女が突然覚醒してしまう件やオロチ
から戻ったあとの状態を示す理由として上手く繋げてきたと思いました。

“蓮華”のことも応援したい気持ちは山々でしたが、ここはやはり幼馴染とイチャイチャ
してもらうのが筋でしょう。ということで綺麗にまとめて頂きましたが、もう少し続いて
ほしいシリーズと思っていただけに残念です。ともあれ完結おめでとうございます。

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2014年02月16日

『パナティーア異譚2 熱砂のレクイエム』

竹岡葉月 先生が贈る異世界英雄リバースファンタジー、第2巻は突如見つかった元の世界
との繋がり、“響子”を探しに砂漠の地を旅する中で“理人”がトラブルに見舞われます。
(イラスト:屡那 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_04


“イシュアン”と共に帰還を果たした“理人”の胸の内は晴れない。余計なしがらみを
目の当たりにしたり、改めて届くか分からない想いを持て余したり。それどころか異世界
にはあるはずの無いモノが褒美として授けられたことで新たな苦労を背負い込んだり。

元の世界で目にしたノートの書き込みが実現したことを察知した“理人”。確かめるべく
行動に移るも言いがかりはつけられるわ見たこともない場所に落ちるわ。“イシュアン”
とも離れ離れになって踏んだり蹴ったりの状況で何の因果か嫁まで貰う羽目に陥ったり。

“理人”は過去の悲劇に、“イシュアン”は現在の謀略に巻き込まれつつもそれぞれの
信念を武器にそれを跳ね除けるあたりは英雄たる者の強さの賜物か。尋ね人に会う前に
旅の供を加え、賑やかな旅路を脅かす存在の暗躍が気になる次巻の展開に期待です。

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2014年02月15日

『魔法剣士のエクストラ』

若桜拓海 先生が贈る新作は、訳あって魔導の祭典に挑めない世界最強の魔法剣士がその
頂点を目指す少女たちを育て上げる育成&バトルファンタジー、ということで拝読です。
(イラスト/橘由宇 先生)

http://hobbyjapan.co.jp/hjbunko/lineup/detail/521.html


圧倒的な強さを誇る魔法剣士“零人”。天地大異変によって地上を失った今の世界とそれ
以前の世界とを結ぶ「旧世界の叡智」にその真実を求める権利が得られるのは魔導の祭典
「レガリアマギカ」の頂点に立つ者のみ。けれど“零人”は強すぎて出場権利が無い。

そこで話を持ちかけられたのが“紗奈美”“イルマ”“エリサ”、3人の魔導教官として
赴任し、彼女たちを最強へと育てること。力の差は歴然で、持ち味も一長一短ありますが
それでも3人で、そして4人で強くなろうと頑張る様子が見どころの一つとなります。

加えて“零人”の世界最強たる証をこれでもか、というくらい魅せてくれるのもポイント
になると思います。ラッキースケベな要素もしっかり押さえてきてます。女王“アースラ”
が何を考えているのか謎なのが気になるワケですが、どう続いていくのか気になります。

posted by 秋野ソラ at 00:07 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル