2013年12月31日

『スカイ・ワールド6』

瀬尾つかさ 先生が贈るMMORPGノベル、第6巻は第三軌道への道を探る“サクヤ”たちと
戦力の底上げを図るためクエストに挑みまくる“ジュン”たちの行動をそれぞれ追います。
(イラスト:武藤此史 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=301304002875


“ジュン”と“サクヤ”の気心知れたやりとりを見て羨ましがる“かすみ”、そんな彼女
も“ジュン”と名前で呼び合う関係へと進展し“ユーカリア”たちから嫉妬される按配。
そんな雰囲気に混ざりきれない“エリ”の様子がまだ本調子とはいかないようで。

“エリ”の様子を踏まえ、あらためて“ジュン”の人となりに言及するメンバー各位との
やりとりが彼が抱くパーティへの懊悩を浮き上がらせていきます。結論に至るにはまだ
少し時間が必要なようですけど。それにしても“ヒカル”はすっかり弄られキャラですな。

第四軌道にて数々のクエストをこなしていく内に浮かんできた疑問点、この世界における
「冒険者」とはどういう存在なのか、壁画に描かれた絵が示す「3人目」とは誰なのか。
“アリス”への突破口を切り開くため、“ジュン”は次巻も厄介事に首を突っ込みます。

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2013年12月30日

『きんいろカルテット!(1)』

「オーバーラップキックオフ賞・金賞」を受賞した 遊歩新夢 先生のデビュー作。日本で
馴染みのない「ブリティッシュ・カルテット」に挑む少女たちの青春音楽ストーリーです。
(イラスト:DSマイル 先生)

http://over-lap.co.jp/%E3%81%8D%E3%82%93%E3%81%84%E3%82%8D%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%83%88%EF%BC%81%E2%91%A0/product/0/9784906866526/?cat=BNK&swrd=


学校の音楽とDTMくらいしか楽器に馴染みのない身ですが、実に楽しそうに演奏している
4人の少女たちの情景が浮かんでくる。金管楽器の一つ「ユーフォニアム」のプロ奏者
でもある 遊歩 先生だからこそ築ける世界観に惹き込まれて最後まで読みきった感じです。

マイナーな楽器ということで肩身の狭い思いをしている“菜珠沙”たち。そこに高校時代
国際コンクール2位となった“勇樹”も不遇な立場にあるという点が重なり、更に思いも
寄らぬ共通の過去がその結びつきを強くしていく。この話の流れも綺麗で良かったです。

アンサンブル・コンテストでの実力勝負で発生した吹奏楽部との確執も意外な形で払拭
された点も気持ちがスカッとしました。ああいう憎まれ役は現実に居そうで怖いですが。
このページ数でササッと読めるのは相当良く書けてるからだと思います。オススメです。

posted by 秋野ソラ at 00:06 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年12月29日

『現代日本にやってきたセガの女神にありがちなこと』

『僕と彼女のゲーム戦争』を執筆する 師走トオル 先生が贈る、もう一つの「ゲーム」を
テーマにしたライトノベル。セガ公認のハードなガールズ・ストーリーを拝読しました。
(イラスト/KEI 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-866159-1/


日本には八百万の神々がおわします。だからゲームハードの神々が居ても何ら不思議では
ないのです。納得。セガの歴代ハードに由来する神々ということで打たれ弱いというか、
何かと祟り神になり易すぎる傾向があるのは思わず苦笑いしてしまうところです。

KEI 先生の擬人化、というか擬神化デザインがこれまた得心のいくものばかりで編集側の
起用選択を称えたいと思います。“遊伊”のセリフを通じて語られる薀蓄の数々がまた
テーマの掘り下げに妥協を許さない雰囲気を感じさせて感心せざるを得ません。

・・・それにしても“夢実”たちの日常生活って思いっきり引きこもりニートなんだよなぁ。
“勇雄”たちの前に顕現した理由はあるにしても。物語としてどういう風に緩急をつけて
いくのか、引き続き「ニコニコ連載小説」「電撃文庫MAGAZINE」で要確認、ですかね。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年12月28日

『なれる!SE11 絶対?管理職宣言』

夏海公司 先生が贈る「萌えるSE残酷物語」、第11巻は企業買収を決めたスルガシステムの
グループ会社に新人の“工兵”が部長代理として赴任する顛末を描く管理職編となります。
(イラスト/Ixy 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-866290-1/


7巻の時ほどではありませんが、今巻もグサグサと胸に突き刺さる事案ですね。とは言え
本作の良い所としては必ず何らかの形でハッピーエンドに持っていてくれるのが救いです。
せめて物語の中では良い夢を見させて、という願望は満たしてくれるワケですから。

それにしても“カモメ”さんはどれだけの経歴を抱えて今の立場に居るのか相変わらず謎
です。“工兵”の相談に乗る場面だけでもそれが深まるばかりで。安易に進展させない
あたりも油断がなりません。“梢”は妄想が突き抜けていてある種の安定感があります。

今回のキー・パーソンとして登場した“リシー”には同情の余地がありまくりで、啖呵を
切った“工兵”には拍手を送る他にありません。・・・それにしても1年間で激動のSE経験を
積んだものだと思います。そんな彼を慰労する“立華”の前に現れた人物が気になります。

posted by 秋野ソラ at 01:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年12月27日

『とある飛空士への誓約4』

2014年1月より『恋歌』のTVアニメがスタートする 犬村小六 先生の「飛空士」シリーズ。
『誓約』第4巻は“ミオ”との長き別れを経て新たな決戦に挑む“清顕”たちを描きます。
(イラスト/森沢晴行 先生)

http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784094514599


ラスト、とんでもないところに繋がりました。森沢晴行 先生の見開きイラストも鮮烈な
印象を残して引いてきます。第二部、のっけからやってくれました。今巻の流れの中で
“ニナ”が潜めていた思いの欠片が“清顕”に少しでも伝わったことが喜ばしい所です。

酒に呑まれてついつい本音を垣間見せてしまう微笑ましい“イリア”ですが、編隊行動を
組むようになり、増えていく知己が激しい空戦の中で次々と命を落としていく様子を見て
心折れそうになる、年頃の少女としての振る舞いを見せます。頼れるのは“清顕”だけ。

その“清顕”にしてみれば彼女に身を寄せられることであの時のことがフラッシュバック
するという、これまた違った意味合いで自責の念に駆られる始末。「カーナシオン」への
憎しみと“ニナ”に会うという希望を抱えてどこまで飛べるのか、続きに注目です。

posted by 秋野ソラ at 00:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル