2013年08月17日

『乙女はお姉さまに恋してる2 〜移りゆく花のように〜』

原作シナリオ担当の 嵩夜あや 先生が贈る『乙女はお姉さまに恋してる2』ノベライズが
最終巻を迎え、“千早”そして“薫子”が自分の気持ちに整理をつけることとなります。
(イラスト:のり太 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797373370.html


“千早”は“千歳”、そして母“妙子”。“薫子”は“順一”、そして父“玄蔵”。各々
契機となる人物を通じて親との関係がズレはじめた者同士だからこそ自分自身で答えを導き
出すまで見守る姿勢を崩さない。その結果の大切さを知るが故の立ち位置かと思います。

とは言いながらも父“邦秀”の思う所にも触れた今となっては、“千早”が“千早”である
ことを奇跡だと、容姿であるとか言動であるとかそういったものとはまた違った面をもって
言うべきなのではないかと思った次第です。本当に良く出来たお子さんですよ。

あとがきにおいて、今回のノベライズに対して 嵩夜 先生が気に掛けていた点などについて
触れられておりますが、今作を「千早の物語」として、「薫子の物語」として締め括りたい
という想いを読み手として受け止めさせて頂きました。完結を心より祝いたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年08月16日

『ヴァルキリーワークス2』

逢空万太 先生が贈る二人で一人の合体ヴァルキリー物語、第2巻は赤い髪が映える
新たな戦乙女“シュヴェルトライテ”の登場が騒々しい日常生活をより賑々しくします。
(イラスト:蔓木鋼音 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797374223.html


“シュヴェルトライテ”の口調を見ているとどうしても『深山さんちのベルテイン』のこと
を思い出してしまいますので「GA文庫」編集部は早々に第3巻を出すように・・・という話は
ひとまず横に置きまして。彼女もちょっと残念なヴァルキリーとして登場を迎えます。

何せやること為すこと裏目に出まくってますからね、彼女。とは言えそこが今回出てくる
強敵への対抗策に繋がるのですから相変わらず何が伏線になるか油断も隙もありゃしない
といったところです。逢空 先生の本領発揮、とも言えましょう。

「合体」に関しての制約ですとか、応用が利く部分も見られ、ますます“理樹”の存在が
謎を帯びてくる中、事の背景を見るにどうやら“フェルスズ”にも何やら隠された要素が
見え隠れしてきました。当面は“ロスヴァイセ”の扱いをどうするかに掛かりそうですが。

posted by 秋野ソラ at 00:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年08月15日

『うちの居候が世界を掌握している!5』

七条剛 先生が贈る超無敵アットホームラブコメ、第5巻は“真哉”の専属秘書“ルファ”
が登場。完璧な所作と彼女が知らずに負った責務が周囲に大きな影響を与えていきます。
(イラスト:希望つばめ 先生)

http://www.sbcr.jp/products/4797374711.html


日本に呼ばれて何事かと思えば巨大な企業グループ「桜花」の現会長“藤十郎”に後継指名
された“ルファ”。もちろん譲る気は無い“真哉”との間で、更には「オリオンリュート」
との間で真っ向勝負が繰り広げられることになり、彼女も困惑の色が隠せません。

加えて“桃香”たちの家で過ごす“真哉”の様子、そして現状のその先を見据えた時に彼が
どんな道をゆくつもりなのか、その隣に自分は居られるのだろうかという動揺が“ルファ”を
周囲が驚くような対立構造へと駆り立てていきます。

その結果としては・・・仕上げをご覧あれ、と言っておきますが彼にとって「共にあること」と
生涯の伴侶はまだ等号で結ばれていないようですので“莉子”の決意が無駄にはならない
だろうと踏んでます。次巻も新たな来客を予感させますがはてさて。期待しておきましょう。

posted by 秋野ソラ at 00:21 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年08月14日

『神曲プロデューサー』

「小説すばる」に掲載されていた物語を一冊にまとめた 杉井光 先生の文芸単行本第一弾。
先生お得意の「音楽お仕事小説」ということで期待を胸に読ませていただきました。
(イラスト:ミキワカコ 先生)

http://books.shueisha.co.jp/CGI/search/syousai_put.cgi?isbn_cd=978-4-08-771519-4


音楽業界にもいろいろな人たちが居ることは 杉井 先生の過去作品を読めば自ずと知り得る
知識ではありますが、主人公“シュン”も業界の片隅で何でもやる便利屋として無理難題を
吹っ掛けられ、嘘とハッタリで解決していく。じつに「らしい」展開が素晴らしい。

「トッカータ」「クオドリベット」「パッサカリア」「モヴィメント」「カノン」と続く
物語を経て“シュン”は“リカコ”との距離を縮め、その物語を逆に紐解いていくことで
“リカコ”は“シュン”の音楽性を理解する。実によくまとまった一冊だと思います。

帯に「こんなに音楽が聞こえてくる小説は初めてだ!」という賞賛の声が載っておりますが
なかなか的を得たコメントだな、と思いました。共感できるアナタには是非、過去の作品も
読んでほしいと願う次第です。地の文で読ませる文体も同じですし、何の問題もないかと。

posted by 秋野ソラ at 00:12 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年08月13日

『超粒子実験都市のフラウ Code‐2#足跡無き刻印魔女』

土屋つかさ 先生が贈るシリーズ第2巻。実験都市全体がその持てる技術を見せつける祭典
「TECHカーニバル」を舞台に起こる爆弾魔騒ぎに“フラウ”たちが巻き込まれていきます。
(イラスト:植田亮 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=321211000251


お祭りの雰囲気に興味津々な“フラウ”と遊びに行くつもりが“かなめ”からの斡旋により
バイトをすることになった“隼人”。「チハチナ」の思惑を知っていて覆せないコミュの
力関係にもどかしい顔をする“かなめ”が実にいじらしい。

そのバイトで同席することになった“アキラ”が爆弾魔騒ぎの思わぬ鍵を握る存在と知って
からの展開の切り返しは上手いな、と感じました。人の言葉を理解する二足歩行ロボットと
人間は分かり合えるのか、そしてその先は・・・と突きつけるあたりは特に。

騒動の果てに“隼人”が導き出した結論は至極順当なもので、この先どうなるのかな〜、と
思ったらまさかの完結。これは惜しいと言わざるを得ません。最近の「スニーカ文庫」作品
は長続きしないものが多くて次代を担うそれを育てる意志があるのか疑わしく思う次第です。

posted by 秋野ソラ at 00:01 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル