2013年05月11日

『ダブルクロス The 3rd Edition リプレイ・メビウス(1) キミだけが望むすべてだから』

中村やにお 先生/F.E.A.R. が贈る新機軸の「DX3rd」学園リプレイ。学園内に居るという
「裏切り者」を探すべく、トップ(?)エージェントが潜入活動する様子を描きます。
(イラスト:白味噌 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201212000240


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  舞台裏の矢野:・・・・・・練習って何するんだ?
  GM:「私が担任の先生になりますから、緋蜂さんは転校生として挨拶してください」
  紅:わかりました! ばっちこい!
  一同:・・・・・・?
  GM:「では始めましょう・・・・・・ガラガラガラ(←教室の扉を開ける音)──
    (教師になって)みんなおはよう、今日は転校生を紹介するぞ。緋蜂、入れ」
  紅:はい! 黒板の前まで歩いて・・・・・・こんにちは!
  GM:「じゃあ緋蜂、自己紹介をしてくれ」
  紅:わかりました! ──転校生の緋蜂紅です。スパイをしています。
  GM:霧谷は無表情に手元のブザーを鳴らします。ブッブー。
  
  舞台裏の天:コントじゃねえか!(一同爆笑)
  舞台裏のあづさ:(苦しそうに)なんだこれ・・・・・・なんだこれ(笑)。
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まだジャブみたいなもんです、これでも。先に言っておくと“紅”を演じる 佐藤有世 さんの
飛び抜けたセンスにやられて笑うことは避けられませんので、ぜひ公衆の面前では読まない
ことを推奨しておきます。何度笑わされたか数えるのも億劫になるくらいです(笑)。

片岡あづさ さんが演じる“アンゼリカ”、田中天 先生が演じる“墓守”、矢野俊策 先生が
演じる“秋雨”、PCたちに加えてNPCたちも何かしらの秘密を抱えていて、それが少しずつ
明らかになるにつれて互いの関係も変わっていく、という面白い仕掛けのセッションです。

細部に触れていくとネタバレ感が半端ないので、とにかく読んでみてください。面白いのは
保証します。何といっても 片岡あづさ さんの名演技が光ります。『アカデミア』のときも
そうでしたけど、こちらもセンスに溢れてます。次巻への引きも見事で刊行が楽しみです。

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2013年05月10日

『天翔虎の軍師』

「第22回ファンタジア大賞・金賞」受賞作の『カナクのキセキ』でデビューし、その物語を
書ききった 上総朋大 先生が贈るファンタジー戦記の新シリーズ、読ませていただきました。
(イラスト:庄名泉石 先生)

http://www.kadokawa.co.jp/lnovel/bk_detail.php?pcd=201212000225


正直なところ久々に絵買いした感が高かったりしますが、とにかく読みやすさにこだわって
書かれている印象を受けました。お話がやや簡単に動いてしまっているところもありますが
少年少女向けの物語として役割は果たしているように思います。

天下統一を目指す「トーレ帝国」に滅ぼされた「フレリカ」王国。その再興を図る“シエル”
が軍師となって同門の“アレイア”、そして“ユミカ”と智謀で争うであろう構図は戦国時代
の群雄割拠を予感させるものがあり、不利な状況をどう克服していくかが見所になるかと。

これに加えて“シエル”に対して幾らか気がある風の“ユミカ”がどういった言動をみせる
のか、といった点にも注目したいところ。何しろ彼は王女教育係も拝命するくらい“ミオ”
との繋がりが強いですし、横恋慕止まりなのかどうなのか、というところで。

posted by 秋野ソラ at 01:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月09日

『俺が生きる意味2 放課後のリゾルト』

『キミとは致命的なズレがある』でデビューした 赤月カケヤ 先生が贈る戦慄のパニック
ホラー、強烈な引きを残した1巻の余韻も間もなく2ヶ月連続刊行となる2巻の登場です。
(イラスト/しらび 先生)

http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784094514049


「カルネアデスの船板」といった例え話にもあるように、必ずしも皆が幸せとなる選択肢を
選べないことがあります。生きとし生けるものの頂点に立つ人を蹂躙する怪物たちの目前に
晒された“斗和”たちがそんな場面に直面するたび、心を痛む気持ちを共有させられます。

逃げる術も無く、対抗することもままならない中で“寧々音”に発露した異能力。すがる者
と頼られる側の心情のズレが人の業とも言うべき情景を映し出すとき、これまた心苦しい
思いを抱かずにはいられなくなります。人はどうして、これほどまでに罪深いのかと。

「師匠」の教えを胸に、人死にが絶えない危機的な状況を冷静な判断と悪運の強さで覆す
“斗和”の前に現れた衝撃的で無慈悲な結末。物語の構成要素がパズルの欠片のように
嵌っていくのを読み手としても感じました。最後の描写が意味する所が気になる話です。

posted by 秋野ソラ at 01:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月08日

『"空蝉" ヒカルが地球にいたころ・・・・・・(7)』

野村美月 先生が贈る大人気学園ロマンス、第7巻は“ヒカル”の子を身篭ったという少女
が登場し、「彼の"最愛"の人は誰なのか?」という腹の探りあいに拍車が掛かります。
(イラスト:竹岡美穂 先生)

http://www.enterbrain.co.jp/fb/pc/08shinkan/08shinkan.html#_04


“是光”に対してちょうどデレはじめたところに「妊娠」という言葉がひとり歩きをして
とんだとばっちりを受けたのが“朝衣”ですが、よくよく調べていったら皆が妊娠騒動の
巻き添えを食っていただけだった、という何とも切ない結末。

今回の当事者である“空”の状況に当時の自分を重ね合わせる“是光”。影を落とす過去が
突如として今に去来し、苦しみ、抱えきれず人に八つ当たりしてしまったり、と数々の失態
を見せてしまった彼が立ち直れたのも奇跡に近い巡り合わせによるものでした。

“ヒカル”が罪作りなことは今さら言うまでもありませんが、“是光”も女泣かせの名を
頂くに足る実績を着々と残しつつあります。そんな中で垣間見える“一朱”の“ヒカル”に
対する妄執が更なる波乱を呼び起こすのではないかと危惧しつつ、次巻へと続きます。

posted by 秋野ソラ at 00:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月07日

『失恋探偵ももせ』

岬鷺宮 先生の「第19回電撃小説大賞・電撃文庫MAGAZINE賞」受賞作。「ミステリ研究会」
に所属するたった2名の男女が叶わぬ恋の謎を紐解く学園青春"失恋"ミステリを拝読です。
(イラスト/Nardack 先生)

http://dengekibunko.dengeki.com/newreleases/978-4-04-891553-3/


失恋に係る調査依頼を受け、判明した状況証拠から結論を決めつける少年“九十九”の言を
自称「失恋探偵」の少女“百瀬”が否定し、失恋という事象そのものをも覆すほどの解決を
果たす、という連続短編仕立ての構成が気軽に読める雰囲気を醸成しています。

そして、そもそも「“百瀬”は何故に「失恋探偵」なる活動を始めたのか」という謎の解明
すら「失恋探偵」の事案として捉え、その一端として“百瀬”の機微を交えつつ解き明かし
ていく、という話運びには心ときめくものがありました。“百瀬”が実にいじらしいです。

2月に刊行された「第19回電撃小説大賞」4作品も読ませて頂きましたが、今回は本作が
一番好きだな、と思っております。Nardack 先生の挿絵も雰囲気に合致していて良かった
ですし、これはぜひオススメしたい一作とも思っております。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル