2013年05月31日

『クロックワーク・プラネットT』

榎宮祐 先生、暇奈椿 先生の共著で贈るアクション&ファンタジー。死んだ星の機能を歯車
のみで再現した地球上で織り成す少年と少女と自動人形の物語、その第1巻を拝読です。
(イラスト:茨乃 先生)

http://kc.kodansha.co.jp/magazine/index.php/90008?id=9818/20043


「クロックワーク・プラネット」──時計仕掛けの惑星に突如あらわれたテロリスト集団の
描写から始まる350ページ超のお話。気が付けばページをめくる手を止めることなくラスト
まで一気に読みきりました。世界観に上手く引き込ませてくれる作品だと感じました。

人生の底辺にいた“ナオト”の能力が真価を発揮する場面、“リューズ”が自由意志による
気持ちを示すために255回の首肯と羞恥の表情を見せた場面、権力闘争に巻き込まれ立場
を捨てた“マリー”が第一級時計技師の妙技を見せた場面、三者とも印象に残っております。

運命的な出会いを経て世界を救う決意をした“マリー”、それに付き合わされる“ナオト”
と付き従う“リューズ”。「天才」と「異能」と「黒い歯車」が噛み合うことで世界はどう
変わっていくのか、次巻の刊行に実に興味が沸いてくる次第でございます。楽しみです。

posted by 秋野ソラ at 00:04 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月30日

『人生 第5章』

川岸殴魚 先生が贈る人生相談ライトノベル第5巻。「九文学園美少女コンテスト」を巡る
デキレース疑惑に第二新聞部が“いくみ”をエントリーさせて挑む。果たして結果は如何に。
(イラスト/ななせめるち 先生)

http://skygarden.shogakukan.co.jp/skygarden/owa/solc_dtl?isbn=9784094514124


“絵美”の美的センスとそれを具現化した ななせめるち 先生には賞賛の拍手を送りたい。
具体的には“いくみ”のあられもない姿に。あるいは秘密を捻り出そうとしていつの間にか
晒してしまった“絵美”自身のそれに。“絵美”は今回のMVPと言えるかもしれません。

そんな感じでワリと貧乏くじを引かされることが多かった“いくみ”ですが、生徒会長の
不正を暴こうとして窮地に陥ったところを「コガネン」こと“勇樹”に助けてもらったり
と悪いことばかりでもなさそうな雰囲気。・・・最後のはヤキモチだったんですかね。

今回の活動では不甲斐ないところを見せた“梨乃”の最終手段も良かったです。“勇樹”に
対してはヤンデレ気味なところを見せているのが気になるところですが。第二新聞部存続の
危機も回避できて、新しい目標もできて、ということで人生相談はまだまだ続きそうです。


■「人生 第5章」発売です! (もちろん相談も募集中です!!!!)
 http://d.hatena.ne.jp/okawagishi/20130519/1368946548


posted by 秋野ソラ at 01:25 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月29日

『千の魔剣と盾の乙女10』

川口士 先生が贈る魔剣ファンタジー、遂に2桁巻数の大台へ。予定していたラストへと
向かうため、“ホルプ”復活を目指して“ロック”たちは竜の墓場へと急ぎ目指します。
(絵:アシオ 先生)

http://data.ichijinsha.co.jp/book/booksearch/booksearch_detail.php?i=75804425


今巻もあっさりと進むことはなかった“ホルプ”復活。その道のりは実に長かった・・・。
彼の口から語られたこの世界の歴史、真実の姿、そして倒すべき本当の相手。胸の内を
打ち明けた“ホルプ”と“ロック”が真のパートナーとして互いを認めるシーンは必見です。

また、そこに至る前に「魔王」と直面したことについて“ロック”たちがどう感じのかを
吐露し、受け止め、改めて前へと進むための契機としたところも注目しておきたいところ。
土壇場で「魔石(タスラム)」を単独使用した“フィル”の成長ぶりには目を見張ります。

“バルトゥータス”と対峙する“サーシャ”、そして「魔王」の件については事情が飲み
込めたので得心がいきました。あとは“リャナンシー”と“ファーディア”の思惑がこの先
“ロック”たちの進む道に改めてどう絡んでくるのか、展開を見届けたいと思います。

posted by 秋野ソラ at 00:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月28日

『浮遊学園のアリス&シャーリー(1)』

数々のレーベルで物語を生み出し続ける むらさきゆきや 先生が「オーバーラップ文庫」
にてお届けするのは世間から隔絶された浮遊学園都市を舞台とする学園異能バトルです。
(イラスト:しらび 先生)

http://over-lap.co.jp/%E6%B5%AE%E9%81%8A%E5%AD%A6%E5%9C%92%E3%81%AE%E3%82%A2%E3%83%AA%E3%82%B9%EF%BC%86%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%BC%E2%91%A0/product/0/9784906866182/?cat=&swrd=


「特有幻想(ディアレクト)」という異能力使う「幻想具現者(グローバライザー)」として
高レベルの実力者であるが故に鼻持ちならぬ言動を見せる“アリス”、彼女の元パートナー
にして現パートナー“柾貴”の幼馴染である“シャーリー”、二人の名コンビぶりが面白い。

偶然にも異能力を悪用する「規律委員(ブレイカー)」の一員となった“柾貴”が有する
能力が果たしてその役職の助けになるのか、という不安要素も彼自身の研鑽と機転でもって
しっかりと解消してくるあたりは侮れないものがあります。中々な男前ぶりを見せてます。

『ゆうれいなんか見えない!』に端を発し、『覇剣の皇姫アルティーナ』『銀弾の銃剣姫
(ガンソーディア)』と続く本作も実に身に馴染むテキストだということが分かったので
むらさきゆきや 先生の作品は少し前のめりで追っていこうと思った次第であります。

posted by 秋野ソラ at 00:53 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル

2013年05月27日

『暦物語』

西尾維新 先生が贈る怪異譚、「物語」シリーズの最後を飾る『終物語』『続終物語』を前に
100パーセント突然書かれた小説、として登場した450ページ弱の短編集を拝読しました。
(イラスト:VOFAN先生)

http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2838370
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/kodansha-box/topics/nishio/


いやぁ〜、長い。短編集なので区切りよく話が進んでいくにしても3時間は掛かりました、
読了までに。女性陣が勢揃いなので「阿良々木ハーレム」と言ってもいい彼の人間関係には
驚かされますが・・・一体どうなっちゃったの? と思わざるを得ないラストが気になります。

“忍野メメ” とか出てきて久しぶりだな、と感じる一方で彼らの時間軸としてはたかだか
1年にも満たない遷移であること、更にはその中で数々の「物語」に、そして怪異に触れて
きたのだと思うと改めて濃密な時間を過ごしているのだということを再認識させられます。

各短編で触れられている「道」というものに対する反応や考え方の違いがそのまま各キャラ
の特徴を色濃く反映しているのも興味深かったです。怪異かと思いきや・・・という後日談の
数々もテンポの良い話運びに繋がっていて、これはこれで面白いと感じました。

posted by 秋野ソラ at 00:03 | Comment(0) | TrackBack(0) | ライトノベル